睡眠コラム by 松岡 雄治2026年6月22日読了目安時間: 4

睡眠に効く呼吸法とは?眠れない夜に試したい4-7-8呼吸法について

夜、布団に入ってもなかなか眠れない。明日の予定を考えてしまったり、スマホを閉じても頭が冴えていたり、眠ろうとするほど焦ってしまうことはありませんか。睡眠不足が続くと、日中の集中力や気分にも影響し、「今日こそ早く寝たい」と思うほどプレッシャーになりやすいものです。

そんなときに注目されているのが、寝る前に呼吸を整えるセルフケアです。この記事では、今夜すぐ布団の中で試せる方法として、4秒吸って7秒止め、8秒かけて吐く「4-7-8呼吸法」を中心に、腹式呼吸や深呼吸などのやり方をわかりやすく紹介します。

呼吸をゆっくりと整えることで、心身をリラックスしやすい状態へ導き、緊張感をやわらげることが期待できます。自分に合う呼吸法を見つけ、布団の中で落ち着いて過ごすためのヒントとしてぜひお役立てください。

睡眠呼吸法とは

「睡眠呼吸法」とは、眠る前に呼吸のリズムを整え、心身を休息モードに近づけるセルフケアです。特別な道具は必要なく、布団のなかでそのまま始められます。

呼吸法は、緊張やストレスをやわらげるリラックス法のひとつとして知られています。気持ちが高ぶって寝つけない夜に、試してみるとよいでしょう。

呼吸を整えると眠りやすくなる理由

息をゆっくり吐くことを意識すると、心と体がリラックスしやすくなります。ストレスや緊張を感じているときは、呼吸が浅く速くなりがちです。このような状態では、活動時に働く交感神経が活発になっています。

  • 一方で、息をゆっくり吐くことで、休息時に働く副交感神経が活発になりやすくなると言われています。そのため、体が休息モードへと切り替わり、自然と眠りにつく準備が整いやすくなります。

睡眠呼吸法で期待できること

睡眠呼吸法は、心身をリラックスさせて入眠しやすい状態をつくるためのセルフケアです。過度な効果を期待しすぎないことが大切です。

呼吸法は、不眠症や睡眠時無呼吸症候群のように医学的な治療が必要な症状を治すものではありません。あくまで寝つきを助ける手段のひとつと考えるとよいでしょう。

  • 眠れない状態が続く場合は、無理にセルフケアだけで抱え込まず、必要に応じて医療機関へ相談してください。

眠れない夜に試したい4-7-8呼吸法のやり方

呼吸法として有名なのは「4-7-8呼吸法」です。これは、米国の医師アンドリュー・ワイル博士が提唱したとされています。

4秒吸い、7秒止め、8秒かけて吐くというシンプルな手順で、布団のなかでも実践しやすい点が特徴です。秒数にこだわりすぎると苦しくなったり緊張して逆効果になるため、リラックスして行いましょう。

 

4-7-8呼吸法の実践手順

  1. 肩や顔の力を抜き、仰向けでリラックスする
  2. 口から「シュー」と音を立てて、肺の空気をすべて吐き切る
  3. 口を閉じ、鼻から静かに息を吸いながら「4」まで数える
  4. 息を止め、「7」まで数える
  5. 口から「8」秒かけて、ゆっくりと息を吐き出す
  6. このサイクルを3〜4回を目安に繰り返す

※出典:Andrew Weil, M.D.「Breathing Exercises: 4-7-8 Breath」

4-7-8呼吸法を無理なく続けるコツ

4-7-8呼吸法は、秒数を守ることよりも呼吸の心地よさを優先すると続けやすくなります。無理のない範囲で取り入れることが、リラックスしやすくなります。

 

秒数はあくまで目安です。7秒息を止めるのが苦しければ、3〜4秒に短くしても構いません。吸う時間よりも吐く時間を長くすることを意識すると、リラックスした状態になりやすくなります。

 

なお、めまいや息苦しさを感じた場合は、すぐに中止してください。体調に合わせて回数や秒数を調整しましょう。

4-7-8呼吸法が合いやすい人

この呼吸法は、以下のような状態の方に特におすすめです。

 

  • 寝る前になると、明日の予定や考え事が止まらなくなる人
  • 緊張や不安から、知らず知らずのうちに呼吸が浅くなっている人
  • 寝る直前までスマホを見ていて、頭が冴えてしまっている人

 

考え事や緊張で呼吸が浅くなりがちな夜に試してみるとよいでしょう。

4-7-8呼吸法以外の睡眠に役立つ呼吸法

4-7-8呼吸法が合わないと感じたら、別のシンプルな呼吸法を試してみてください。ここでは腹式呼吸・深呼吸・鼻呼吸の3つを紹介します。

1. 腹式呼吸のやり方

腹式呼吸は、おなかをふくらませたりへこませたりしながら行う呼吸法です。息を止める動作がないため、息止めが苦手な方でも取り組みやすいでしょう。やり方は次のとおりです。

 

