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監修者

田中 貫平
医師・メンター・タッチベースドマインドフルネス/shinsetsu-tion考案者・Gallup認定ストレングスコーチ・インド中央政府公認ヨガインストラクター
2013年英国シェフィールド大学医学部卒。
手稲渓仁会病院にて初期研修後、2020年九州大学病院心療内科に入局。国際医療福祉大学成田病院では緩和ケアチームにも所属。2024年からはフリーランスの医師として活動している。一般の方から学生、経営者、スポーツ選手など幅広い層のクライアントに対して傾聴およびマインドフルネスの実践指導や心理療法を提供、あらゆる病気や未病(不眠症も含む)の治療や予防改善に取り組んでいる。
「長く寝ているのに疲れが取れない…」「休日に寝だめしたのに、かえって体がだるい…」という経験はありませんか?
睡眠時間が10時間を超えると死亡リスクが最大1.8倍になるという驚きの研究データがあることをご存知でしょうか。これは睡眠時間と死亡リスクの関連調査で、日本人約10万人を対象に行われました。*1
私たちは睡眠不足が不健康を招くことはよく知っていますが、それだけではなく逆に長くても死亡リスクと関連するのです。
この記事では適切な睡眠時間による健康メリットを詳しく解説します。この記事を読むと、適切な睡眠時間をとることのメリット、睡眠不足や長時間睡眠によるリスク、睡眠の質を高める具体的な方法がわかります。ぜひ最後まで、お付き合いください。
適切な睡眠の5つのメリット【7~9時間睡眠で得られる効果】
私たち日本人は、世界的に睡眠不足な国民として有名です。2023年の 厚生労働省の国民健康・栄養調査で、十分な睡眠がとれていると回答した人は74.9%、4人に1人は慢性的な睡眠不足ということを明らかにしています。そして30〜50代男性、40〜60代女性では4割以上が6時間未満の睡眠しか取れていないという憂慮する結果でした。*2
適切な睡眠量は個人差はありますが、ここでは7〜9時間を適切な睡眠として、そこから得られる5つのメリットをご紹介します。*3, 4
成長ホルモンの分泌促進で疲労回復
成長ホルモンは、睡眠中の深睡眠で分泌されます。寝る子は育つと言いますが、私たち成人にとっても、成長ホルモンは大切です。傷ついた細胞の修復や筋肉の回復、代謝調節など重要な役割を果たしています。成長ホルモンは、入眠から1〜3時間の間に最も多く分泌されるため、入眠時に深く眠ることが大切です。また、睡眠不足では成長ホルモンの分泌が減少したという報告もあります。*5, 6
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、少なくとも6時間以上の睡眠をとることを促しています。毎日の生活において、できるだけ適切な睡眠時間を確保することが重要です。
ストレス緩和と精神的健康の維持
私たちの脳は、睡眠中に記憶の整理や心身の回復をしていると考えられています。では、もし睡眠不足が続くとどうなるのでしょうか。
国立精神・神経医療研究センターによると、たった5日間の睡眠不足が続くだけで、不安や抑うつ傾向が強まることが確認されました。また長期間にわたる睡眠不足は、うつ病や不安障害の発症リスクを高める危険性も指摘されています。*7
ストレスホルモンであるコルチゾールは、脳を覚醒させ睡眠を妨げます。反対に睡眠を促進するホルモンであるメラトニンは、ストレスが高まると分泌を妨げられやすいです。*8
充分な睡眠時間を確保することが、ストレス緩和と精神的健康を保つ秘訣といえるでしょう。
免疫力向上で病気に強い体づくり
睡眠には疲労回復だけでなく、免疫機能を維持する役割もあります。細菌やウイルスの侵入を防ぐ免疫物質はIgA(免疫グロブリンA)といわれ、主に唾液や粘膜に存在しさまざまな病原体から私たちの体を守っています。
日本の大学生およそ200人を対象にした研究では、睡眠時間が5時間以下、あるいは9時間を超えたグループでは唾液中のIgAの分泌量が下がったのに対して、6〜8時間睡眠のグループが最もIgA分泌が多かったことが報告されています。*9
別のアメリカの研究では、睡眠時間が7時間以下のグループは睡眠時間が7時間より多いグループと比べて風邪の発症リスクが上がったことが確認されました。*10
この研究では、睡眠時間が5時間未満のグループは睡眠時間が7時間より多いグループと比べて発症リスクが約3倍という結果も出ています。
適切な睡眠時間を取ることは、風邪をひかないための1つの秘訣かもしれません。
記憶力・集中力の向上で仕事効率アップ
新しく得た知識や経験は睡眠中に整理されて脳に保存されるため、睡眠は記憶の定着にも重要です。また認知機能にも影響を与えることが分かっており、睡眠不足になると認知機能を下げてしまいます。 驚くべきことに、6時間睡眠を2週間続けると、丸2日徹夜したときと同じくらい認知機能が低下することがわかっているのです。*11
特に日中の仕事や勉強のパフォーマンスを向上させるためにも7〜9時間の睡眠時間を確保したいですね。
生活習慣病の予防効果
睡眠時間は生活習慣病とも深く関わっています。 睡眠が足りないと、ホルモンバランスが崩れやすくなります。
例えば、睡眠不足の時に我慢できない食欲を感じたことはありませんか? これは食欲を抑えるホルモンである「レプチン」が減り、食欲を増やすホルモンの「グレリン」が増えたことによるものかもしれません。実際、睡眠不足は高血圧や糖尿病などの生活習慣病リスクを高めることが統計的な研究でも示唆されています。*12,13
