目次
監修者

松岡 雄治
地方国立大学医学部卒業後、横浜市内で初期臨床研修を経て、関東の基幹病院で勤務中。
資格:医師国家試験合格、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級
男性は肩幅や体格の影響で、一般的な枕では支え感が合わないことがあります。「朝起きると首や肩がこっている」「結局何を基準に選べばいいの?」と悩む人も多いでしょう。枕選びは高さや硬さだけでなく、寝姿勢や悩みに合わせて考えることが大切です。
この記事では、男性が枕を選ぶときに見るべき高さ・硬さ・素材・形状の基本と、肩こり・いびき・寝汗といった悩み別の選び方を解説します。自分に合う枕の選び方を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
男性が枕で抱えやすい悩み
ここでは、男性が枕選びで抱えやすい代表的な悩みを3つ紹介します。
国民生活基礎調査によると、男性によくある症状として「腰痛」「肩こり」が挙げられています。とくに肩幅が広く体格が大きい男性は、一般的な枕では高さや支え感が合わないことがあるでしょう。
※出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
1. 体格に高さが合わない
男性の枕選びでは、体格に合った高さかどうかが重要です。肩幅や首の長さ、頭の重さ、そしてマットレスへの沈み込み具合によって、適切な枕の高さは人それぞれ異なります。
たとえば、肩幅が広い人は横向きで寝ると首が沈みやすくなり、高さが十分でないと感じる場合があります。「男性だから高めが良い」と一概に決めてしまうと、仰向けで首が押し上げられ、かえって負担になることもあります。
枕選びの際は、仰向けでも横向きでも首が自然な角度を保てるかどうかを確認することがポイントとなります。
2. 寝汗やニオイがこもる
寝汗や枕のにおいは、男性が枕を選ぶ際につい見落としがちな悩みです。頭部は汗をかきやすく、皮脂やにおいが枕にたまりやすいため、清潔さや寝心地に悪い影響が出やすくなります。
寝汗が気になる場合は、通通気性の良い中材や乾きやすい素材を選ぶことで、蒸れを抑えやすくなります。また、カバーが洗える枕を選べば、においや汚れがたまりにくく、いつも清潔に使いやすくなります。
快眠できることだけでなく、日々の手入れのしやすさも枕選びの大切なポイントになります。
3. 横向き寝やいびきが気になる
横向き寝やいびきの悩みは、枕の高さと密接に関係しています。横向きで眠る場合、肩の高さによって寝具と頭の間にすき間ができやすくなります。そのため、枕が低すぎると首が不自然に傾き、肩や首に負担がかかりやすくなるため注意が必要です。
また、いびきについても寝る姿勢と枕の高さが大きく影響します。たとえば、仰向けの状態で顎が必要以上に引けていたり、首が枕で圧迫されていると、気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。
ただし、いびきが非常に大きかったり、呼吸が止まる場合は、睡眠に関する病気が関係しているケースがあります。その場合は、枕だけで解決しようとせず、医師に相談することをおすすめします。
いびきの原因については、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:【医師監修】いびきの原因は男性特有?日本人男性の57%が抱える睡眠トラブルの真実と改善法
男性に合う枕を選ぶポイント
男性に合う枕を選ぶポイントは、以下のとおりです。
- 高さは仰向けと横向きで確認する
- 硬さは支え感と寝返りのしやすさで選ぶ
- 素材は通気性とメンテナンス性も見る
- 形状は首の支え方と寝姿勢で選ぶ
- 高さ調整できる枕は失敗しにくい
枕選びで迷いやすいのは、はっきりした比較の基準がわかりづらいからです。しかし、自分の体に合った枕を使うことで、首や肩のこりがやわらぎ、睡眠の質が向上する可能性があります。
1. 高さは仰向けと横向きで確認する
枕の高さは、仰向けと横向きの両方で確かめましょう。仰向けでは首が反りすぎず、横向きでは頭から背骨までがまっすぐに近い状態になる高さが目安です。
男性は肩幅がある分、横向き寝で高さが不足しやすい傾向があります。かといって高すぎる枕は、首を過度に曲げる原因になります。「体格が大きいから高め」と決めつけず、さまざまな寝姿勢で無理のない高さを探しましょう。
