夏バテと睡眠不足の関係は?暑い夜の寝室環境と眠り方を解説
睡眠コラム by 松本 恭2026年8月25日読了目安時間: 7

夏バテと睡眠不足の関係は?暑い夜の寝室環境と眠り方を解説

松本 恭
コピーライター / 上級睡眠健康指導士

「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。

厳しい暑さが続く夏の夜、なかなか寝付けずに何度も寝返りを打ったり、しっかり寝たはずなのに朝から身体が重く倦怠感が抜けなかったりする経験はありませんか。私自身も以前、猛暑日にエアコンの冷えを気にしてタイマーを切って寝たところ、夜中に何度も目が覚めてしまい、翌日は日中の強い眠気と頭痛で仕事にまったく集中できなかった苦い経験があります。

夏場によく耳にする夏バテと暑さによる睡眠不足は、単に重なるだけでなく、お互いの症状を悪化させ合う悪循環に陥りやすい関係にあります。室内温度や湿度のコントロール、からだに負担をかけない寝具の工夫、そして朝夜の生活リズムを少し整えるだけで、夏の睡眠の質は大きく変わり、日中のだるさも軽減されていきます。

本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の松本が、夏バテと睡眠不足が引き起こす相互影響から、今日から実践できる最適な寝室環境の作り方、生活習慣の整え方、さらに注意すべき熱中症のサインや受診の目安まで分かりやすく解説していきます。

夏バテと睡眠不足はどう関係する?

夏バテという言葉は医学的な病名ではなく、夏にみられるだるさや疲労感、食欲の低下などをまとめて指す一般的な呼び方です。一方で睡眠不足は、それ自体が日中の眠気や疲労に加えて、頭痛などの心身の不調、情動の不安定さ、注意力や判断力の低下による作業効率の低下を招くことがわかっています。※1

つまり、夏バテだと感じている不調の中身に、睡眠不足による症状が混ざっている可能性があります。

そもそも夏は眠りにくい季節です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によれば、睡眠時間には季節による変動があり、夏季は冬季に比べて10分から40分ほど睡眠時間が短くなることが示されています。夏は寝つきや眠りの持続がほかの季節よりも難しく、日の長さに加えて高温で多湿な寝室環境も一因と考えられています。※1。

実生活下の調査でも、夏に寝室の室温が上がると睡眠時間が短くなり、睡眠効率が低下することが報告されていました。※1

関係は逆方向にも働きます。環境省の「熱中症環境保健マニュアル2022」は、睡眠時間が4時間と短い場合や、普段より1.5時間程度短くなっただけの場合でも、翌日に運動をすると体温が高くなり、汗の量も増えて体温調節機能が低下するため、熱中症のリスクを高くする可能性があると明記されています。※2

暑さが眠りを削り、削られた眠りが暑さへの弱さを生むという循環になっているわけです。この輪を断つ入り口が、寝室の環境づくりです。

夏の睡眠不足を防ぐ寝室環境の整え方

夏に睡眠時間を確保するうえで最初に手をつけたいのは、暑さを我慢しないことです。人が眠るためには体の内部の温度である深部体温を下げる必要がありますが、高温多湿な環境ではその放熱が妨げられ、体温調節を優先するために覚醒が増えてしまうのです。※2

寝室の温度と湿度、そして風の当て方という3つの視点で、寝室環境の整え方を見ていきましょう。

1. エアコンで寝室を涼しく保つ

睡眠ガイド2023は、夏の寝室はエアコンを用いて涼しく維持することが重要だとしています。※1

さらに環境省も、快適に眠れる室温の上限は28℃と言われ、寝具での調節は困難なため冷房を使用する必要があると説明しています。※2

暑い夜は、暑すぎず寒すぎないと感じる温度まで室温を下げてかまいません。

ここで注意したいのは、クールビズで呼びかけられている「室温28℃」はあくまで目安であり、エアコンの設定温度のことではないということです※2

設定温度を28℃にしても室内が必ずしも28℃になるとは限らないため、そのような場合は設定温度をさらに下げるといいようです。温湿度計を寝室に置いて実際の室温を確認しましょう。とくに、暑さを感じにくくなる高齢者は、皮膚感覚ではなく温湿度計での確認が推奨されています。※2

エアコンのタイマー設定も注意が必要です。夏は夜間でも外気温が高いため、家の断熱環境などによってはタイマーが切れたあとに室温が上がってしまいます。タイマーは少なくとも3時間から4時間は使用しましょう。※2

途中で目が覚めてしまう場合は、弱めの設定で朝まで使う方法も選択肢のひとつです。ただし室温が24℃を下回ると、寝室以外の場所との温度差が大きくなって部屋を出入りする際に体への負担が大きくなるため、体調や住まいの条件に合わせて調整してください。※2

2. 風が体に直接当たらないよう調整する

冷房を使うと冷えが気になるという方も多いのですが、そこで冷房を切ってしまうと元の暑さに戻ってしまいます。環境省は、エアコンの冷気流に直接当たり続けると体が過度に冷えてしまうため、冷気が直接体に当たらないように風向きを調整するよう説明しています。※2

調整の手段は温度設定だけではありません。暑く感じるときにはエアコンの風量を強くしたり、扇風機を一緒に使ったりすると、同じ温度でもより涼しく感じられるとされています。風がどうしても気になる場合は、扇風機の風を壁や天井に当てて、跳ね返った気流を利用しましょう。※2

熱い空気は上に、冷たい空気は下にたまりやすいため、温度ムラが生じないようにエアコンのルーバーを動かす、扇風機やサーキュレーターで空気を循環させるといった方法で解消しましょう。※2

冷えが気になるときも、冷房を切るのではなく風向きと風量、そして寝衣や掛け寝具の側で調整する考えが適切です。

3. 湿気がこもるときは除湿・送風を使う

室温を下げても蒸し暑さが残るときは、湿度が原因になっている可能性があります。汗は皮膚の表面で蒸発するときに熱を奪いますが、湿度が高い日や風が弱くて皮膚表面に気流が届かない条件では汗が蒸発しにくく、汗の量そのものも多くなります。※2

その結果、体の熱が逃げにくくなり、寝苦しさにつながるのです。

環境省は、室温と併せて部屋の湿度を下げることも重要だとしています。※2

エアコンの冷房運転は室温を下げながら除湿もするため、真夏の蒸し暑い日や、梅雨時のように気温が低くて湿度が高い場合は除湿機能を使うと、室温を下げすぎずに除湿できます。※2

単体の除湿機をエアコンと併用することも有効とされていますので、寝室の条件に合わせて使い分けてください。湿度も特定の数値が全員に最適というものではなく、室温と体感を合わせて調整する姿勢が現実的です。

関連記事:上級睡眠健康指導士監修|夏の夜に暑くて寝れないときの原因と対策について解説!

夏の眠りを支える寝具・パジャマの選び方

環境省が述べているとおり、暑さは寝具での調節が困難であり、寝具は冷房の代わりにはなりません。※2

涼感をうたう寝具に買い替えても、寝室が暑いままでは眠りにくさは変わりません。寝具の役割は、冷房で寝室を涼しくしたうえで、体と布団のあいだにできる寝床内に熱と湿気をためにくくすることにあります。

掛け寝具は、室温と冷房の使い方に合わせて選びます。日本ふとん協会は、夏には熱がこもらず、吸湿性や放湿性、透湿性のよいふとんが向くとしており、室温が25℃以上のときの組み合わせとして綿毛布かタオルケット、または夏掛けふとんをあげています。※3

冷房を効かせている寝室では薄い掛け寝具でも十分に感じられますので、実際の室温を確認しながら厚みを決めましょう

肌に直接触れるシーツやパジャマは、素材の性質が体感を左右します。綿は濡れても弱くならず、洗濯や漂白がしやすいことから、下着やシーツなど肌と直接触れる用途、汗を吸うことが求められる用途に適しています。麻は吸湿性に優れ、肌に触れたときに涼しく感じられるため、夏用の服地やシーツなど清涼感が求められる用途に使われます。※4

夏の寝具は汗を吸う機会が多く洗う回数も増えますので、肌触りや吸湿性に加えて洗いやすさと乾きやすさも選ぶ基準に入れておくと、清潔な状態を保ちやすいでしょう。

夏の睡眠リズムを整える生活習慣

寝室環境を整えても、眠る時刻と起きる時刻が大きく乱れていては必要な睡眠時間を確保できません。睡眠ガイド2023では、成人ではおおよそ6時間から8時間が適正な睡眠時間と考えられ、少なくとも6時間以上の睡眠が推奨されています。※1

夏も朝と夜のリズムを保つことが土台になります。

1. 朝は決まった時刻に起きて光を浴びる

まず見直したいのは起床時刻です。休日を含めて起きる時刻のずれを小さくし、目が覚めたらカーテンを開けて朝の光を部屋に取り入れてください。※5

起床後に朝日の強い光を浴びることで体内時計はリセットされ、睡眠と覚醒のリズムが整い、脳の覚醒度が上昇します。また、日中に光を多く浴びることには、夜間のメラトニン分泌量を増やし、就寝時の速やかな入眠につながるという働きもあります。※1

ただし、夏の日中に長時間外へ出ることは熱中症の危険を伴いますので、無理に炎天下で過ごす必要はありません。朝の比較的涼しい時間帯に光を取り入れ、日中は窓際で過ごすなど無理のない範囲にとどめるほうが安全です。

そして、休日の寝だめで取り返そうとするのも避けましょう。平日の日中の眠気は完全には解消できず、メリットは極めて限定的です。※1

2. 入浴は就寝の1〜2時間前を目安にする

次に見直したいのが入浴の時刻です。就寝前の入浴は手足の血管を広げて入浴後の熱放散を促すと考えられており、実生活下で行われた研究からも、就寝の約1時間から2時間前に入浴した場合、しなかった場合と比べて速やかな入眠が得られることが報告されています。※1

深部体温が下がり始めるタイミングと寝床に入るタイミングを合わせる考え方です。

湯温や入浴時間は一律に決める必要はありません。むしろ極端に湯温が高いと交感神経の活動が高まり、かえって入眠を妨げる可能性があるため注意しましょう。※1

なお、入浴時や睡眠時にも発汗していますから、入浴の前後と起床時には水分を摂るようにしてください。また、体調が悪いときや脱水が疑われるときは、長時間の入浴を避けましょう。入浴で夏バテや自律神経の不調が治るわけではありませんので、あくまで寝つきを助ける習慣として捉えてください。

3. 就寝前はスマホ・カフェイン・飲酒を控える

最後に、寝る前の過ごし方です。就寝の約2時間前から眠りを促すメラトニンの分泌が始まりますが、それ以降に照明やスマートフォンの強い光を浴びると分泌が抑制され、睡眠と覚醒のリズムが遅れて入眠が妨げられることが報告されています。寝室にスマートフォンやタブレットを持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながります。※1

カフェインの影響には個人差があり、日本人の血中半減期は3時間から7時間とばらつきがあります。夕方以降に100mg以上を摂取すると入眠困難や中途覚醒の増加が生じるとされ、1日の合計量も400mgを超えないよう推奨されています。麦茶やそば茶などカフェインを含まない飲み物に置き換えるのもいいかもしれません。

寝つきをよくするためのお酒もできればやめましょう。アルコールは一時的に寝つきを促進して睡眠前半の深い睡眠を増やしますが、睡眠後半の眠りの質は顕著に悪化し、飲酒量が増えるほど中途覚醒の回数が増加します。※1

夏は汗で水分を失いやすい時期ですが、アルコールは尿の量を増やして体内の水分を排泄してしまうため、水分補給の手段として適していません。

すべてを同時にやめる必要はありませんので、取り組みやすいものから1つずつ見直すところから始めてください。

関連記事:上級睡眠健康指導士監修|夏用寝具について解説!涼しい素材選びからおすすめアイテムまで

寝てもだるい・日中眠いときの対処法

環境も習慣も整えたのに、それでも日中がつらいという場合は、現状を数字で把握することから始めます。まずは就寝時刻と起床時刻を数日分記録し、6時間以上の睡眠時間を確保できているか、夜中に何度も目覚めていないかを確認してください。※1

厚生労働省が公開している睡眠チェックシートを使うと、自分の睡眠を振り返る手がかりになります。※6

日中に強い眠気があるあいだは、安全の確保を最優先にしてください。良い睡眠は、労働災害や自動車事故など眠気や疲労が原因の事故や怪我のリスクを下げることに役立ちます。裏を返せば、眠気を抱えたままの運転や高所作業は危険だということです。

睡眠不足ながらどうしても乗り切る必要があるときは、午後の早い時間に短い仮眠をとりましょう。e-ヘルスネットでは、午後の眠気対策としての昼寝は15分程度の長さで十分とされています。※5

また、長い昼寝や頻回の昼寝は夜間の睡眠の質の低下と関連することも報告されています。※1

ただし仮眠は一時的な対処であり、慢性的な睡眠不足を解消するものではありません。休日に長く寝ることで帳尻を合わせようとするのではなく、休日に長時間の睡眠が必要な状態そのものが、平日の睡眠時間が不足しているサインだと受け止めて、平日の就寝時刻を少しずつ前倒ししていきましょう。※1

それでも十分に眠ってだるさや強い眠気が続く場合は、夏バテだけでなく睡眠障害などの可能性も考えてください。

夏バテや睡眠不足と決めつけず受診したい症状

ここまでは眠りを整える話でしたが、最後に線引きをお伝えします。暑い環境で過ごしたあとに、頭痛、吐き気や嘔吐、強い倦怠感や脱力感が出ている場合は、夏バテや寝不足と決めつけず熱中症を疑ってください。環境省のマニュアルでは、中等症に分類される熱疲労の症状として全身の倦怠感や脱力、頭痛、吐き気、嘔吐、下痢などがあげられています。※7

熱中症の重症度は、日本救急医学会の分類にもとづいてⅠ度からⅢ度に分けられています。Ⅰ度は現場での応急処置で対応できる軽症、Ⅱ度は病院への搬送を必要とする中等症、Ⅲ度は入院して集中治療が必要な重症です。※7

つまり、頭痛や吐き気、倦怠感が出ている時点で、我慢して様子を見る段階ではありません。

対応の手順も把握しておくと便利です。まず涼しい場所へ移して衣服をゆるめ、体を冷やしながら水分と塩分を補給します。そのうえで、最初から症状が強い場合、嘔吐や吐き気で水分補給ができない場合、応急処置をしても症状がよくならない場合は、すみやかに医療機関へ搬送します

呼びかけへの反応がおかしい、意識がない、けいれんしているという状態であれば、迷わず119番へ連絡してください。反応が悪いときに無理に水を飲ませてはいけない点も覚えておきたいところです。※8

日中の眠気は珍しいものではなく、この1か月間に週3回以上日中の眠気を感じた人は34.8%にのぼりますが、その原因は睡眠不足だけではありません。※9

睡眠の質が低下する睡眠障害、持病の治療薬の副作用、うつ病などの精神疾患が背景にあることもあります。必要な睡眠時間を確保しても強い眠気が続き、居眠りで仕事や学業に支障が出ている場合は、睡眠障害を専門とする医療機関で検査と治療を受けることが大切です。※9

まとめ:夏の睡眠不足は寝室環境と生活習慣から整えよう

夏バテと睡眠不足は別のものですが、切り離せない関係にあります。暑さと湿気が放熱を妨げて眠りを削り、削られた眠りが翌日の体温調節機能を低下させて熱中症のリスクを高める可能性があるという悪循環が起きているからです。夏に睡眠時間が短くなり、寝つきや眠りの持続が難しくなることは、季節による変動としても確認されています※1。

だからこそ、手をつける順番は寝室環境が先です。エアコンで寝室を涼しく保ち、温湿度計で実際の室温を確かめ、風が直接当たらないように向きと風量を調整し、蒸し暑いときは除湿を使ってください。そのうえで掛け寝具やシーツを季節に合わせ、朝の光、入浴の時刻、就寝前のスマートフォンやカフェイン、お酒を見直していきましょう。寝具はあくまで寝床内を快適に保つためのものであり、冷房の代わりにはならないという前提は忘れないでください※2。

そして、暑い環境で過ごしたあとの頭痛や吐き気、強い倦怠感は熱中症を疑うべき症状です。十分に眠っても強い眠気や疲れが続くときは、ひとりで抱え込まずに医師へ相談してください。

今夜の寝室を1℃涼しくするところから、夏の疲れの循環を断ち切っていきましょう。

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・参考

※1 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省
※2 熱中症環境保健マニュアル2022 Ⅲ 熱中症を防ぐためには | 環境省
※3 ふとんの選び方 | 一般財団法人 日本ふとん協会
※4 植物繊維 | 一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)
※5 快眠と生活習慣 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
※6 睡眠チェックシート | 厚生労働省
※7 熱中症環境保健マニュアル2022 Ⅱ 熱中症になったときには | 環境省
※8 熱中症環境保健マニュアル2022 Ⅱ-3 熱中症を疑ったときには何をするべきか | 環境省
※9 昼間の眠気 | e-ヘルスネット(厚生労働省)