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監修者
松本 恭
「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。
ふとんを買い替えようと売り場に足を運ぶと、羽毛・羊毛・綿・合繊・真綿といった素材の違いに加え、掛け布団・敷き布団・肌掛けなどの種類まで並んでおり、どれを選べばよいか迷ってしまう方は多いのではないでしょうか。
見た目が似ていても、あたたかさ・通気性・重さ・手入れのしやすさ・季節との相性はそれぞれ大きく異なります。なんとなく選んでしまうと「夜中に暑くて目が覚める」「思ったより重くて体に負担がかかる」「蒸れて不快なまま朝を迎える」といった失敗につながることもあります。
本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の松本が、ふとんの種類を用途別と素材別の2つの軸で整理し、それぞれの特徴をわかりやすく解説します。羽毛・羊毛・綿・合繊・真綿の比較とともに、季節・室温・体感温度・手入れのしやすさをもとにした選び方もまとめています。
ふとんの種類は「用途」と「素材」で分けられる
「ふとんの種類」というワードで検索すると、掛け布団や敷き布団といった役割の違いを説明する情報と、羽毛や羊毛など素材の違いを解説する情報が混在しています。
ふとんの種類は「用途(どんな目的で使うか)」と「素材(中に何が詰まっているか)」という2つの軸で考えると理解しやすいです。消費者庁の家庭用品品質表示法の手引きでは、ふとんは「掛け布団、肌布団、敷布団、ベッドパッド、こたつ掛け布団、座布団及びかいまき」と用途別に定義されており、それぞれ綿や羊毛・羽毛などの繊維が中材として詰められています。※1
【用途別】ふとんの主な種類
用途別の種類を理解することは、ふとん選びの最初のステップです。掛け布団・敷き布団・肌掛け・合掛け・本掛けなど、それぞれどのような場面で使われるのかを把握しておきましょう。代表的な5種類をそれぞれ説明します。
1. 掛け布団
掛け布団は、就寝時に体の上に掛けて体温を逃がさないようにするためのふとんです。中綿の量や素材の違いによって保温性が変わるため、同じ「掛け布団」という名称でも、季節や室温に合わせていくつかのタイプに分かれます。代表的なのが夏向けの肌掛け布団、春秋向けの合掛け布団、冬向けの本掛け布団の3種類です。
掛け布団を選ぶ際は、保温性の高さだけでなく、重さや蒸れにくさも考慮することが大切です。特に長時間かけたまま眠ることを考えると、軽さと通気性のバランスが睡眠の質に影響します。
2. 敷き布団
体を下から支える役割を担う敷き布団は、床や畳の上に敷いて体を支えるためのふとんです。掛け布団が保温を担うのに対して、体圧を分散し、体が沈み込みすぎず・硬すぎない適度なクッション性を提供することが主な目的です。
マットレスと役割は似ていますが、敷き布団は折り畳んで収納できる点が特徴で、押し入れのある和室や収納スペースが限られた部屋に適しています。フローリングで使用する場合は、直接床に敷くと湿気がこもりカビが発生しやすくなるため、すのこや除湿マットと組み合わせて使うことが推奨されます。
3. 肌掛け布団
掛け布団のなかでも最も薄手のタイプが、肌掛け布団です。夏や冷房を使う季節に使うことを考慮して設計されており、タオルケットよりも少し保温性があるため、冷房が効きすぎた室内や明け方の気温低下に対応しやすいふとんです。体の冷えが気になる方でも、薄すぎず厚すぎない絶妙な保温性によって快適に眠れます。
素材はポリエステルや綿のものが多く、洗濯機で丸洗いできる製品も多いため、衛生面を重視する方にも向いています。
4. 合掛け布団
春秋の季節に使いやすい合掛け布団は、肌掛けと本掛けの中間の保温性を持つ中厚タイプです。「朝晩は冷えるが昼間はまだあたたかい」という季節の変わり目に、1枚で快適に過ごせる利便性を持ちます。
冬場には、肌掛けと組み合わせて使うと掛け布団の代わりになります。保温性の調整が柔軟にできるため、暖房が十分に効いている部屋や、体感温度が変わりやすい方に重宝されます。
5. 本掛け布団
冬に向けて最も保温性が高いタイプが、本掛け布団です。中綿の量が多い分、厚みとボリュームがあり、外気温が低い環境でも体をしっかりと温めることができます。
ただし、寒冷地や断熱性の低い寝室では本掛け布団が必要になる一方、断熱性の高いマンションや暖房が効きやすい寝室では暑すぎるケースも少なくありません。寝室の断熱性や空調の設備に合わせて、本掛けにするか合掛け2枚にするかを判断すると、季節を通じて快適な環境を保てます。