高い枕のデメリットについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:【医師監修】高い枕は体に合う?高すぎる枕のデメリットと理想の高さの見極め方
2. 硬さは支え感と寝返りのしやすさで選ぶ
男性の場合は、頭や首をしっかり支えながら、寝返りがしやすい程度の硬さがよいでしょう。枕の素材ごとに、次のような特徴があります。
- 低反発素材:体にフィットしやすく、沈み込むように支える
- 高反発素材:反発力が強く、寝返りをサポートする
- パイプ・ビーズ素材:中身の量で硬さを調整できる
素材によって寝心地は異なるため、実際に頭をのせて支え具合を確かめてみることが大切です。
3. 素材は通気性とメンテナンス性も見る
枕の素材は、寝心地だけでなく、通気性や手入れのしやすさもあわせてチェックしましょう。特に頭部は汗をかきやすいため、蒸れにくさや洗いやすさが、快適さに大きく影響します。
また、寝汗やにおいが気になりやすい男性には、通気性の高い中材を使った枕や、カバーが洗える枕が適しています。さらに、へたりにくい素材かどうかも確認すると、しっかりとした支えが長持ちしやすくなるでしょう。
清潔に長く使えるかという観点で枕を選ぶと、購入後の満足度にもつながります。
4. 形状は首の支え方と寝姿勢で選ぶ
枕の形状は、首をどのように支えたいかや普段の寝姿勢に合わせて選びましょう。悩みや寝姿勢に合わせて、次のような形が選べます。
- 首のカーブをしっかり支えたい方:中央にくぼみのある形状
- 横向きで寝ることが多く、肩が圧迫されやすい方:両サイドが高めの形状
- 寝返りをよく打つ方:頭を動かしても支えが続く形状
自分の寝姿勢を想像しながら、合いそうな形を選ぶとよいでしょう。
5. 高さ調整できる枕は失敗しにくい
自分に合った枕の高さがわからない場合は、高さを調整できる枕がおすすめです。中材を抜き差しできるタイプや、複数のシートで厚みを変えられるタイプであれば、購入後でも好みに合わせて微調整できます。
また、仰向けと横向きでちょうどよい高さが異なる場合や、マットレスの沈み具合に合わせて調節したい場合にも、調整できる枕は便利です。最初から理想的な高さの枕に出会えるとは限らないため、あとから高さを変えられる枕を選ぶことで、買い直しの手間や負担を減らせます。
悩み別に見る男性向け枕の選び方
ここでは、代表的な悩みごとに、どのような枕が合いやすいかを解説します。たとえば、肩こり、いびき、横向き寝、寝汗といった悩みごとに重視すべきポイントは異なります。
枕選びの目的は、自分の悩みをやわらげてくれる枕を見つけることです。自分の症状や悩みに合わせて選ぶ際の参考にしてください。
1. 肩こりが気になる
肩こりが気になる男性には、首のすき間をしっかり支え、頭が沈み込みすぎない枕が適しています。合わない高さの枕を使うと、首や肩の筋肉が緊張しやすくなります。
日本整形外科学会によると、肩こりの主な原因には猫背や前かがみの姿勢、運動不足、精神的ストレス、長時間の同じ姿勢などが挙げられています。肩こりには複数の要因が関係しているため、枕を変えただけで必ず症状が改善するとは限りません。
とはいえ、寝ているときの姿勢を支えてくれる枕を選ぶことは、首や肩への負担を減らす方法の一つです。枕は硬さ・高さ・形状を総合的に見て、自分に合うものを選ぶとよいでしょう。実際に、脊椎のアライメントに配慮した寝具の選択は肩こり改善の可能性があると報告されています。
「枕が合わなくて肩がこる」と相談される男性の多くが、日中は長時間のデスクワークやスマホ操作でストレートネックになっています。睡眠中の姿勢を整えることは非常に重要ですが、それと同時に日中の姿勢改善や、肩甲骨まわりの軽いストレッチを取り入れると、肩こりの解消効果がさらに高まります。
※出典:日本整形外科学会「肩こり」
※出典:睡眠と環境「頸椎胸椎アライメントを考慮した枕の首肩への負担と睡眠への影響」
2. いびきが気になる
いびきが気になる人は、仰向けで寝たときに気道が狭くならない高さの枕を選ぶことが大切です。顎が必要以上に引けてしまったり、首が圧迫されたりすると、気道が狭くなります。
また、横向きで寝る姿勢をサポートする枕も選択肢のひとつです。横向きは仰向けよりも気道が確保しやすいと考えられています。
ただし、いびきが特に強い場合や、眠っている間に呼吸が止まっていると家族などに指摘された場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性もあります。速やかに医師へ相談することをおすすめします。
