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監修者

川上 洋平
神戸大学医学部卒業。米国ピッツバーグ大学に留学し、膝関節外科
「最近、首や肩の痛みがひどくなってきた」「朝起きると頭痛がする」「デスクワークの後は首が重くて仕方ない」このような症状でお悩みではありませんか?実は、これらの症状の多くは「ストレートネック」が原因かもしれません。
令和4年の厚生労働省・国民生活基礎調査では、男女ともに病気や怪我等で自覚症状のある有訴者で第1位は腰痛、第2位は肩こりとなっています。肩こり症状は男性で1000人中57.2人、女性で1000人中113.8人が訴えています。これを人口比で計算すると、国民の約1700万人が肩こりを訴えていることになります。
ストレートネックとは、本来、首の骨(頚椎)は緩やかなカーブを描いているのですが、長時間のスマホ使用やデスクワークなどの不良姿勢によってこのカーブが失われてまっすぐになってしまう状態を指します。頭の重さは約6キロあり、正常なカーブがなくなると、この重さが直接首や肩にかかり、慢性的な痛みや不調を引き起こすのです。
さらに、ストレートネックは見た目の問題だけでなく、胸郭出口症候群などの疾患が隠れていたり、首の負担が長時間にわたると自律神経の乱れや睡眠の質の低下、集中力の低下など、生活全般に影響を及ぼす可能性があります。しかし、適切な対処法を知れば、これらの症状は十分改善できる可能性があります。
本記事では、ストレートネックを改善するための実践的な方法を医学的根拠に基づいて詳しく解説します。まず、簡単なセルフチェック方法で、あなたがストレートネックかどうかを確認、その後、1日わずか5分から始められる効果的なストレッチや体操をイラスト付きでわかりやすくご紹介します。
さらに、パソコン作業時の正しい姿勢、スマホを見る際の注意点、デスク環境の整え方など、日常生活での予防法も詳しく解説しました。また、ストレートネック改善に重要な睡眠環境についても触れ、適切な枕の高さや選び方、寝姿勢のポイントなど、質の高い睡眠を取るための具体的なアドバイスも提供しますので、ストレートネック改善のお役に立てれば幸いです。
ストレートネックとは?症状と原因をセルフチェック

ストレートネックとは、前屈みや下を向くなど継続的な不良姿勢により、本来S字カーブを描いている頸椎がまっすぐになり、首の筋肉に痛みやこりが現れ体中に不調がでた状態です。人間の頭の重さは約5-6kgほどあります。下を向く角度によって筋肉への負担は大きくなり、約30度傾けると約3倍(負荷は18kg)、約45度傾けると約4倍(負荷は22kg)になると言われています。※2
これだけの負担が1日中首の筋肉にのしかかるわけですから、首や肩の痛み、頭痛、めまいが起こりやすく、悪化すると手の痺れなどの症状も起こる可能性があるのです。ストレートネックの定義や症状、原因に加えてご自身の状態を把握できるようセルフチェック方法まで詳しく解説します。
ストレートネックの定義と仕組み
通常、人の首の骨(頸椎)は前方にゆるやかなカーブ(前弯)を描いています。しかし、長時間にわたるスマホやパソコン操作などにより、頭が前に突き出た姿勢が続くことでこのカーブが失われ、首が真っ直ぐになる状態が「ストレートネック」です。この状態になると、頭の重さ(約5-6kg)が直に首の筋肉や骨にかかり、肩こりや頭痛、手のしびれなどの不調を引き起こします。

