睡眠コラム by 松岡 雄治2026年6月23日読了目安時間: 4

年を取ると眠れなくなる理由は?加齢で睡眠が浅くなる原因と改善方法

「昔より眠れない」「夜中に目が覚める」「朝早く起きてしまう」。年齢を重ねるにつれ、このような悩みを感じる方は少なくありません。

若い頃のように7〜8時間ぐっすり眠れないと、体力の衰えや病気のサインではないかと不安になる方もいるかもしれません。しかし、年を取ると睡眠時間が短くなったり、眠りが浅くなったりするのは、自然な変化であることが多いです。

この記事では、加齢に伴う睡眠の変化と、生活習慣や体調が関係する不眠の違いを解説するとともに、今日からできる改善方法をお伝えします。

年を取ると睡眠時間は減少傾向にある

年を取ると睡眠時間が短くなるのは、自然な変化です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、脳波を用いた研究によって、夜間の睡眠時間が20年ごとに約30分程度のペースで減少していくというデータが示されています。

  • 25歳:約7時間
  • 45歳:約6.5時間
  • 65歳:約6時間

若い頃と同じ睡眠時間を目指して無理に寝ようとする必要はありません。ただし、日中の眠気や生活への支障がある場合は、対策を考える必要があります。

 

※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

年を取ると眠れなくなる主な理由

加齢による睡眠の変化は、生理的な仕組みに基づいています。その背景を理解しておくと、必要以上に不安を感じず、自分に合った対策も選びやすくなります。ここでは、主な4つの理由について説明します。

1. 体内時計が前倒しになりやすい

年を取ると体内時計が前倒しになり、夜早く眠くなったり、朝早く目覚めたりしやすくなります。「早朝に目が覚めて、もう一度眠れない」という悩みには、この前倒しが関係しています。

体内時計の前倒しは、加齢による生理的な変化であり、多くの場合、異常ではありません。日中に活動できていれば過度に心配する必要はありませんが、生活への支障がある場合は対策を検討しましょう。

2. ホルモンバランスの変化が起こる

睡眠を促すホルモンとして知られる「メラトニン」の分泌は、加齢とともに減少傾向にあります。これにより、睡眠と覚醒のリズムが乱れやすくなります。

このリズムを整えるためには、日中に太陽の光を浴びる時間や日中の過ごし方を見直すことが効果的です。生活リズムを整えることが、メラトニンのはたらきをサポートするための基礎となります。

3. 深い眠りが減り途中で目が覚めやすい

年齢を重ねると、眠りが浅くなり途中で目が覚めやすくなります。これは、加齢により深いノンレム睡眠の割合が減少するためです。

たとえば、夜中に何度も目が覚めたり、わずかな物音で起きてしまったりと、朝になっても十分に眠れた感じがしない場合があります。

4. 日中の活動量が減りやすい

年を重ねると、退職や外出機会の減少によって、日中の活動量が減りがちです。体を動かす機会が少ないと適度な疲労感が得られず、夜になっても自然な眠気が起こりにくくなります。

さらに、長すぎる昼寝や夕方以降の仮眠は、夜の寝つきを悪くする原因となります。活動量と休息のバランスを見直すことが、質の高い睡眠への近道です。

加齢以外に考えられる眠れない原因

加齢による自然な変化だけでなく、身体の不調や環境も睡眠を悪化させることがあります。原因を明確にし、適切な対処法を見つけましょう。

1. 頻尿や痛みなどの体の不調

夜中に目が覚めるきっかけが、体の不調にある場合もあります。

たとえば、夜間頻尿、関節痛、腰痛、かゆみ、呼吸のしづらさなどは、睡眠を妨げる大きな要因です。単に「眠れない」と捉えず、体の症状を観察することが大切です。

2. 持病や薬の影響

高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群などの持病や、服用している薬の影響で睡眠が乱れる場合があります。

薬は自己判断で中止せず、不安や気になる点がある場合は医師や薬剤師に相談してください。

3. 更年期やストレス

40代・50代からの不眠には、ホルモンバランスの変化も関わることがあります。更年期のホルモンバランスの乱れや、仕事・家庭でのストレスは自律神経に影響を与えます。

これらが重なると寝つきが悪くなったり、夜中に目覚めたりしやすくなります。心当たりがある場合は、生活習慣の見直しとあわせて、無理のない範囲でストレスを和らげる工夫を取り入れてみましょう。