いびきは「睡眠の質が著しく低下しているサイン」かもしれません。枕が高すぎると気道が圧迫されていびきが悪化するため、高さを調整するか、横向き寝用の枕を試してみるのも良いでしょう。ただし、日中の強い眠気や、家族から「息が止まっていた」と指摘されたことがある場合は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるため、早めに睡眠外来を受診してください。
3. 横向き寝が多い
横向きで寝ることが多い男性には、肩幅に合わせた高さの枕がおすすめです。横向きでは、頭から背骨までが水平に近くなる高さが目安です。
枕が低いと首が下に傾き、高すぎると首が押し上げられます。肩がつぶれていないか、首がまっすぐに保てているかを確かめましょう。
横向き専用の枕や、サイドが高めの形状も選択肢になります。仰向けと横向きの両方で使うなら、姿勢を変えても支えが保てるかも見ておくと安心です。
4. 寝汗やにおいが気になる
寝汗やにおいが気になる男性には、通気性が良く、お手入れがしやすい枕がおすすめです。頭から出る汗や皮脂は枕にたまりやすく、それが蒸れやにおいの原因になります。
中材に通気性の良い素材を使っているものや、抗菌や消臭の機能がついた枕を選ぶと、においの発生を抑えやすくなります。加えて、カバーを簡単にはずして洗える枕や、乾きやすい素材のものを選べば、清潔な状態を保ちやすいでしょう。
寝具は毎日使うものです。快適さと手入れのしやすさの両方を考えて選ぶことで、長く心地よく使い続けることができます。
枕の素材別メリットと向いている人
枕の素材は、寝心地やお手入れのしやすさに関わります。低反発、高反発、パイプ、ビーズなど種類ごとに特徴が異なるため、自分好みの素材を押さえておくと、枕選びで迷いにくくなります。
ここでは、代表的な素材の特徴と、どのような男性に向いているかを解説します。
1. 低反発枕はフィット感を重視する人向け
低反発枕は、包み込まれるようなフィット感を求める人におすすめです。頭や首の形に沿ってゆっくり沈み込み、すき間をやさしく支えてくれれます。
低反発枕は、首のカーブにしっかりフィットし、頭が安定しやすいのが特徴です。ただし、沈み込みが深い場合は寝返りがしづらく感じることもあります。
とくに体格の大きい男性は、頭が沈み込みすぎないかどうか、高さや元に戻る力もあわせてチェックしておきましょう。
2. 高反発枕は寝返りと支え感を重視する人向け
高反発枕は、しっかりとした支えが欲しい人や、寝返りを打ちやすい枕を探している人に適しています。これは、枕に反発力があることで頭をしっかりと支え、押し戻す力が働くため、寝返りがしやすくなるからです。
高反発枕は、頭が沈み込みすぎる枕が苦手な人や、寝返りを頻繁にする人に向いています。ただし、硬さが体に合わないと圧迫感につながることもあります。
首のすき間をきちんと支えられているかを確かめながら、自分に合う硬さを選びましょう。
3. パイプやビーズは通気性や調整性を重視する人向け
パイプやビーズ素材は、通気性と高さ調整のしやすさを重視する人に向いています。中材に空気が通りやすく、量を増減して厚みを変えられる商品も多です。
とくに、寝汗が気になる男性や、購入後に高さを細かく合わせたい人におすすめです。しかし、パイプ素材は、頭を動かしたときに音が気になることや、少し硬めに感じることもあります。
通気性や調整のしやすさを重視しながらも、ご自身の寝心地の好みに合っているかを確かめて選びましょう。
枕の種類と特徴については、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:枕の種類を徹底比較!素材・サイズ・高さで失敗しない選び方と快眠への近道
枕を比較するときに見るべき項目
自分に合った枕を選ぶためには、いくつかの観点で比較・検討することが重要です。ここでは、枕を選ぶ際に必ず確認すべき主な項目を解説します。
1. 比較表には高さと対応する寝姿勢を入れる
枕を比べるときは、高さと対応する寝姿勢を比較項目に入れましょう。たとえば、次のような項目を並べると違いがわかりやすくなります。
- 高さ
- 硬さ
- 素材
- 洗濯できるかどうか
- どんな悩みに向いているか
また、仰向け用か横向き用か、高さ調整が可能かどうかも加えると、自分の寝姿勢に合わせて選びやすくなります。
2. 口コミは悩みとの一致度を見る
