睡眠コラム by Koala Sleep Japan2025年5月20日読了目安時間: 6

医師監修 | ホワイトノイズとは?その効果と活用方法

森田 麻里子
Child Health Laboratory 代表 / 医師

医師・小児スリープコンサルタント・睡眠専門家

2012年東京大学医学部医学科卒。
亀田総合病院にて初期研修後、2014年仙台厚生病院、2016年南相馬市立総合病院にて麻酔科医として勤務。2017年の第1子出産をきっかけに、2018年より乳幼児の睡眠問題についてのカウンセリングや講座、企業と連携したアプリ監修など行っている。2019年昭和大学病院附属東病院睡眠医療センター非常勤勤務を経て、現在は大人の睡眠カウンセリングや企業向け睡眠講座も手掛ける。

ホワイトノイズとは、全ての周波数帯が均等に含まれる雑音のことを指します。テレビの砂嵐音や換気扇の音など、身近な環境音にも含まれることから、多くの人が既に耳にしたことがあるノイズでもあります。

最近では、ホワイトノイズには集中力やリラックス効果などが期待され、さまざまなシーンで活用されるようになっています。本記事では、ホワイトノイズについての基礎知識や他のノイズとの違い、利用時の注意点から取り入れ方まで、総合的に解説します。

ホワイトノイズの定義と特徴
まずはホワイトノイズの正確な定義と、その特徴について理解しておきましょう。すべての周波数が均等に含まれる点が大きな特徴です。

ホワイトノイズは、雑音でありながら、特定の周波数帯に偏りがないことが特徴です。具体的には、約20Hz〜20kHzの高音域から低音域までバランスよくエネルギーを持つため、一部の音だけが強調されない均一な響きになります。

日常生活で出会う音にも、テレビの砂嵐音や換気扇の音のようにホワイトノイズと似た音があります。多くの人は何気なく聞いていますが、その独特の連続した音が環境音をマスキングする役割を果たすともいわれます。

広い分野で応用が可能で、音響研究や心理学、さらには日常生活のストレスケアにまで利用されています。ただの雑音と思われがちなホワイトノイズですが、しっかりと特性を理解するし、活用方法を知ることでさまざまなメリットが得られます。

ホワイトノイズと他のノイズとの違い

ホワイトノイズ以外のノイズとして、ピンクノイズやブラウンノイズなどが存在します。それぞれどのように異なるのでしょうか。

一口にノイズといっても、その音の周波数分布や特性には大きな違いがあります。ホワイトノイズは全域にわたってフラットな特性を持ちますが、他のノイズは特定の周波数帯が強かったり弱かったりといった特徴を持つことがポイントです。

ノイズの種類を把握することで、音環境の目的に応じた使い分けが可能になります。たとえば、リラックスしたい場合はある種のノイズが適していることがあります。

ノイズそのものは決して悪いものではなく、上手に活用することで景色をぼかしてくれる背景音として機能します。それぞれのノイズが持つ特性を理解し、自分に合った音を日常生活に取り入れていくことが大切です。

ピンクノイズ・ブラウンノイズの特徴

ピンクノイズは、周波数が上がるにつれて音のエネルギーが1/fの割合で減衰していくという特徴があり、ホワイトノイズより低めに聞こえます(音のエネルギーと周波数が反比例)。例えば、強い雨や滝の音がこれに近いと言われています。1/fのゆらぎは自然界に多く存在し、小川のせせらぎ、ろうそくの炎の揺れなどがあります。1/fのゆらぎはリラックス効果が高いといわれています。

ブラウンノイズは、さらに低周波が強調される特性を持ちます(音のエネルギーが周波数の2乗に反比例)。水が流れる重厚な音にも似ており、低音域の安定感があるので、落ち着きや安らぎを感じる人も少なくありません。

このように、ホワイトノイズ・ピンクノイズ・ブラウンノイズは、それぞれに独自のエネルギー分布を持ちます。研究ではホワイトノイズの効果を検証したものが多いですが、目的や好みに合わせてピンクノイズやブラウンノイズを利用したり、雨の音などホワイトノイズに似た自然音を利用するのも良いでしょう。

ホワイトノイズが注目される理由


なぜホワイトノイズが多くの人に利用され、注目を集めているのでしょうか。その背景には、さまざまなメリットが存在します。

ホワイトノイズが注目される最大の理由の一つは、外部の雑音をかき消す「マスキング効果」です。オフィスや自宅で周囲の声や騒音が気になるとき、ホワイトノイズを流しておくことで不要な音への意識を和らげてくれます。

