寝言で叫ぶのは病気のサイン?原因と今すぐできる5つの対処法
睡眠コラム by Koala Sleep Japan2025年12月31日読了目安時間: 7

【医師監修】寝言で叫ぶのは病気のサイン?原因と今すぐできる5つの対処法

本多 洋介
Myクリニック本多内科医院院長

群馬大学医学部卒業。
伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院(いずれも循環器内科)を経て、Myクリニック本多内科医院院長。

  • 免許・資格

総合内科専門医、循環器内科専門医、日本心血管インターベンション学会専門医、軽カテーテル的大動脈弁植え込み術指導医(Sapienシリーズ、Evolutシリーズ)

夜中に突然「助けて」「やめろ」と叫ぶ声が聞こえて、思わず飛び起きた経験はありませんか。実は私自身、家族の寝言で何度も目を覚まし、「本人は覚えていないのに、こちらは一晩中落ち着かない」という状況を経験しました。最初は疲れているだけだろうと考えていましたが、頻度が増えるにつれて「これって病気のサインなのでは」と不安になったのを覚えています。

寝言で叫ぶ症状は、ストレスや睡眠不足といった身近な原因から、治療が必要な睡眠障害まで幅広い背景があります。この記事では、「寝言で叫ぶのは病気なのか」という疑問に答えながら、原因の見分け方と今すぐできる対処法、そして医療機関を受診すべきタイミングまでを、家族目線の不安にも寄り添いながらわかりやすく解説します。

本記事では、上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の松本が、寝言で叫ぶ原因を整理しながら、今すぐ実践できる対策と、医療機関を受診すべき目安をわかりやすく解説します。ご本人とご家族が、少しでも安心して眠れる夜を取り戻すためのヒントをお伝えします。

寝言で叫ぶ3つの主な原因と見分け方

寝言で叫ぶ3つの主な原因と見分け方

寝言で叫ぶ症状が見られる場合、すべてが同じ原因で起こっているわけではありません。一時的な体調や環境の影響によるものもあれば、医学的な評価が必要な睡眠障害が隠れていることもあります。そのため、まずは原因ごとの特徴を理解し、自分や家族の状態がどれに近いのかを整理することが重要です。

ここでは、医学的データをもとに代表的な3つの原因を解説します。

1. ストレス・睡眠不足による一時的な寝言

もっとも身近な原因が、ストレスや睡眠不足による一時的な寝言です。厚生労働省の国民健康・栄養調査では、日本人成人の約25%が慢性的な不眠を抱えていると報告されており、多くの人が十分な睡眠を確保できていない現状が示されています。※1 仕事や人間関係のプレッシャー、生活リズムの乱れが続くと、脳が十分に休息できず、夢の内容が寝言として表に出やすくなります。

このタイプの寝言は、繁忙期や睡眠時間が短い状態が続いたあとに出やすく、生活習慣を整えることで自然に改善するケースが多い傾向があります。叫ぶような声が出ることはあっても、激しい体動を伴うことは少なく、毎晩続くわけではない点が見分ける目安になります。

2. レム睡眠行動障害による病的な寝言

一方で、注意が必要なのがレム睡眠行動障害です。通常、レム睡眠中は筋肉の緊張が抑えられ、夢を見ていても体は動かない仕組みになっています。しかし、この障害ではその抑制がうまく働かず、夢の内容に一致した行動や発声が現れます。大声で叫ぶ寝言や、手足を振り回す、起き上がるといった行動が見られるのが特徴です。

日本人では高齢者を中心に約0.3〜0.5%にみられ、平均発症年齢は50代前半とされています。※2 特に男性に多く、就寝中に本人や同床者がけがをするケースも報告されています。

さらに重要なのは、レム睡眠行動障害がパーキンソン病やレビー小体型認知症など、神経変性疾患の前兆として出現することがある点です。そのため、叫ぶ寝言と体動が繰り返し見られる場合は、単なる寝言と判断せず、専門的な評価を受けることが勧められます。

3. 睡眠時無呼吸症候群に伴う寝言

いびきが大きく、呼吸が止まるような様子とともに、苦しそうな寝言や叫び声が出る場合には、睡眠時無呼吸症候群の可能性も考えられます。日本呼吸器学会の解説によると、日本人では成人男性の約3〜7%、女性の約2〜5%にみられるとされ、決して珍しい疾患ではありません。※3

睡眠中に何度も呼吸が止まることで脳が断続的に覚醒し、そのタイミングで叫ぶような声が出ることがあります。この状態が続くと、日中の強い眠気や集中力低下を引き起こし、中等度以上では交通事故などのリスクが高まる可能性もあります。いびきと寝言がセットで続いている場合は、早めに医療機関での検査を検討することが重要です。

寝言で叫ぶ症状を自己チェックする方法としてのRBDSQ-J

寝言で叫ぶ症状を自己チェックする方法としてのRBDSQ-J

寝言で叫ぶ原因を見極める際、日常の様子を振り返るだけでは判断が難しいことがあります。そのようなときに参考になるのが、レム睡眠行動障害のスクリーニングを目的として作成されたRBDSQ-Jという質問票です。RBDSQ-Jは日本語版の自己記入式チェックシートで、睡眠専門医の現場でも広く用いられています。

