目次
監修者
松本 恭
「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。
何日も眠れない状態が続くと、「このまま寝られなかったらどうなるのか」「病気なのではないか」「仕事や家事に支障が出るのでは」と不安になりますよね。眠れないまま朝を迎える日が重なると、疲労感や集中力の低下、イライラ、頭痛、気分の落ち込みなどを感じやすくなり、さらに「今日も眠れないかも」という緊張が強まることもあります。
しかし、眠れない原因や対処法、受診の目安を知っておけば、必要以上に不安に感じずに済む場合も多いです。
そこで本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の松本が、何日も眠れないと心身にどのような変化が起こるのかを整理したうえで、考えられる原因や日常で試しやすい対処法を紹介します。
何日も眠れないとどうなる?
眠れない夜が1日、2日と重なると、不安が強くなりがちです。まず大切なのは、何日眠れないかという日数だけで状態の深刻さをはかるのではなく、日中にどのような不調が出ているか、生活や仕事にどの程度支障が出ているかを見ることです。
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、不眠症は「夜間の不眠が続くこと」だけでなく、「日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下すること」の2つが認められたときに診断されると説明されています。※1
つまり、睡眠不足によって日中にどのような影響が出ているかが、状態を判断する重要な軸です。まずは、眠れない日が続いたときに現れやすい変化について身体面・心の面・生活への影響の3つに分けて説明します。
1. 体に出やすい変化(疲労感・頭痛・免疫低下など)
眠れない日が続くと、まず多くの人が感じやすいのが疲労感や倦怠感です。睡眠中は体の修復や成長ホルモンの分泌が行われますが、十分な睡眠がとれない状態が続くと、疲れが翌日に持ち越されやすくなります。「いつも以上に体が重い」「何もしていないのに消耗する感覚がある」と感じている場合は、睡眠不足の影響が出ているサインかもしれません。
また、日本睡眠学会の「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」で、不眠に関連する問題として「睡眠不足による緊張・頭痛・胃消化器症状」が明示されているように(※2)、頭痛やめまい、肩や首のこわばり、胃の不調なども、睡眠不足が関係しやすい身体症状のひとつです。
さらに、睡眠不足が続くと免疫機能が低下しやすくなることもわかっています。風邪をひきやすくなった、体の回復が以前より遅い、といった変化を感じる場合は、睡眠の状態が関係している可能性があります。これらの身体的な変化が長く続く場合は、専門機関への相談も視野に入れておくことが大切です。
2. 心に出やすい変化(イライラ・不安・抑うつ傾向)
眠れない日が重なると、身体面だけでなく心にも変化が現れてきます。イライラしやすくなる、些細なことが気になる、気分が落ち込むといった変化は、睡眠不足が続いたときに多くの人が経験しやすいです。「いつもなら流せることで怒ってしまった」「気力がわかない」という感覚は、睡眠不足が感情の調節を妨げている可能性があります。
日本睡眠学会のガイドラインでは、不眠に関連する問題として「気分の障害やいらいら感」「動機づけ・活動性・積極性の減弱」が出やすいようです。※2。
また、不眠が続くことで活力・気分・健康・仕事の効率・生活の質が損なわれるという国立精神・神経医療研究センターの説明も考慮すべきです。※3
さらに厄介なのが、「今日も眠れないかもしれない」という不安がさらに寝つきを悪化させる悪循環です。「眠ろうとするほど目が冴えてしまう」「寝室に入るだけで緊張する」という経験がある方は、この悪循環が始まっているサインかもしれません。
3. 日中の生活に出やすい支障(集中力低下・ミス・事故リスク)
眠れない夜の翌日、日中に強い眠気が来たり、集中力が続かなかったりする経験をしたという方は多いのではないでしょうか。睡眠不足は単なる「眠さ」だけでなく、仕事や日常生活のさまざまな場面に影響を及ぼします。
日本睡眠学会のガイドラインでは、不眠に関連する問題として「社会的・職業的機能低下、学業低下」「仕事のミスや運転中の事故の起こしやすさ」が挙げられています。※2
判断力や注意力が低下した状態で重要な決断をしたり、眠気を感じながら自動車を運転したりすることは、思わぬリスクにつながる可能性があります。家事や育児、勉強など日常の活動にも影響が及び、「やる気が出ない」「ミスが増えた」「いつもの倍時間がかかる」という状態が続くようであれば、睡眠不足による機能低下が起きているサインとして受け止めましょう。早めに対策を始めれば、こうした生活への支障を和らげることにつながります。