関連記事:ふとんを洗濯する時の正解って?洗濯表示の見方から自宅・コインランドリー・乾燥まで失敗しない手順
【素材別】ふとんの主な種類
用途が整理できたら、次は中に詰められた素材の違いを整理していきましょう。
消費者庁のガイドラインでは、布団の中材となる繊維はすべての名称と混用率を表示することが義務付けられています。※1
購入時に品質表示を確認すると、素材の内容を正確に把握できます。代表的な5種類の素材をそれぞれ説明します。
1. 羽毛(ダウン)
羽毛布団に使われるのは、グースやダックなどの水鳥の胸部から採れる羽毛(ダウン)と、翼に生えている羽根(フェザー)です。どちらも軽くて保温性が高く、吸湿・放湿性にも優れているため、就寝中にかいた汗を素早く吸い、外へ放出します。蒸れにくさと軽さを同時に求める方に向いています。
羽毛布団の品質を見るうえで重要な指標が「ダウン率」です。ダウン(球状の羽毛)の割合が高いほど保温性とふっくら感が増します。一般的に90%以上がハイグレードとされ、価格帯はほかの素材と比べて高めですが、適切に管理すれば長期間使用できます。日本ふとん協会では、掛け布団の買い替え目安を5年ごとの点検後としていますが、状態に応じたリフォームによって長期間使い続けることも可能です。※2
2. 羊毛(ウール)
羽毛と同じく保温性と吸湿・放湿性を兼ね備えた素材が、羊毛(ウール)です。ウールは繊維の表面がウロコ状になっており、独特のちぢれ(クリンプ)によって空気を多く蓄え、保温性を高めます。また吸湿性が非常に高く、1kgあたり約30〜35%の水分を吸収できると言われており、就寝中の発汗を素材自体が吸い取ることで蒸れにくい環境を保ちます。
羊毛は掛け布団だけでなく敷き布団にも使われており、体重を受け止める弾力性も持ち合わせています。使い続けると繊維同士が絡み合って「フェルト化」によるへたりが生じますが、日本ふとん協会によれば機能性はほぼ維持されるのだそうです。※2
基本のお手入れ方法はクリーニングです。自宅での水洗いはフェルト化を促進する可能性があるため注意が必要です。
3. 綿(木綿)
古くから日本の家庭で親しまれてきた綿は、1本1本の繊維が持つ天然のよじれ(コンボリューション)によって高い弾力性を生み出しています。寝返りを打ちやすい適度な硬さとクッション性を持つことから、特に敷き布団の素材として長年使われてきた実績があります。
吸湿性は高いものの、放湿性がウールや羽毛に比べてやや遅く、汗をかきやすい方は蒸れを感じることがあります。他の素材と比べて重量があり、冬の掛け布団として使う際に人によっては体への負担を感じる場合もあります。一方で、長年使ってへたった場合でも「打ち直し」という加工で綿を再生させて使い続けられる点が大きな特徴です。
4. 合繊(ポリエステル)
手入れのしやすさと価格の手頃さを重視する方に向いているのが、合繊(ポリエステル)です。軽くて洗濯機で丸洗いしやすく、繊維が丈夫で切れにくいためほこりになりにくいという特徴があります。アレルギーが気になる方や、小さな子どものいる家庭でも管理しやすい素材です。
保温性に関するある研究データによると、隙間がない条件ではポリエステルが6.2clo、ウールが5.6cloという熱抵抗値が示されている一方で、隙間がある条件ではポリエステル4.6clo、ウール4.3cloとなり、素材差より「体との隙間」が保温性に大きな影響を与えることが明らかになっています。※3
吸湿性はウールや羽毛に劣るため、汗をよくかく方は蒸れを感じやすい点に注意しましょう。
5. 真綿(シルク)
素材の中で最も独特の使い心地を持つのが、真綿(シルク)です。真綿は蚕の繭を煮出して引き伸ばした絹繊維を層状に重ねたもので、市販の「シルク」生地とは製法が異なります。繊維が絡み合うことで体の輪郭に沿うような独特のフィット感があり、羽毛布団とは異なる保温性を感じられます。
軽くて吸湿性・放湿性にも優れており、体温調節がしやすい素材です。ただしデリケートな素材であるため、洗濯機での丸洗いができず、定期的な天日干しや専門業者でのクリーニングが必要です。価格は5種類の素材の中で最も高く、取り扱いに手間がかかります。素材の良さを十分に理解したうえで選ぶことが大切です。
関連記事:【上級睡眠健康指導士監修】マットレス8種類の特徴やメリット・デメリットを解説!後悔しない選び方とは
自分に合うふとんの選び方
用途と素材それぞれの特徴を理解した後でも、ふとんの選び方は難しいと感じる方は多いでしょう。体感温度・季節と室温・手入れのしやすさ・予算という4つの観点から選ぶ考え方をまとめ、ふとん選びに迷う場合の整理方法を解説します。