口コミは評価点の高さよりも、自分と悩みが似ている人の声を参考にしましょう。体格や寝姿勢が違えば、同じ枕でも感じ方が変わります。
肩こり、いびき、寝汗、硬さ、高さに関するレビューを中心に読み、自分に近い状況の人がどう感じたかを確かめましょう。また、合わなかった理由が書かれた口コミも、判断材料になります。
3. 返品の可否や高さ調整のしやすさも確認する
枕を購入する際には、返品条件や高さを調整できるかどうかを事前に確認しておきましょう。枕は実際に使用してみないと、自分に合うかどうか判断しにくいものです。
たとえば、高さを調整できるタイプの枕であれば、もし購入後に合わなかった場合でも、自分で微調整しやすくなります。また、男性の場合は体格差が大きく、さらにマットレスとの相性によっても寝心地が変わるため、あとから合わせられる余地がある枕を選ぶと安心です。
購入前に高さ調整のしやすさや返品の可否を確認しておくことで、万が一枕が合わなかったときでも安心です。
枕と一緒に見直したい睡眠環境
枕を替えても、マットレスや寝室の環境が合っていなければ、睡眠の満足度はなかなか上がりません。睡眠の質を高めるためには、睡眠時間だけでなく寝室の環境や生活習慣を見直すことが大切です。
ここでは枕に加えて見直したい睡眠環境について解説します。
1. マットレスの沈み込みで枕の高さは変わる
枕の最適な高さは、使用するマットレスの硬さによって変わります。マットレスの硬さは体の沈み込み具合に影響を与えます。
たとえば、柔らかいマットレスの場合、体が深く沈み込むため、同じ高さの枕でも高く感じやすくなります。一方で、硬いマットレスの場合は体の沈み込みが少なくなるため、枕が低く感じられることもあります。
枕を選ぶときは、枕だけを見るのではなく、使っているマットレスとの組み合わせで寝姿勢を確認しましょう。
自分に合うマットレスの選び方については、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:マットレスの種類や選び方のポイントを徹底解説!自分に合うマットレスはどれか探してみよう
枕とマットレスは切り離して考えることはできません。マットレスの沈み込みの程度と枕の硬さの組み合わせが重要です。厚生労働省によると「自然な立ち姿勢」を実現させることが睡眠に重要とのことです。
※出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠のためのテクニック―よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」
2. 睡眠休養感を高める寝室環境も整える
枕選びだけでなく、寝室の温度や湿度、光、音を調整することも、睡眠の満足度に関わります。厚生労働省は、睡眠時間の長さだけでなく、朝起きたときに「よく休めた」と感じる睡眠休養感を高めることを推奨しています。
寝汗や蒸れが気になる男性は、寝室の温度や湿度を季節に合わせて調整すると、寝苦しさを和らげることができます。さらに、強い光や生活音を減らすと、眠りを妨げにくくなります。
枕を見直す際には、寝室の環境もあわせて整えると、朝の休養感をより感じやすくなります。
※出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠のためのテクニック―よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」
まとめ:男性におすすめの枕は体格・寝姿勢・悩みに合わせて選ぼう
男性に合う枕は、「高め」や「硬め」といった一つの基準だけで選ぶのではなく、体格や肩幅、寝る姿勢などに合わせて選ぶことが大切です。まずは、枕の高さや硬さ、素材、形状といったポイントから、自分の寝姿勢にぴったり合う枕を見つけましょう。
さらに、悩みごとにおすすめの枕は変わります。
- 肩こりが気になるなら、首のすき間を支える枕
- いびきや横向き寝が気になるなら、高さと寝姿勢に配慮した枕
- 寝汗が気になるなら、通気性と手入れのしやすさを重視した枕
なお、高すぎる枕は首に負担がかかることがあるため、仰向け寝と横向き寝の両方で無理のない高さを選ぶことが大切です。
また、枕だけでなく、マットレスや寝室の環境も一緒に見直すことで、睡眠の満足度をより高めることができます。まずは枕選びから始めて、少しずつマットレスや寝室の環境にも気を配っていくと、睡眠の満足度がより向上していくでしょう。











