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監修者
松本 恭
「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。
寝るときの服装は毎日のことなのに、「Tシャツで十分?」「部屋着のままで問題ない?」「夏は半袖、冬は厚着にすればいい?」と、意外と正解がわかりにくいものです。布団やマットレス選びは気にしていても、寝るときの服装まで真剣に見直したことがある方は少ないかもしれません。
実際のところ、服装が合っていないと寝苦しさや蒸れ、冷え、動きにくさにつながり、夜中に目が覚めたり朝すっきり起きられなかったりすることがあります。寝るときの服装は、温熱環境の調整において重要な要素のひとつで、眠りの質にも影響を与えます。
本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の松本が、なぜ寝るときにパジャマが選ばれやすいのかを出発点に、部屋着との違い、快適さを左右する素材と形、季節や室温に合わせた服装の選び方を解説します。
寝る時の服装はパジャマがおすすめ
パジャマは就寝向けに素材と形が設計されており、睡眠中の体の動きや汗の処理を前提にした作りになっています。部屋着やTシャツでも眠れないわけではありませんが、快適な睡眠を安定して得やすいのはパジャマだと言えます。
部屋着やTシャツとの違い
「毎晩Tシャツで寝ているけど特に問題ない」という方も多いと思います。実際、Tシャツや部屋着でも眠ることはできますし、慣れ親しんだものが落ち着くという面もあるでしょう。
ただし、部屋着は家事や作業など活動中の動きやすさを前提に作られており、袖口や裾が腕にフィットしやすい作りになっていることが多いです。就寝中は体の向きを変えたり四肢を伸ばしたりする動きが繰り返されるため、このフィット感が寝返りの妨げになりかねません。
また、部屋着は日中の家事や外出をこなすなかで汗や汚れが付きやすく、そのままベッドに入ると寝具も汚れやすいです。清潔さを保つという観点でも、就寝専用に使うパジャマと日中の部屋着を分けることには実用的な意味があります。
そして一般的なTシャツは、部屋義と同じくフィット感がある、素材が厚めなどの理由で蒸れやすいことが少なくありません。オーバーサイズや薄手のTシャツであっても、就寝専用パジャマほどの快適性の確保は難しいと理解しておきましょう。
寝る時の服装にパジャマが向いている理由
パジャマが就寝に向いているのは、デザインや見た目の問題というより、睡眠中の体の状態に合わせた機能的な設計です。寝る時の服装としてパジャマが適している理由を、3つの観点から解説します。
理由1. 高い吸湿性・放湿性で汗を処理できる
人は睡眠中にコップ1杯(約200ml)の汗をかくと言われています。この汗を適切に処理できるかどうかが、就寝中の蒸れや不快感を左右します。
重要なのは、吸湿性だけでなく放湿性、つまり吸った水分を外に逃がす力です。汗を吸い込んでも服の内側にとどまると、寝床内の湿度が上がって蒸れが生じます。パジャマに多く使われる綿やガーゼは、吸湿性と放湿性のバランスが取れた素材であり、汗を吸いながら外に逃がすことで肌をさらっとした状態に保ちやすくなっています。
日本睡眠学会の資料によれば、同じ高温環境でも湿度が高いと睡眠が阻害されやすくなります。※1
服装の中に生じた蒸れは、小さな高湿度環境を作り出します。放湿性の高い素材を選ぶことは、この問題を避けるうえで欠かせないのです。
理由2. 締め付けが少なく寝返りしやすい
