睡眠コラム by 松岡 雄治2025年10月29日読了目安時間: 7

【医師監修】5分で寝落ち?!寝ながら瞑想の効果的なやり方|睡眠の質を改善する実践法

田中 貫平
icam取締役 / 医師(現職:Sleep Rest Clinic幕張、いずみ医院 溝の口、AL CLINIC)

医師・メンター・タッチベースドマインドフルネス/shinsetsu-tion考案者・Gallup認定ストレングスコーチ・インド中央政府公認ヨガインストラクター

2013年英国シェフィールド大学医学部卒。

手稲渓仁会病院にて初期研修後、2020年九州大学病院心療内科に入局。国際医療福祉大学成田病院では緩和ケアチームにも所属。2024年からはフリーランスの医師として活動している。一般の方から学生、経営者、スポーツ選手など幅広い層のクライアントに対して傾聴およびマインドフルネスの実践指導や心理療法を提供、あらゆる病気や未病(不眠症も含む)の治療や予防改善に取り組んでいる。

「瞑想を始めたいけれど、座って行うのは足が痛くて続かない」「ベッドに入ってから1時間以上眠れない」、「朝起きてもだるい」 ─ そんな悩みを抱えていませんか?

厚生労働省の2023年の国民健康・栄養調査によると、睡眠で休養がとれている成人の割合は74.9%と2012年の84.4%から10%も下がっています。(※1)また睡眠時間6時間未満の割合が男女でおよそ4割と高いのが現状です。(※2)。

そんな中、今注目を集めているのが「寝ながらできる瞑想」、いわゆる寝ながら瞑想(ヨガニードラ)です。座る必要もなく、ベッドや布団の上で仰向けになったまま行えるため、瞑想初心者でも無理なく取り入れられます。さらに、2015年の日本のビジネスパーソンを対象にした横断研究では、瞑想を行う人ほどワーク・エンゲイジメント(働く人がどれだけ活き活きとしているか)自分で自覚する仕事のパフォーマンス仕事の満足度が良好な関連が示されました。(※2)。

寝ながら瞑想は“眠り”と“仕事の質”の両方を高める、現代人に最適なメソッドの1つです。本記事では、寝ながら瞑想の効果的な方法や科学的か効果について解説します。

寝ながら瞑想とは?仰向けで行う究極のリラクゼーション法

瞑想には、ぼんやりしていたり何もしていない時に働く脳の「デフォルトモードネットワーク(DMN)」の活動を変化させ、雑念や不安を鎮める効果があるとされています。つまり、横になった姿勢でも脳は瞑想モードに入り、心身をリセットできるのです。

「寝ながら瞑想」とは、仰向けの姿勢で行う瞑想法です。ヨガの最終ポーズとして知られるシャバーサナ(屍のポーズ)をベースに、全身をリラックスさせながら呼吸に意識を向けていく方法です。特に「ヨガニードラ」と呼ばれる実践法は、“眠りのヨガ”とも訳され、心と体を深い休息状態に導くリラクゼーション瞑想として注目されています。別にお寺や自然が豊かな場所に行かなくとも、ご自分のベッドが瞑想する場所になり得るのです。

ヨガニードラ:寝ながらできる、短時間で疲れがとれる瞑想法

ヨガニードラは、実践者の中には「1時間で数時間眠ったようにスッキリする」と感じると言われるほど、短時間でも深い休息感を得やすいことで知られています。 通常の睡眠は「無意識的な休息」ですが、意識を保ったまま体を休める“意識的な休息”によって、脳や体をリセットする感覚を得られるのがヨガニードラの魅力です。

座位瞑想との違い:体の緊張がほぐれやすい寝ながら瞑想のメリット

一般的な瞑想は、背筋を伸ばして座る「座位瞑想」が基本です。しかし、慣れていない人にとっては足がしびれたり、姿勢を保つことに意識が向いたりして、かえって集中できないこともあります。一方で、寝ながら瞑想では全身の力を抜くことが容易なため、無理なく続けやすいと感じる人が多いです。「座るのが苦手」「仕事終わりに疲れている」という人でも、「頑張らずにできる瞑想」として初心者でも手軽に始められます。

 

【実践】寝ながら瞑想の基本的なやり方5ステップ

ここからは、今夜からすぐに実践できる寝ながら瞑想の方法を5ステップで紹介します。

ただし、最初は動画サイトで「ヨガニードラ」、「寝ながら瞑想」などと検索して、その音声ガイドに沿ってやってみましょう。最後にポイントをまとめていますのでご活用ください。

1. 仰向けで楽な姿勢を作る(シャバーサナ)

