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監修者

松岡 雄治
地方国立大学医学部卒業後、横浜市内で初期臨床研修を経て、関東の基幹病院で勤務中。
資格:医師国家試験合格、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級
寝ている子どもがギリギリと歯ぎしりをしていると、歯や顎に負担がかからないか、心配になる方もいるのではないでしょうか。
子どもの歯ぎしりは成長とともにおさまることも多く、すべてに治療が必要なわけではありません。まずは、朝に顎を痛がっていないか、普段どおり食べられているかを確認しましょう。
この記事では、子どもの歯ぎしりに関わる要因と年齢による傾向、家庭でできる対策を解説します。歯科へ相談したい症状や、治療で行われる対応も紹介します。音が気になったときの見守り方を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
子供が歯ぎしりをする原因
子どもの歯ぎしりの原因は、ひとつに特定されていません。睡眠中に無意識に歯をこすり合わせたり、くいしばったりする動きで、心理的な緊張や睡眠中の呼吸の問題など、複数の要因が関係すると考えられています。
歯ぎしりが気になるときは、口の中の変化に加えて、日中の様子や眠り方も振り返りましょう。
1. 顎や歯の成長
子どもは、乳歯が生える時期や永久歯に生え変わる時期に、歯ぎしりをすることがあります。この時期は歯の本数や位置が変わり、噛み合わせも変化していきます。
この時期には、噛み合わせを調整する動きとして歯ぎしりが見られることもあります。ただし、成長中だから問題ないと決めつけず、歯の状態や痛みの有無を見て判断することが大切です。
歯が欠けていないか、食べるときに痛がっていないかを確認し、定期健診でも歯ぎしりについて伝えましょう。歯や顎への影響がなければ、歯科で経過を見ていく場合もあります。
2. ストレスや不安
緊張や不安は、歯ぎしりに関わる要因のひとつです。入園・入学や引っ越しなど、生活が変わった時期には、子どもが慣れない環境に戸惑っていることもあるでしょう。
歯ぎしりが気になり始めた時期に、生活の変化がなかったか振り返ってみてください。本人が話せる年齢なら、園や学校での出来事を、無理のない範囲で聞いてみましょう。
歯ぎしりだけで、強いストレスがあるとは判断できません。親の関わり方に原因があると考えすぎず、普段の表情や遊び方、食欲なども見ながら接することが大切です。
3. 鼻づまり・口呼吸
睡眠中の歯ぎしりは、呼吸の問題との関連も報告されています。鼻づまりや口呼吸があるときは、歯ぎしりの音に加え、いびきや呼吸の様子にも目を向けましょう。
大きないびきが続く、呼吸が繰り返し止まる、苦しそうに息をする場合は、小児科や耳鼻咽喉科へ相談してみましょう。眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりする場合、アデノイド(鼻の奥のリンパ組織)や扁桃腺の肥大、睡眠時無呼吸症候群が関係していることがあります。
歯ぎしりや口呼吸だけで病気を判断することはできません。鼻づまりの続く期間や朝の目覚め、日中の眠気などもあわせて伝えると、診察の助けになります。
子供の歯ぎしりはいつまで続く?年齢別の傾向
子どもの歯ぎしりは、成長とともにおさまることが多いものの、続く期間には個人差があります。小児期には10〜20%程度に見られるとされ、珍しいものではありません。また、小学生以降や大人になっても続く場合があるため、「何歳までに治る」と一律には決められません。
年齢だけを目安にせず、歯の生え方と生活への影響を確認しましょう。時期ごとに見ておきたい点は、次のとおりです。
- 乳歯が生えそろっていく時期:歯が生える様子と、食べるときに痛がっていないかを見る
- 就学前の時期:乳歯のすり減り方と、噛み合わせの状態を確認する
- 小学生の生え変わり期:新しい永久歯の状態も含めて、定期健診で経過を見てもらう
永久歯が生え始めたら、新しい歯のすり減りや欠けにも注意しましょう。痛みや食べにくさがある場合は、年齢にかかわらず歯科への相談が必要です。本人がうまく説明できないときは、食事中の様子も伝えてください。
※出典:日本歯科医師会 テーマパーク8020「歯ぎしり(原因・治療)」
子供の歯ぎしりが引き起こすリスク
歯ぎしりが強く続くと、歯のすり減りや欠け、顎の痛みにつながることがあります。ただし、音が大きいだけで、歯や顎に強い負担がかかっているとは判断できません。
確認したいのは、歯の見た目の変化と、食事や口の動きに支障がないかです。次のような症状が出ることがあります。
- 歯の表面がすり減り、食べ物や飲み物がしみる
- 歯が欠けたり、ひびが入ったりする
- 顎の関節や筋肉が痛み、噛むときに疲れる
顎の痛みや口の開けにくさが続く場合は、顎関節症などが関係している可能性もあります。歯ぎしりだけを原因と考えず、歯科で状態を確認してもらいましょう。
本人が朝に顎の疲れを訴える、夜に何度も目を覚ます、日中に眠そうにしているといった変化も、相談時に伝えてください。音で家族が眠れない場合も含め、生活で困っていることを具体的に共有するとよいでしょう。
家庭でできる歯ぎしり対策
家庭では、子どもが落ち着いて眠れる習慣と環境を整えましょう。こうした工夫で必ず歯ぎしりが止まるわけではありませんが、無理なく休める生活を支えることが大切です。