吸湿・放湿性と同様に重要なのが、体の動きを妨げないゆとりです。人は一晩の睡眠中に20〜30回程度の寝返りを打つとされています。寝返りは血流を均一に保ち、体圧を分散させるうえで重要な動きを持ちます。服が体に密着していたり、袖口やウエストがきつかったりすると、この動きを無意識に妨げる可能性が高いです。
パジャマは全体的にゆとりのある設計で、寝返りや体の向き変えを妨げにくいという特徴を持っています。日本睡眠学会の睡眠衛生指導においても、寝衣は放湿性とともに寝返りのしやすさが重要な要素として挙げられています。※2
部屋着の中にもゆったりしたデザインのものはありますが、動作を想定して部分的にフィットするよう作られているものが多く、就寝専用のゆとりとは設計の出発点が異なります。
理由3. 体温調節をサポートする設計である
締め付けや蒸れへの対応と並んで、パジャマが優れているのが体温調節のサポートです。睡眠に入るとき、体が深部体温(体の中心部の温度)を下げようとする過程で熱を体表から放散する必要があり、就寝時の服装はこの熱の逃し方に関わります。
パジャマは素材の通気性と形状の組み合わせによって、過剰な保温も過剰な冷えも起きにくいよう設計されたものが多いです。夏は薄手の綿・ガーゼ、冬は起毛や厚手の綿など、季節に合わせた素材を選ぶことで、就寝中の体温変化に対応できます。
関連記事:【医師監修】寝る時の加湿器は必要?睡眠の質を高める湿度管理と正しい使い方 – コアラマットレス公式ブログ
季節・室温別|寝るときの服装の選び方
「夏は薄着、冬は厚着」という発想を基本として、室温と湿度の組み合わせ、冷暖房の使い方によっても最適な服装は変わります。
夏(25℃以上):蒸れにくさを優先する
夏の睡眠で問題になりやすいのは、暑さよりも蒸れによる不快感です。気温が高い状態で汗をかいても、放湿性の低い素材を着ていると服の中に湿気がこもり、寝苦しさの主な原因になることがあります。
「薄着にすれば涼しい」という考えは部分的には正しいですが、半袖か長袖かよりも素材の選択の方が影響は大きいです。29℃・70%RH(※早大湿度の単位)という暑熱環境で素材の異なるパジャマを比較した研究では、素材の違いによって寝床内の温湿度や温冷感に差が生じることが示されました。※3
薄くても放湿性の低い素材より、ある程度の厚みがあっても通気性・放湿性の高い素材の方が蒸れにくく、快適に眠りやすいのです。
また、夏に冷房を使う場合は冷えすぎへの対策も必要です。日本睡眠学会は夏の睡眠において扇風機だけでは不十分で、就寝中の冷房使用が推奨されると示しています。※1
長袖・長ズボンのパジャマで体を覆い、冷房による体の冷えを防ぎながら素材の通気性で蒸れを逃がすという組み合わせがおすすめです。
冬(10℃以下):重ね着より布団や室温で調整する
夏の蒸れ対策とは逆に保温が課題となる冬は、環境の調整というアプローチが推奨されます。重ね着しすぎると体の動きが制限され、寝返りが打ちにくくなるためです。また、厚着によって就寝直後は暖かくても、途中で汗をかいて体が冷えるという状態になりかねません。
寒さへの対策は、着込むよりも布団の保温力や室温を調整する方法を選びましょう。日本睡眠学会によれば、低温環境でも寝具や寝衣による適切な対策を行えば睡眠への悪影響を防ぐことができるとされています。※1
保温性のある素材(起毛素材やダブルガーゼなど)のパジャマを1枚選び、掛け布団の厚さや暖房の室温設定で調整するというアプローチが、動きやすさと保温の両立につながります。
なお、冷えを感じやすい人は、首まわりや腹部が露出しないデザインのパジャマを選んでください。首と腹部を覆うだけで体感温度はかなり変わります。
春・秋(15〜20℃):前開き・薄手長袖で調整する
春と秋に大切なのは、一日の気温差に対応できる調整幅の広い素材を選ぶことです。この時期は日によって気温差が大きく、夜寝始めは暖かくても明け方に冷え込むことが多いからです。