ストレートネックの主な症状と身体への影響
ストレートネックでは、初期の段階では自覚症状はほとんどありません。しかし、首への負担が超時間に渡り症状が進むと
- 慢性的な首の痛みや肩こり
- 頭痛やめまい
- 手や腕のしびれ
- 寝つきが悪くなるなどの睡眠障害
- 自律神経の乱れによる倦怠感や不眠
など様々な症状が現れやすいです。ストレートネックを頸椎症や頸椎ヘルニアの初期段階のようなものとして捉える専門家も中にはいます。
30秒でできる!ストレートネックのセルフチェック方法
では、ストレートネックのセルフチェック方法をお伝えしましょう。ご自宅の壁さえあれば、簡単にストレートネックかどうかをセルフチェックできます。
壁立ち検査の方法
- 壁に背をつけて立ち、かかと・お尻・背中を壁にしっかりとつける。
- 顔をまっすぐ正面に向けた状態で、後頭部が自然に壁に触れているか確認。
後頭部が壁につかない、もしくはつけるのがつらい場合はストレートネックの可能性が高いです。このチェックで違和感を感じた方は、次に紹介するストレッチを日常的に取り入れてみましょう。※3
ストレートネックになる3大原因
ストレートネックになる3つの原因について解説します。
・スマホやパソコンの長時間使用
目線より下にある画面を長時間見続けることで、頭が前に出る姿勢に。これが首への負担を大きくします。画面は目の高さになるように気をつけましょう。
・不適切な枕の使用
高すぎる枕を使って寝ている間も首が不自然な角度になり、慢性的なストレートネックに。適切な高さ、柔らかさの枕を使用しましょう。
・運動不足
首や背中の筋肉が硬くなり、姿勢を保つ筋力も低下。正しい姿勢を維持できず、猫背やストレートネックを助長します。 ウォーキングやヨガ、ストレッチなど軽い運動を取り入れましょう。
この他にも読書などの日頃の生活習慣や猫背、反り腰などの姿勢も影響していることが考えられます。※4
特にデスクワークをしている方は猫背になりやすいので注意しましょう。猫背の予防にプランクの体幹トレーニングを取り入れると効果的です。
今すぐできる!ストレートネック改善ストレッチ5選
続いて、ストレートネックを自宅やオフィスで簡単に改善できるストレッチや体操を5つ紹介します。いずれも1日数分でできますので、隙間時間などを活用して習慣づけてみてください。
首の後ろ側ストレッチ(1日3回)
(イラスト素材)
方法:
- 首を前に倒した後、顔を左に向ける(真横ではなく斜め前)
- 左手を頭の右側に当てる。ゆっくり左手で首を左斜め前に押す
- 息を吐きながら首の後ろが心地よく伸びるところで10〜15秒キープ。
- これを1日3セット。
ポイント: 肩の力を抜いてリラックスすること。呼吸を止めないよう注意。
胸筋を開くストレッチ(朝晩2回)
猫背改善にも役立つストレッチです。デスクワークやスマホ操作で縮こまった胸筋をほぐすことで、自然と姿勢も整います。
タオルを使った方法
- タオルを体の前で両手で肩幅より広めに持つ。
- 息を吸いながら、両手を頭上に上げる。
- 息を吐きながら後方に回し、肩甲骨を寄せる。
- 朝晩2回、10往復を目安に。
背筋を伸ばしながらやりましょう

※ヨガジャーナル【ガチガチの大胸筋&前鋸筋をストレッチ】「胸板が厚くなる・バストアップ」を叶える即効メソッドより画像引用
立って行う方法
- 足を肩幅に開いて立ち、両手をお尻の後ろで組む。
- 頭を上に向け、両腕を体から離し、腕全体を斜め下の方向に引き下げます
- 左右の胸と胸椎を伸ばし20秒キープ
- 伸ばしている間はゆっくり息を吐く
※フリー素材
アゴ引き体操(仕事中でもOK)
このアゴ引き体操は、首のバランスを整え、ストレートネックの改善に効果的です。デスクワークなど仕事中にも簡単に姿勢改善に取り組めます。
- 背筋を伸ばし、アゴを少し引いて首をまっすぐにする。
- 首をゆっくり左右に傾ける
頭の重さを利用してゆっくり傾け、ゆっくり戻す
目線は正面でアゴを引きながら行う - 左右へ首を回す
フリー素材
日常生活でできるストレートネック予防法
日々の姿勢や環境を少し工夫するだけで、ストレートネックは予防できます。今あるストレートネックの改善に取り組むだけでなく、今後のストレートネックを予防することを考えることが大切です。日常生活における姿勢改善や生活習慣の見直し、環境設定などからストレートネックの予防に努めましょう。
正しいスマホ・パソコンの使い方
・スマホはできるだけ目線の高さに
・パソコンのモニターは目線と同じかやや下に設置
・画面とは40cm以上ほどあける
・30分ごとに1〜2分の休憩をとる(ストレッチを入れるといいかも!)
・椅子に深く座り、背筋を伸ばす

