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監修者

五藤 良将
千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。
- 免許・資格
医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、スポーツドクター、日本美容内科学会評議員
22時から翌朝2時が睡眠のゴールデンタイム、そんなことを聞いたことはありませんか。遅くまで起きていて、「肌や健康に悪影響が出るかも」と罪悪感を感じたことがある方もいるはずです。仕事や育児で忙しい日々を送っていると、毎日22時に就寝するのは案外難しいものです。
実は、最近の睡眠研究では「22時から翌朝2時がゴールデンタイム」という説は正しくないことが明らかになっています。本当のゴールデンタイムは入眠後90分間であり、いかにこの90分間を上質な時間にするかが重要なのです。
この記事では、最新の睡眠科学に基づいた「真の睡眠ゴールデンタイム」について詳しく解説します。忙しい皆さんが実践できる睡眠の質を高める具体的な方法について知り、美容や健康、アンチエイジング効果を最大限に引き出す睡眠習慣を身につけましょう。
睡眠のゴールデンタイムとは?従来の22時〜2時説を検証

睡眠のゴールデンタイムとは一体何でしょうか?睡眠の効果を最大限に発揮できる時間帯のことです。では、22時から2時という時間には、どのような根拠があったのでしょう。まずは、ゴールデンタイムの定説の背景、見直しの内容について検証しましょう。
睡眠のゴールデンタイム「22時〜2時説」の内容と広まった背景
睡眠のゴールデンタイムとは、「22時から2時の間に眠ることで成長ホルモンが分泌されて、美肌をはじめ健康に良い影響がある」という説です。別名「シンデレラタイム」とも呼ばれ、特に美容業界を中心に広く知れ渡りました。
この説がこれほど浸透した背景には、成長期の子どもは早く寝るべきだという考え方や、かつての日本の生活習慣が関係していると考えられます。多くの人が22時頃に就寝できていた時代には、確かに22時から午前2時にかけて深い睡眠が得られやすかったため、この時間帯が重要であるという考えは感覚的にも納得のいくものとして定着しました。
なぜ22時〜2時説は科学的に正しくないのか
しかしながら、この説は科学的には正確とはいえません。成長ホルモンの分泌は、特定の時刻に決まった量が分泌されるようには行われていないからです。睡眠と成長ホルモンの分泌に関する研究では、成長ホルモンの分泌は、時刻ではなく睡眠の開始と深く結びついているとの結果が報告されています。この研究では、入眠をあえて3時間程度遅らせた場合の成長ホルモンの分泌パターンを比較検討していますが、入眠後に問題なく成長ホルモンが分泌されていることを報告しています。1)
つまり成長ホルモンは、入眠直後のノンレム睡眠(深い睡眠)の段階で多く分泌されるのです。たとえ深夜2時に寝たとしても、その直後にノンレム睡眠(深い睡眠)に入ることができれば、成長ホルモンは十分に分泌されます。
「何時に寝るか」ではなく、「いかに入眠してすぐの睡眠の質を高めるか」が重要であることがわかります。
本当に大切なのは、眠り始めの90分を、どれだけ深く眠れるかです。
睡眠は根性論ではありません。
光、生活習慣、環境を整えれば、忙しい毎日でも“回復できる眠り”はつくれます。
睡眠は、削るものではなく、人生の質を一気に引き上げる最強の自己投資です。
今夜から変えましょう。時計ではなく、「眠りの質」を。
最新研究で判明!本当の睡眠ゴールデンタイムは「入眠後90分」

最新の睡眠研究が示す本当の睡眠のゴールデンタイムは、入眠後最初の90分です。この時間帯は、成長ホルモンの分泌が最も活発になる、非常に重要な時間です。
成長ホルモンが最も分泌される「徐波睡眠」のメカニズム
睡眠は、約90分のサイクルで「ノンレム睡眠(深い睡眠)」と「レム睡眠(浅い睡眠)」を繰り返します。2)入眠直後に訪れるノンレム睡眠は、前半に最も深く、脳と身体を休ませる役割があります。このノンレム睡眠の深い段階は「徐波睡眠(ステージN3)」と呼ばれ、脳波がゆっくりとした大きな波(徐波)になります。
研究によると、成長ホルモンの分泌は、この徐波睡眠が最も深く現れる入眠後最初の90分で、1日の分泌量の大半を占めるとされています。3)睡眠の質が悪いと、この徐波睡眠が十分に得られず、成長ホルモンの分泌が減ってしまいます。
年齢・性別による成長ホルモン分泌量の違い
成長ホルモンの分泌は、年齢や性別によっても異なります。研究データによると若年男性では1日の分泌量の約60〜70%が、若年女性では5割未満が睡眠中に分泌されると報告されています。4)5)
また、成長ホルモンの分泌は思春期にピークを迎え、加齢とともに減少します。特に40代以降になると、分泌量は若年層の半分以下になるとも言われています。しかし、年齢を重ねても、質の良い睡眠を確保することで、成長ホルモンの分泌を効果的に促し、アンチエイジングや疲労回復効果を最大限に引き出せるのです。
メラトニンが作る睡眠リズム:光との関係と分泌タイミング

