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監修者
松本 恭
「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。
夜更かしをして寝るのが遅くなったにもかかわらず、いつもと変わらない時刻や予定より早く目が覚めてしまい、まだ眠いのに二度寝ができないという経験はありませんか。
睡眠時間が足りていないはずなのに早く目が覚める背景には、就寝時刻ではなく普段の起床時刻に合わせて働く体内時計があります。ほかにもストレスや飲酒、加齢などが関係し、早朝覚醒と呼ばれる不眠の症状や、心身の不調が隠れている場合もあります。
本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の松本が、では、早く目が覚める原因を整理したうえで、その朝に二度寝するか寝床を離れるかの考え方、寝不足のまま迎える1日の過ごし方まで、寝具ブランドのコアラマットレスが解説していきます。
早朝覚醒(早期覚醒)とは?
早く目が覚める状態は、睡眠の分野では早朝覚醒(早期覚醒)と呼ばれています。厚生労働省のポータルサイト『こころの耳』では、朝早く目覚め、再度眠ることができない状態と説明されています。週の半分以上でそのような現象があり、不快を伴うときに症状としてとらえるのだそうです。※1
早朝覚醒は、寝つきの悪さ(入眠障害)や夜中に何度も目が覚める状態(中途覚醒)と並ぶ、不眠症の代表的な症状の一つです。ただし厚生労働省のe-ヘルスネットでは、不眠症について「睡眠の問題があり、そのために日中に倦怠感や意欲低下、集中力低下などの不調が出現する病気」と説明しています。不眠と日中の不調が週に3日以上あり、それが3カ月以上続く場合を慢性不眠症としています。※2
遅く寝た翌朝に一度だけ早く目が覚めたからといって、すぐに不眠症だと考える必要はありません。早い目覚めをくり返しているか、日中の眠気や集中力の低下につながっているか、数日かけて確かめてみましょう。
遅く寝たのに早く目が覚める主な原因
睡眠時間が短いはずの朝に、どうして目が覚めてしまうのでしょうか。背景には、普段の起床時刻に合わせて働く体内時計をはじめ、ストレスや嗜好品、加齢などが関係していると考えられます。早朝覚醒をくり返している場合は、心の不調が関わっている可能性も視野に入れておきたいところです。
早朝覚醒の主な原因を5つに分けて見ていきましょう。
1. 体内時計が普段の起床時刻に合わせて働く
眠りと目覚めのタイミングを整えているのが体内時計です。e-ヘルスネットによると、健康な成人の体内時計の周期は平均すると24時間10分前後で、24時間よりわずかに長いことがわかっています。そのずれは、朝に光を浴びることで毎日調整されています。※3
そのため、目が覚める時刻は、前の晩に何時に寝たかだけで決まるわけではありません。普段ほぼ同じ時刻に起きている生活が続いていると、そのリズムが体に定着し、遅く寝た翌朝でも、いつもの起床時刻が近づくにつれて目が覚めやすくなります。
何時に寝ても同じ時間に起きてしまうと感じる場合、それは意志の弱さではなく、体のリズムが働いている状態だと考えられるのです。
2. ストレスや不安で眠りが浅くなる
体内時計に加えて、心の状態も目覚めやすさを左右します。仕事や家庭の心配ごと、環境の変化などによって強いストレスを感じると、一時的に眠りが浅くなり、明け方に目が覚めることがあります。
国立精神・神経医療研究センターは、不眠が長引く要因の一つとして、眠れないことへの緊張や、睡眠に対するこだわりが強くなることを挙げています。※4
明け方に目が覚めた直後から「あと2時間しか眠れない」と考えはじめ、眠ろうと力を入れるほど頭が冴えてしまうという流れは、多くの方が経験するところです。眠れないこと自体を責めずに受け止めることが、結果として緊張をやわらげることにつながります。