さらに睡眠不足は心筋梗塞や脳卒中などの深刻な病気のリスクを高めることも分かっています。*14
体の健康を守るためにも、睡眠時間を7〜9時間とることが大切といえるでしょう。
寝すぎは逆効果?10時間以上睡眠の3つのリスク
睡眠不足同様に、寝すぎることにもデメリットがあります。10時間以上の睡眠がもたらすリスクについて解説します。
死亡リスクが最大1.8倍に増加
日本人を対象に、およそ10万人という国内最大規模の調査において睡眠時間と死亡リスクの関連調査を行ったところ、7時間睡眠を基準とした場合、10時間以上睡眠で男女共に全死亡リスクが高くなることがわかりました(男性 1.83倍 女性 1.72倍)。男性の場合、10時間以上睡眠のグループは循環器疾患による死亡リスクが3.6倍まで上がるというデータもでています。*1
認知機能の低下と認知症リスク
高齢になるにつれて私たちは自然と睡眠時間が短くなっていきます。
2024年の最近のデータとして研究を統合解析した10万規模のメタアナリシスでは、長時間睡眠は認知機能の低下のリスクが1.35倍高くなるという結果が出ました。*14
2019年のメタアナリシスによれば、長時間睡眠は認知症のリスクが約1.8倍になると報告されています。*15
もともと適切な睡眠時間から1〜2時間ほどの睡眠時間の減少であれば、無理に前と同じ睡眠時間を維持しようとこだわる必要はありません。
メタボリックシンドロームのリスク
長時間睡眠は、メタボリックシンドローム(MetS)と関連するとも言われています。韓国での13万人を対象にした大規模研究では、 睡眠時間が10時間以上の人はメタボリックシンドローム(MetS)のリスクが男女ともに高くなることが分かっています。*16
女性においては、MetS以外に腹囲の増加やLDL-C(悪玉コレステロール)、空腹時血糖の上昇とも関連していました。
このようにたくさん寝ていれば安心というわけではありません。適切な睡眠時間を維持することが生活習慣病の予防につながります。
睡眠時間の変動も危険!安定した睡眠習慣の重要性

「 平日の睡眠不足を週末ゆっくり寝て取り戻している」という読者の皆様もおられるかもしれません。しかし、睡眠時間が不規則な生活習慣にも注意が必要です。
寝だめの効果は、休日の1時間程度であれば寿命短縮リスクを低下させることが示されていますが、平日6時間以上寝ている人に限ります。平日6時間未満の人は、休日の寝だめをするとかえって寿命短縮リスクが高まることが分かっているのです。*17
また、およそ4万7000人を対象にしたアメリカの研究では、睡眠時間を研究開始と5年後で自己申告してもらったところ、睡眠時間の大きな変動は死亡リスクが最大で29%も高まることが示されました。*18
| 睡眠パターン | 死亡リスク増加率 |
|---|---|
| 短時間→長時間 | 29% |
| 長時間→長時間 | 27% |
| 長時間→短時間 | 19% |
| 健康的→健康的(7~9時間維持) | 基準(リスク低) |
睡眠時間は、多すぎても少なすぎても、不規則でも健康リスクが高まります。健康を考えるなら、成人の間は7〜9時間睡眠を安定的に保つよう意識する必要があるのです。
睡眠の質を高める5つの方法

健康のためには、睡眠時間と同じくらい睡眠の質も大切です。 睡眠の質に大きく関係する情報をお伝えします。 睡眠の質を上げる寝具、運動、生活習慣について、研究データ等を用いて詳しく解説します。
適切な寝具で深い睡眠を実現
寝具は睡眠の質を高める重要な要素の一つです。深い睡眠の質に影響が大きいのがマットレスの高い通気性と反発特性です。 高い通気性と高反発のマットレスは、入眠後の深部体温がスムーズに下がり、睡眠初期の深睡眠を増やすという研究データも存在します。*19
高反発や等反発のようなマットレスは寝返りもしやすく、睡眠の質を上げてくれる可能性があります。*20, 21
朝日を浴びて体内時計をリセット
朝起きたらカーテンを開けて明るい光を浴び、体内時計をリセットしましょう。*4
そして日中にしっかりと日光を浴びることを心がけると、睡眠を促すホルモンであるメラトニンがしっかりと夕方以降に分泌されます。規則正しい起床時間と朝日を浴びる習慣で、質の高い睡眠が期待できます。
適度な運動で睡眠欲求を高める
睡眠の質を上げるには、日中の運動習慣も見逃せません。*4
息が弾み汗をかく程度の中強度の運動が、心地よい睡眠のために適切とされています。ただし、運動のタイミングには注意が必要です。夜間の激しい運動は脳を興奮させ、かえって寝つきを悪くしてしまうため、適度な運動を夕方までに済ませるのがよいでしょう。就寝前はストレッチなど、リラックスできるような運動がおすすめです。
スマホは就寝1時間前まで
スマートフォンやタブレットなどデジタル機器から発せられるブルーライトは、朝日と同じように眠気を覚ます効果があります。 質の高い睡眠のためには、できれば就寝2~3時間前、遅くとも1時間前にはデジタル機器から離れるよう心がけましょう。*22, 23
間接照明の中で、スマホを触らないと決めて過ごすのも気持ちが良いものです。音楽鑑賞、読書、カフェインレス飲料のティータイムなどリラックスできるナイトルーティンを取り入れてみてはいかがでしょうか。
入浴は就寝1~2時間前がベスト
入浴も睡眠に大きな影響があります。 38〜40度のぬるめ温度で、15〜20分程度お湯につかる全身浴がおすすめです。 ぬるめのお湯と全身浴の水圧が副交感神経を促進し、リラックスさせてくれます。 就寝の1〜2時間前に入浴すれば、就寝時に深部体温が下がり自然に入眠できるでしょう。*4
