布団で寝ると腰が痛いのはなぜ?原因と今夜からできる対処法
寝具コラム by 石川 恭子2026年8月24日読了目安時間: 5

布団で寝ると腰が痛いのはなぜ?原因と今夜からできる対処法

石川 恭子
リテールスペシャリスト / 上級睡眠健康指導士

コアラマットレス®︎のショールームで、お客様が「運命のマットレス」に巡り合えるようお手伝いしているカリスマコンシェルジュ。お客様の眠りの悩みに耳を傾ける中で、今すぐ活用できる睡眠の知識を届けたいと上級睡眠健康指導士の資格を取得。コアラ®︎のマットレスを通じて、毎日眠ることが待ち遠しくなるワクワク感を提供したい。

朝起きた瞬間に腰へ重い痛みが走り、布団から起き上がるのがつらいと感じると、毎日の就寝時間そのものが憂鬱になってしまうものです。私自身も以前、古くなった布団をそのまま使い続けていた時期があり、朝起きるたびに腰の重さに悩まされて、仕事への集中力が削がれてしまった苦い経験を持っています。

布団に横たわったときに生じる腰の痛みは、単なる体調の波だけではなく、ご自身が使っている寝具の沈み込みや厚みが体に合っていないサインであるケースが少なくありません。痛みの原因を正しく突き止めて、今夜からできる工夫や寝室環境の調整を取り入れていくことで、腰への負担を減らして朝まで気持ちよく眠れる環境を整えられます。

本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の石川が、布団で腰が痛くなる具体的な理由をはじめ、今すぐ試せる応急処置や正しい布団の選び方、医療機関に相談すべき目安まで詳しく分かりやすく解説していきます。

布団で寝ると腰が痛くなる主な原因

石川 恭子
石川 恭子
布団で寝たあとに腰が痛むとき、その理由は一つとは限りません。

布団の柔らかさ、硬さや厚み、そして寝返りのしやすさという3つの角度から、腰に負担がかかる仕組みを整理しました。

1. 柔らかすぎる布団に腰が沈み込む

柔らかすぎる布団や、長く使ってへたった布団では、体重が集まりやすい腰やお尻が深く沈み込みます。厚生労働省のe-ヘルスネットは、寝具が柔らかすぎると腰部と胸部が深く沈み込んで背骨のS字カーブのすき間が大きくなり、眠りにくいだけでなく腰痛の原因にもなると説明しています。※1

布団全体が柔らかい場合だけが問題になるわけではないという点に注意しましょう。買った当初は適度な硬さでも、毎晩同じ位置に体重がかかる部分だけがへたり、くぼみができてしまいます。

布団を平らな場所に広げ、真横から見て中央がへこんでいないかを確かめてください。腰だけが落ち込む形になっていれば、柔らかさそのものよりも、へたりのほうが問題になっている可能性があります。

2. 硬すぎる・薄すぎる布団で体が圧迫される

反対に硬すぎる布団では、体の重みを面で受け止めきれず、肩やお尻、かかとなど骨が出ている部分に圧力が集中します。e-ヘルスネットでも、寝具が硬すぎると骨が当たって痛みが生じ、血流が妨げられて熟睡できなくなると指摘されています。※1

薄い布団をフローリングや畳へ直接敷いている場合は、体重を受け止めきれずに床面の硬さがそのまま体へ伝わる底付きも起こりやすいです。とくにフローリングは畳のような弾力を持たないため、同じ布団を使っていても当たりが強く感じられます。

ただし、硬い布団なら必ず腰が浮く、反り腰になるわけではなく、圧迫される場所は体重や体格、寝る向きによって変わります。やせ型の方や横向きで寝ることが多い方は、肩やお尻の一点に負担が集まりやすい傾向があります。

3. 寝返りしにくく同じ姿勢が続く

体が深く沈む、布団の一部がへたっているといった状態では、寝返りそのものが打ちにくくなります。e-ヘルスネットは寝返りについて、同じ体の部位が圧迫され続けることでその部位の血液循環が滞ることを防ぎ、体の負担を和らげるために生理的におこなわれる体の動きだと説明しています。※1

向きを変えられないまま朝を迎えれば、同じ場所に圧力がかかり続けます。

原因は敷き布団だけとは限りません。掛け布団や毛布を重ねすぎて重くなっていないか、布団の左右に体を返せるだけのスペースがあるかもあわせて確かめてみましょう。壁際にぴったり寄せている、隣に人が寝ていて動きにくいといった環境も、寝返りを妨げる要因になります。

関連記事:背中の痛みで目が覚めたり朝起きると背中が痛いのはマットレスが原因かも?4つの原因と対処法を徹底解説!

