一瞬意識が飛ぶ眠気「マイクロスリープ」とは?原因と対策をやさしく解説
睡眠コラム by Koala JP•2025年10月30日•読了目安時間: 5 分

【医師監修】一瞬意識が飛ぶような眠気「マイクロスリープ」とは?原因・対処法と注意すべきサイン

「会議中、気づいたら話を聞き逃していた」「眠気をこらえていたら、ハッと目が覚めた」といった経験から、ただの寝不足なのか気になることもあるでしょう。短い眠りが入り込むマイクロスリープは、日常生活の安全にも関わります。

本記事では、上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の石川が、マイクロスリープの原因と対処法を解説します。毎日の睡眠を見直すポイントや、医療機関で確認したい眠気のサインも紹介します。

 

マイクロスリープとは?数秒程度の短い眠り

マイクロスリープ(瞬眠)とは、数秒程度のごく短い眠りです。広島大学の研究紹介では「15秒未満の短い睡眠」と説明されており、実際のトラックの居眠り運転事故を調べた研究でも、衝突直前にマイクロスリープが繰り返し起きていたと報告されています。※1

睡眠不足のときには、起きている状態と数秒間の眠りが混じることがあります。また、慢性的な睡眠不足では眠気や能力の低下を自覚しにくくなるため、「まだ大丈夫」と思い込み、運転や作業を続けないことが大切です。※2

ただし、「一瞬意識が飛んだ」という感覚が、マイクロスリープかどうかを自分で判断することは難しいでしょう。また、眠気と関係なく意識を失ったり倒れたりした場合は、ただの寝不足と決めつけず、医療機関に相談してください。

 

マイクロスリープが起こる原因

マイクロスリープに関わる主な要因

マイクロスリープは、睡眠不足などによって強い眠気が生じたときに起こることがあります。睡眠不足のほかにも、睡眠を妨げる病気や薬の影響が関わる場合があります。ここでは、主な原因を解説します。

1. 睡眠不足や睡眠の質の低下

必要な睡眠が足りていないと、日中に強い眠気が出やすくなります。徹夜の翌日だけでなく、普段より短い睡眠が続いている場合も注意が必要です。慢性的な睡眠不足では、注意力などが低下していても、本人は眠気や疲れに気づきにくくなることがあります。※2

また、長く寝床にいても、寝つくまでに時間がかかったり、夜中に何度も目が覚めたりすれば、十分に眠れていない可能性があります。「何時間寝たか」に加え、朝起きたときの「休めた感じ(休養感)があるか」も確認しましょう。※3

2. 睡眠時無呼吸症候群などの病気

睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりする睡眠時無呼吸症候群では、眠りが妨げられ、日中の眠気につながることがあります。大きないびきや呼吸停止を家族から指摘される場合もありますが、自分では気づきにくいこともあります。※3・4

ほかには、十分な睡眠をとっていても強い眠気が現れるナルコレプシーや特発性過眠症などがあります。これらの病気による眠気を、すべてマイクロスリープと呼ぶわけではありません。寝不足を解消しても眠気が続く場合は、医療機関で原因を確認することも大切です。※3

3. 眠気を引き起こす薬

かぜ薬や花粉症の薬などにも、眠気や注意力の低下を起こすものがあります。服用後の運転や機械操作が禁止されている薬もあるため、市販薬でもパッケージや説明書の注意事項を確認してください。※5・6

薬を使い始めたり量が変わったりしてから眠気が強くなった場合は、その経過を医師や薬剤師に伝えましょう。処方薬を自分の判断で中止したり、量を減らしたりすることは避けてください。※6

 

強い眠気を感じたときの対処法

運転や危険な作業の最中に眠気を感じたら、安全を確保することを優先しましょう。ただし、短い休憩や仮眠は一時的な対応であり、睡眠不足を埋め合わせるものではありません。※2

1. 運転や危険な作業を中断する

運転中はサービスエリアや駐車場など、安全に停車できる場所で運転を中断してください。高所作業や機械操作でも、周囲に伝えて安全な状態にしてから休みましょう。眠気を我慢したまま続けないことが大切です。

トラックの居眠り運転事故を調べた研究では、事故の直前にマイクロスリープが頻発していました。※1 顔を洗ったり窓を開けたりして一時的に目が覚めた感じがしても、運転には危険が伴います。休んでも眠気が残る場合は、運転の交代や別の移動手段も検討してください。※1・2

2. 休憩や短い仮眠をとる

日中の眠気には、短い仮眠が役立つことがあります。日本睡眠学会は、夜の睡眠への影響を抑えるため、15時までに30分以内の昼寝を勧めています。ただし、長く寝ると、目覚めた直後にかえって眠気やだるさが強くなることがあります。※7

起きた直後にすぐ運転や危険な作業へ戻ることは避け、眠気が残っていないか確認しましょう。夕方以降の運転中に眠くなった場合も、「仮眠の時間ではないから」と運転を続けず、安全な場所で休むことを優先してください。

 

マイクロスリープを防ぐための生活習慣

眠気を繰り返さないためには、毎日、十分な睡眠を確保することが大切です。睡眠時間と、眠りやすいリズム・環境の両方を見直していきましょう。

1. 必要な睡眠時間を確保する

成人は6時間以上を目安に、自分に必要な睡眠時間を確保することが勧められています。ただし、6時間眠れば誰でも十分という意味ではありません。必要な長さには個人差があるため、日中の眠気や朝の休養感も見ながら調整しましょう。※3