年齢別に見た睡眠時間の目安

「何時間眠れれば大丈夫なのか」に確実な答えはありませんが、厚生労働省は、年齢に応じた睡眠時間の目安として下記を提示しています。

  • 15歳前後:約8時間
  • 25歳:約7時間
  • 45歳:約6.5時間
  • 65歳:約6時間

しかし、睡眠不足かどうかは、単純な睡眠時間ではなく、日中の調子で判断することが大切です。この目安にこだわりすぎる必要はありません。

判断の目安は、起床時の疲労感、午前中の眠気、日中の集中力、長い昼寝の有無などです。日中の活動に支障がなければ、ご自身にとって適切な睡眠時間である可能性があります。

年を取って眠れないときに見直したい生活習慣

加齢による変化は止められませんが、生活習慣を整えることで眠りやすい状態に近づけられます。ここでは、今日から改善できる生活習慣を紹介します。

1. 朝の光を浴びて体内時計を整える

朝に太陽の光を浴びることで、睡眠と覚醒のリズムを整えやすくなります。具体的には、起床後にカーテンを開ける、朝の散歩をするなど、生活に光を取り入れましょう。

 

※出典:厚生労働省 e-健康づくりネット(健康日本21アクション支援システム)「快眠と生活習慣」

2. 昼寝は短めにして夕方以降は避ける

昼寝は30分未満にとどめ、夕方以降は避けるのがおすすめです。長すぎる昼寝や夕方以降の仮眠は、夜の寝つきを悪くする場合があるため注意が必要です。

 

眠気が強いときは、午後の早い時間に短い昼寝を取り入れるとよいでしょう。夜の睡眠への影響を見ながら、自分に合う長さに調整してみてください。

3. 寝る前のスマホやカフェインを控える

就寝前のスマホ、強い光、カフェイン、アルコールなどが睡眠の質に影響します。寝る前の1時間をリラックス時間に変える意識で、心身を休める工夫をしましょう。

 

具体的には、部屋を暗めにして、スマホの使用を控えます。カフェインやアルコール摂取は睡眠を妨げるため、夕方以降はなるべく控えましょう。

4. 寝室環境と寝具を見直して眠りやすい状態を作る

室温、湿度、明るさ、音、寝具のフィット感など、環境要因も大切です。なかでも布団の中の温度や湿度は、寝心地に影響しやすいといわれています。

 

寝具内の環境は、温度は33℃前後、湿度は50%程度の状態がよいとされています。一方で、厳密に調整せずとも、快適であることを目安に決めれば、あまり問題ありません。

 

※出典:厚生労働省 e-健康づくりネット(健康日本21アクション支援システム)「快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」

受診を検討したほうがよい眠れない症状

セルフケアで改善しない場合は、睡眠外来などでの相談を検討しましょう。ここでは受診の目安になる2つのサインを解説します。

1. 日中の眠気や生活への支障が強い

睡眠時間の長短だけでなく、日中の状態にも着目しましょう。十分に寝たはずなのに午前中から眠い、運転や作業中に眠くなる、強い疲労感が続くといった場合は受診の目安となります。

2. いびきや無呼吸など別の睡眠障害が疑われる

大きないびきをかいている、寝ている時に呼吸が止まっている、起床時の頭痛があるといった場合は、睡眠時無呼吸症候群などの疾患が隠れている可能性があります。このような場合には、自己判断せずに受診を検討しましょう。

年を取ると眠れなくなる理由を知り、自分に合う睡眠習慣を整えよう

加齢により睡眠時間が短くなり、眠りが浅くなるのは歳を重ねることで起こる自然な変化です。しかし、生活習慣や身体要因が不眠を悪化させていることも少なくありません。

まずは、起床リズム、寝る前の習慣、寝室環境を見直すことから始めてみてください。症状が続く場合や、日中に強い支障がある場合は、無理をせず睡眠外来を含む医療機関への相談も検討しましょう。ご自身の睡眠の問題を見極め、自分に合った快眠習慣を整えていきましょう。

こちらもおすすめ

【医師監修】寝ながらできる腰痛ストレッチで痛みをやわらげる方法

記事を読む

【医師監修】夜間熱中症とは?寝ている間の危険サインと今日からできる対策

記事を読む

【医師監修】寝る前に水を飲むのは良いことか 量とタイミングを睡眠の質から解説

記事を読む