布団が腰痛の原因か確かめるポイント

石川 恭子
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原因の見当がついたところで、次に確かめたいのは、その痛みが本当に布団によるものなのかという点です。

いくつかの手がかりを順に照らし合わせてみてください。

まず、布団を広げて中央に目立つへこみがないかを確認します。次に実際に横になり、腰やお尻の部分で床面の硬さを感じないか、あるいは特定の場所だけが強く圧迫されていないかを意識してみてください。旅行先や実家など、いつもと違う寝具で寝たときに痛みが軽かったという経験があれば、それも判断材料になります。

反対に、どこで寝ても同じように痛むのであれば、布団以外の要因があるかもしれません。

もっとも、起床時に腰が痛いという事実だけで布団が原因だと断定するのは早計で、日中の姿勢や作業内容、運動不足、精神的なストレスなども腰痛に関わります。※2

布団を見直しても痛みが続く場合は、寝具以外の原因を考える段階だと受け止めてください。

布団で腰が痛いときに今夜できる対処法

布団に思い当たる点があったとしても、寝具はすぐに買い替えられるものではありません。今ある布団のままで今夜から試せる工夫を3つ紹介します。

いずれも試している途中で痛みが強くなる場合は、無理に続けずに中止してください。

1. 仰向けでは膝の下にクッションを入れる

仰向けで寝ると腰が痛むという方は、膝の下にクッションや丸めた布団を置き、膝を軽く曲げた状態で寝てみてください。ケンブリッジ大学病院NHS財団トラストの資料は、仰向けで寝る場合に膝の裏へ小さな枕を置くと、背中の筋肉をリラックスさせるのに役立つ可能性があると説明しています。※3

膝が伸びきった状態では骨盤が前に傾き、腰の反りが強くなりやすいため、膝を少し曲げることでその反りがゆるみます。

なお、腰の下へ厚いタオルを直接入れる方法が紹介されることもありますが、この方法では反りがかえって強まると感じる人もいますので、まず膝の下を支える方法から試すことをおすすめします。

2. 横向きでは膝の間にクッションを挟む

横向きで寝る場合は、膝を軽く曲げたうえで、膝の間にクッションや抱き枕を挟みます。同じくケンブリッジ大学病院の資料は、横向きで寝るときに脚の間へ枕を置くことで、背中をニュートラルな位置に保つと案内しています。※3

上側の脚が下側の脚に乗ると骨盤がねじれやすくなるため、その間を埋めてやることでねじれを抑えます。

向きについては、左右のうち痛みが少ないほうを選んで構いません。すべての人に当てはまる理想的な寝る姿勢は存在せず、同じ姿勢を長時間保ち続けることのほうが痛みに関わるとのことなので、楽に感じる姿勢を優先してください。

3. 横向きになってからゆっくり起き上がる

眠っている間だけではなく、起き上がる瞬間に強い痛みが走るという方も少なくありません。仰向けの状態から上半身だけを勢いよく起こすと、腰まわりに大きな負担がかかるため、体の起こし方にも工夫が必要です。

NHSのウィラル地域医療トラストは、ベッドから出るときにはいったん横向きになり、脚をベッドの外へ出しながら、腕で体を横方向に押し上げて足を床へ下ろす方法を案内しています。※4

布団の場合も考え方は同じで、横向きになってから手をついて上半身を支え、ゆっくり座る姿勢へ移ります。

起き抜けの体はまだ温まっておらず、無理なストレッチを先に行うとかえって負担になることがあります。まずは動き出し方を整えることから始めてください。

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腰が痛いときの布団の見直し方

石川 恭子
石川 恭子
寝姿勢の工夫で痛みが和らいだとしても、寝床面そのものが体に合っていなければ、同じ悩みは繰り返し戻ってきます。

布団そのものを見直すときの考え方を解説します。

まず押さえておきたいのは、重ねて済ませようとしても解決しない場合があるという点です。柔らかくへたった布団の上に敷きパッドやマットレスを重ねても、土台ごと沈む状態では十分に調整できません。