関連記事:不眠や睡眠不足が脳に与えるダメージとは?多くの研究でわかった驚きの影響と回復方法
何日も眠れない状態は不眠症なのか
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、不眠症は「夜間の不眠が続くこと」と「日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下すること」の2つが認められたときに診断されます。また、不眠と日中の不調が週3日以上・3カ月以上続く場合は「慢性不眠症」、3カ月未満の場合は「短期不眠症」と判断されるそうです。※1
数日間眠れないことが続くと「もしかして不眠症なのかもしれない」「何日も眠れないと病気ということになるのだろうか」と心配になりますが、不眠症と考えるのは早計です。
国立精神・神経医療研究センターの説明によると、主なものとして入眠困難(寝つきが悪い)、中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)、早朝覚醒(予定より早く目が覚めてしまう)、熟眠障害(眠っても休んだ感じがしない)が挙げられています。これらのうち、複数の症状が重なることも珍しくありません。※3
つまり、「何日眠れていないか」という日数だけでなく、日中の不調や生活への支障があるか、そしてそれが一時的なものか継続しているかを並行して考えることが重要です。数日間の不眠が一時的なストレスや環境の変化によるものであれば、状況が改善すれば自然に戻ることも多いからです。ただし、眠れない状態や日中の不調が長く続いている場合は、専門機関への相談を検討しましょう。
眠れない日が続く主な原因
何日も眠れない状態になる背景には、さまざまな原因が複合的に絡み合っていることが多く、一つに絞ることは難しいケースが少なくありません。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠休養感(朝起きたときに眠れた・休めたと感じられるかどうか)の低下要因として、睡眠不足、日中のストレス、就寝直前の夕食・夜食、朝食抜き、運動不足、糖尿病・高血圧・うつ病などの慢性疾患が挙げられています。※4
多くの人に当てはまりやすい主な原因を3つ説明します。
1. ストレスや不安が大きい
仕事のプレッシャーや人間関係の悩み、家庭内の問題、将来への不安といったストレスは、寝る前に頭が働きすぎてしまい、寝つきを妨げる大きな要因です。「明日の会議が心配」「あのやりとりが気になる」と考えが止まらないまま布団に入り、なかなか眠りにつけないという経験をした方もいるでしょう。
心配ごとが続くほど「眠れなかったこと」自体への不安が加わり、「また今夜も眠れないかもしれない」という緊張感がさらに覚醒を高める悪循環に陥りやすいです。国立精神・神経医療研究センターによると、不眠が長引く要因のひとつとして「睡眠状態の誤認」も関係することが指摘されています。睡眠に対する心配や思い込みが不眠を維持させる側面もあるというわけです。※3
ストレスが不眠の根本にある場合、睡眠の問題だけを切り離して対処しようとしても改善しにくいため、ストレスの原因そのものに向き合うこと、寝る前の緊張を和らげる習慣を組み合わせることが改善につながります。
2. 生活リズムが乱れている
起床時間や就寝時間がバラバラになっている、夜遅い時間に食事をしている、休日に大幅に長く寝ているといった習慣は、体内時計を乱す原因になります。体内時計が乱れると、夜になっても眠くなりにくく、朝になってもすっきり起きられない状態が続きやすいです。
特に就寝前のスマートフォン操作は、多くの人に身近な要因のひとつです。スマートフォンの画面から発せられるブルーライトは、眠気を促すメラトニンの分泌を抑制することが知られているだけでなく、SNSやニュースを見ることで精神的な刺激を受け、頭が冴えた状態になると寝つきに悪影響を与えかねません。
国立精神・神経医療研究センターによると、「床上時間(布団の中にいる時間)のミスマッチ」も不眠を長引かせる要因として挙げられています。※3
眠れないのに長時間布団の中で過ごすことが、かえって「布団に入っても眠れない」というイメージ定着につながってしまうのです。生活のリズムを整えるために、これらの習慣を改善することが重要です。
3. カフェインやアルコールの影響を受けている
