こんにちは♪ Koalaの八木です。
「夜はちゃんと7時間寝ているのに、なぜか昼すぎになると強烈な眠気が来る」「ランチの後ではなく、もっと早く、午後1時すぎから集中力がガクッと落ちる」──この時期、そんな感覚に心当たりはありませんか。
新生活の疲れやコーヒー不足のせいだと片付けがちですが、5月特有の理由があります。それが、1日の寒暖差です。
実は、夜の睡眠ではなく日中の眠気を直撃するのが寒暖差の特徴で、原因は寝不足ではなく自律神経の使いすぎ。この記事では、なぜ昼すぎに眠気が来るのか、そして寝具と寝室で何ができるのかを、医学的根拠とあわせて解説していきます。
目次
寒暖差7℃のラインを超えると、自律神経が「働きすぎ」になる
複数の医療機関が共通して指摘しているのが、寒暖差7℃というラインです。
NsPace(家族介護者向けの医療情報メディア)は、寒暖差疲労について気温差によって身体の機能を調節する自律神経が働きすぎてエネルギーを消費してしまうために起こる症状で、1日の最高気温と最低気温の差が7度以上ある日や、前日との気温差が7度以上ある日に症状が現れやすいと説明しています。
5月の関東を見てみると、最低気温が12℃、最高気温が25℃という日が珍しくありません。この差は13℃で、目安の7℃を大幅に上回っています。つまり、今のあなたの体は、毎日「自律神経の使いすぎ」が起きやすい環境にいるということです。
なぜ「翌日の昼すぎ」に眠気が来るのか?
自律神経には、活動時に働く交感神経と、休息時に働く副交感神経があります。気温が下がると交感神経が血管を収縮させて熱を逃さないようにし、気温が上がると副交感神経が血管を拡張させて発汗で熱を逃します。
問題は、この切り替えが1日に何度も急激に行われると、自律神経そのものが疲弊することです。NsPaceは交感神経と副交感神経が急激に切り替わると臓器に負担がかかるため、ゆっくりと切り替えなければならないが、寒暖差が大きい日はこの自律神経の働きが1日の中で何度も急激に切り替わるため、臓器に大きな負担がかかって不調を誘発すると説明しています。
しかも、気象病・天気痛研究の第一人者である佐藤純医師の動物実験では、7度の気温低下はラットの交感神経を興奮させることが明らかになった(佐藤純、2015)と報告されており、気温差が交感神経の過剰な活動を起こし、自律神経のバランスに影響することが示唆されているとされています。
つまり、寒暖差が大きい日は、知らないうちに交感神経が興奮しっぱなしの状態になっています。その結果、夜ベッドに入っても「なんとなく寝つきが浅い」「夢をたくさん見る」「明け方に目が覚める」といった、本人が気づかないレベルの睡眠の質低下が起こります。
夜の睡眠時間としては7時間取れているのに、質的には5時間分くらいの回復しかできていない──このギャップが、翌日の昼すぎに「強い眠気」として表面化するのです。
ランチ後の眠気と区別するポイントは、時間帯です。一般的な食後の眠気は食事後30分〜1時間でピークを迎えますが、寒暖差由来の眠気は午後1時〜3時の間に「だるさ+頭の重さ+眠気」がセットで来る傾向があります。
自分が寒暖差疲労かどうかをチェックする
花王のヘルスケアナビでは、医師監修の寒暖差疲労チェックシートとして、暑さや寒さに弱い、冷暖房が苦手、顔がほてりやすい、ひとりだけ寒く感じるといった項目が並び、10項目のうち3つ以上当てはまれば可能性あり、4〜6個なら中くらい、7個以上なら症状が強いと考えられると紹介しています。
加えて、解説ではトリプル寒暖差として、同じ日の朝と昼の気温差が7℃以上あるとき、前日と今日あるいは週ごとの気温の変化、室内と外の温度差(冷房の効いた部屋と暑い屋外など)、この3つが重なると自律神経に負担がかかり寒暖差疲労を起こしやすくなると注意を呼びかけています。5月から6月にかけてはまさにこの3つが重なりやすい時期です。
寝室と寝具でできる3つの対策
医療機関での治療や生活習慣の改善は別記事に譲るとして、ここではKoalaらしく「寝具と寝室でできること」に絞ってお伝えします。
1つ目は、寝床内温度を33℃前後に保つこと