睡眠の質を高める上で、メラトニンというホルモンは欠かせません。メラトニンは「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、入眠を促し、睡眠リズムを整える重要な役割を担っています。
メラトニンの分泌開始は「朝の光から14-16時間後」
メラトニンは、脳の松果体から分泌されます。その分泌タイミングは、体内時計と外界の光によって調節されています。最新の研究では、メラトニンは「朝の光を浴びてから14〜16時間後に分泌が始まる」とされています。6)
例えば、朝7時に起きて太陽の光を浴びた場合、メラトニンの分泌は21時〜23時頃から始まり、深夜1時〜3時頃にピークを迎えます。このメラトニンの分泌リズムに合わせて就寝することで、スムーズに入眠し、質の高い睡眠を確保できるのです。

夜の光がメラトニン分泌を妨げる理由と対策
夜の強い光は、メラトニンの分泌を抑制し、睡眠を妨げる可能性があります。家庭用照明の数百〜数千ルクスの光でもメラトニン分泌が抑制されることが明らかになっているのです。特にスマートフォンやLED照明に含まれるブルーライトは、メラトニンの分泌を強く抑制し、睡眠の質を大きく低下させる原因となります。
質の高い睡眠を得るためには、寝る1〜2時間前から照明を落とし、寝室を暗く保ちましょう。また、スマートフォンやタブレット端末を寝室に持ち込まないようにすることも推奨されています。7)
日本人の睡眠実態:働き盛り世代のおよそ4割が睡眠不足

厚生労働省が発表した「国民健康・栄養調査」の最新データによると、日本人の睡眠不足がとても深刻な状態であることを示しています。
睡眠6時間未満が4割超の年代も:年代別の睡眠時間データ

厚生労働省 令和5年 国民健康・栄養調査報告より改変
厚生労働省は6時間以上の睡眠時間を確保することを推奨しています。睡眠時間が6時間未満の人は、7時間以上8時間未満の睡眠時間を確保している人と比べて、心筋梗塞、狭心症などの心血管イベントの発生割合が4.95倍に高まるとの報告があり、健康リスクが著しく高くなるためです。8)
睡眠の質を下げる生活習慣:スマホ・ゲームの影響
睡眠の質を下げている要因として、生活習慣も大きく関係しています。令和元年(2019年)の調査によると、20代の4割以上が「就寝前のスマートフォン・ゲーム」が睡眠確保の妨げになっていると回答しています。
その他にも、就寝直前のカフェインやアルコール摂取、適度な運動不足なども、睡眠の質を低下させる要因となります。
質の高い睡眠を実現する方法

