睡眠コラム by 大迫 鑑顕•2026年2月22日•読了目安時間: 5 分

【医師監修】早起きするには?朝起きられない人が見直したい習慣と実践のコツ

大迫 鑑顕
メンタルヘルスかごしま中央クリニック 院長
  • 経歴

2021年千葉大学大学院医学研究院 精神医学教室 特任助教(兼任)
2023年Bellvitge University Hospital (Barcelona, Spain)
2025年メンタルヘルスかごしま中央クリニック 院長
<主な研究領域>https://researchmap.jp/nr_ohsako
精神医学(摂食障害、行動依存症(ゲーム依存、ギャンブル依存、etc)、せん妄)

  • 免許・資格

医学博士、精神保健指定医、日本精神神経学会認定精神科専門医・指導医、日本医師会認定産業医、公認心理師

「早起きしたいのに、アラームを何度も止めて寝てしまう」。そんなときは、目覚ましの工夫だけでなく、必要な睡眠時間を確保できているかを振り返ってみましょう。寝る時刻が変わらないまま起床だけを早めると、睡眠不足につながります。※1

この記事では、上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の石川が、早起きに向けて整えたい生活習慣と、朝に起き上がるための工夫を紹介します。明日だけ早く起きたい場合の準備や、生活を見直しても起きられないときに注意したいサインも解説します。

 

早起きは睡眠時間の確保から

早起きの目標は、睡眠を削って活動時間を増やすことではありません。必要な睡眠をとったうえで、生活に合った時刻に起きられる状態を目指しましょう。

必要な睡眠時間は人によって異なります。厚生労働省は成人について、6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することを勧めています。ただし、6時間で全員が十分とは限りません。目覚めたときの休養感や日中の眠気も確認してください。※1

まずは数日間、寝た時刻・起きた時刻と日中の眠気を記録してみましょう。起床を早めるなら、就寝までの予定も見直し、睡眠時間を確保できる範囲で進めることが大切です。

 

早起きのために整えたい生活習慣

早起きのための生活習慣

1. 起きる時刻を少しずつ早める

普段より何時間も早く起きようとせず、睡眠時間を保ちながら少しずつ生活を前にずらしましょう。例えば、起きる時刻と、夜の家事を切り上げる時刻を、どちらも15分ほど早め、数日間の眠気や体調を確認する方法があります。15分は進め方の一例であり、誰にでも適した調整幅ではありません。

早く寝ようと焦って寝床に長くいても、寝つけるとは限りません。就寝前の準備を早め、眠気が出てから寝床に入ることを意識しましょう。眠れないまま横になり続ける習慣は、かえって寝つきを妨げる場合があります。※1、※2

2. 休日も起きる時刻を大きくずらさない

休日に昼まで寝る生活が続くと、平日との睡眠リズムがずれやすくなります。起床時刻をなるべくそろえ、平日の睡眠不足は毎日の睡眠時間を増やす方向で見直しましょう。※1

休日に長く眠らないとつらい状態なら、意志が弱いのではなく、普段の睡眠が足りていない可能性があります。休日のアラームだけで調整しようとせず、夜の予定や仕事量も振り返ってみてください。※1

3. 朝の光を取り入れる

朝の光は体内時計を整える手がかりになります。起きたらカーテンを開ける、朝食を明るい場所でとる、外を少し歩くなど、生活の中に光を取り入れましょう。※1、※3

朝日で目覚めようとカーテンを開けて寝ると、街灯などの光が夜の睡眠を妨げることもあります。寝るときは暗さを確保し、起床後に明るくすることを基本にしてください。※1、※3

4. 夜のカフェインや明るい画面を控える

コーヒーやお茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、寝つきを悪くしたり、夜中に目が覚める原因になったりします。影響の続き方には個人差がありますが、夕方以降は量や飲む時刻に注意しましょう。※2

就寝前はスマートフォンやパソコンの明るい画面を長く見続けず、照明も落ち着いた明るさに調整します。動画やSNSで就寝が遅れがちなら、使い終える時刻を決めるのも一つの方法です。※1、※3

5. 入浴や寝室環境を見直す

就寝の1〜2時間前の入浴は、寝つきを整える方法の一つです。体調に合わせて無理なく取り入れましょう。※2

寝室は暗く静かにし、暑さや寒さで目が覚めないよう空調や寝具を調整します。快適な室温は季節や寝具、体感によって異なるため、一律の温度に合わせるより、自分が眠りやすい環境を探してください。※1、※3

 

ベッドから起き上がるための工夫

睡眠時間を確保したうえで、目覚めてから最初にすることを決めておくと、朝の行動を始めやすくなります。以下で紹介する方法は、生活に合わせて試せる工夫の例です。

1. 目覚ましの置き場所を工夫する

布団の中で無意識にアラームを止めてしまうなら、起き上がって手を伸ばす位置に目覚ましを置いてみましょう。ただし、暗い室内を急いで歩く必要がないよう、足元の物を片づけ、安全に手が届く場所を選んでください。