この質問票は、レム睡眠中に起こりやすい異常行動や発声の有無を本人や同居家族の視点から確認できる点が特徴です。研究報告では、カットオフ値を4.5点とした場合、感度は約89%、特異度は約98%とされており、スクリーニングツールとして非常に高い精度を持つことが示されています。※4

ただし、この結果だけで診断が確定するわけではなく、あくまで「疑いの有無」を見つけるための指標であることを理解しておく必要があります。

RBDSQ-Jに含まれる質問内容と評価の考え方

RBDSQ-Jでは、睡眠中の行動や発声に関する複数の質問に答える形式が採られています。

たとえば、睡眠中に夢の内容に合わせて体を動かしていると指摘された経験があるか、大声で叫んだり、強くうなされたりすることがあるかといった内容が含まれています。これらは、単なる寝言ではなく、夢の内容がそのまま行動として表に出ているかどうかを確認するための重要な視点です。

なかでも、「夢の中の行動を実際に演じているように見えるか」を尋ねる単一質問は、RBD1Qと呼ばれ、感度94%、特異度87%という非常に高い指標を示すことが報告されています。※5

この質問に該当する場合、叫ぶ寝言が偶発的なものではなく、病的な背景を持つ可能性が高まると考えられています。

チェック結果の見方と医療機関を受診する目安

RBDSQ-Jの合計点が4.5点以上となった場合、レム睡眠行動障害の疑いがある状態とされます。さらに6点以上になると、その可能性はより高いと判断される傾向があります。ただし、点数が基準を超えたとしても、それだけで病気と断定されるわけではありません。

この質問票はスクリーニング用であり、確定診断には睡眠ポリグラフ検査などの専門的な検査が必要です。※2 チェック結果が高得点であった場合や、就寝中の行動によって本人や家族が危険を感じる場面がある場合には、早めに睡眠専門医や神経内科へ相談することが安心につながります。

関連記事:【医師監修】寝言の原因を徹底解説!ストレスから病気まで原因別の対策法

本多洋介 医師
本多洋介 医師
寝言で叫ぶ症状でお悩みの方へ。記事で詳しく解説されているように、原因はストレスや睡眠不足による一時的なものから、専門的治療が必要な睡眠障害まで多岐にわたります。
特に注意が必要なのはレム睡眠行動障害です。大声で叫びながら手足を激しく動かす、夢の内容を実際に演じているように見える場合は要注意。特に50歳以降に突然始まった場合、パーキンソン病などの神経変性疾患の前兆として現れることがあります。
RBDSQ-Jという自己チェックツールで4.5点以上なら、睡眠専門医や神経内科への受診をお勧めします。
まずは睡眠環境を整え、規則正しい生活リズムを心がけてください。それでも改善しない場合や、本人・家族がケガをする危険がある場合は、早めの受診が安心につながります。

今すぐ実践できる5つの対処法

今すぐ実践できる5つの対処法

寝言で叫ぶ原因がまだはっきりしない段階でも、日常生活の中で取り組める対処は少なくありません。睡眠の質や心身の緊張状態を整えることで、症状が軽くなるケースも多く報告されています。

ここでは、今日から無理なく取り入れやすい5つの方法を紹介します。

睡眠環境を整えることから始める

睡眠の質は、寝室の環境に大きく左右されます。厚生労働省の睡眠指針では、快適な睡眠環境の目安として室温18〜22℃、湿度40〜60%が示されています。※6

暑すぎたり寒すぎたりすると、眠りが浅くなり、夢の内容が強く意識に残りやすくなります。

また、寝具の影響も見逃せません。体圧を適切に分散できるマットレスを使うことで寝返りが打ちやすくなり、特定の部位に緊張が集中するのを防ぐことができます。体が自然にリラックスできる環境を整えることは、叫ぶ寝言を含む睡眠中の異常な反応を和らげる土台になります。

ストレスをため込まないための工夫をする

ストレスが強い状態では、脳が覚醒しやすくなり、夢の内容も感情的になりがちです。就寝前に気持ちを切り替える時間を設けることで、睡眠中の興奮を抑えやすくなります。深呼吸をゆっくり繰り返したり、ぬるめのお湯にゆったり浸かったりする方法は、副交感神経を優位にし、心身を落ち着かせる効果が期待できます。※7

短い時間でも構わないので、「これをすると落ち着く」と感じられる習慣を毎晩続けることが、結果として寝言の頻度や強さの軽減につながります。

規則正しい睡眠リズムを意識する

日本人は世界的に見ても睡眠時間が短い傾向があり、6時間未満の睡眠が続いている人も少なくありません。睡眠ガイドでは、成人の場合、7〜8時間程度の睡眠を毎日なるべく同じ時間帯に確保することが望ましいとされています。※2

