
田中かつら
辻日本料理専門学校を卒業後、懐石料理、エスニック、ビストロ等で経験を積み、2013年に東京・池尻大橋に《季節料理・酒処さそう》をオープン。季節の食材に、ハーブやスパイスを取り入れた料理を得意とする。NHKラジオや「dancyu」「和樂」など数多くの雑誌でレシピを提供するほか、料理教室を主宰。現在は夫の転勤に伴い、福岡県に暮らしている。
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季節は秋。スムーズに眠りに入れていますか?
秋になると日照時間が短くなり「セロトニン(幸せホルモン)」が減少し、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌が少なく、体内時計が狂いやすくなります。そこで、日々の料理を工夫し、眠りをさそう食材を取り入れてより良い眠りにつなげましょう。
「トリプトファン」の多い食材と聞くとなんだか難しそうで、分からないという方もいると思います。そして料理へのハードルも高まってしまいますが、安心してください。
「トリプトファン」はタンパク質を多く含む食材から摂取できます。例として乳製品のヨーグルトやチーズや牛乳、大豆製品の豆腐や納豆、卵やバナナが多くあげられます。また、日本人である私達に一番身近なお米や、普段何気なく料理に使っている醤油や味噌、かつお節や煮干し、干し海苔やワカメのほか、「トリプトファン」が多く含まれてる食材は沢山あります。
そこで、せっかく口にするなら眠りの質を高め、季節も楽しめるそんな料理をご紹介したいと思います。
秋になるとスーパーの店頭に並ぶ「戻り鰹」や「秋鮭」には、「トリプトファン」に加えて「ビタミンB6」も含まれており、質のいい眠りを得るためには心強い食材です。そのまま“カツオのたたき”や“鮭ソテー”として食べてももちろん美味しいのですが、時にはアレンジ料理としてこちらのメニューはいかがでしょう?
《戻り鰹とアボカドの生春巻き ヨーグルトソース》

■材料(2人前)
お刺身用カツオ 4枚
アボカド ¼個
赤玉葱スライス 少々
大葉 2〜3枚
柔らかいレタス(サニーレタスやサラダ菜) 5〜6枚
かいわれ大根やスプラウト 少々
ライスペーパー 一枚
〜ヨーグルトソース〜
ヨーグルト 大匙2
すりおろしニンニク 少々
レモン汁 ⅛個分
塩 小匙½弱
お好みで黒胡椒 少々

■作り方
①食材を以下のように下ごしらえします。
アボカド→くし形にカット
赤玉葱→スライス
柔らかいレタス→洗って硬い芯を除く
かいわれ大根やスプラウト→根をカット

②ヨーグルト、すりおろしニンニク、レモン汁、塩を合わせよく混ぜ、ヨーグルトソースを作ります。
③生春巻き皮を水でさっと濡らし、その上に具材をのせて手前から巻きます。
④食べやすい大きさにカットして器に並べ、ヨーグルトソースを小皿に入れ、お好みで黒胡椒をふり、生春巻きに添えて出来上がり。

◎生春巻きのカットは小さくカットすると崩れやすいため、半分にカットするか四等分にするのがオススメです。
◎今回の巻き方は両サイドを巻き込まない、レ タスをはみ出させた状態で巻いてます。この巻き方だと、サラダ感覚でモリモリと食べられます。パクチーやディル、ルッコラや三つ葉などを一緒に巻いても美味しいです。
◎ライスペーパーはメーカーさんによって薄さが違います。薄くて破れやすいライスペーパーを使う際は、2枚重ねて巻いてください。野菜や刺身用鰹の水気はしっかり拭き取っておくと、ライスペーパーがふやけて破れるのを防げます。
◎アボカドの切り方は、柔らかい場合は今回の様なくし形が崩れにくいためオススメです。少し固めの場合は薄くスライスして巻くと食べやすいです。 アボカドの固さはなかなか自分好みに出会いにくいだけに、好みの固さのアボカドに出会うとラッキーかもしれません。
◎冷蔵庫にケッパーやオリーブがあるなら、刻んで生春巻きの中に忍ばせたり、ヨーグルトソースの塩を柚子胡椒に変えるとバリエーションが広がります。
◎鰹のお刺身は、なるべく血合の色が綺麗な赤色のものを選んでください。少し黒ずんだ血合は生臭さが出てしまいやすいため、血合をカットして使用しましょう。
◎刺身用の鰹がない場合は、トリプトファンとビタミンB6を含む鶏むね肉や鯖を焼き、ほぐして巻いても楽しめます。
《秋鮭としいたけの胡麻味噌焼き》

■材料(2人前)
秋鮭 2切れ
しいたけ 2〜4個
玉葱 ¼個
料理酒 大匙1
〜胡麻味噌〜
味噌 大匙2
味醂 大匙2
すり胡麻 大匙1
おろしニンニク 少々
お好みで三つ葉 適量