コーヒー、緑茶、紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、摂取してから数時間にわたって覚醒作用が続くことが知られています。個人差はありますが、午後3時以降にカフェインを多く摂ると、夜の寝つきに影響する可能性があります。
また、寝酒の習慣がある方も注意が必要です。アルコールは確かに入眠を早める作用がありますが、睡眠の後半に向けて覚醒しやすくなるため、夜中や早朝に目が覚める中途覚醒・早朝覚醒の原因になります。また、毎晩アルコールに頼ることで耐性がつき、量が増えやすくなる側面も懸念材料です。
国立精神・神経医療研究センターによると、カフェイン・ニコチン・アルコールなどの不適切な睡眠習慣が不眠の要因として挙げられており、これらを見直すことが睡眠の改善につながるようです。※3
飲む時間帯を前倒しにする、夜はカフェインを含まない飲み物に変えるといった小さな変化から始めることが、睡眠の質の改善につながるでしょう。
関連記事:不眠症なのに昼寝はできる理由とは?睡眠リズムを整える正しい対処法
眠れないまま朝になった日の過ごし方
「一晩眠れないまま朝を迎えてしまった」「今日は仕事があるのにほとんど寝ていない」という状況は、誰にでも起こり得ます。そのような日は、まず無理をしすぎないことが大切です。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、生活習慣の改善と睡眠休養感の関係が示されており、翌日の過ごし方が次の夜の眠りにも影響することがわかっています。※4
眠れなかった翌日だからこそ、次の夜に向けて体と生活リズムを整えていく行動が重要です。眠れなかった翌日に意識したい2つのポイントを説明します。
1. 昼寝は短時間にとどめる
睡眠不足の翌日、日中に強い眠気を感じるのは自然なことです。短時間の昼寝は疲労の回復や午後のパフォーマンス維持に有効とされています。目安としては15〜20分程度が適切で、これ以上長く眠ると深い睡眠に入ってしまい、夜の睡眠に影響しやすくなります。目覚まし時計をセットして、長く寝過ごさない工夫をしましょう。
また、夕方以降の昼寝は避けてください。夕方に長く眠ってしまうと、夜に眠気が来にくくなり、さらに翌日の睡眠に悪影響を及ぼしかねません。昼寝をする場合は、昼食後の早い時間帯に短くとるよう心がけてください。
眠れなかった翌日は「睡眠を取り戻そう」と長く昼寝したくなるものですが、夜に向けて眠気を温存するという考え方で、適切な長さに抑えましょう。短い昼寝でも、日中の眠気や疲労感を和らげる効果が期待できます。
2. 危険な作業や無理な運転は避ける
睡眠不足の状態では、集中力・判断力・反応速度が著しく低下することが知られています。日本睡眠学会のガイドラインでは、不眠に関連する問題として「仕事のミスや運転中の事故の起こしやすさ」が明示されています。※2
自分では「大丈夫」と感じていても、客観的には判断力が落ちているケースが多いため注意が必要です。
仕事や学校では可能な範囲でこまめに休憩を取り入れ、重要な決断や集中力が必要な作業はスケジュールを調整することが望ましいです。車やバイクの運転は特に注意が必要で、強い眠気がある状態での長距離運転は避けましょう。
「無理をして乗り切ろう」という意識は理解できますが、睡眠不足による判断力の低下は自分が考えている以上に深刻であることが多いです。自分と周囲の安全のために、できる範囲でリスクを減らす判断を優先することが大切です。
眠れないときの対処法
眠れない日が続いているとき、生活の中で取り入れやすい対処法として、手軽に実践できる5つの方法を解説します。
1. 起床時間と朝の光で生活リズムを整える
睡眠改善で最初に取り組みやすいのが、毎日同じ時間に起きることです。眠れなかった翌日でも、できるだけ同じ時間に起きることで体内時計が徐々に整っていきます。就寝時間よりも起床時間を一定にすることの方が、体内時計の調整には効果的です。
起きたらカーテンを開けて朝の光を浴びましょう。光は体内時計のリセットを促し、覚醒を助けるとともに、その後の一定時間後にメラトニンが分泌されるリズムを整えられます。朝食をとることも体内時計の調整に役立つため、起きたら光を浴びて朝食をとるという流れを習慣にしてみてください。
「眠れなかった夜だけを変えようとする」のではなく、起きる時間・光・食事という朝のルーティンから整えていくことが、継続的な睡眠改善につながります。朝の行動の積み重ねが、夜の眠りやすさに直結するということを覚えておいてください。
2. 寝る前はスマホや考えごとから距離を置く
スマートフォンの使用、仕事のメール確認、翌日の準備で頭が忙しい状態のまま布団に入っても、なかなか眠りにつけません。就寝前の1〜2時間は、脳と体をリラックスモードに切り替えていく時間として使いましょう。