1. 体感温度で選ぶ
同じ寝室・同じ布団を使っていても、「暑くて蹴飛ばしてしまう」という人と「もう一枚欲しい」という人が同じ家族の中にいることはよくあります。これは体感温度(冷え性・暑がりといった体質)の違いによるものであり、まず自分の体質を把握することが布団選びの出発点になります。
寒がりで手足が冷えやすい方には、保温性の高い羽毛や羊毛が向いています。特に羽毛は軽くて暖かいため、重さの負担なく体を包み込むように温めることができます。
一方、暑がりで寝汗をかきやすい方には、吸湿・放湿性に優れた羊毛や真綿が適しています。ポリエステルは軽くて洗いやすい反面、吸湿性がやや低いため、蒸れやすい体質の方にはストレスになりやすい点に注意が必要です。体感温度を起点に素材を絞り込むと、選択肢を整理しやすいでしょう。
2. 季節と室温を考慮する
適したふとんの種類は、季節だけでなく室温や空調の使い方によっても変わります。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、良質な睡眠のために「寝室は暑すぎず寒すぎない温度」でリラックスできる寝衣・寝具を使うことが重要だとされています。※4
夏は「薄い布団を1枚使えばよい」と単純に考えがちですが、実際には室温・空調・ふとんの組み合わせが睡眠の質に影響します。
夏季の寝室環境と睡眠の関係を調べた研究では、「何もしない」条件よりも、窓を開けての通風や扇風機・エアコンを活用した条件のほうが睡眠効率が高い傾向が見られました。冷房使用時でも、適度な厚みの布団を使用したほうが睡眠効率が高い結果も示されています。※5
冷房で体が冷えすぎる場合は、吸湿性のある薄手の素材(綿や羊毛の肌掛け)を組み合わせましょう。
冬は本掛け布団が基本ですが、マンションなど断熱性の高い建物では合掛け2枚の組み合わせのほうが温度調節しやすいケースもあります。住宅環境と空調設備を踏まえて布団の厚みを選ぶことが、過不足のない快適な睡眠につながります。
3. 手入れと収納のしやすさで選ぶ
ふとんは毎日使うものだからこそ、日々のメンテナンスと季節ごとの収納が現実的にできるかどうかも重要なポイントです。自宅の洗濯機で丸洗いしたい場合は、洗えるタイプの合繊(ポリエステル)や綿が向いています。羽毛は専門業者でのクリーニングが推奨されているため、自宅での丸洗いは避けましょう。
真綿はさらにデリケートで湿気に弱いため、定期的な天日干しと専門クリーニングが必要です。羊毛も水洗いするとフェルト化が進むためクリーニングが基本となります。忙しくてこまめなメンテナンスが難しい方や、花粉・ダニアレルギーがある方は、洗いやすい合繊素材を選ぶと管理しやすいです。収納面では、羽毛は圧縮してコンパクトにしやすい一方、綿は重くてかさばるため、押し入れのスペースも確認しておくと安心です。ただし、圧縮タイプの布団袋は一度湿気が内部に侵入すると布団にカビが生えるなどのリスクがあるため、不織布タイプの布団袋を使うのがおすすめです。
4. 予算で決める
手入れのしやすさとあわせて確認しておきたいのが、予算と耐用年数のバランスです。布団の価格帯は素材によって大きく異なります。一般的な目安として、合繊は数千円から購入できて最も手頃です。綿は1万円前後のものが多く、羊毛は1〜3万円程度が中心です。羽毛は2〜5万円台が標準的なグレードですが、高品質のグースダウン製品は10万円を超えるものもあります。真綿は製造に手間がかかるため、5万円以上の製品が多くなります。
価格だけで選んでしまうと、耐用年数が短くて買い替えコストがかさむ場合があります。日本ふとん協会では各素材の目安として、掛け布団は約5年ごとの点検・リフォーム、敷き布団(羊毛・綿)は約3年が目安とされています。※2
初期費用と長期的なコストを合わせて考慮しながら、予算の上限と素材の特性を照らし合わせて判断することをおすすめします。
5. 迷ったら優先順位を決める
「暖かくて蒸れにくくて洗いやすくて安いもの」と条件を増やすほど、選択も難しくなってしまいます。自分にとって最も外せない条件を3つ以内に絞ることが、選ぶ際の迷いを解消する近道です。
例えば「寒がりで朝冷えが辛い(保温性優先)」「洗濯機で丸洗いしたい(合繊か洗える羽毛)」「なるべく軽くしたい(羽毛または合繊)」という3条件が揃えば、「洗えるタイプの羽毛か高品質の合繊」という答えが自然と絞り込まれます。布団選びに失敗しないためには、自分の優先軸を明確にしてからスペック表をチェックするようにしましょう。
ふとんの種類についてよくある質問
本編で解説しきれなかった部分を補足します。
羽毛と羽根はどう違いますか?