熱すぎるお湯や長すぎる入浴は、交感神経を刺激し睡眠を妨げます。お風呂の温度や時間を適切にするよう心がけてください。
7~9時間の安定した睡眠と質の高い睡眠環境で健康的な毎日を
この記事では、適切な睡眠時間をとることのメリット、睡眠不足や長時間睡眠のリスク、睡眠の質を高める方法を解説してきました。大切なことは安定して7〜9時間の睡眠を確保しつつ、先ほど紹介した5つの方法を通じて睡眠の質を上げていくことです。短すぎたり長すぎる睡眠時間や不規則な睡眠習慣は健康リスクを高める可能性があるため、一度ご自身の睡眠習慣を見直してみましょう。
睡眠の質を上げる方法の1つに適切な寝具選びもありましたね。 起床時のだるさや腰痛などの痛みがある場合、もしかするとマットレスがあっていないのかもしれません。
睡眠の質を上げるマットレスの条件は以下の3つです。
- 体圧分散しやすい
- 通気性が良い
- 適度な弾力性がある
コアラマットレスの120日間トライアル
高品質のマットレスメーカー「コアラマットレス」の商品は、120日間トライアル補償付きです。 自分に合うかどうか、長期間試すことができるのはとても安心ですよね。 コアラマットレスは、通気性と体圧分散機能に優れているうえに、120日トライアルや10年補償、普通と固め2つの寝心地を叶える等、ユーザー視点のサービスと品質の高さで人気が高いです。まずは120日トライアルを利用して、コアラマットレスを試してみてはいかがでしょうか。
参考
- 睡眠時間と死亡リスクとの関連について|国立がん研究センター
- 生活習慣病の調査・統計 | 日本生活習慣病予防協会
- How Much Sleep Do We Need? | Sleep Foundation
- 健康づくりのための睡眠ガイド2023
- Van Cauter, E., & Copinschi, G. (2000). Interrelationships between growthhormone and sleep. Growth Hormone & IGF Research, 10, S57–S62.
- Spiegel, K., Leproult, R., & Van Cauter, E. (1999). Impact of sleep debt on metabolic and endocrine function. The Lancet, 354(9188), 1435–1439.
- 睡眠不足で不安・抑うつが強まる神経基盤を解明 | 国立精神・神経医療研究センター
- Melatonin ameliorates chronic mild stress induced behavioral dysfunctions in mice
- Okamura, H., et al. (2010). Sleeping Time Relates to Perceived Health and Psychoneuroimmunological Responses. Japanese Journal of Behavioral Medicine, 15, 33–40.
- Prather, A. A., Janicki-Deverts, D., Hall, M. H., & Cohen, S. (2015). Behaviorally assessed sleep and susceptibility to the common cold. SLEEP, 38(9), 1353–1359.
- Van Dongen, H. P., Maislin, G., Mullington, J. M., & Dinges, D. F. (2003). The cumulative cost of additional wakefulness: Dose-Response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation. SLEEP, 26(2), 117–126.
- Association between sleep duration and hypertension incidence: Systematic review and meta-analysis of cohort studies
- Habitual Short Sleep Duration, Diet, and Development of Type 2 Diabetes in Adults
- Prolonged sleep duration as a predictor of cognitive decline: A meta-analysis encompassing 49 cohort studies
- Sleep Duration and the Risk of Dementia: A Systematic Review and Meta-analysis of Prospective Cohort Studies
- 韓国人成人におけるメタボリックシンドロームに関連した週末キャッチアップ睡眠および週日睡眠時間の評価 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター
- A prospective study of the association of weekend catch-up sleep and sleep duration with mortality in middle-aged adults
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