薄手の長袖・長ズボンのパジャマ、特に前開きタイプは体感温度に応じて開け閉めできるため、季節の変わり目に向いています。重ね着をするなら、上からカーディガンや薄手のガウンを羽織れる余裕を持ったサイズを選ぶと使いやすいでしょう。素材は綿または綿混合の薄手のものが、温度変化への対応力が高いです。
関連記事:【医師監修】季節の変わり目に眠れなくなる理由|自律神経・体内時計・花粉と「寝室環境」の整え方 – コアラマットレス公式ブログ
寝る時の服装の選び方|素材・形・サイズ
おすすめの素材(綿・シルク・ガーゼ・麻)
就寝に適した素材を選ぶ際の基準は、吸湿性・放湿性・肌あたり・通気性の4点です。パジャマ素材の違いが主観的な快適さだけでなく、α波出現率やメラトニン分泌量といった生理的な指標にも影響しうるという研究報告があります。※4
単なる好みの問題ではなく、素材選びは睡眠の質に実際に関わっているのです。パジャマに使用される主な素材について見ていきましょう。
綿(コットン)は、天然繊維の中で最もポピュラーなパジャマ素材です。吸湿性と放湿性のバランスが良く、年間を通じて使いやすいうえ、肌あたりが柔らかく洗濯に強い点も実用的です。特に薄手の平織り綿や綿ガーゼは通気性に優れており、夏向けとして評価されています。
ガーゼ(ダブルガーゼ・三重ガーゼ)は、空気を含む織り構造により、軽くて通気性が高いのが特徴です。吸湿・放湿のサイクルが早く、蒸れにくい点が優れています。洗うたびにやわらかさが増す性質もあり、肌が敏感な人にも向いています。
シルク(絹)はタンパク質繊維で肌なじみが良く、保温性と通気性を兼ね備えた素材です。高価格帯になりますが、体温調節のしやすさという観点では非常に優れています。
麻(リネン)は吸湿・放湿性が高く、綿よりさらっとした肌あたりです。夏の高温多湿な環境では蒸れを感じにくい選択肢になりますが、肌あたりに好みが分かれるため、実際に試してから判断しましょう。
避けたほうがよい素材(ポリエステル・フリース)
おすすめの素材とあわせて、注意が必要な素材についても整理します。
ポリエステルは放湿性が低い傾向があり、汗を吸っても外に逃がしにくいため蒸れやすいです。夏の高温多湿な環境では寝床内の湿度が上がりやすく、不快感につながりかねません。フリース素材は保温力が高いものの通気性に乏しく、就寝中に体が発熱しても熱を逃がしにくいため、汗をかいて体が冷えるリスクがある点に注意しましょう。
ただし、吸湿速乾性を持たせた機能性素材や天然繊維との混紡素材は、放湿特性が改善されているものもあります。「化学繊維か天然繊維か」という二択ではなく、放湿性と通気性が確保されているかどうかで判断してください。
サイズ感のポイント(ゆったり・締め付けない)
パジャマ選択には、サイズ感の確認も重要です。どれだけ素材が良くても、体を締め付けるサイズでは寝返りが制限される点に注意して選びましょう。
確認すべき箇所は以下です。
- 首元は息が詰まらない程度のゆとりがあること
- 袖口と裾(足首まわり)は肌を締め付けない程度にゆったりしていること
- ウエストはゴムが強すぎず腹部を圧迫しないこと
ウエストの締め付けは睡眠中の副交感神経の働きを妨げる可能性があるため、ウエストがひも調節タイプか緩めのゴムタイプのパジャマが適しています。
重ね着をする可能性がある季節は、少し大きめのサイズを選んでおくと羽織りやすいでしょう。試着の際は前かがみや腕を上げる動作をしてみて、引きつりや締め付けがないかを確認してみてください。
寝る時の服装でよくある質問
素材や形の選び方が分かったところで、寝るときの服装に関してよく調べられる疑問をまとめて回答します。
Q1. 裸で寝るのは睡眠に良いですか?
