睡眠コラム by Koala JP•2026年8月5日•読了目安時間: 3 分

【医師監修】【山の日は8月11日】登山の疲れ、ちゃんと抜けていますか?下山後の快眠ルーティン

後平 泰信

医療法人徳洲会札幌もいわ徳洲会病院(名称変更) 病院長 現職。

【研究分野】睡眠全般、睡眠時無呼吸症候群、内科全般、循環器内科、スポーツ医学、遠隔医療、地域医療

明るくハキハキとした話し方で、専門的な内容もわかりやすく伝える。特に睡眠医療の分野で多数の講演・メディア出演歴があり、CPAP治療やいびき・睡眠負債など、広く深い見識から生活に密着したあらゆる話題にも柔軟に対応。寝具などスリープテック領域の開発や監修にも多数関わった実績あり。

2026年の「山の日」は8月11日(火)。お盆休み(8月13日〜16日)とも近く、間の平日を休みにすれば9連休にもできるこの時期は、登山や山歩きを計画している方も多いのではないでしょうか。

ただ、登山は「楽しかった」で終わらせるにはもったいないほど、体に負担がかかるアクティビティでもあります。今回は、登山後になぜあれほど疲れが残るのか、そしてその疲れをきちんと抜くための下山後の過ごし方・眠り方をご紹介します。

なぜ登山の疲れは翌日まで残りやすいのか

登山の疲労は、単なる「歩き疲れ」以上のものです。主に次のような要因が重なっています。

  • 長時間・長距離の運動負荷 数時間にわたる登り下りは、普段使わない筋肉に大きな負担をかけます。特に下りでは、着地のたびに筋肉が伸びながら力を発揮する「エキセントリック収縮」が繰り返され、これが翌日以降の筋肉痛の主な原因になります。
  • 標高によるわずかな低酸素状態 高い山では空気中の酸素濃度が平地よりも低くなります。本格的な高山でなくても、標高が上がるほど体には普段以上の負荷がかかりやすくなります。
  • 紫外線・日射による消耗 山の上は平地より紫外線が強く、日焼けや暑さによる消耗も、気づかないうちに体力を奪っています。
  • 緊張感を伴う行動時間の長さ 足元の不安定さに常に注意を払い続けることも、精神的な疲労として蓄積します。

これらが組み合わさることで、下山後は「歩いた分」以上の疲れを感じやすくなるのです。

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下山後にやっておきたい疲労回復ルーティン

1. 下山直後の軽いクールダウン:車や電車に乗り込む前に、ふくらはぎや太ももを中心に軽くストレッチをしておくと、筋肉のこわばりが翌日に残りにくくなります。

2. 入浴はぬるめの温度でゆっくりと:熱いお湯に一気に浸かりたくなりますが、38〜40℃程度のお湯にゆっくり浸かる方が、筋肉の緊張をほぐしながら、その後の寝つきにもつながりやすくなります。

3. 水分・塩分・たんぱく質の補給:汗で失われた水分と塩分を補うことはもちろん、筋肉の回復にはたんぱく質も欠かせません。行動中だけでなく、帰宅後の食事も回復の一部と捉えましょう。

4. 筋肉痛が心配な部分は軽くアイシング:張りや熱っぽさを感じる部分があれば、寝る前に軽く冷やしておくことで、翌朝の痛みが和らぐことがあります。

後平 泰信 医師
後平 泰信 医師
登山後の疲労回復には、水分や栄養の補給とともに、十分な睡眠を確保することが大切です。登山は長時間の運動に加え、標高、暑さ、紫外線、慣れない環境などさまざまな負担が重なるため、普段以上に疲労が残ることがあります。山小屋やテントでは眠りが浅くなることもあるため、帰宅後は無理に夜更かしせず、快適な温度と寝具環境を整えて休みましょう。ただし、一晩眠ればすべて回復するとは限りません。強い疲労や頭痛、吐き気、めまいなどが続く場合は、単なる疲れと決めつけず体調を確認することも重要です。

山小屋・テント泊で眠りが浅くなりがちな理由

日帰りではなく山小屋泊やテント泊をされる方は、慣れない環境ゆえの「眠りの浅さ」にも注意が必要です。

  • 標高が高いほど眠りが浅くなりやすい 空気の薄さは、深い眠りに入りにくくする要因の一つと言われています。
  • 周囲の物音や気温差 山小屋の共同スペースでの雑音や、夜間の急激な気温低下は、寝つきや眠りの深さに影響します。
  • 寝袋・マットの寝心地 普段の寝具と大きく異なる寝心地は、慣れない環境で眠るときの緊張(いわゆる第一夜効果)をさらに強めてしまいます。

対策としては、耳栓やアイマスクを持参する、防寒着を1枚多めに用意する、体の下に敷くマットをできるだけ厚みのあるものにするなど、「いつもに近い寝心地」を少しでも再現する工夫が有効です。

家に帰ってから、しっかり眠るために

日帰り登山の場合、当日の夜は自宅で迎える方がほとんどだと思います。せっかく自宅の寝具で眠れるのですから、この夜は普段以上に「回復のための睡眠」を意識してみてください。

筋肉痛や体の張りがあるときは、体をしっかり支えてくれる寝具かどうかが、翌朝の回復具合を左右します。体が沈み込みすぎるマットレスや、逆に硬すぎて筋肉の緊張がほぐれにくいマットレスでは、せっかくの休息の質が下がってしまうことも。体圧を分散させる設計のマットレスであれば、疲れた体を余計な負担なく支えてくれます。登山の疲れをしっかり抜きたい夜こそ、寝具の役割は大きいものです。

まとめ

  • 登山の疲れは、筋肉負荷・軽い低酸素・紫外線・緊張感が重なって生まれる
  • 下山後は軽いストレッチ、ぬるめの入浴、水分・栄養補給を早めに
  • 山小屋・テント泊では「いつもに近い寝心地」を再現する工夫を
  • 自宅に戻った夜こそ、寝具にもこだわって回復に集中を

「山の日」をきっかけに山に親しんだあとは、しっかり眠って、疲れをその日のうちに解消してあげましょう。