デスク環境の整え方 ※5
デスク環境の注意点です。姿勢が整うようなモニターの高さ、机の高さ、座面の高さを調整しましょう。
・モニターの上端が目の高さにくるよう調整
・キーボードとマウスの位置を自然な腕の位置に配置(動かせるものが理想)
・椅子は座面の高さや背もたれが調整できる
・机や作業台は、危機と書類を置ける広さ
・机の高さは作業者に合ったもの(自然と背筋が伸びる程度)
・机のしたは脚が動かせるような広さ

睡眠環境の改善で首をケア
ストレートネックの予防には、適切な枕で眠ることが大切です。硬い枕だと高すぎて頭が前に出ている状態のまま数時間過ごすことになり、柔らかすぎる枕だと適切な寝姿勢を維持できなくなる可能性があります。自分にあった枕を選ぶことが首のケアにつながります。
・枕の高さは、仰向け時に首と床の隙間を埋める程度
・柔らかすぎないマットレスを選ぶ
・仰向け寝または横向きで、首が真っ直ぐになるように意識

ストレートネック改善にかかる期間と注意点

ストレートネックの改善方法を取り入れた場合、どのくらいの期間で治るのでしょうか。重症度や改善方法によって様々ですが、おおよそ3ヶ月から半年ぐらいはかかります。ストレートネックの改善期間や注意点に加え、医療機関を受診するタイミングについて解説します。
改善までの目安期間
ストレートネックの改善期間は、症状レベルや治療内容、治療頻度等により個人差がありますが少なくとも数週間、場合によっては3ヶ月以上かかることがあります。※6・※7・※8
このため、継続的なストレッチや生活習慣の改善が重要です。
症状レベル別の改善目安
- 軽度:3ヶ月以内
- 中度:3〜6ヶ月
- 重度:6ヶ月以上、医療機関のサポートが必要
こんな症状は要注意!医療機関への相談タイミング
以下のような症状が出た場合は、ストレートネックとは異なる疾患の症状と考えられるため要注意です。速やかに整形外科や神経内科、脳神経外科などの医療機関を受診しましょう。
- 手のしびれが強い、左右で感覚が違う
- 激しい頭痛が続く
- 首を動かすたびにめまいや吐き気がある
ストレートネック改善は継続が鍵!今日から始めよう
ストレートネックは、気付かぬうちに頭痛や肩こりなどの症状が出始めます。日々の姿勢や生活習慣を見直し、ストレッチ等の対応をすることで改善が可能です。まずは簡単なセルフチェックから始め、自分の首の状態を把握してみましょう。紹介したストレッチや体操を毎日コツコツ続けることで、痛みや不調の緩和につながるはずです。
特に睡眠環境の改善は首への負担を大きく左右するポイントです。自分の体に合った枕とマットレスを選ぶことが、快適な眠りとストレートネック予防の鍵となります。最近では首の健康を考慮した枕も人気です。健康な首を取り戻す第一歩は、今日からの習慣づくりです。まずはできることから始めてみましょう。
参考
※2:Assessment of stresses in the cervical spine caused by posture and position of the head
※3:社会福祉法人健和会パークレジデンス ストレートネックについて
※5:厚生労働省-情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン










