睡眠コラム by 松本 恭•2026年9月26日•読了目安時間: 5 分

急に汗が吹き出るのは自律神経の乱れ?原因別の対処法と受診目安

「暑くもないのに、急に汗が吹き出て止まらない」
「人前に立つと、手のひらや脇が汗でびっしょりになる」
「自律神経の乱れなのか、何かの病気なのか判断がつかない」

急激な発汗や冷や汗には、自律神経が深く関わっています。ただし、急に汗が出ただけでは、自律神経の乱れが原因とは断定できません。

症状によっては、更年期や多汗症、甲状腺の病気、低血糖などが隠れていることがあります。

この記事では、急に汗が吹き出る5つの原因と対処法、医療機関へ相談したい目安などを解説します。

強い胸痛や息苦しさをともなう場合など、セルフケアを続けてはいけないケースもまとめました。最後まで記事を読み、発汗の原因を確かめてください。

急に汗が吹き出ることと自律神経の関係

発汗自体は「交感神経」という自律神経の一種が、体温調整をしようとしたときに起こる生理現象です。汗をかくきっかけは、主に以下の3種類に分けられます。※1

  • 温熱性発汗:暑さや運動で体温が上がったときに出る汗
  • 精神性発汗:緊張や不安、痛みなどの精神的な負荷で出る汗
  • 味覚性発汗:辛いものなど、食事によって出る汗

つまり、急に汗が出たからといって、それだけで自律神経の乱れとは判断できません。たとえば、激しい運動のあとに汗が吹き出るのは、体温を下げようとする体の正常な働きです。

問題なのは、汗の量や頻度が日常生活に支障をきたしているケースと、発汗以外の別の症状をともなうケースです。まずは、自分の発汗がどのタイプに当てはまるかを把握しましょう。

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急に汗が吹き出る主な原因

急に汗が吹き出る主な原因は、以下の5つに分けられます。

  1. 暑さや運動による体温調節
  2. 緊張や不安による精神性発汗
  3. 更年期のホットフラッシュ
  4. 原発性・続発性の多汗症
  5. 甲状腺の病気や低血糖など

1. 暑さや運動による体温調節

気温や湿度が高いとき、運動をしたときに汗が出るのは、上がった体温を下げるための正常な反応です。

ただし、大量の発汗に次の症状が重なる場合は、熱中症を疑ってください。※2

  • めまいや頭痛
  • 立ちくらみや吐き気
  • 強い倦怠感
  • 筋肉のこむら返り

とくに、体が熱いのにもかかわらず汗が出ないときは注意が必要です。熱中症を放置すると、重篤な後遺症や多臓器不全などによる死亡につながることがあります。

暑い環境で体調が悪くなったときは、様子を見ずに応急処置をし、救急車を呼びましょう。

2. 緊張や不安による精神性発汗

緊張や不安によって汗が出るのは「精神性発汗」によるものです。

精神性発汗が出やすいのは、以下の4ヶ所となります。※1

  • 手のひら
  • 足の裏
  • 脇
  • 頭部・顔面

いずれも、汗が目立ちやすい部位です。体温が低い状況で出る場合は、一般に「冷や汗」と呼ばれます。

精神性発汗と、生活に支障が出る多汗症は分けて考えてください。緊張したときだけ手に汗をかくのか、何もしていないときにも大量に出るのかで区別しましょう。

3. 更年期のホットフラッシュ

更年期には、顔や上半身が急に熱くなるほてりやのぼせ、発汗が起こることがあります。

更年期障害の主な症状の種類は、次の3つです。※3

症状の種類 具体的な症状
体温に関する症状 ・ほてり
・のぼせ
・ホットフラッシュ
・発汗
肉体的な症状 ・めまい
・動悸
・頭痛
・肩こり
・冷え
・疲労感
精神的な症状 ・気分が落ち込む
・イライラする
・眠れない

日本人女性の平均閉経年齢は50歳前後で、更年期はその前後5年ずつを合わせた10年ほどの時期です。発汗のほかに、からだやこころの症状も繰り返しているなら、更年期の可能性があります。※3

なお、冷えとほてりが同時に出る状態については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:冷えのぼせとは?同時に起こる理由とセルフチェック、対策を紹介

4. 原発性・続発性の多汗症

多汗症は、必要以上の発汗によって日常生活に支障が生じる状態です。原因の有無によって、明らかな原因のない原発性多汗症と、病気や薬が背景にある続発性多汗症に分けられます。※1

原発性局所多汗症は、頭部・顔面、手のひら、足の裏、脇に大量の発汗が起こり、日常生活に支障をきたす症状です。

一方、続発性多汗症の場合、次のような原因が潜んでいることもあります。※1

  • 感染症
  • 悪性腫瘍(がん)
  • 内分泌・代謝の病気
  • 神経系の病気
  • 薬の副作用

なお、日本皮膚科学会「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」の調査では、調査対象の12.8%が原発性多汗症でした。※1

多汗症自体は、珍しいものではありません。

「緊張すると汗が出るかどうか」だけで判断せず、部位や頻度、生活への影響を確認してください。

5. 甲状腺の病気や低血糖など

バセドウ病などの甲状腺の病気では、特徴的な症状とともに発汗量が増えます。

日本内分泌学会は、バセドウ病の症状として以下のものを挙げています。※4

  • 動悸
  • 体重減少
  • 指の震え
  • 暑がり
  • 汗かき

バセドウ病で汗が吹き出るのは、甲状腺ホルモンが過剰になって代謝が高まり、交感神経が活発になるためです。※4

同じ甲状腺の病気でも、機能が低下するタイプでは汗が減ることがあります。

また、糖尿病の治療でインスリン注射や飲み薬を使っている方は、低血糖による急な発汗に注意してください。血糖値がおよそ70mg/dL以下になると、発汗や動悸、手の震えといった症状が現れやすくなります。※5

ただし、低血糖は、血糖値を下げる薬を使っている方に起こりうる副作用です。※5

糖尿病の治療を受けていない方に起こることはまれである点を押さえておきましょう。

急な発汗で確認したいこと

急な発汗で困っている方は、まず原因を絞り込むために、以下の内容をチェックしてみてください。

  • 暑い場所にいたか、運動や食事の直後だったか
  • 緊張する場面だったか
  • 全身に出たか、手・脇・顔など一部だったか
  • 左右で同じように出たか
  • 夜間に寝具がぬれるほど汗をかくか
  • 動悸、胸痛、吐き気、発熱、体重減少、手の震えをともなうか
  • 服用中の薬があるか

多汗症の疑いがある方は、局所的に過剰な発汗が続いていることに加えて、次の6項目のうち2項目以上に当てはまるかを見ます。※1

  • 発症が25歳以下である
  • 左右対称性に発汗がみられる
  • 睡眠中は発汗が止まっている
  • 週に1回以上の多汗のエピソードがある
  • 家族歴がある
  • それらにより日常生活に支障をきたす

とくに「睡眠中は発汗が止まっているか」は、自分でも確認しやすい項目です。眠っている間も寝具がぬれるほど汗をかく場合は、多汗症以外の原因を探る手がかりになります。

医療機関で相談する際は、上記2つの内容を記録しておくと、スムーズな受診が可能です。

急に汗が吹き出たときの対処法

急に汗が吹き出たときは、以下の4つの対処法を試してみてください。

  1. 暑い場所では涼しい環境へ移動する
  2. 緊張による汗は呼吸を整えてその場を離れる
  3. 糖尿病治療中は指示された低血糖時の対応を行う
  4. 衣服や制汗剤で汗による不快感を減らす

1. 暑い場所では涼しい環境へ移動する

暑い環境で大量に汗が出て体調が悪いときは、風通しのよい日陰やクーラーの効いた屋内へ移動してください。

移動したら衣服をゆるめ、体を冷やします。環境省のガイドでは、前頚部の両側、脇の下、脚の付け根に冷たいものを広く当てて、皮膚のすぐ下を流れる血液を冷やす方法が推奨されています。※2

水分補給は、自分で飲めるうちに行いましょう。大量に汗をかいたときは、水よりも塩分が補える経口補水液やスポーツドリンクが適しています。

吐き気があって水が飲めないときは、無理に飲まずに速やかに救急車を呼んでください。

2. 緊張による汗は呼吸を整えてその場を離れる

精神性発汗の対策としては、可能であれば一度その場を離れ、ゆっくり息を吐いて落ち着いてください。汗を意識するほど緊張が強まりやすいため、意識を別に向けられる状況をつくりましょう。

ただし、呼吸法で多汗症が治る、発汗が止まるというものではありません。あくまで、その場をしのぐための工夫として使ってください。

汗を人に見られることへの不安が強く、人前に出る場面を避けるようになっているなら、セルフケアだけで抱え込まないほうがよい状態です。生活や仕事に支障が出ている際は、遠慮せずに心療内科などへの相談も視野に入れましょう。

3. 糖尿病治療中は指示された低血糖時の対応を行う

糖尿病の薬やインスリンを使っている場合に急な発汗や冷や汗が現れたときは、可能なら血糖値を測ります。そのうえで、医師からあらかじめ指示されている低血糖時の対応を行ってください。

気をつけたいのは、低血糖で意識がはっきりしない人への対応です。無理にブドウ糖や飲み物を飲ませると、誤嚥や窒息のおそれがあります。

意識がない場合の対応として、ブドウ糖や砂糖を水で溶かして口唇と歯肉の間に塗り付け、すぐに救急車を呼んで医療機関へ行くことが示されています。※5

周囲の人が対応する場面では、飲み物を飲ませることより救急要請を優先してください。

4. 衣服や制汗剤で汗による不快感を減らす

汗によるべたつきや汗染みには、着替えを用意するのが確実な対処法です。脇や背中に汗をかきやすい方は、替えのインナーや汗取りパッドを持ち歩き、通気性のよい服を選んでみてください。

市販の制汗剤を使う場合は、使用できる部位と使用方法を確認しましょう。肌に合わないものを選ぶと、肌荒れや発疹の原因となります。

注意点として、これらは汗による不快感を減らす工夫であり、多汗症や背景にある病気を治療するものではありません。

不快感への対策を続けても困りごとが減らない方は、原因への直接的な対処も考えましょう。

生活習慣を整えると急な汗は治る?

睡眠不足や不規則な生活を見直すことは健康管理に役立ちますが、それだけで急な発汗や多汗症が治るとは限りません。

生活習慣の見直しは、体調全般を整えるための土台と考えてください。汗そのものを止める方法として期待しすぎると、受診が必要な症状を見逃す危険性があります。

睡眠や休養が十分でも発汗が続く方は生活習慣の問題だけと考えず、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。

急な発汗で医療機関へ相談したい目安

汗によって日常生活に支障が出ているなら、医療機関に相談が必要です。多汗症の重症度は、次の4段階で評価されます。※1

  1. 発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
  2. 発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
  3. 発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
  4. 発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある

3と4に当てはまる方は、重度の多汗症の疑いがあります。※1 汗で衣服や書類がぬれる、人との交流や仕事を避けるといった状態の方は、皮膚科へ相談しましょう。

また、発汗の随伴症状によって、相談先は変わります。

症状・状態 相談先
・強い胸痛や胸の圧迫感
・息苦しさ
・強い吐き気
・意識の異常
すぐに救急要請
・動悸
・体重減少
・手の震え
・暑がり
内科や内分泌内科
ほてりや月経周期の変化 婦人科
発汗そのものが生活の支障になっている 皮膚科

迷ったときは、汗が出た状況と随伴症状を伝えられるよう記録を持って受診するのがおすすめです。

まとめ:急に汗が吹き出る原因を切り分けて相談先を決めよう

急に汗が吹き出る背景には、暑さや緊張のような一時的なものから、多汗症や病気によるものまで幅があります。そのため、急な汗だけで「自律神経の乱れ」とは判断できません。

まずは、以下の5つを書き出してみてください。原因が絞り込めれば、相談先も決まります。

  • 汗が出たときの環境
  • 出た部位
  • 左右差の有無
  • 頻度
  • 随伴症状

ただし、胸痛や息苦しさ、意識の異常をともなう場合は、ためらわず救急要請してください。

なお、寝汗で寝床が蒸れて目が覚める場合は、寝具の通気性を見直すのも一つの方法です。コアラマットレス公式サイトの対象商品には120日間のトライアル制度があるので、汗をかいた夜の蒸れ方を、自宅でじっくり確かめられます。

・参考

※1 日本皮膚科学会「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」
※2 環境省「
熱中症環境保健マニュアル」
※3 公益社団法人日本産科婦人科学会「
更年期障害」
※4 一般社団法人日本内分泌学会「
バセドウ病」
※5 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「
低血糖」