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監修者
石川 恭子
コアラマットレス®︎のショールームで、お客様が「運命のマットレス」に巡り合えるようお手伝いしているカリスマコンシェルジュ。お客様の眠りの悩みに耳を傾ける中で、今すぐ活用できる睡眠の知識を届けたいと上級睡眠健康指導士の資格を取得。コアラ®︎のマットレスを通じて、毎日眠ることが待ち遠しくなるワクワク感を提供したい。
「寝る前に水を飲んだほうがいい」という話を耳にする一方で、「夜中にトイレで起きるのが心配」「翌朝に顔がむくみそう」と迷うことはありませんか。コアラマットレスの上級睡眠健康指導士である石川も、以前は「飲まないほうが眠りやすいのでは」と思い込み、就寝前の水分補給をほとんどしていなかった時期がありました。ところが、朝起きるたびに口の渇きや重だるさを感じることが続き、改めて睡眠中の水分について調べ直したことがあります。
私たちの体は就寝中も汗や呼吸を通じて水分を放出し続けており、まったく飲まなくても飲みすぎても、どちらにしても不安な側面があります。
本記事では、上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の石川が、寝る前の水分補給について、量・タイミング・飲み物の選び方を一次情報に基づいて整理しました。睡眠の質と体への負担のバランスを上手に取れるよう、自分に合った判断基準を見つけていただければと思います。
寝る前に水を飲むのが大切な理由
まず前提として、寝る前の水分補給には大切な役割があります。それは、睡眠中に私たちの体が「無意識のうちに水分を失い続けている」からです。
たとえ喉の渇きを感じていなくても、体内の水分は刻一刻と減っているというメカニズムを正しく理解すると、健康を維持するための調整として必要な習慣であることが分かります。
睡眠中は汗と呼吸で水分が失われる
私たちは眠っている間も、生命を維持するためにエネルギーを使っています。その過程で、発汗や呼気(吐く息)によって、かなりの量の水分が体外へ排出されます。
大塚製薬佐賀栄養製品研究所 が行った実測のデータによると、約8時間の睡眠で失われる水分量は、室温29℃の条件でおよそ500mlにも達するとされています。※1
コップ2杯分以上の水分が失われる計算になるため、寝る前にまったく水分を摂らない状態だと、朝には体の中がカラカラになってしまう可能性が高いです。
起床時のだるさや乾燥感につながることがある
睡眠中に水分が不足すると、起床時にさまざまな不快感としてあらわれやすくなります。朝起きた時に口の中がひどく乾いていたり、喉に違和感を覚えたりするのは、体内の水分が足りていないサインの一つです。
また、軽い脱水状態は血流の低下を招き、目覚めの悪さや頭がぼんやりする感覚、あるいは全身のだるさを引き起こす一因にもなり得ます。朝のコンディションを整えるためにも、就寝前の適切な水分補給は重要です。
寝る前の水分補給はどれくらいが目安か
メリットを重視してたくさん飲めば、今度は夜中のトイレが心配になります。
適切な量は一律ではありませんが、体質や体調に合わせて調整するための目安が存在します。
基本は少量をゆっくり飲む考え方でよい
水分補給の基本は、一気にたくさん流し込むのではなく、少量をゆっくりと体になじませることです。具体的には、コップ半分から1杯程度(100〜200ml)を目安にするのが一般的です。
一度に大量の水を飲むと、体が一度に処理しきれず、そのまま尿として排出されやすくなります。夕食後から寝るまでの数時間をかけて、少しずつ喉を潤すように意識すると、胃腸への負担も抑えながら効率よく水分を蓄えられます。
飲みすぎると夜中のトイレで目が覚めやすい
一方で、健康に良いからといって過剰に飲むことは禁物です。日本泌尿器科学会でも指摘されている通り、過剰な水分摂取は「夜間頻尿(夜中に何度も尿意で目が覚めること)」の直接的な原因になります。※4
夜中に目が覚めてしまうと、睡眠のリズムが崩れてしまい、睡眠の質が低下してしまいます。特に加齢とともに膀胱の機能や水分の処理能力は変化するため、夜中のトイレが気になる場合は量を少し減らして調整してみてください。
関連記事:寝る前の白湯で睡眠の質が変わる?効果的な飲み方と温度・タイミングを解説
飲むタイミングはいつがよいか
理想的なのは、眠りにつく準備を整える過程で、自然に水分を摂ることです。タイミングを少し工夫するだけで、睡眠を妨げるリスクを減らすことができます。
寝る直前より少し前を意識すると続けやすい
寝る直前に冷たい水を勢いよく飲むと、内臓が刺激されて目が冴えてしまうことがあります。また、横になる直前の飲水は、逆流性食道炎のリスクがある方や、すぐに尿意を感じやすい方にとって負担になる場合があります。
そのため、就寝の30分から1時間ほど前までに水分補給を済ませておくのがおすすめです。歯磨きをする前や、リラックスタイムの読書中などに少しずつ飲むようにすると、習慣化しやすく、体も落ち着いた状態で眠りに入れるでしょう。
入浴後から起床時までの流れで考えるとわかりやすい