3. アルコールやカフェインが睡眠に影響する
前の晩の飲みものが、明け方の目覚めに関わっていることもあります。厚生労働省の『健康づくりのための睡眠ガイド2023』では、晩酌での深酒や、眠るためにお酒を飲む寝酒は、睡眠の質を悪化させる可能性があると示されています。※5
寝つきがよくなったように感じても、睡眠の後半で目が覚めやすくなるため、遅く寝た日ほど影響が表れやすいです。
カフェインについても、同ガイドで1日の摂取量が400mg(コーヒーで700cc程度)を超えると夜に眠りにくくなる可能性があり、夕方以降の摂取は夜間の睡眠に影響しやすいとされています。※5
夜更かしをした日は、その前に飲んだコーヒーやエナジードリンクの量と時刻も振り返ってみてください。
4. 加齢によって睡眠リズムが朝型になる
年齢による変化も見逃せません。脳波を用いて夜間の睡眠時間を厳密に調べた研究では、15歳前後では約8時間、25歳で約7時間、45歳では約6.5時間、65歳では約6時間というように、成人後は20年ごとに30分程度の割合で夜間に眠れる時間が短くなるという結果が示されました。※5
あわせて、加齢が進むと徐々に早寝早起きの傾向が強まり、朝型化することも報告されており、特に男性で強い傾向が見られるようです。※5
若い頃と同じ時間だけ眠ろうとしても難しくなるため、以前より早く目が覚めること自体は、年齢に伴う自然な変化かもしれません。
5. うつ病などに伴って睡眠が変化する
一方で、心の不調のサインとして早朝覚醒が現れることもあります。『こころの耳』では、早朝覚醒について、特にうつ病では比較的早期からみられる症状でもあると説明されています。※1
また、うつ病で現れる不調として、眠れない・寝つけない・朝早く目が覚めてしまうといった不眠のほか、気分が晴れない抑うつ気分や、普段は楽しめていたテレビや読書などが楽しめない意欲低下、食欲不振、倦怠感などが挙げられています。※6
早朝の目覚めに加えて、こうした状態が数週間にわたって続く場合は、睡眠だけの問題として抱え込まず、かかりつけ医や精神科に相談してください。
関連記事:朝早く目が覚める早朝覚醒に困っているあなたへ・・・二度寝できない原因と対策を徹底解説
早く目が覚めたときの対処法
原因がわかっても、目が覚めてしまった朝をどう過ごすかという問題は残ります。ここで迷いやすいのが、もう一度眠るべきか、思い切って寝床を離れるべきかという判断です。そのときに眠気が残っているかどうかを手がかりとして、対処法を説明します。
1. 眠気が残っている場合は再び眠る
起床予定時刻までまだ時間があり、眠気が残っていてそのまま眠れそうなら、もう一度眠るよう試してみましょう。睡眠時間が不足している朝に無理に起き続けることが、必ずしもよい選択とは限らないからです。
このとき意識したいのは、眠ろうと力を入れすぎないことです。目を閉じて体を休めるくらいの気持ちで過ごしてください。
ただし、普段の起床時刻を大きく過ぎるまで眠ってしまうと、その日の夜に眠気が訪れる時刻も後ろにずれる可能性があります。二度寝をする場合も、いつもの起床時刻から大きくずらさない範囲にとどめておくと、翌日のリズムを保ちやすいです。
2. 眠れない場合は一度寝床を離れる
反対に、眠気が戻らず、眠ろうとするほど焦って目が冴えてくる場合は、寝床にとどまり続けないという選択があります。睡眠ガイド2023では、眠れないときの対応として、いったん床を離れ、寝床以外の静かで暗めの安心感が得られる場所で、眠気が訪れるまで安静に過ごし、しばらくして眠気が訪れてから寝床に戻る方法が紹介されています。※5
朝の強い光には体内時計をリセットして脳の覚醒度を上げる働きがあるため、寝床を離れるときは、照明を明るくしすぎないでください。時刻を何度も確認したり、スマートフォンを長く見たりすることも控えましょう。