さらに、単調な音の連続は、人が集中したいときやリラックスしたいときに適度な刺激となるのが特徴です。これは赤ちゃんの子育て環境においても効果があると言われ、多くのシーンで応用される理由とも重なります。

ただし、人によってはホワイトノイズが気になってしまう場合があるため、必ずしも万人に効果があるわけではありません。個人差を考慮しながら上手に活用することがポイントです。

集中力の向上

集中力を高めたいとき、周囲の雑音は大きな妨げになります。ホワイトノイズを活用すると、背景音として均一なノイズが流れ、突発的な音をマスキングしてくれるため、思考や作業に没頭しやすくなります。

特に、オフィスのように人の動きや話し声が絶えない環境では、意識がそれらの雑音に向きがちです。そこにホワイトノイズをプラスすると余分な刺激が抑えられ、タスクへの集中をサポートします
実際に、45dBのホワイトノイズにより持続的な注意力、正確性、作業効率の向上が見られ、創造性が高まり、ストレス減少の効果があったとされています(※1)。

一般的なイヤホンやスピーカーを使って手軽に取り入れられる点もメリットと言えるでしょう。試験勉強やクリエイティブな作業を行う方には、一度試してみる価値があります。

※1:Cognitive performance, creativity and stress levels of neurotypical young adults under different white noise levels.

リラックス効果・安眠効果

ホワイトノイズを耳にすると、人によっては“静か過ぎる空間”で感じる緊張感が和らぐといわれます。ある程度の音が持続的に続くことで、突然の物音などに驚かされる頻度が減るのが理由のひとつです。

リラックス効果や安眠効果に注目が集まっている背景には、夜間のちょっとした物音に敏感な人が増えているという状況があります。ホワイトノイズを流しておくことで、気になる音を打ち消し、静寂そのものがストレスに感じる人にもやさしい環境を作り出せます。

ホワイトノイズを流すことで、入眠潜時が38%短縮し、主観的な睡眠の質や中途覚醒の頻度が改善されたことが報告されています(※2)。

ただし、睡眠中に流す場合は音量が大きすぎないようにしましょう。過度な音は逆効果になり得るため、自分が落ち着ける程度のボリュームで利用することが大切です。

※2:Broadband Sound Administration Improves Sleep Onset Latency in Healthy Subjects in a Model of Transient Insomnia.

赤ちゃんの泣き止みへの影響

赤ちゃんが泣き止まないとき、ホワイトノイズを流すと落ち着くという話を聞いたことがある人も多いでしょう。これは、胎内環境の音に近いとも言われ、赤ちゃんに安心感を与えているのではないかと考えられています。

赤ちゃんはちょっとした音の刺激にも敏感です。例えばNICUにいる早産児の赤ちゃんはモニターの音などのストレスに晒されていますが、ホワイトノイズを流すことで心拍数や呼吸数が安定し、体重増加も改善するという研究があります(※3)。泣き止む時間が短くなるという報告例もあり、子育て中の家庭で取り入れられるシーンが増えています。

ただし、まだ聴覚が未発達な赤ちゃんには、音量や再生時間に十分な配慮が必要です。連続的に流す場合は50dB以下の音量になるようにしてください。安全に利用するため、しっかり体調を確認しながら上手に取り入れましょう。

※3:Effects of white noise on preterm infants in the neonatal intensive care unit: A meta-analysis of randomised controlled trials.

ホワイトノイズに潜むデメリット・注意点


ホワイトノイズを利用するにあたって注意すべきポイントもあります。正しく理解し、リスクを最小限にしましょう。

どんなに便利なツールや音であっても、使い方を誤ると弊害が起こる可能性があります。ホワイトノイズも例外ではなく、特に聴覚への負担や使用時間に気を配る必要があります。

また、個人レベルでの心地よさには大きな差があるため、“全員に必ず効果がある”というわけではありません。まずは自身の状態を考慮しながら、身体や精神的な負担がないように利用方法を組み立てることが望ましいです。

ホワイトノイズが役立つ場面は多い反面、必要以上に頼りすぎると自然な静寂に適応しにくくなる恐れもあります。バランスよく取り入れることで最大限のメリットを活用しましょう。

聴覚へのリスクと長時間使用の注意

ホワイトノイズを大音量で長時間聴くことは、耳に大きな負担をかける可能性があります。特にイヤホンやヘッドホンを使用する場合は、音量を高くし過ぎないように注意しましょう。65dBのホワイトノイズでは、ワーキングメモリは向上したもののストレスレベルが向上したという例もあります(※1)。

子どもや敏感な方であれば、少しの音量でもストレスや不快感を感じる場合があります。こうした場合は、音量調整だけでなく、スピーカーの配置なども考慮すると良いでしょう。

長時間使用する際は一定の休憩を挟み、耳を休めることも大切です。適切な使い方を心がけることで、ホワイトノイズのメリットを損なうことなく利用できます。

※1:Cognitive performance, creativity and stress levels of neurotypical young adults under different white noise levels.