就寝前のスマートフォンや持ち帰りの仕事で睡眠が短くなっているなら、その時間を少し減らせないか検討してみましょう。睡眠を確保できない日が続く場合は、勤務や生活の予定も含めて見直す必要があります。

2. 睡眠リズムと睡眠環境を整える

十分な睡眠時間を確保することに加え、生活リズムや寝室の環境を整えることも大切です。日々の習慣を、次のポイントから見直してみましょう。

項目 取り組み方
起きる時刻 朝はなるべく同じ時刻に起き、朝日を取り入れる
寝室の環境 暗く静かにし、暑さや寒さで目が覚めないよう空調や寝具を調整する ※3
寝る前のスマートフォン 寝る直前まで明るい画面を見続けることを控える ※3
カフェイン 寝つきに影響する可能性があるため、夕方以降は控える ※7
寝酒 夜中に目が覚める原因になるため、眠るための飲酒を避ける ※7

まずは、寝る前のスマートフォンや飲み物など、取り組みやすいところから変えてみましょう。睡眠時間だけでなく、寝つきや夜中に目が覚める頻度、朝の休養感も振り返ると、見直した習慣による変化を確認しやすくなります。

本多洋介 医師
本多洋介 医師

マイクロスリープ(瞬眠)は、起きているつもりでも脳が数秒だけ眠ってしまう状態です。本人は気づきにくく、会議中の記憶が抜けたり、運転中に一瞬意識が飛んだりします。事故の直前に数秒の瞬眠が何度も起きる例もあり、わずかな時間でも判断や反応が大きく落ちるため非常に危険です。主な原因は睡眠不足の積み重なり、眠りの質の低下、いびきや呼吸の乱れ、眠気を誘発する薬、過労などです。対策はまず睡眠を毎日少しでも増やし、寝る時間と起きる時間をそろえることです。日中は15時までに20分以内の短い仮眠を使い、カフェインや寝酒は控えめにしましょう。いびきが大きい、寝ても疲れない、突然眠り込むなどの症状がある場合は早めに受診しましょう。

 

注意すべき眠気のサイン

人によっては、睡眠時間を増やすだけでは、日中の眠気が改善しないこともあります。次のような状態があれば、生活習慣の問題だけと考えず、医療機関に相談しましょう。※3

1. 十分に寝ても強い眠気がある

必要な睡眠時間を確保しているのに居眠りを繰り返す場合や、仕事や日常生活に支障が出るほど眠い場合は、睡眠障害が隠れている可能性があります。休養感が乏しい状態が続く場合も、医師に相談すべき症状です。※3

受診時には、寝る時刻と起きる時刻、夜中に目が覚める回数、眠気が強くなる場面をメモしておくと、普段の状態を説明しやすくなります。睡眠時間だけでなく、生活への影響も伝えましょう。

2. 大きないびきや睡眠中の呼吸停止がある

大きないびきに加え、「寝ている間に呼吸が止まる」と指摘された場合は、睡眠時無呼吸症候群の検査が推奨されます。日中の眠気が目立たない人もいるため、自分ではよく眠れていると感じていても、相談を検討してください。※4

家族から指摘された内容や、朝に頭痛があるかどうかも、受診時に伝えておくとよいでしょう。

3. 日常生活で突然眠り込んでしまう

自分では抑えられない眠気が繰り返し起こる場合は、睡眠外来などで原因を確認することが大切です。例えば、ナルコレプシーという病気では、強い眠気に加え、笑うなどの感情の変化で急に体の力が抜ける症状を伴うことがあります。※3

何が起きたかわからない場合も、「マイクロスリープだろう」と自己判断せず、起きた状況を医師に相談することが大切です。

受診先に迷ったら、かかりつけ医や睡眠外来に相談しましょう。※8 いびきや呼吸停止がある場合は、呼吸器内科や耳鼻咽喉科も相談先になります。※4

 

まとめ

マイクロスリープは、起きている状態に入り込む数秒程度の短い眠りです。強い眠気を感じたときは運転や危険な作業を中断し、休憩をとりましょう。普段から必要な睡眠時間を確保し、睡眠リズムと寝室環境を整えることも大切です。

十分に寝ても眠気が続く場合や、いびき・呼吸停止、突然の寝落ちがある場合は、医療機関に相談してください。病気による眠気は、寝具の見直しだけで解決しようとしないことが大切です。

毎晩使う寝具は、自分が無理なく休めるかどうかを確かめて選びたいものです。寝室環境を整える際には、体に合うマットレスや枕も見直してみましょう。

参考

※1 広島大学「居眠り運転事故直前でのマイクロスリープ(瞬眠)を検知」

※2 日本睡眠学会「睡眠不足と眠気:甲斐田幸佐」

※3 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

※4 日本呼吸器学会「Q15. 夜、呼吸、いびきが止まると言われました。」

※5 医薬品医療機器総合機構「Q2 服用(使用)中は車の運転をしてはいけないくすりがあるそうです。何故ですか?」

※6 医薬品医療機器総合機構「Q3 くすりの使用中に車の運転をしていいかどうかはどうしたらわかりますか?」

※7 日本睡眠学会「睡眠衛生教育:岡島義」

※8 日本睡眠学会「睡眠医療認定一覧」

 

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