特に重要なのが朝の過ごし方です。起床後に太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜になると自然な眠気が訪れやすくなります。このリズムが整うことで深い睡眠が増え、夢の内容が過剰に表出する状態を防ぎやすくなります。

アルコールやカフェインの摂り方を見直す

アルコールは飲んですぐ眠くなる一方で、睡眠の後半を浅くし、夢を鮮明にする作用があります。その結果、叫ぶような寝言が出やすくなることがあります。カフェインも覚醒作用が強く、就寝前に摂取すると寝つきや睡眠の深さに悪影響を及ぼします。

厚生労働省の資料では、就寝の少なくとも4時間前以降はカフェインを控えることが望ましいとされています。※8

飲み物の選択を少し変えるだけでも、夜間の状態が大きく変わることがあります。

寝室内の安全を確保する意識を持つ

寝言に体の動きが伴う場合には、安全対策も欠かせません。ベッドの周囲に硬い家具や物を置かないようにし、床に物を散らかさないことで、転倒や衝突によるケガのリスクを減らすことができます。

必要に応じてベッドの高さを低くする、角のある家具を離すといった工夫も有効です。これは、レム睡眠行動障害が疑われる場合だけでなく、原因がはっきりしない段階でも取り入れておきたい基本的な対策です。

関連記事:【医師監修】睡眠の質を向上させるための方法8選

医療機関への受診が必要な危険な寝言のサイン

医療機関への受診が必要な危険な寝言のサイン

寝言で叫ぶ症状の多くは、生活習慣の見直しや睡眠環境の改善で落ち着くことがあります。しかし中には、放置することで本人や家族の安全、さらには将来の健康に影響を及ぼす可能性があるケースも存在します。そのため、「様子を見る段階」を超えているサインを見逃さないことが大切です。

受診を検討すべき寝言の特徴

睡眠中に大声で叫ぶだけでなく、手足を激しく動かしたり、殴るような動作や起き上がる行動が繰り返し見られる場合は注意が必要です。こうした行動は、夢の内容に沿った動作が現れるレム睡眠行動障害の典型的な症状であり、本人や同床者がケガをする危険性があると報告されています。※1

また、ほぼ毎晩のように叫ぶ寝言が続く場合や、いびきが非常に大きく、呼吸が止まっているように見える場面がある場合も、専門的な評価が必要です。睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中の無呼吸や低呼吸によって脳が頻繁に覚醒し、その際に苦しそうな寝言や叫び声が出ることがあります。さらに、日中に強い眠気が続き、仕事や運転中に支障を感じるようであれば、早めの受診が勧められます。

加えて、50歳以降になってから急に寝言で叫ぶ症状が始まった場合も重要なサインです。年齢を重ねてから出現する強い寝言や異常行動は、神経疾患の前触れとして現れることがあるため、自己判断で片付けず、医療機関での評価を受けることが安心につながります。

睡眠専門医の選び方と診察の流れ

受診先としては、睡眠外来を設けている医療機関や、睡眠障害を扱う脳神経内科が適しています。日本睡眠学会では、睡眠医療を専門的に行う認定医療機関の一覧を公開しており、自宅や職場の近くで専門医を探す際の目安として活用できます。※3

診察の際には、本人の自覚症状だけでなく、家族や同居者から見た睡眠中の様子を具体的に伝えることが重要です。叫ぶ頻度や時間帯、体の動きの有無、いびきや呼吸停止の指摘があるかどうかなどを整理しておくと、診断の助けになります。必要に応じて、睡眠中の脳波や呼吸、筋電図などを測定する睡眠ポリグラフ検査が行われ、原因に応じた治療や安全対策が検討されます。

まとめ:寝言で叫ぶ症状は早めの気づきが安心につながる

まとめ:寝言で叫ぶ症状は早めの気づきが安心につながる

寝言で叫ぶ症状は、ストレスや睡眠不足による一時的な反応から、治療や管理が必要な睡眠障害まで幅広い背景を持っています。大切なのは、「いつものこと」と放置せず、変化や悪化に気づいた段階で適切に対応することです。

まずは生活習慣や睡眠環境を整えることから始め、それでも改善しない場合や危険なサインが見られる場合には、専門医に相談することが安心への近道になります。質の高い睡眠を守ることは、日中の健康や安全な生活を支える土台でもあります。

<おうちでしっかり納得するまで120日間お試し!>

・参考

※1 健康づくりのための睡眠指針2014 | 厚生労働省
※2 レム睡眠行動障害の概念と神経変性疾患との関連 | 日本神経学会関連総説(J-STAGE)
※3 睡眠時無呼吸症候群 | 日本呼吸器学会 一般向け解説
※4 REM睡眠行動障害の診断,告知,治療 | 日本神経学会誌
※5 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省
※6 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度 実施マニュアル | 厚生労働省
※7 夜、呼吸、いびきが止まると言われました。 | 日本呼吸器学会 FAQ
※8 睡眠医療認定一覧 | 日本睡眠学会