早朝覚醒を繰り返さないための対策
その朝をしのぐことができたら、次は同じことをくり返さないための見直しです。ここで大切なのは、眠れなかった分を一度に取り戻そうとしないことです。起床時刻、寝床で過ごす時間、寝酒やカフェイン、そして明け方の寝室環境という4つの点から解説します。
1. 起床時刻を大きくずらさない
遅く寝た日や十分に眠れなかった日でも、起床時刻は普段から大きくずらさないようにします。国立精神・神経医療研究センターによれば、決まった時刻に起床することで、翌日は体が休もうとする力が高まるそうです。※4
朝遅くまで眠って不足分を取り戻そうとするのは、その日の夜に眠気が訪れる時刻も遅れてしまうため避けましょう。睡眠ガイド2023でも、休日の寝だめによって起床時刻が大きく遅れると体内時計が混乱し、時差ボケと同じような状態が生じると指摘されています。※5
毎日を分単位でそろえる必要はありません。休日を含めて、無理のない範囲でリズムを保つことを目指してください。
2. 寝床で過ごす時間を長くしすぎない
起床時刻と合わせて見直したいのが、寝床で過ごしている時間の長さです。睡眠ガイド2023では、身体が必要とする睡眠時間以上に眠りをとろうと床の上で長く過ごすと、寝つくまでに時間がかかり、途中で目が覚める時間や回数が増え、熟眠感が減ることがわかっていると示されています。※5
寝不足を取り戻そうとして普段より早く寝床に入ったり、目が覚めたあとも長くとどまったりすると、眠れない時間が増えて眠りが浅くなることがあります。眠気がないのに早く寝床へ入ることは避け、寝床は眠るための場所として使うという切り分けがおすすめです。
3. 寝酒と夕方以降のカフェインを控える
眠るためのお酒は睡眠の後半に目が覚める原因になり得るため、習慣化しないようにしましょう。すでに毎日の寝酒が続いている場合、急にやめると不眠が生じることもあるため、週単位で徐々に量を減らすか、医療機関で相談しながら進める方法が推奨されています。※5
カフェインについては、量だけでなく飲む時刻も関係します。睡眠ガイド2023では、良質な睡眠を確保する観点から、摂取総量を減らすとともに、夕方以降はカフェインを含む食品や飲料を控えることが推奨されています。コーヒーや紅茶、緑茶、エナジードリンクに代えて、麦茶やそば茶などカフェインを含まない飲みものを選ぶ方法も紹介されていますので、参考にしてみてください。※5
4. 光・音・室温を調整する
生活習慣を整えても早く目が覚める場合は、明け方の寝室環境に目を向けてみてください。睡眠ガイド2023では、寝ている間は低い照度の光でも中途覚醒の時間を増やし、睡眠の効率を下げることが報告されており、できるだけ暗くして寝ることがすすめられています。※5
カーテンの隙間から朝日が差し込む部屋では、遮光性のあるカーテンに替えたり、光が漏れる位置を確認したりするだけでも改善につながります。
音と室温も同じように確かめたい要素です。同ガイドでは、欧州のWHOが夜間の屋外騒音を40dB未満とすることを推奨していると紹介されています。
室温については、夏に寝室の室温が上がると睡眠時間が短くなり睡眠効率が低下するため、エアコンで涼しく保つ用示されていました。冬の場合は、WHOの住環境ガイドラインとして18℃以上に維持することが推奨されているほか、寝具により寝床内が暖かく保たれていれば睡眠への影響は少ないとの考えも示されています。※5
明け方に暑さや寒さで目が覚めることが多い方は、季節や体調に合わせた寝具の見直しもあわせて検討してみてください。通気性や体圧分散に配慮した寝具をお探しの場合は、コアラマットレスの製品も参考になります。
寝不足になった日の過ごし方
環境を整えても、今日という1日は寝不足のまま始まります。日中に強い眠気がある場合は、夕方より前に短い昼寝をとる方法があります。