  • おなかに手を当てる
  • 鼻からゆっくり息を吸い込んでおなかをふくらませる
  • おなかをへこませながら口から細く長く息を吐き出す

また、息を吸う時間よりも吐く時間を長めにすると、よりリラックスしやすくなります。

2. 深呼吸のやり方

秒数を数えるのが面倒に感じる夜におすすめのシンプルな方法です。

 

  • 鼻から大きく吸い、口からゆっくり長めに吐き出します。呼吸のリズムを整えることだけを意識し、雑念を吐き出すようなイメージで行うとよいでしょう。

3. 鼻呼吸を意識する方法

鼻呼吸は、睡眠中の口呼吸やいびきが気になる方におすすめの方法です。寝る前の呼吸を、意識的に口ではなく鼻から行います。

 

  • 鼻から吸うと、吸い込む空気が加湿され、喉の乾燥もやわらげやすくなるとされています。まずは寝る前のひと呼吸から意識してみましょう。

呼吸法を試しても眠れない時の対処法

呼吸法を試しても眠れない夜は、焦る必要はありません。眠れないのに無理に寝床で頑張り続けることは、かえって不眠を助長する可能性があります。

1. 眠ろうと焦らない

「早く眠らなければ」と焦るほど、脳は覚醒してしまいます。呼吸法は眠るための義務ではなく、体を休めるための手段のひとつと考えましょう。

  • 秒数を数えることにとらわれず、吐く息に意識を向けるだけでも十分です。うまくいかない夜があっても、自分を責める必要はありません。

2. 眠れない時はいったん寝床を離れる

20〜30分たっても眠れないときは、布団から出て寝室を離れるのもひとつの方法です。眠れないまま布団で粘ると、脳が寝床を「眠れない場所」と認識し、寝つきがさらに悪くなることがあります。

  • 寝室以外の部屋に移動したら、照明を暗めにして静かな環境で読書をしたり、軽いストレッチをしたりしてリラックスしましょう。眠気を感じてきたら、もう一度寝床に戻ると寝つきやすくなります。

3. 不眠が続く時は専門家に相談する

セルフケアを続けても眠れない状態が改善しない場合は、一人で抱え込まず専門家に相談しましょう。治療が必要な睡眠障害が隠れている場合があり、医療機関での対応が必要になることもあります。

特に次のような状態が続くときは、睡眠外来などの受診を検討してください。

 

  • 長期間眠れない、日中の生活に支障がある
  • 大きないびきや息苦しさがある

呼吸法と一緒に見直したい寝る前の習慣

呼吸法をより活かすには、寝る前の習慣もあわせて整えるとよいでしょう。生活全体を少しずつ調整することが、心地よい眠りにつながります。

特に、寝る前は次のような刺激を控えめにするのがおすすめです。

 

  • スマートフォン:強い光や情報の刺激が頭を冴えさせる
  • カフェイン:敏感な人は就寝の5〜6時間前から控える
  • 消化の悪い夜食:胃腸が働き続け、寝つきを妨げる

 

また、寝室の温度や明るさ、寝具の快適さも睡眠の質を左右します。マットレスや枕などの寝具を見直すことも、睡眠環境を整える有効な方法のひとつです。

※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

睡眠呼吸法に関するよくある質問

睡眠呼吸法を実践する上で、よく質問される内容に回答します。

Q1. 4-7-8呼吸法はどのくらいからやりすぎ?

息苦しさやめまい、不快感を感じたら、それは「やりすぎ」のサインです。

 

無理のない回数から始め、体調に合わせて調整しましょう。心地よく続けられる範囲が、自分に合った目安になります。

Q2. 睡眠呼吸法のアプリは使った方がいい?

秒数をカウントしてくれるアプリは便利ですが、必須ではありません。

 

寝る前にスマートフォンの画面を見ると目が冴えてしまうことがあります。音声のみを利用するか、画面を暗くして使うとよいでしょう。気楽にリラックスして行うことが大切です。

Q3. 米軍式睡眠法や自衛隊式睡眠法と何が違う?

米軍式や自衛隊式と呼ばれる睡眠法は、呼吸法に加え、筋肉をゆるめる動作や、心を落ち着かせる情景を思い浮かべるといった手順も組み合わせている点が特徴です。これは、短時間で眠りにつくことを目指したリラックス法といえるでしょう。

 

一方で、この記事で紹介した睡眠呼吸法は、その中でも呼吸に注目した方法です。全身を使う手順が含まれていないため、初めての方でも布団の中で手軽に実践できます。

 

呼吸法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

【医師監修】睡眠の質を劇的に改善する呼吸法5選!今夜から実践できる入眠テクニック

睡眠呼吸法は眠れない夜のセルフケアとして無理なく試そう

睡眠呼吸法は、4-7-8呼吸法や腹式呼吸など、自分に合う方法を選ぶことでリラックスした状態を導きやすくなります。

呼吸法を試しても眠れない場合は、焦らず一度寝床を離れることも大切です。眠れないまま寝床にいると、頭が寝床を眠れない場所だと理解してしまうこともあります。

睡眠環境や寝る前の習慣も見直しながら、不眠が続くようであれば、無理をせず専門家に相談しましょう。ご自身のペースで、心地よい眠りのための時間をつくっていきましょう。

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