ベッドや布団の上など心地よく横になれる静かな環境で仰向けになります。両手は体の横に自然に伸ばし、手のひらは上向きに。足は肩幅より少し広く、つま先を軽く外側に開きましょう。枕やクッションで首や腰を支えると、よりリラックスできます。全身の力を抜き、重力に身を委ねるイメージを持つことがポイントです。

2. 自然な呼吸に意識を向ける

深呼吸をしようとせず、「自然な呼吸」に意識を向けます。鼻からゆっくり吸って、鼻から吐く──そのリズムを観察するだけでOKです。呼吸を「整える」のではなく「感じる」。吸う息でお腹が膨らみ、吐く息でお腹がへこむ感覚など、呼吸をすることによって生じる感覚を意識しましょう。この“受け身の呼吸”こそ、瞑想状態への入り口です。

3. ボディスキャン瞑想で全身をリラックス

足先から順番に意識を上へ移動させていきます。「足→ふくらはぎ→太もも→お尻→腰→お腹→胸→背中→腕→肩→首→顔→頭頂」へと、ゆっくり意識を巡らせましょう。各部位で「力が抜けていく」「温かくなっていく」とイメージすることで、筋肉がより深く緩みます。順番は足先からでも頭頂からでもどちらでも大丈夫です。

4. 雑念が浮かんだら呼吸に意識を戻す

途中で「明日の予定」や「今日の出来事」が頭をよぎっても問題ありません。雑念を排除しようとせず、「あ、考えていたな」と気づいたら、再び呼吸へ意識を戻します。この頭の中で「戻す」行為自体が、「脳の筋トレ」とも呼ばれるマインドフルネスの練習にになっています。

5. 5〜10分から始めて徐々に時間を延ばす

最初は5分程度で十分です。慣れてきたら10分、15分と少しずつ延ばしていきましょう。時間を計る際は、スマホではなくタイマー機能付きのアロマライトや小型タイマーを使うのがおすすめ。寝落ちしてもOKなので、無理なく続けられます。

ポイント

  1. 自分にとって実践しやすい時間を決めてその時間に毎回練習する(例:週3回、寝る前に5分)
  2. 自分に合った音声ガイドを見つけて、まずは短い時間でそれで練習してみる。
  3. 慣れてきたら、長い音声ガイドでも長いもので練習したり、こちらの5ステップ(自分の好きな音声あるいは無音で)を時間を決めてやってみる。
  4. 自分のその日の状態に合わせて、2か3で継続し続ける。慣れてきたら、できるだけ無音の5ステップの頻度を増やしていく。

 

寝ながら瞑想がもたらされるとされる5つの科学的効果

寝ながら瞑想(ヨガニードラ)は、リラックス効果や睡眠の質の改善など、心身にさまざまな良い影響をもたらすといわれています。ここでは、現時点の科学的研究で報告されている瞑想の効果をもとに、寝ながら瞑想にも期待できる主な5つのポイントを紹介します。

1. ストレスホルモン(コルチゾール)の低下

瞑想を日々行い続けていると、ストレスホルモンであるコルチゾールが低下する傾向が報告されています(※3)。特にマインドフルネスや呼吸瞑想などの実践では、副交感神経が優位になり、心拍数や血圧が下がるリラクゼーション反応が確認されています。寝ながら瞑想でも、同様に心や体の不安や緊張を和らげる効果が期待できるでしょう。副交感神経が優位になることで、心拍数や血圧が下がり、緊張状態が自然と解けてくるでしょう。

2. 睡眠の質と睡眠休養感の向上

瞑想を習慣的に行う人では、主観的な睡眠の質が高い傾向が複数の研究で示されています(※4)。 寝ながら瞑想は、脳を「入眠前のリラックスモード」に導くため、結果として寝つきや夜間の中途覚醒が減る可能性があります。このような「入眠導入の安定化」は、翌朝の睡眠による休養感を高める一助となるでしょう。

3. 自律神経のバランス調整

現代人はストレスやデジタル刺激で交感神経が優位になりがちです。ヨガニードラのセッションでは心拍変動(HRV)の上昇や副交感神経が優位になるといった生理的変化が観察された研究があります(※5)。反応には個人差はありますが、自律神経のバランスが整うことで、寝つきや朝の目覚めが穏やかになると感じる人も少なくありません。試しにまずは1週間やってみるのはいかがでしょうか?