成長ホルモンを効果的に分泌させるには、入眠後、最初に訪れるノンレム睡眠(深い睡眠)の質を高めることが重要です。厚生労働省が国民の睡眠の質について示した指針である「健康づくりのための睡眠ガイド2023」や医学的見地から、今日から実践できる具体的な方法を紹介します。
睡眠前の食事制限と運動習慣の重要性
就寝直前の食事は、消化活動のために身体が活発になり、深い睡眠を妨げます。夕食は就寝の約3時間前までに済ませるように心がけましょう。
また、日中に適度な運動を取り入れることも、睡眠の質を高める上で非常に有効です。身体が適度に疲労することで、深いノンレム睡眠に入りやすくなります。ただし、就寝直前の激しい運動は、かえって身体を興奮させてしまうため避けましょう。
理想的な睡眠環境:温度・光・音の調整方法
睡眠の質は、睡眠環境に大きく左右されます。寝室を暗くすることや、騒音対策は良い睡眠のために重要であるとされています。7)
- 温度
WHOによると適温は、夏は25〜28℃、冬は18〜22℃が目安とされていますが、個人差があります。ご自身が最も心地よく感じる温度を見つけることが重要です。エアコンなどを活用して、寝室を最高の環境にすべく、まずは適温を探してみましょう。
温度と湿度と快眠のポイントは、入眠のタイミングで深部体温を1~2℃下げることです。就寝前に手足の皮膚血流が増加し、深部体温が低下し始めると、入眠しやすい状態となります
- 光
寝室はできるだけ暗くしましょう。メラトニンの分泌を妨げるような強い光が入らないように注意してください。月明かりや街灯の灯りなども入らないことが理想的です。就寝前の管理としては、就寝1〜2時間前から暗めの照明にして、ブルーライトを避けるとよいでしょう。
- 音
騒音は睡眠を浅くします。耳栓の活用も有効です。他に、最近では、ホワイトノイズマシン(全ての周波数帯が均等に含まれる雑音:テレビの砂嵐音や換気扇の音など)が有効といわれています。
関連記事:医師監修 | ホワイトノイズとは?その効果と活用方法
体圧分散と温度調整:マットレス選びの重要性
眠りはじめから十分に深く良質な睡眠を実現するには、自分に合った寝具を選ぶことが大切です。特に、マットレスが身体に合っていないと、体への負担と寝苦しさから、寝返りが増えるなどして、睡眠が浅くなります。重視すべきポイントは体圧分散性と通気性です。優れた寝具を選ぶことは、快適な睡眠環境を整える上で非常に重要です。コアラマットレスに採用されているクラウドセルは、優れた体圧分散性と通気性、吸湿性を備えており、常に快適な状態に保ちます。
また、コアラマットレスPLUSなど、体の重みがかかる腰部は適度な硬さに、肩や脚の部分は体圧をやさしく受け止めるよう柔らかめに設計されたマットレスを選ぶのも良質な睡眠に効果的です。
関連ページ:至福の寝心地をもたらすクラウドセル™
関連ページ:コアラマットレスプラス PLUS
まとめ
「特定の時間帯に寝なければならない」と過度に心配する必要はありません。結果的に睡眠時間を確保できないのは問題ですが、最も大切なのは、真のゴールデンタイムである入眠後最初の深い睡眠(ノンレム睡眠)の質を高め、脳と身体の回復を促すことです。質の高い睡眠を確保するためには、メラトニンの分泌を促すための光環境の調整や、就寝前の食事・運動の見直しといった生活習慣の改善に取り組みましょう。
さらに質の高い睡眠を根本から支えるため、身体に合った寝具を選ぶことも大切です。優れた体圧分散性と通気性、温度調整機能を備えたコアラマットレスは、入眠直後から質の高いノンレム睡眠を提供し、あなたの睡眠を劇的に改善します。
コアラマットレスには、120日間のトライアル期間と10年保証が付いており、自宅でじっくり寝心地を試すことができます。ぜひ、自分に合った睡眠習慣と寝具を見つけて、最高の眠りで美と健康をサポートする毎日を送りましょう。
参考
1)Growth hormone secretion during sleep Y. Takahashi, … , D. M. Kipnis, W. H. Daughaday J Clin Invest. 1968;47(9):2079-2090.(https://dm5migu4zj3pb.cloudfront.net/manuscripts/105000/105893/cache/105893.1-20201218131413-covered-e0fd13ba177f913fd3156f593ead4cfd.pdf)
2)厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~
(https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-002)
3)Van Cauter et al. Physiology of growth hormone secretion during sleep. J Pediatr. 1996 May;128(5 Pt 2):S32-7.(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8627466/)
4)Obal F, et al:Sleep Med Rev. 2004;8(5):367-77.
5)Van Cauter E, et al:Principles and Practice of Sleep Medicine. 5th ed. Kryger MH, et al, ed. Saunders, 2011, p291.
6)Neurosci Lett. 2000 Feb 25;280(3):199-202.
7)厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023(https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf)
8)Hamazaki Y, Morikawa Y, Nakamura K,Sakurai M, Miura K, Ishizaki M, Kido T, Naruse Y,
Suwazono Y, Nakagawa H. The effects of sleep duration on the incidence of
cardiovascular events among middle-aged male workers in Japan. Scand J Work,
Environ Health 37: 411-417, 2011.(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21528172/)