歯ぎしりを本人の意思で止めさせようとせず、取り入れやすいことから始めてください。
1. よく噛んで食べる
食事は、子どもの発達に合った硬さや大きさにし、落ち着いて噛めるようにしましょう。ただし、よく噛むことで睡眠中の歯ぎしりが治るという十分な根拠はありません。
歯ぎしり対策として、硬い食べ物やガムを無理に噛ませる必要はありません。急がせずに食べられる時間を確保し、歯や顎に負担がかかっていないか見てあげてください。
片側ばかりで噛む、噛むと痛がる、食事に時間がかかるといった変化があれば、歯科で相談しましょう。食材を変えるだけで様子を見続けず、食べにくさの原因を確認することが大切です。
2. 寝る前のルーティンとスキンシップ
寝る前は、歯磨きのあとに絵本を読み、読み終わったら照明を落とすなど、毎日似た流れで過ごしてみましょう。次にすることがわかると、子どもも寝る準備を進めやすくなります。
日中は子どもの話を聞いたり、一緒に遊んだりする時間をつくります。手をつなぐ、抱っこをするなどの触れ合いも、本人が心地よく感じる範囲で取り入れてください。
眠っている間の歯ぎしりは、本人が気づいていないこともあります。音を理由に叱らず、気になる変化は親が記録して歯科で相談しましょう。
3. 睡眠環境と生活リズムを整える
寝室は光や音を控え、暑すぎず寒すぎない環境に整えましょう。就寝前のテレビやスマートフォンは早めに切り上げ、静かに過ごす時間をつくります。
汗で寝衣や寝具が蒸れていないかを確認し、室温に合わせて掛けるものを調整してください。寝具だけで歯ぎしりを改善できるわけではありませんが、寝苦しさを減らす工夫は取り入れられます。
厚生労働省が示す小学生の睡眠時間の目安は、9〜12時間です。朝の起床時刻から逆算し、寝る準備に余裕を持たせるとよいでしょう。
歯科を受診すべきサイン
歯のすり減りや顎の痛みが気になるときは、小児歯科やかかりつけの歯科へ相談しましょう。成長とともにおさまる場合でも、歯を守るための対応が必要なことがあります。
音の大きさだけでなく、朝や食事中の様子も確認してください。次のような変化があれば、定期健診を待たずに相談しましょう。
- 歯が過度に削れて平らになっている、または欠けている
- 朝起きたときに顎を痛がる、口を開けづらそうにしている
- 噛むと痛い、冷たいものがしみるなどの訴えがある
- 歯ぎしりの音で本人や家族の睡眠が妨げられている
受診時には、歯ぎしりに気づいた時期や頻度、痛みのある場所を伝えましょう。短い録音や動画があれば、睡眠中の様子を説明する参考になります。服用中の薬がある場合も、医師に伝えてください。
鼻づまりや口呼吸が続く場合、大きないびきや呼吸が止まる様子がある場合は、小児科や耳鼻咽喉科にも相談しましょう。呼吸の問題があるときは、歯科での確認と合わせて対応することが大切です。
歯科ではどんな治療をする?
歯科では、歯のすり減りや欠け、噛み合わせ、顎の動きなどを確認します。歯や顎への影響が少なければ、すぐに治療せず、定期的に経過を見ていくこともあります。
対応は、歯の生え変わりや症状に応じて決まります。歯ぎしりの音をなくすことだけを目標にせず、歯の損傷を防ぎ、痛みや食べにくさに対処することが中心です。
歯のすり減りが強い場合などには、歯を保護するマウスピース(ナイトガード)を検討することがあります。成長や歯の生え変わりを踏まえて歯科医師が判断する必要があるため、市販品を自己判断で使わず、一度相談してみてください。
マウスピースを使用する場合は、口の中の変化に合わせた確認や調整が必要です。欠けた歯には修復を行うこともあります。経過観察になった場合も、次回の受診時期と家庭で注意する症状を聞いておきましょう。
子供の歯ぎしりに関するよくある質問
日中のくいしばりや、歯ぎしりと成長の関係について、よくある疑問に答えます。
Q1. 日中も歯をくいしばっているけど大丈夫?
日中のくいしばりも、頻繁に続いたり、顎の痛みや疲れを伴ったりする場合は歯科へ相談しましょう。睡眠中の歯ぎしりとは別に、遊びや勉強に集中しているときなどに、無意識に歯を強く合わせていることがあります。
気づいたときは、「歯を少し離して休もう」と穏やかに声をかけてみてください。何度も注意して負担をかけるより、どんな場面で起こるかを確認し、歯科医師に伝えるとよいでしょう。
Q2. 歯ぎしりは成長の証って本当?
成長する時期に歯ぎしりが見られることはありますが、歯ぎしり自体が順調な成長の証とはいえません。噛み合わせを調整する動きとして見られる場合もありますが、それだけで問題ないと判断せず、歯や顎の状態を確かめましょう。
歯や顎に問題がなければ、定期健診で経過を見る場合があります。歯の欠けや痛み、食べにくさが出たときは、成長に伴うものと考えて我慢させず、歯科へ相談してみてください。
まとめ:子供の歯ぎしりは見守りながら家庭でケアを
子どもの歯ぎしりは、成長とともにおさまることも多く、すべてに治療が必要なわけではありません。音だけで判断せず、歯の状態や朝の様子、食べにくさがないかを確認しましょう。家庭では、次の点を意識してみてください。
- 歯ぎしりを理由に叱らず、気になる変化を記録する
- 寝る前は落ち着いて過ごし、必要な睡眠時間を確保する
- 歯の欠けや顎の痛みがあれば、歯科へ相談する
- 鼻づまりや強いいびきが続く場合は、小児科や耳鼻咽喉科で相談する
マウスピースなどの対応が必要かどうかは、歯の状態と成長段階を踏まえて歯科医師が判断します。家庭でできるケアを続けながら、気づいた変化を医師と共有していきましょう。