目覚ましを増やしても毎朝起きられない場合は、音量や台数だけで解決しようとせず、睡眠時間や眠気の原因を見直しましょう。

2. 起きた後の行動を決めておく

「アラームを止めたらカーテンを開ける」「洗面所で顔を洗う」など、起床後の行動を一つ決めておきます。前夜に服や必要な物を用意しておけば、朝に考えることも減らせます。

いきなり多くの習慣を足す必要はありません。毎朝同じ順番でできる小さな行動から始め、続けやすい流れを作りましょう。

3. 朝の楽しみを用意する

好きな朝食、短い読書、ゆっくりお茶を飲む時間など、起きた後に楽しめる予定を用意する方法もあります。朝にしたいことを具体的にしておくと、取り組み方を決めやすくなります。

ただし、その楽しみのために睡眠を削っては逆効果です。必要な睡眠を確保できる範囲で、負担にならない予定を選んでください。

大迫鑑顕 医師
大迫鑑顕 医師

私たちは、つい「早起き=根性で頑張ること」と思いがちですが、実際には体内時計のリズムや生活環境を整えることで自然に早起きできるようになります。

本記事では、睡眠のメカニズムに基づいた実践的な工夫が紹介されています。特別な努力をしなくても、少しずつ生活リズムを整えることが、快適な目覚めと充実した一日につながります。

もし工夫をしても眠れない、日中の眠気が強い、いびきを指摘されるといった場合は、睡眠障害のサインのこともあります。その際は無理をせず、専門医に相談してみてください。

早起きは「自分に合ったリズムを見つけること」から始まります。焦らず、できることから少しずつ整えていきましょう。

 

明日だけ早起きしたいときはどうすればいい?

旅行や仕事などで普段より早く起きる必要があるときは、前夜の準備で睡眠時間を確保し、目覚ましを止めた後の行動まで決めておきましょう。「寝坊が心配だから徹夜する」という方法は、翌日の眠気や判断力の低下につながります。※1

1. 前夜に準備を済ませる

服、持ち物、朝食、移動経路などを前夜に確認しておきましょう。朝に必要な作業を減らせば、起床から出発までの時間を短くでき、その分の睡眠も確保しやすくなります。出発時刻から逆算して起きる時刻を決め、目覚ましの設定と充電も済ませておくと安心です。

2. 睡眠時間を確保できるよう早めに休む

起きる時刻から逆算し、必要な睡眠時間を確保できるよう夜の予定を早めに切り上げましょう。入浴や就寝準備にかかる時間も考え、余裕を持って準備を始めることが大切です。

眠ろうと焦っても寝つけない場合は、いったん寝床を離れ、落ち着いて過ごして眠気が来てから戻りましょう。寝酒に頼ると夜中に目が覚めやすくなるため、眠るための飲酒は避けてください。※2、※4

3. 目覚ましを止めたらベッドを出る

目覚ましは、ベッドから手を伸ばすだけでは止められない場所に置きましょう。止めるために起き上がったら、そのままカーテンを開け、洗面所へ向かうなど、次の行動を決めておくと動き出しやすくなります。どうしても寝坊できない日は、家族などに声をかけてもらえるよう頼んでおく方法もあります。

なお、十分に眠れなかった場合は、早起きできても普段どおりの集中力を保てるとは限りません。強い眠気があるときは車の運転や危険な作業を避け、移動手段や予定を調整しましょう。※1

 

朝起きられないときに注意したいサイン

睡眠時間を確保し、生活リズムを見直しても朝起きられない場合は、生活習慣だけでは解決しない睡眠の問題が隠れていることがあります。特に、日中の強い眠気、大きないびき、睡眠中に呼吸が止まると指摘された場合は、かかりつけ医や睡眠を扱う医療機関に相談してください。※1

夜遅くまで寝つけず、朝起きるべき時刻に起きられない状態が続く場合は、睡眠・覚醒のリズムの問題が関わることもあります。遅刻や欠席が続くなど生活に支障があるなら、単なる夜更かしと決めつけず相談しましょう。※5

受診時には、寝た時刻・起きた時刻、休日との差、日中の眠気、服用中の薬などを伝えると、原因を考える手がかりになります。無理に早起きだけを続けるのではなく、自分に合う対応を医師と確認することが大切です。

 

まとめ:睡眠を削らず、自分に合った早起きの習慣を作ろう

早起きするには、まず必要な睡眠時間を確保し、起床時刻や朝の光、夜の過ごし方を整えることが基本です。そのうえで、目覚ましの置き場所や起床後の行動など、続けやすい工夫を試してみましょう。

明日だけ早起きしたい場合も、徹夜で乗り切ろうとせず、前夜の準備と翌日の予定調整を大切にしてください。十分に眠っても起きられない、日中の眠気が強い場合は、医療機関への相談を検討しましょう。

参考

※1 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

※2 日本睡眠学会「睡眠衛生教育:岡島義」

※3 日本睡眠学会「睡眠環境:樋口重和」

※4 国立精神・神経医療研究センター「不眠症(Insomnia)」

※5 国立精神・神経医療研究センター「概日リズム睡眠・覚醒障害(CRSWD)」

 

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