ただし、睡眠ガイド2023では、日中の長時間の昼寝は夜間の良眠を妨げる原因になりうるため避けて、目覚ましをかけたり同居者に起こしてもらったりといった工夫が有効だとされています。※5
夕方以降に眠ってしまうと、その日の夜の寝つきに影響しますので、早い時間帯に短時間眠る程度にとどめてください。
眠気をカフェインでしのぐ場合も、夕方以降の摂取は控えるようにします。翌日の早朝覚醒につながっては、同じことの繰り返しになってしまうからです。
そしてもっとも気をつけたいのが、安全の確保です。睡眠ガイド2023では、良い睡眠が労働災害や自動車事故など、眠気や疲労が原因の事故や怪我のリスク低減にも役立つと説明されています。※5
睡眠が足りていない日は注意力や判断力が下がりやすいため、強い眠気があるまま車を運転したり危険を伴う作業をしたりすることは避け、その日はできる範囲の予定に絞って過ごしましょう。
早朝覚醒で医療機関を受診する目安
ここまでの対策を試しても改善しない場合や、つらさが続く場合は、医療機関に相談するのが望ましいです。
e-ヘルスネットでは、不眠と日中の不調が週に3日以上あり、それが3カ月以上続く場合は慢性不眠症とされています。早朝に目が覚める状態が続き、日中の眠気や倦怠感、集中力の低下によって生活に支障が出ているなら、医師へ相談してください。※2
もちろん、期間にかかわらず本人がつらいと感じる場合は、すぐ相談して構いません。
あわせて確認したいのが、ほかの症状を伴っていないかという点です。気分の落ち込みや興味の低下、食欲の変化を伴う場合は、うつ病に伴う不眠の可能性がありますので早めに相談しましょう。※6
大きないびきや睡眠中の呼吸の停止を家族に指摘されている場合は、睡眠時無呼吸が関わっていることも考えられます。また、夕方から強い眠気が出て深夜から早朝に目が覚める状態が続く場合は、極端な早寝早起きを特徴とする睡眠・覚醒相前進障害が関係しているかもしれません。しばしば不眠症と見誤られることがあるそうですので、一度受診するのが安心です。※3※5
受診先に迷うときは、まずかかりつけ医や内科に相談し、必要に応じて睡眠外来や精神科などを案内してもらう流れが現実的です。睡眠薬は、睡眠習慣や対処法の見直しを行ったあとに、短期的・補助的に用いられることが望ましいとされています。※4
自己判断で市販薬に頼り続けるのではなく、専門家に相談して症状の改善を目指しましょう。
まとめ:早朝覚醒は原因を確かめ、生活リズムから見直そう
遅く寝たのに早く起きてしまうという現象の背景には、目が覚める時刻が就寝時刻だけで決まるわけではないという仕組みがあります。普段の起床時刻に合わせて働く体内時計に加えて、ストレスや寝酒、カフェイン、加齢による朝型化などが重なり、睡眠時間が短い朝でも目が覚めてしまいます。※1※3※5
目が覚めてしまった朝は、眠気が残っているならもう一度眠り、眠れそうにないなら一度寝床を離れるという切り替えで構いません。繰り返さないためには、起床時刻を大きくずらさないこと、寝床で過ごす時間を長くしすぎないこと、寝酒と夕方以降のカフェインを控えること、明け方の光と音と室温を整えることが助けになります。※4※5
それでも早い目覚めが続いて生活に支障が出ている場合や、気分の落ち込みを伴う場合は、我慢を重ねずに医師へ相談してください。あなたの朝が、少しずつ穏やかなものになりますように。
参考文献
※1 早朝覚醒 | 厚生労働省 こころの耳
※2 不眠症 | 厚生労働省 e-ヘルスネット
※3 概日リズム睡眠・覚醒障害 | 厚生労働省 e-ヘルスネット
※4 不眠症 | 国立精神・神経医療研究センター
※5 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省
※6 体の不調はうつ病でも現れます | 厚生労働省 e-ヘルスネット











