妊婦で眠い原因はいつまで?時期別の理由と今すぐできる対策
ライフスタイル by Koala Sleep Japan2026年3月25日読了目安時間: 7

【医師監修】妊婦になってから眠い期間はいつまで?時期別の理由と今すぐできる対策

目次

監修者

後平 泰信

医療法人徳洲会札幌もいわ徳洲会病院(名称変更) 病院長 現職。

【研究分野】睡眠全般、睡眠時無呼吸症候群、内科全般、循環器内科、スポーツ医学、遠隔医療、地域医療

明るくハキハキとした話し方で、専門的な内容もわかりやすく伝える。特に睡眠医療の分野で多数の講演・メディア出演歴があり、CPAP治療やいびき・睡眠負債など、広く深い見識から生活に密着したあらゆる話題にも柔軟に対応。寝具などスリープテック領域の開発や監修にも多数関わった実績あり。

「仕事中にカクンと頭が落ちるほどの猛烈な眠気に襲われる」「寝ても寝ても疲れが取れず、一日中頭がぼんやりする」といった経験はありませんか。妊娠してからというもの、自分の意思ではどうにもできない強烈な眠気に戸惑う妊婦さんは非常に多いものです。

私自身も妊娠初期、デスクワーク中にどうしても目が開けていられず、こっそりトイレの個室で5分だけ目を閉じて耐え忍んだ記憶があります。当時は「周りはテキパキ働いているのに、自分だけ怠けているのではないか」と強い罪悪感に苛まれましたが、実はこれ、お母さんの体が赤ちゃんを育てるためにフル稼働している証拠なのです。

本記事では、上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の松本が、妊娠初期から臨月まで時期別に眠気が起こるメカニズムを紐解き、日常生活の中で無理なく取り入れられる具体的な対策を詳しく解説します。

眠いのは異常ではない!まず知っておきたい全体像

妊娠中、あまりの眠気に「自分は怠けているのではないか」と不安になる方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。妊娠中の強い眠気は、お腹の赤ちゃんを健やかに育てるために、お母さんの体が一生懸命に働いている証拠です。 多くの妊婦さんが経験する生理的な現象であることを理解できれば、自信を失うことはなくなり、漠然とした不安も解消できるでしょう。

妊娠中の眠気が起きる基本メカニズム

日中にぼんやりとしてしまう眠気の正体は、大きく分けて2つの要因が関係しています。

1つ目は、妊娠を維持するために分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)の変化です。 プロゲステロンは強い催眠作用を起こすホルモンで、分泌量が急増する時期は軽い睡眠薬を飲んでいるような状態が続きます。2つ目は、睡眠の質の低下です。 妊娠が進むにつれて腹部が圧迫されるため、頻尿や寝苦しさで夜間に目が覚める「中途覚醒」が増え、夜間に満足な休息が取れず、日中に強い眠気が出やすくなるのです。※1

眠気が強いときに無理しないための考え方

強い眠気を感じるときは、無理に抗うのではなく「妊娠中なので無理をしないよう言っているサイン」だと捉えてみてください。仕事や家事が思うように進まなくても、自分を責める必要はありません。

まずは「今はそういう時期なのだ」と割り切る心の余裕を持つことが大切です。生活の中に15分から30分程度の短い昼寝(パワーナップ)を積極的に取り入れるなど、自分の体調に合わせた休み方を設計しましょう。プロゲステロンの影響があるため通常と同じくスッキリできる程度は低いものの、多少でもリフレッシュにはなるでしょう。

妊娠初期に眠い原因と目安

妊娠初期は、お腹の膨らみが目立たない時期でありながら、体の中では劇的な変化が起きています。多くの妊婦さんが経験する「抗えないほどの強い眠気」は、決して怠けているわけではなく、妊娠を継続させるための生理的な反応です。※1

この時期特有の眠気には、ホルモンバランスの変化や基礎体温の上昇が深く関わっています。さらに、つわりによる体力消耗や微熱のようなだるさが重なることで、日常生活に支障をきたすほどの疲労感が生じることも珍しくありません。強い眠気が起きる仕組みと体調不良との見分け方について解説します。