■作り方
①以下の下ごしらえをしましょう。
鮭→サッと洗い、よく水気をとる。
しいたけ→食べやすい大きさにカット。
玉葱→半分にカットし、1cm幅にカット。

②胡麻味噌を作ります。味噌と味醂、すり胡麻、おろしニンニクをボールに入れ、よく混ぜてください。
③耐熱容器に野菜と半分の胡麻味噌をぬった鮭を並べ、料理酒をふりかけた後アルミホイルで蓋をします。オーブンで220℃に設定し、15分〜20分焼きます。
*胡麻味噌は鮭一切れに小匙1〜2ぬってください。食べる時に胡麻味噌を添えるので、味が薄い時には足して召し上がってください。
*鮭の厚みで焼き時間は多少前後します。途中で焼き加減を確認してください。
焼く前↓

焼き上がり↓

④耐熱容器のままor器に盛りつけ、お好みで三つ葉をちらします。残りの胡麻味噌を添えて出来上がり。

◎鮭とサーモンの違いですが、鮭は主に天然の海水魚で、寄生虫がいる可能性が高いため加熱が必要です。一方、サーモンは主に淡水で養殖されたもので、寄生虫の心配が少ないため生でも食べられます。今回はこれから旬の生の秋鮭を使っています。塩鮭ではなく必ず生鮭を使ってください。
◎三つ葉は『アロマベジタブル』と呼ばれ、“ミツバエン”と言う爽やかな香り成分があります。神経の鎮静化や不眠症の改善に役立つと言われています。ただし熱がかかると成分が薄れてしまうため、生のままお料理に添えてお使いください。味だけでなく香りにも癒されるでしょう。
◎少しだけピリ辛にエスニックを味わいたい時は、スウィートチリソースを「胡麻味噌」の味醂の代わりに使ってください。エスニックな胡麻味噌焼きにアレンジできます。
*唐辛子はビタミンB6が多いうえに、体温を一時的に上げた後下げるという作用を持つカプサイシンが含まれています。食後に体温が下がった時に眠くなりやすく、快眠につながるとも言われています。ただし、辛すぎると胃に刺激を与えてしまうので気をつけましょう。
◎胡麻味噌が余った時は、そのままご飯にのせて食べても美味しいです。豚肉や鶏肉にのせて焼いたり、味噌汁の味噌代わりに使っても楽しめます。

◎グラタン皿などの耐熱容器があれば、出来上がり後そのままテーブルに並べられて便利です。食後の片付けも楽でしょう。

《厚揚げとひじきのチャンプル》

最後にもう一品、シンプルで胃腸に優しい炒め物をご紹介します。
仕事終わりにスーパーに寄ってもいい鮮魚に出会えない日は、シンプルにお豆腐を卵で炒めましょう。冷蔵庫にある野菜を足してもいいですし、お肉を加えるなど自由に食材を組み合わせてください。
今回は、炒めても崩れにくい“厚揚げ”と“ひじき”、“かつお節”というトリプトファンが豊富な食材に、ビタミンB6を多く含む“卵”を組み合わせました。
■材料(2人前)
厚揚げ 150〜200g
ひじき 25〜30g
卵 2個
にんにくスライス 4〜5枚
米油 大匙2
かつお節 3g
塩 ふたつまみ
黒胡椒 少々
醤油 小匙1〜2

■作り方
①以下の下ごしらえをします。
厚揚げ→一口大にカット
ひじき→生のひじきはそのままで、乾燥ひじ きは水に戻す(乾燥ひじき大匙2)
卵→割ほぐす
②フライパンに米油とにんにくスライス、厚揚げを入れ中火にかけます。4分程でにんにくがきつね色になったらひじきを入れてサッと炒め、かつお節(分量の⅔)・塩・黒胡椒をふってさらに4分程炒めてください。厚揚げの水分で油がはねますので注意しましょう。
にんにくスライスきつね色はこれくらいの色

③溶き卵、次に醤油をそれぞれまわしかけ、さっくりと炒めます。

④器に盛り、残りのかつお節をかけて出来上がり。

◎秋は木の子が沢山出回ります。その中でもトリプトファンが多く含まれている“えのき”や“しいたけ”を足して炒めても美味しいです。
◎かつお節に含まれるアミノ酸グリシンは、睡眠の質を改善し、快眠を促します。トリプトファンやビタミンB6も豊富で、安眠に役立つアミノ酸やビタミンの生成・働きを助けます。そして、なんといってもかつお節の香りは心を落ち着かせ、リラックス効果が高まります。
◎卵の炒め具合はお好みですが、半熟くらいで仕上げると、卵のとろとろがひじきにからまって美味しいです。
◎厚揚げではなくお豆腐を使う際は、崩れ防止のために水切りをしっかりとしてください。木綿豆腐がおすすめです。
料理を口にして得られる美味しいという感覚は生活の質を高める上でとても大切です。しかも栄養を摂取するだけではなく、作っている時からの香りや出来上がりの見た目も心を満たしてくれます。また、栄養バランスの取れた食事は体調を整え、健康の維持を助けてくれますから、ひとつの食材に特化しすぎずさまざまな食材を組み合わせてバランスをとるよう心がけましょう。
秋の夜長、お気に入りの器に料理を盛って目からも楽しめる食事を味わい、眠りの質を高めましょう。