裸で寝ると「涼しくて良いのでは?」と感じる方もいるかもしれません。確かに服による締め付けはなくなりますが、一概におすすめとは言えません。
睡眠中にかいた汗が直接寝具に吸収されるため、シーツや布団カバーの汚れや雑菌の繁殖が起きやすくなります。特に夏の高温多湿の環境では、寝具のこまめな衛生管理が重要です。また、冷房をかけている場合は体が冷えやすい点に注意しましょう。
日本睡眠学会の資料によれば、寝衣は就寝環境の重要な要素として位置づけられており、放湿性や皮膚への影響という観点から着用することが推奨されています。※2
室温や体質によって感じ方は異なりますが、薄手の通気性の高いパジャマを着用する方が蒸れや衛生面の問題を防ぎやすいです。
Q2. 腹巻きや靴下を身につけて寝ても問題ありませんか?
裸の是非と同様に、末端の冷えへの対策として腹巻きや靴下の使用を検討する方も多いです。冷えを感じる人が日中に使用するのは問題ありませんが、就寝中は注意が必要です。
腹巻きは腹部の冷え対策として有効ですが、締め付けが強いものはウエストへの圧迫につながります。就寝用として使う場合は、薄手で伸縮性が高く圧迫感のない素材のものを選ぶことが重要です。
靴下については、足先の冷えがつらい場合の補助的な選択肢として考えましょう。足が温まりすぎると深部体温が下がりにくくなるという指摘もあるため、就寝前に履いて暖まったら外す、あるいはゆったりしたシルクや薄手の綿の靴下を選ぶといったアプローチが現実的です。
Q3. リカバリーウェアに効果はありますか?
腹巻きや靴下と並んで、近年よく聞かれるのがリカバリーウェアの効果です。リカバリーウェアとは、特殊な加工素材を使用して着用中の体の回復をサポートするとされるウェアの総称で、現在は一般医療機器として厚生労働省に届出されている製品も存在します。
ただし、薬機法の観点から「疲労を回復できる」「睡眠の質が上がる」といった効果を断定することは難しく、製品ごとに届出内容や認定の有無が異なります。リカバリーウェアを検討する際は、具体的な届出・認証の内容を確認したうえで判断しましょう。
就寝時のウェアは、ゆったりしたシルエットで肌あたりが良いものが多く、ルームウェア兼用として普及しています。素材や形状として就寝に適した作りになっていれば、パジャマとして問題なく使用できます。
寝る時の服装は快適さと調整しやすさで選ぼう
ここまで見てきたように、寝るときの服装はパジャマか部屋着かという二択で決めるものではありません。睡眠環境の一部として、素材の放湿性・通気性、締め付けの少なさ、寝返りのしやすさ、そして季節や室温との相性を軸に選ぶことが重要です。
厚生労働省の睡眠ガイドが示すように、良い睡眠のための環境は温度・湿度・光・音などが複合的に影響しており、服装はその中の調整可能な要素のひとつです。※5
「暑い・蒸れる・動きにくい」という就寝中の不快感は、服装の見直しだけで改善できるかもしれません。
放湿性の高い天然繊維素材を選び、締め付けのないゆとりのあるサイズを着て、あとは室温や布団で季節に合わせて調整するというのが基本の考え方です。特別なものを揃える必要はなく、吸湿・放湿と寝返りのしやすさという2点を判断軸にすれば、自分に合った就寝時の服装を見つけやすいでしょう。
寝苦しさや冷えがなかなか改善しない場合は、服装だけでなく寝室の温湿度設定や寝具の素材・厚みも合わせて見直してみてください。睡眠環境全体を整えることで、より質の高い眠りに近づくことができます。
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・参考
※1 睡眠と社会 4 季節と睡眠 | 日本睡眠学会
※2 睡眠衛生指導(nexus 2025年12月号) | 日本睡眠学会
※3 暑熱環境における冷感素材パジャマの睡眠への影響 | 日本家政学会研究発表要旨集
※4 パジャマ素材が睡眠生理指標に与える影響 | 家政学雑誌
※5 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省