ホルモン変化と体温上昇が眠気につながる

妊娠初期に眠気が強くなる最大の理由は、前述したようにプロゲステロン(黄体ホルモン)という女性ホルモンの急激な増加が関係しています。※2

そして、妊娠を維持するために基礎体温が高い状態(高温期)が続くことも要因のひとつです。通常、人間は深部体温が下がることで深い眠りにつきますが、妊娠初期は体温が下がりにくいため、夜間の熟睡度が低下してしまいます。その結果、夜に十分な休息が取れず、日中の活動時間帯に激しい眠気に襲われやすくなります。

このように、体の内側で起こっている変化が原因であることを知ると、少し気持ちが楽になるかもしれません。

つわりや体調変化で疲れやすくなる

眠気に拍車をかけるのが、妊娠初期特有の「つわり」やそれに伴う体調の変化です。吐き気や食欲不振によって十分な栄養や水分が摂取できないと、体力が低下して普段以上に疲れやすさを感じるようになります。

つわりの症状で夜中に目が覚めてしまったり、胃の不快感でリラックスできなかったりすると、睡眠のリズムが大きく崩れます。体がだるいときは無理に対策を詰め込もうとせず、「今は休む時期」と割り切ってこまめに横になることが大切です。家事や仕事の効率が落ちるとしても、心身の負荷を最小限に抑えることを優先しましょう。

初期の眠気はいつ頃落ち着きやすい

妊娠初期の辛い時期を過ごしていると、この状態が一体いつまで続くのかと不安になる方も多いはずです。妊娠初期の異常な眠気は、一般的に妊娠12週から16週頃の「安定期」に入る時期に落ち着くケースが多いとされています。※1

胎盤が完成に近づき、急激だったホルモンバランスの変動が緩やかになるため、体温も少しずつ下がり、日中のぼんやりした感覚が解消されていくのです。

ただし、眠気の引き方には大きな個人差があります。安定期に入るとスッキリと目が覚めるようになる人もいれば、体質や環境の変化によって中期以降も眠気が継続する人もいます。この時期の眠気は一時的なものであることが多いため、過度に心配しすぎず、自分の体のリズムに合わせて過ごしましょう。

日中の強い眠気に対しては、前述した短時間の昼寝のほか、軽いストレッチで血行を促す、軽く散歩するなど、無理のない範囲で気分転換になる自分なりの方法を取り入れてみてください。

関連記事:【医師監修】妊娠後期に眠れない原因と今すぐできる5つの対策法

妊娠中期に眠い原因と対処

妊娠中期に入り体調が安定してきても、日中にぼんやりしてしまう、集中力が途切れてしまうといった症状が続くことは珍しくありません。※1

妊娠中特有の眠気とうまく付き合うには、「生活リズム」「短い休息」「活動量」の3つのバランスを整えることが大切です。特に、この時期は「もう動けるはずだ」と無理をしてしまいがちですが、お腹に赤ちゃんがいることを考えて、無理のないスケジュールに調整していきましょう。

体調が落ち着いても眠いのはなぜ

妊娠中期に感じる眠気やだるさは、お腹の赤ちゃんが急成長することで、お母さんの体に大きな負荷がかかっていることが主な要因です。赤ちゃんへ栄養を送るために血液量が増加し、心臓や腎臓への負担が増えることで、疲れやすさや強い眠気が引き起こされることがあります。また、日中の眠気だけでなく、「仕事に集中できない」といった精神的な疲労感を感じる人も多いですが、これも妊娠による自然な変化の一つです。※2

こうした中期の眠気に対抗するためには、闇雲に我慢するのではなく、戦略的に休息を取り入れるとよいでしょう。

昼寝の取り方と生活リズムの整え方

日中の眠気を解消しつつ、夜の睡眠に影響を与えないためには、15時から16時よりも前の時間帯に、20分程度の短い昼寝を取り入れるのが理想的です。 昼寝が長すぎると夜に眠れなくなる「睡眠の負債」を招いてしまうため、アラームをセットして短時間で切り上げるように心がけましょう。また、職場では休憩時間にデスクで目を閉じるだけでもリフレッシュ効果がありますので、周囲に妊娠中であることを伝えて、短時間の休息を確保できる環境を作っておくことが大切です。

後平 泰信 医師
後平 泰信 医師
妊娠中にはホルモンバランスの変化が大きく、また生活リズムの変化もあり眠気が増します。また体液量の増加などで睡眠時無呼吸症候群などにもなりやすくなります。決して無理をせず、休養もしっかり取りましょう。異常な眠気を感じた場合は我慢せずに医師に相談しましょう。