ぬるめのお風呂にゆっくりつかる、軽いストレッチをする、読書をする、腹式呼吸を数回行うといった行動も効果的です。自分がリラックスできると感じる行動を就寝前のルーティンにしていくことで、「この行動をしたら眠る時間」という体と心へのサインを作ることができます。
「眠れなかったらどうしよう」という不安が強いときは、あえて「眠れなくても横になっているだけでいい」と気持ちをゆるめてください。眠ろうとする意識が強すぎると覚醒をさらに高めてしまうため、リラックスして布団に入るという意識が寝つきの改善に役立ちます。
3. カフェインとアルコールを見直す
カフェインは摂取してから効果が数時間持続するため、夕方以降のコーヒーや緑茶、紅茶、エナジードリンクは睡眠に影響する可能性があります。個人差はありますが、目安として午後2〜3時以降はカフェインを含む飲み物を控えることが、夜の寝つき改善に有効です。夜はカフェインを含まないハーブティーや白湯などに切り替えてみてください。
寝酒は、眠れない夜の助けに見えて実は逆効果になりやすいです。アルコールは睡眠の後半に向けて覚醒を促す方向に働き、夜中や早朝に目が覚める原因になるだけでなく、習慣になると効果が薄れて量が増えやすくなるという側面もあります。
アルコールやカフェインは一時的に眠れそうな感覚を覚えますが、根本的な睡眠の質改善はできません。飲む時間帯を少しずつ見直すことから始めてみてください。
4. 日中に軽い運動を取り入れる
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、運動不足が睡眠休養感を低下させる要因のひとつとして挙げられており、適度な身体活動を生活に取り入れることの重要性が示されています。※4
体を動かすことで適度な疲労感が生まれ、眠りにつきやすくなるための体のリズムを整えるのに役立ちます。ウォーキングや軽いストレッチ、ラジオ体操程度の運動を毎日継続し、睡眠の改善に役立てましょう。
注意したいのは、寝る直前の激しい運動は逆効果になることがあるという点です。運動によって体温や交感神経活動が高まった状態では、なかなか寝つけません。運動をするなら、就寝の3〜4時間前には終わらせておきましょう。短時間の散歩から始めるだけでも睡眠への効果が期待できます。
5. 寝室の光や音や寝具を整える
寝室の環境を整えることも重要な対処法のひとつです。体が「今は眠る時間だ」と感じやすくなるよう、就寝前は部屋の照明を落とし、明るすぎる光を避けましょう。遮光カーテンを使うと、朝の早い時間に外の光で目が覚めるのを防ぎやすくなります。
音の環境も睡眠に影響します。交通騒音や話し声など気になる音がある場合は、耳栓の使用や、一定のノイズで覆うホワイトノイズを活用してみてください。また、室温と湿度は季節ごとに調整することが大切で、夏は涼しく、冬は過度に乾燥しすぎない環境を保つことが快適な睡眠につながります。
さらに、体に合った寝具(マットレス・枕・掛け布団)を選ぶことも、睡眠の質に直接関わります。長年使ったマットレスが体に合わなくなっている場合や、枕の高さが首に負担をかけている場合は、寝具を見直すことで寝つきや熟睡感が改善されることがあります。
病院に相談したほうがよいサイン
「病院に行くほどのことかな」「もう少し自分で頑張ってみよう」と思いながら、一人で悩みを抱え込んでいる方は少なくないでしょう。不眠は慢性化する前に早めに相談した方が改善しやすいです。
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、不眠症の診断では夜間の不眠だけでなく、日中の不調や生活の質の低下が重要な基準になることが明示されています。※1
また、国立精神・神経医療研究センターによると、不眠が続くことで活力・気分・健康・仕事の効率・生活の質が損なわれると説明されています。※3
以下に当てはまるサインがある場合は、心療内科・精神科・睡眠外来への相談を検討してみてください。
1. 日中の生活に支障が出ている
仕事や学業でのミスが増えた、強い眠気のために作業が進まない、家事や育児がいつものようにこなせない、外出や人と会うことが億劫になった、このような日常生活への明確な支障がある場合は、セルフケアだけで改善を待つよりも、早めに専門家に相談することを検討してください。
無理を続けていると、不調が深刻化するケースもあります。仕事・学業・家事など具体的な活動に影響が出ているかどうかが、受診を検討するひとつの判断基準です。日中の支障は、自分だけで解決しようとせず、専門的なサポートを受けましょう。
2. 強い不安や気分の落ち込みがある
眠れないことへの強い不安感、気分の落ち込みが続く、意欲がわかない、涙もろくなった、食欲が明らかに変化したといった心の変化が、眠れない状態と重なって続いている場合は、不眠そのものだけでなく、心身の不調が複合的に関わっている可能性があります。