4. 不安・抑うつ症状の軽減

マインドフルネス瞑想を用いた臨床研究では、不安症状や抑うつ症状の軽減が報告されています(※6)。寝ながら瞑想も、呼吸に意識を向けながら心身を緩める点で共通しており、心の安定やストレス耐性の向上をサポートする可能性があります。特に、不安や緊張を意識しやすい就寝前に取り入れることで、穏やかな心の睡眠環境を整える助けになるでしょう。

5. 集中力と記憶力の向上

複数の研究から、マインドフルネスを含む瞑想トレーニングによって、脳のデフォルトモードネットワーク(DMN)の過剰な活動が抑えられることが報告されています(※7, 8)。

DMN の活動が落ち着くことで、注意の散逸(マインドワンダリング)が減少し、集中力や作業記憶(ワーキングメモリ)をサポートする可能性が示唆されています。寝ながら瞑想そのものを対象とした研究はまだ少ないものの、心を静める習慣として続けることで、認知面の安定や日常のパフォーマンス向上につながることが期待されます

 

寝ながら瞑想を成功させるための環境づくりと注意点

寝ながら瞑想を行うための環境づくり、注意点、より効果を高めるためのポイントを解説します。

理想的な寝室環境:温度・湿度・照明の設定

寝室の温度は20~25℃前後、湿度は50〜60%が理想です。照明は暖色系の間接照明にし、外からの光を遮断しましょう。静かな環境を整えることで、瞑想効果が一段と高まります。

寝る前のデジタルデトックス:ブルーライトを避ける

就寝1〜2時間前にはスマホやPCの画面を見るのをやめましょう。ブルーライトが睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑え、寝つきを悪化させる原因になります。代わりに読書やアロマ、ストレッチなど、心を落ち着かせる習慣を取り入れてください。

そのまま寝てしまってもOK:瞑想中の寝落ちは問題なし

寝ながら瞑想の最大の魅力は、途中で寝てしまっても大丈夫なことです。ただし寝落ちして何時間も眠ってしまう場合、寝ている場所が寝室とは違う場所であれば、逆に睡眠の質を落としてしまいます。寝ながら瞑想は基本的に寝室のベッドや布団で本格的に眠る前に行うようにしましょう。

瞑想を通じてそのまま眠りに落ちることは自然な入眠導入となり、先ほど上げた効果を期待できます。さらに体圧分散や通気性に優れた良質な寝具を使えば、瞑想の効果がさらに高まるかもしれません。良質な寝具を探している方はこちらをご覧ください。

 

まとめ:今夜から始める寝ながら瞑想で、質の高い睡眠を手に入れよう

寝ながら瞑想は、特別な道具も時間も必要ありません。仰向けになって呼吸に意識を向けるだけです。わずか5分の実践で、ストレス軽減・寝つき改善・疲労回復などを感じることができるでしょう。最初は効果を体感しにくくても、継続的に寝ながら瞑想をすることで効果を実感できるはずです。今夜から、ベッドの上で静かに呼吸を感じてみましょう。

その5分が、あなたの眠りと明日のパフォーマンスを変える第一歩になるはずです。

【参考文献】

  1. 厚生労働省 | 令和5年国民健康・栄養調査報告
  2. Shiba K., et al. The Association between Meditation Practice and Job Performance: A Cross-Sectional Study. PLoS ONE. 2015
  3. Brand, S., Holsboer-Trachsler, E., Naranjo, J. R., & Schmidt, S. (2012). Influence of mindfulness practice on cortisol and sleep in Long-Term and Short-Term meditators. Neuropsychobiology, 65(3), 109–118.
  4. Rusch, H. L., Rosario, M., Levison, L. M., Olivera, A., Livingston, W. S., Wu, T., & Gill, J. M. (2018). The effect of mindfulness meditation on sleep quality: a systematic review and meta‐analysis of randomized controlled trials. Annals of the New York Academy of Sciences, 1445(1), 5–16.
  5. Markil, N., Whitehurst, M., Jacobs, P. L., & Zoeller, R. F. (2012). Yoga Nidra Relaxation Increases Heart Rate Variability and is Unaffected by a Prior Bout of Hatha Yoga. The Journal of Alternative and Complementary Medicine, 18(10), 953–958.
  6. Hoge, E. A., Bui, E., Marques, L., Metcalf, C. A., Morris, L. K., Robinaugh, D. J., Worthington, J. J., Pollack, M. H., & Simon, N. M. (2013). Randomized controlled trial of mindfulness meditation for generalized anxiety disorder. The Journal of Clinical Psychiatry, 74(08), 786–792.
  7. Brewer JA, et al. Meditation experience is associated with differences in default mode network activity and connectivity. Proc Natl Acad Sci USA. 2011;108(50):20254–20259.
  8. Marusak HA, et al. Meta-analytic evidence that mindfulness training alters resting-state default mode network connectivity. Neurosci Biobehav Rev. 2022;135:104573.

メタディスクリプション
 寝ながら瞑想(ヨガニードラ)はわずか5分で効果を実感できます。日本人の4人に1人が悩む睡眠不足を解消する具体的な方法を、厚生労働省のデータと最新研究をもとに解説します。今夜から実践できる寝ながら瞑想のやり方を紹介します。