妊娠後期と臨月に眠い原因と対処

妊娠後期から臨月にかけての眠気は、夜間の睡眠が分断されることで、結果として日中に強い眠気がくるという傾向が顕著になります。※2

お腹が大きくなることによる圧迫感や、出産に向けてのホルモンバランスの変化など、睡眠を妨げる要因がいくつも重なる時期です。

この時期の眠気は、これから始まる赤ちゃんとの細切れ睡眠の生活に向けた準備期間でもありますから、眠れるときに休むスタンスに切り替えていくことが、精神的なゆとりを生む鍵となります。

お腹の大きさで睡眠の質が下がる要因

お腹が大きくせり出してくると、その重みで仰向けで寝ることが苦しくなり、寝返りを打つのも一苦労です。大きくなった子宮が横隔膜を押し上げるため、呼吸が浅くなって寝苦しさを感じたり、背中や腰に痛みが出たりすることも睡眠を浅くする大きな要因です。

夜間に何度も目が覚めてしまう中途覚醒が繰り返されることで、脳が十分に休まらず、日中の強烈な眠気へと直結します。また、この時期は喉の組織が圧迫されていびきをかきやすくなったり、一時的に無呼吸状態になったりすることもあります。もし激しいいびきや起床時の強い頭痛がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性も考慮して、早めに主治医へ相談しましょう。

夜間頻尿と胎動で眠れないときの工夫

夜間に何度もトイレに起きたり、激しい胎動で目が覚めてしまったりするときは、少しでも不快感を減らす工夫を取り入れましょう。対策としては、夕方以降の水分摂取は控えめにし、日中にしっかり水分を摂るように調整することが有効です。ただし、妊娠後期は代謝が落ちてむくみやすくなっているため、水分摂取しすぎないように注意しましょう。

お腹が張って寝苦しいときは、抱き枕を使って横向きに寝るシムス位を試すと、血管への圧迫が軽減されてリラックスしやすいです。もし眠れない時間が続いても、寝なければいけないと焦るのではなく、一度布団から出て温かい飲み物を飲むなど、気持ちを切り替えてください。

後期の眠気はいつまで 出産後の変化

寝不足の日々がいつまで続くのかと不安になるかもしれませんが、決して終わりの見えないトンネルではありません。妊娠後期の強い眠気や寝不足の症状は、基本的には出産を終えて体が回復に向かうとともに、妊娠期特有の要因として徐々に解消されていきます。※3

出産直後は慣れない育児でまとまった睡眠を取ることは難しくなりますが、妊娠中の体が重くて眠れないという特有の不快感からは解放されるケースが多いです。

今は出産に向けて体力を温存する時期だと捉え、日中の眠気には逆らわず、家事を後回しにしてでも体を休めることを最優先に過ごしてください。日中の強烈な眠気は、根性や気合いだけで解決できるものではありません。家事や仕事の効率を落とさないためにも、今の生活に無理なく取り入れられる工夫を積み重ねていきましょう。

日中の強い眠気を軽くする対策6選

ここからは、読者の皆さんが今日からすぐに実行できる対策を、優先順位が高い順に6つ解説していきます。どれも網羅性より「実行のしやすさ」を重視していますので、まずは1つ、自分に合いそうなものを選んでみてください。

1. 短い昼寝を設計して回復する

最も即効性があるのは、15分から30分以内の短い昼寝を取り入れる「パワーナップ」という方法です。 正午から15時までの時間帯に行うのが最も効果的で、脳を劇的にリフレッシュさせることができます。たとえ横になれなくても、職場のデスクで目を閉じてじっとしているだけで視覚情報を遮断でき、休息効果が得られます。※1

ただし、妊娠中でホルモンの影響を強く受けていることを理解し、1回のパワーナップでは眠気が取れない場合もあることを理解しておきましょう。

2. 朝の光で体内時計を整える

夜の睡眠の質を根本から改善するために、朝起きたらすぐにカーテンを開けて太陽の光を浴びましょう。 起床直後の1分から2分程度、光を感じるだけで体内時計のリセットスイッチが入ります。これにより、夜間の安眠を助けるホルモンであるメラトニンの分泌がスムーズになり、日中の眠気を抑える土台が出来上がります。ホルモンの影響ですっきりというわけにはいかなくても、毎朝のルーティンとして定着させれば1日の生活リズムを整えるきっかけになるでしょう。