薄くて底付きを感じる布団に重ね敷きをする場合も、層の間に湿気がこもったり、ずれによって寝姿勢が不安定になったりすることがあります。重ねるより、敷き寝具そのものを見直すほうが確実です。

基準になるのは、腰が深く沈み込まず、かつ肩やお尻など一部だけが強く圧迫されない硬さです。日本ふとん協会も、硬すぎても柔らかすぎてもよくなく、体が沈みすぎず硬すぎない適度なクッション性のあるものが好ましいとしています。※5

慢性の非特異的腰痛がある成人313人を対象に90日間実施された試験では、硬いマットレスより中程度の硬さのほうが、起床時の痛みや障害度の改善が大きいという結果が出ました。※6

厚みについては数値よりも、横になったときに床面の硬さが体まで伝わってこないかどうかを目安にしてください。

あわせて見直しておきたいのが、寝室の環境です。e-ヘルスネットは、寝床内の温度は33℃、湿度は50%の状態が最適とされると説明しています。※1

寝床内が冷えていると体がこわばって寝返りが減り、反対に蒸れれば目が覚めやすくなります。布団の硬さや厚みだけでなく、寝室の温度と寝具の通気性を整えることも、朝の腰の状態に関わってきます。

腰の痛みで医療機関を受診する目安

石川 恭子
石川 恭子
布団を見直し、寝方を調整しても腰痛が続く場合は、寝具以外の原因を考える必要があります。

自分で様子を見てよい範囲と、早めに相談したほうがよい状態との線引きについて把握しておきましょう。

日本整形外科学会は、腰痛の原因には腰そのものに由来するもののほかに、血管や泌尿器、婦人科、消化器の病気、さらに精神疾患や精神的なストレスによる心理的な原因もあると説明しています。※2

腰の痛みだからといって、必ずしも腰に原因があるとは限らないということです。

そのうえで同学会は、安静にしていても痛みが軽くならない、しだいに悪化する、発熱している、下肢がしびれたり力が入らない、尿漏れがするといった症状を伴う場合には、放置したり自分で管理したりすることは禁物であり、すみやかに整形外科を受診するよう呼びかけています。※2

これらの症状に当てはまるときは、布団の問題と決めつけず、医療機関へ相談してください。当てはまらない場合でも、痛みで眠れない、日常生活に支障が出ているという状態が続くようであれば、早めに相談しましょう。

まとめ:布団で腰が痛いときは寝姿勢と寝具を見直そう

布団で寝ると腰が痛くなる背景には、主に3つの原因が考えられます。まずは布団の中央にへこみがないか、横になったときに床面の硬さを感じないかを確かめ、自分がどのタイプに近いかの見当をつけてください。

今夜からできる対処としては、仰向けなら膝の下、横向きなら膝の間にクッションを入れて寝姿勢を整える方法があります。起き上がるときは横向きになってから腕で支えると、腰にかかる負担を抑えられます。そのうえで布団を見直すなら、腰が沈みすぎず、一部だけが強く圧迫されない硬さと、床面の硬さが伝わらない厚みが基準になります。

加えて、寝床内の温度や通気性を整える方法も試してみましょう。

対策を続けても痛みが軽くならない場合や、発熱やしびれ、尿漏れなどを伴う場合は、寝具の問題と片付けずに整形外科へ相談してください。寝具の見直しと体のサインの確認、その両方を組み合わせて、朝の腰の痛みから抜け出す生活を手に入れましょう。

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・参考

※1 快眠のためのテクニック | 厚生労働省 e-ヘルスネット
※2 腰痛 | 日本整形外科学会
※3 Myth busting about posture, core stability and lifting | Cambridge University Hospitals NHS Foundation Trust
※4 Acute mechanical low back pain | Wirral Community Health and Care NHS Foundation Trust
※5 ふとんの選び方 | 日本ふとん協会
※6 Effect of firmness of mattress on chronic non-specific low-back pain | The Lancet