寒暖差疲労で乱れた自律神経を回復させるには、睡眠中に体温調節のストレスをかけないことが鍵になります。厚生労働省の睡眠指針2014では、許容室温範囲は13〜29℃と、より低温側に広く、その中でも実生活では夏では高め、冬では低めとなるが、結果として寝床内で身体近傍の温度が33℃前後になっていれば、睡眠の質的低下はみられないと考えられていると示されています。
5月は朝晩の冷え込みと日中の暑さの差が大きいため、夜10時にちょうどよかった布団が、明け方には寒すぎる──ということが起きがちです。対策としては、薄手の肌掛け布団とタオルケットを重ね、暑くなったらタオルケットだけにできる「分割できる組み合わせ」にしておくことが有効です。
2つ目は、寝る前の自律神経をリセットする入浴
就寝約1.5時間前に入浴することでよりよい睡眠状態を確保でき、冷却枕を使うことは体温調節に有効という話は皆さんも聞いたことがあるかもしれません。
ぬるめの湯(38〜40℃)に15分ほど浸かると、いったん上がった深部体温が90分かけてゆっくり下がっていきます。この下降タイミングで自然な眠気が訪れます。寒暖差で交感神経が興奮した状態のままベッドに入るより、入浴で副交感神経のスイッチを意図的に入れたほうが、深い睡眠に入りやすくなります。
3つ目は、20分以内の戦略的な昼寝
それでも昼すぎの眠気が来てしまった日は、無理に我慢せず短時間の仮眠を取るのがおすすめです。20分以内であれば深い睡眠に入らず、起きた後にすっきりします。30分を超えると深い睡眠に入ってしまい、起きた後にかえって頭が重くなるので注意が必要です。
午後3時以降の仮眠は、夜の睡眠に影響するため避けましょう。
ただし、長引くなら別の原因も視野に入れて
3週間以上、毎日のように日中の強い眠気が続く場合は、寒暖差疲労ではなく、別の原因が隠れている可能性もあります。
睡眠時無呼吸症候群、甲状腺機能の低下、貧血、うつ病、過眠症など、医療機関での診断が必要なものが含まれます。「寒暖差のせい」と決めつけずに、長引く場合は内科や睡眠外来への相談を検討してください。
特に、いびきが大きい・朝起きたときに頭痛がある・パートナーから無呼吸を指摘されたことがある、という方は、睡眠時無呼吸症候群の検査を受ける価値があります。
寒暖差疲労による日中の眠気は、季節が落ち着けば自然と解消することがほとんどです。ただし、その「自然と解消するまで」を快適に過ごせるかどうかは、夜の寝床内環境にかかっています。
朝晩のひんやり感と昼の暑さ、両方に対応できる寝具のレイヤーを今のうちに整えておくと、5月後半から梅雨にかけての体調管理がぐっと楽になります。
参考文献
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html
- 国立精神・神経医療研究センター「温度、湿度と睡眠」https://www.ncnp.go.jp/hospital/guide/sleep-column21.html
- NsPace「寒暖差疲労とは?症状・セルフチェック・原因・対処法・予防法」https://www.ns-pace.com/article/category/feature/temperature-fatigue/
- せたがや内科・神経内科クリニック「寒暖差疲労の基本知識」https://setagayanaika.com/blog/1234
- 花王ヘルスケアナビ「寒暖差疲労を治す方法!実は炭酸浴も効果的?症状や自律神経との関係も紹介」https://www.kao.co.jp/health-care/seasonal-care/001/
- 森整形外科「【寒暖差疲労】寒暖差が自律神経に与える影響とは?不調や痛みを軽減する対策も紹介」(佐藤純医師の研究を引用)https://www.moriseikei.or.jp/blog/jiritusinkei-kandansa-hirou/
- アリナミン製薬「寒暖差疲労とは?症状や原因、対策を知って季節に負けない健康な体を目指そう!」https://alinamin-kenko.jp/navi/navi_kizi_temperature-difference-fatigue.html