3. 軽い運動と活動量で眠気を分散する

医師から安静を指示されていなければ、日中に15分程度のウォーキングといった軽い運動を取り入れてみてください。 特に眠気が強まりやすい午後の早い時間帯に体を動かすと、血流が改善されて脳に酸素が行き渡り、ぼんやりした頭がシャキッとします。激しい運動は控えるべきですが、近所への買い物やストレッチなど、心地よいと感じる範囲で活動量を維持することが、夜の深い眠りにもつながります。

4. 食事と鉄分を意識してだるさを減らす

「眠くてたまらない」と感じる背景に、実は栄養不足が隠れていることも珍しくありません。特に妊娠中は血液量が増えるため、赤身の肉や魚、小松菜といった鉄分を多く含む食材を意識して摂取しましょう。 鉄分が不足すると全身に酸素が十分に行き渡らず、強いだるさや集中力の低下が眠気として現れることがあります。一度の食事でたくさん食べるのが辛い場合は、間食にナッツ類やプルーンを取り入れるなど、細かく栄養を補う工夫をしてみてください。※2

5. カフェイン以外の覚醒策を使う

妊娠中はカフェインの摂取量を制限する必要があるため、コーヒーや緑茶は1日1~2杯程度に抑えてください。コーヒーを飲む以外のリフレッシュ方法として冷たい水で顔を洗う、強めの炭酸水を飲む、あるいはミント系のタブレットやアロマを活用するといった方法がおすすめです。 これらの刺激で一時的に気分を切り替えるのに役立ちます。ただし、冷たいものの摂りすぎは体を冷やす原因になるため、量はコップ1杯程度に留めておきましょう。

6. 休むことを最適化して罪悪感を減らす

眠気対策の最後は、仕組みとして「休み」を生活に組み込むことです。「今日はどうしても眠くて動けない」という日は、家事を手放して睡眠時間を確保することを最優先にしてください。 ネットスーパーや家事代行サービスを積極的に活用し、自分が頑張らなくても生活が回るような「逃げ道」をあらかじめ作っておきましょう。周囲に今の状態を伝え、サポートを得ることは、母体と赤ちゃんを守るための立派な体調管理のひとつです。

受診や相談の目安:これって危険サイン?

妊娠中に眠気が強まるのはよくあることとはいえ、医療機関への相談が必要なケースがある点には注意しなければいけません。以下のようなサインが見られる場合は、次回の健診を待たずに医師や助産師へ連絡してください。

まずは、強い息苦しさや動悸が続く場合です。 重度の貧血が隠れている可能性があり、放置すると母体だけでなく赤ちゃんへの酸素供給にも影響しかねません。また、家族から激しいいびきや睡眠中の無呼吸を指摘された場合も注意が必要です 妊娠性睡眠時無呼吸症候群の疑いがあり、医師の診断に従ってケアを受けてください。※1

日常生活が全く送れないほどのだるさや意欲の低下を感じる場合も、一人で抱え込まないでください。 受診の際は、「いつから眠いのか」「どの時間帯が特に辛いのか」「夜の睡眠時間は確保できているか」「他にどのような症状があるか」を整理して伝えると、医師も状況を把握しやすくなります。

まとめ:妊娠中の眠気は時期で理由が変わる

妊娠中の「眠くて仕方がない」という状態は、あなたと赤ちゃんが健康に過ごすための大切な準備期間です。

妊娠初期はプロゲステロンというホルモンの影響が強いため、今は寝るのが仕事だと割り切ってしっかり休みましょう。 中期に入ると落ち着いてくる人が多いので、生活リズムを整えながら短い昼寝を味方につけて、活動量を調整していきます。そして後期や臨月には、物理的な寝苦しさを便利グッズで解消しながら、出産に向けて細切れでも休息を取ることを意識してください。

無理をせず、自分の体の声に耳を傾けながら、少しでも心穏やかにマタニティライフを送れるよう、自分に合った眠気対策を試してみてくださいね。

<おうちでしっかり納得するまで120日間お試し!>

・参考

※1 女性の睡眠障害:香坂雅子 | 日本睡眠学会
※2 睡眠障害の社会生活に及ぼす影響 | J-STAGE
※3 妊娠初期の強い眠気の原因とは? | 医療法人社団生駒会