羽毛(ダウン)と羽根(フェザー)は、同じ水鳥から採れる素材ですが、部位と形が異なります。ダウンは胸部に生える球状の細かい羽毛で、空気を多く含み保温性が高く軽いのが特徴です。一方、フェザーは翼に生える芯(軸)のある羽根で、ダウンより保温性は低くなりますが、布団にボリュームと型崩れしにくさをもたらします。
市販の羽毛布団はほとんどがダウンとフェザーを混合して使用しており、ダウン率が高いほど軽くて保温性の高い製品になります。品質表示ではダウン率が数値で記載されているため、購入時に確認するとよいでしょう。
肌掛けと合掛けと本掛けの違いは何ですか?
この3つはすべて掛け布団ですが、中綿の量(保温性の強さ)によって使う季節が異なります。肌掛け布団は中綿が最も少なく夏・冷房環境向けで、合掛け布団は中間の保温性で春・秋向け、本掛け布団は中綿が最も多く冬向けです。
季節の変わり目は1枚で対応できる合掛けが重宝し、冬は本掛け1枚か合掛け2枚の組み合わせで保温性を調整するという使い方が一般的です。自分の寝室の温度環境に合わせて厚みを使い分け、通年快適な睡眠を保ちましょう。
敷き布団とマットレスはどのような違いがありますか?
敷き布団とマットレスは、どちらも就寝時に体を支える寝具ですが、構造・素材・使い方に違いがあります。敷き布団は折り畳んで収納できるため押し入れが活用できる和室や、引越しが多い生活に向いています。マットレスはスプリングや高密度フォームを使った製品が多く、体圧分散性と耐久性に優れているものが多いですが、折り畳みが難しいためベッドフレームとの組み合わせが前提になります。どちらが向いているかは、寝室のスペース・収納方法・睡眠姿勢の悩みによって異なりますので、慎重に選ぶことをおすすめします。
ふとんの種類は素材と用途を分けて考えると選びやすい
ふとんの種類は、まず「用途(掛け・敷き・肌掛け・合掛け・本掛け)」と「素材(羽毛・羊毛・綿・合繊・真綿)」という2つの軸で整理すると、混乱しにくくなります。用途を決めることで必要な保温性の目安が定まり、素材を比べることで暖かさ・吸湿性・重さ・手入れのしやすさのトレードオフを把握できます。
最終的な選択では、体感温度・季節と室温・手入れの負担・予算の4つの観点を自分の生活に照らし合わせ、最も外せない条件を3つに絞りましょう。完璧な布団を探そうと頑張るよりも、自分の優先軸を明確にして選ぶと失敗しにくいはずです。
・参考
※1 家庭用品品質表示法の手引き(繊維製品)第28条関係 | 消費者庁
※2 ふとんの選び方 | 一般財団法人日本ふとん協会
※3 ウール及びポリエステル綿使用の掛・敷布団系の熱的性能 | 産業技術総合研究所・豊橋技術科学大学・信州大学
※4 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省
※5 夏季における寝室環境と睡眠効率の関係 | 宮崎久美子ほか