この記事は診断や治療の提供を目的とするものではありませんが、問題解消の選択肢の一つとして、心の変化が続く場合は心療内科や精神科への相談を推奨します。一人で抱え込まず、まず相談してみるという一歩を踏み出すことが大切です。
3. 不眠が長引くまたは繰り返している
数日の不眠が一時的なストレスによるもので、状況が改善したら自然に戻ったという経験は珍しくありません。一方で、眠れない状態が数週間にわたって続いている、セルフケアを試しても改善しない、以前も似たような状態が繰り返し起きているという場合は、専門機関への相談を検討する目安になります。
「慢性化する前に相談する」という考え方を持ちましょう。不眠は我慢して乗り切るものではなく、適切にケアできるものだということを覚えておいてください。
日本人の睡眠課題から見る眠れない悩み
「眠れないのは自分だけなのだろうか」と孤独感を感じている方もいるかもしれません。しかし、日本では眠れない悩みを抱えている人は決して少数ではなく、社会全体で重要な健康課題として認識されています。
厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」では、睡眠に関する最新データが公表されており、睡眠の悩みが広く社会に共通する問題であることが示されています。※5
データを通じて「自分だけではない」という視点を持つことは、不安を和らげる助けになるかもしれません。
睡眠で休養がとれていない人は少なくない
厚生労働省の令和6年調査によると、ここ1カ月間、睡眠で休養がとれていると回答した人の割合は79.6%でした。一方、この割合は20〜59歳では73.0%まで低下しており、働き盛りの年代を中心に睡眠で十分に休養できていない人が少なくないことがわかります。※5
つまり、約4〜5人に1人は、睡眠で十分に休養がとれていないと感じている計算になり、多くの人が健康課題として不眠を抱えている状態なのです。
ただし、「みんなそうだから仕方ない」で済ませてしまうのはおすすめできません、自分の状態を放置せず、生活習慣や睡眠環境を少しずつ見直して長期的な健康につなげましょう。
睡眠時間だけでなく休養感も大切
同じ調査では、1日の平均睡眠時間が6時間以上の者(60歳以上では6時間以上8時間未満)の割合が56.0%でした。※5
しかし、何時間眠るかという睡眠時間の長さだけが睡眠の質を決めるわけではありません。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、朝起きたときに眠れた、休めたと感じる「睡眠休養感」の重要性が強調されています。※4
たとえ8時間眠っていても、熟睡感がなかったり、日中に強い眠気や倦怠感があったりする場合は、睡眠の質に課題があるといえますし、逆に6時間程度でも目覚めがよく、日中に支障なく活動できている場合は、必ずしも睡眠不足とは言えません。睡眠時間よりも「朝、休めた感じがするか」「日中、活動できているか」を自分の状態のチェックポイントにするよう習慣づけましょう。
眠れない日が続くときは影響を知り早めに対策しよう
何日も眠れない状態が続くと、疲労感・頭痛・免疫力の低下といった身体症状、イライラや気分の落ち込みといった心の変化、集中力低下や仕事のミスといった生活への支障が起こりやすくなります。ただし、状態の深刻さを判断するには「何日眠れていないか」だけでなく、日中の不調や生活への支障についても見ることが大切です。
眠れない背景には複数の原因が絡み合っていることが多く、一つに絞って対処するよりも、生活全体を見直す視点が有効です。毎朝同じ時間に起きて光を浴びる、就寝前のスマートフォンを控える、カフェインの摂取時間を見直す、日中に軽い運動を取り入れる、寝室の環境を整えるといった方法からできることを実践してみましょう。
ただし、日中の生活に明確な支障が出ている、強い不安や気分の落ち込みが続いている、不眠が長引いたり繰り返したりしているという場合は、心療内科・精神科・睡眠外来への相談を優先してください。
・参考
※1 e-ヘルスネット「不眠症」 | 厚生労働省
※2 睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン | 日本睡眠学会
※3 不眠症 | 国立精神・神経医療研究センター
※4 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省
※5 令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要 | 厚生労働省