音量・聴く環境に気をつけよう

ホワイトノイズを流す際は、周囲の環境によって最適な音量が異なります。たとえば、オフィス内で使用する場合は周囲の迷惑にならない程度のボリュームに調整することが重要です。

耳に負担をかけない音量というのは人によって違うため、自分に合ったレベルを見つける必要があります。実際に音を試しながら微調整し、長時間聴いても疲れにくい設定を探りましょう。

ヘッドホンやイヤホンを使うときは、外音がまったく聞こえなくなると危険が伴うシーンもあります。交通機関や外出先では安全面を考慮し、周囲の音も確認できる環境を維持しましょう。

ホワイトノイズを生活に取り入れる具体的な方法


ホワイトノイズを日常の中で活用するには、どのような手段があるのでしょうか。アプリや専用マシンなど、多彩な方法を紹介します。

手軽に始めるなら、スマートフォンのアプリを活用する方法が最も簡単です。設定や音量を細かく調整できるアプリもあり、自分好みの音環境を作りやすい点がメリットです。

より専門的な音質を求めるのであれば、ホワイトノイズ専用のマシンを利用する選択肢もあります。就寝時に自動でオフになるタイマー機能など、特化型ならではの装備があるのも特徴です。

また、日常の家電製品が発する音をホワイトノイズとして活用する人も増えています。換気扇や空気清浄機のブーンという音も意外と効果的で、身近な環境を上手く活用している事例の一つです。

専用マシン・アプリを活用しよう

ホワイトノイズ専用マシンは、パーソナライズされた音質を提供してくれる機能が充実しています。音量の微調整だけでなく、タイマー設定や周波数帯の切り替えなど、細やかなカスタマイズができるものも珍しくありません。

スマートフォン向けのアプリは手軽さが最大の魅力です。無料・有料を含めて多様なアプリがあるので、使いやすいインターフェースや音の種類が豊富なものを選ぶのがおすすめです。

自宅以外でもすぐに利用できるため、電車などの移動やオフィス、外出先でのちょっとした集中タイムに取り入れるのに適しています。シーンに合わせてツールを使い分けると、より快適な音環境が期待できます。

自宅・オフィスでの取り入れ方

日常生活で簡単にホワイトノイズを導入するには、換気扇や空気清浄機などの家電を活用する方法があります。連続した音が自然に流れるため、特に新たな機器を購入する必要もなく手軽に始められます。

オフィスで使う場合は、ヘッドホンやイヤホンを使って個人的にホワイトノイズを流すのが良いでしょう。周囲に音が漏れないように配慮しながら、自分だけの集中空間を作り出すことができます。

複数人が同時に利用する場合は、共用スペースにはスピーカーを使用し、音量を控えめに流すなどのルールづくりも重要です。周囲の人の快適さとのバランスを取りながら手軽にノイズコントロールができます。

まとめ

ホワイトノイズは集中やリラックスなど、多方面で役立つ音ですが、正しく安全に利用することが重要です。メリットとデメリットの両面を把握し、上手に活用していきましょう。

ホワイトノイズは周波数分布が均等な雑音でありながら、周囲の雑音をマスキングし、集中力やリラックス状態をサポートしてくれる特性を持っています。ピンクノイズやブラウンノイズなど、他のノイズとの違いを理解することで、自分に合った音を選べるようになるでしょう。

利用シーンは幅広く、勉強や作業、睡眠サポートから赤ちゃんの子育てシーンまで多岐にわたります。しかしながら、長時間の使用や大音量の設定などで耳へ負担がかかる可能性もあるため、適切な音量と使用時間を守ることが欠かせません。

アプリや専用マシンで手軽に取り入れることができる分、日常のあらゆる場面で活用しやすいのがホワイトノイズの大きな魅力です。自分や家族の体調・感じ方を大切にしながら、より快適な生活を実現してみてください。

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