水分補給は「点」ではなく「線」で捉えるとうまくいきます。厚生労働省が推進する「健康のため水を飲もう」運動では、入浴後や就寝前、そして起床時の飲水が推奨されています※2。
まず、体温が上がり水分も失われているお風呂上がりにしっかり水分補給します。その後、寝る前に喉を潤す程度の調整を行い、朝起きたら失った分を補うためにまた1杯飲む。このように入浴から起床までの流れをセットで考えることで、過度な体の負担を抑え、飲みすぎを防ぐことができます。
寝る前に向いている飲み物と避けたい飲み物
何を飲むかによっても、睡眠の質は大きく左右されます。水分であれば何でも良いわけではなく、中には安眠を妨げてしまう成分を含んだ飲み物もあるため注意が必要です。
基本は常温の水か白湯が取り入れやすい
寝る前に最も適しているのは、余計な成分が含まれていない「水」です。特に、冷蔵庫でキンキンに冷やした水よりも、常温の水や白湯(一度沸騰させて冷ましたお湯)が推奨されます。
冷たすぎる水は胃腸を刺激し、体温を下げすぎてしまう可能性があるため避けましょう。常温や白湯であれば優しく水分を補給できます。特に白湯は、内臓をじんわり温めて副交感神経を優位にしてくれるため、リラックス効果も期待できます。
カフェインやアルコールは睡眠を妨げやすい
一方で、寝る前に避けたいのがカフェインやアルコールを含む飲み物です。厚生労働省の睡眠指針によると、就寝前3〜4時間以内のカフェイン摂取は、入眠を妨げたり睡眠を浅くしたりするだけでなく、強い利尿作用によって夜中に目が覚める原因になります。※3
また、アルコールは眠りを浅くし、夜間の脱水を助長させる性質があります。「水代わりにビールや緑茶を飲む」のは水分補給の観点からは逆効果になるため、寝る前はカフェインレスの麦茶や水、白湯を選びましょう。
こんな人は寝る前の飲み方に注意が必要
自分の体質に合わせた調整の考え方が必要な場合について見ていきましょう。
夜中に何度も起きる人は飲み方を見直す
すでに夜間頻尿に悩んでいる方は、寝る前の水分摂取を控えめにする必要があります。日本泌尿器科学会のガイドラインでも、水分の過剰摂取が夜間尿量を増やすことが示されています。※5
日中にしっかり水分を摂るように心がけ、夕食後から寝るまでの間は「喉の渇きを癒やす程度」に留めてください。水分を制限しすぎて脱水になるのは危険ですが、睡眠の質を守るために、自分なりの適量を見極める姿勢も大切です。
高齢者や体調に不安がある人は一律で考えない
高齢の方や、心疾患・腎機能に不安がある方は、水分の摂り方についてより慎重な判断が求められます。加齢に伴い夜間の尿量が増えやすくなる生理的な変化があるため、「寝る前に必ずコップ1杯飲む」というルールが負担になることもあります※5。
脳梗塞や心筋梗塞の予防のために、無理をしてまで夜間に水分を摂るべきという明確な医学的根拠は十分ではありません。※6
持病がある場合や、極端な頻尿に悩まされている場合は、自己判断で量を増やさず、かかりつけの医師に相談することをおすすめします。
寝る前の水分補給でよくある疑問
最後に、寝る前の飲水に関してよく聞かれる不安や疑問についてお答えします。
寝る前にたくさん飲めば健康によいわけではない
「水をたくさん飲めば血液がサラサラになって脳梗塞が予防できる」といった説を信じて、頑張って多量に飲む方がいますが、これには注意が必要です。※6
確かに脱水は健康リスクを高めますが、必要以上に飲みすぎても尿として排出されるだけで、かえって心臓や腎臓に負担をかけたり、睡眠不足を招いたりします。大切なのは「過不足のない適量」を毎日続けることです。
むくみやすい人も完全に避けるよりバランスが大切
「寝る前に水を飲むと顔がむくむから嫌だ」という声もよく聞きます。しかし、むくみの主な原因は水そのものよりも、夕食での塩分の摂りすぎや、日中の運動不足、血行不良であることが多いです。
むくみを恐れて水分を完全に断つと、体は逆に水分を溜め込もうとする性質があります。塩分の多い食事を控えた上で、コップ1杯程度の常温の水をゆっくり飲むのであれば、翌朝のひどいむくみに直結することは少ないため、バランスを意識してみてください。
まとめ:寝る前の水は適量とタイミングを意識すれば取り入れやすい
寝る前の水分補給は、睡眠中に失われる水分を補い、健やかな目覚めをサポートするために有効な習慣です。しかし、それは「適切な量」と「適切なタイミング」を守ってこそ、その効果を発揮します。
量はコップ半分から1杯程度を目安にして、寝る直前よりも30分から1時間ほど前にゆっくり飲むのが理想です。カフェインやアルコールを避け、水や白湯を選びましょう。夜中のトイレが気になる場合は、無理に飲まず日中の摂取量で調整してください。
まずは今夜、コップ1杯の常温の水をゆっくり飲むことから始めてみてはいかがでしょうか。
・参考
※1 睡眠中の水分損失量について | 大塚製薬(ポカリスエット)
※2 健康のため水を飲もう推進運動(入浴後・起床時の水分補給) | 厚生労働省
※3 睡眠指針(就寝前のカフェイン摂取への注意) | 厚生労働省
※4 夜間頻尿について | 日本泌尿器科学会
※5 夜間頻尿診療ガイドライン第2版(水分過剰摂取と高齢者) | 日本泌尿器科学会
※6 寝る前の飲水と脳梗塞予防に関する情報 | オムロン ヘルスケア










