
後平 泰信
医療法人徳洲会札幌もいわ徳洲会病院(名称変更) 病院長 現職。
【研究分野】睡眠全般、睡眠時無呼吸症候群、内科全般、循環器内科、スポーツ医学、遠隔医療、地域医療
明るくハキハキとした話し方で、専門的な内容もわかりやすく伝える。特に睡眠医療の分野で多数の講演・メディア出演歴があり、CPAP治療やいびき・睡眠負債など、広く深い見識から生活に密着したあらゆる話題にも柔軟に対応。寝具などスリープテック領域の開発や監修にも多数関わった実績あり。
数年前、家族旅行のときに自分のいびきがひどかったらしく、翌朝、子どもから「パパ、夜に電車みたいな音してたよ」と言われて驚いたことがあります。
疲れていたのだろうと軽く考えていたものの、その日以来「もしかして寝ている間に体へ負担がかかっているのではないか」という不安が頭のどこかに残り続けました。
最近では、同年代の友人たちも同じ悩みを打ち明けるようになり、いびきは男性にとって他人事ではない問題だと実感しています。
実際、2025年の最新調査では日本人男性の57%がいびきの悩みを抱えて習慣的にいびきをかいており、女性の2倍以上という高い割合が示されています。放置すると睡眠時無呼吸症候群につながることもあり、健康面の影響を考えると早めの理解と対策が欠かせません。※1
本記事では、上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の石川が、男性のいびきが多くなる医学的な理由を分かりやすく整理し、今日から取り入れられる改善策やセルフチェック方法を紹介します。
男性のいびきが多い5つの医学的理由

男性にいびきが多い背景には、身体のつくりやホルモン、生活習慣など、いくつもの要因が重なり合っています。女性よりも男性のいびきが増えやすい理由を理解しておくと、自分の体質や行動のどこに改善の余地があるのか見つけやすいでしょう。
医学的な根拠に基づいて、いびきをかく人が女性よりも男性に多い主な理由を紹介します。
1. 内臓脂肪型肥満になりやすい体質
男性はいわゆる「内臓脂肪型肥満」が起きやすい傾向があり、お腹まわりを中心に脂肪がつきやすくなっています。
このタイプの肥満になると、首まわりにも脂肪がつきやすくなり、眠っている間に気道が狭くなる原因となります。首周りの脂肪は外からは見えにくい場合もありますが、内部で気道を圧迫するように蓄積するため、呼吸を妨げやすくなる仕組みがあります。
厚生労働省のデータでは、30〜60代男性の3割以上が肥満に分類されており、年齢が上がるにつれて内臓脂肪が蓄積しやすくなっています。体重が増えるにつれていびきのリスクは確実に高まるため、内臓脂肪に気をつけながら体重を健康的に管理することが重要になります。※2
2. 喉の構造と筋肉の違い
男性は女性と比べて喉の構造に特徴があり、睡眠中に気道が狭くなりやすい傾向があります。一般的に男性は女性よりも喉の奥のスペースが狭く、気道が長いことで空気の流れが乱れやすいといわれています。また、喉の周囲の筋肉が緩みやすい体質もあり、眠っている間に舌が喉の奥へ落ち込む「舌根沈下」が起こりやすくなります。この舌根沈下が起こると、空気の通り道が狭くなるため振動が生まれていびきが大きくなるという仕組みになります。
こうした構造的な特徴は生まれつきの部分が大きいため、自分では意識しにくいものですが、横向き寝などの姿勢改善やマウスピース治療が効果を発揮しやすい分野でもあります。
3. 日本人男性特有の骨格的特徴
日本人を含む東アジア地域の男性は、欧米人と比べて下あごが小さく後退している傾向があり、痩せていてもいびきをかきやすい特徴があります。下顎が小さいと舌の位置が後ろに下がりやすく、気道が狭くなりやすい構造になっています。
このため、日本では肥満ではない睡眠時無呼吸症候群の患者が4割近く存在するといわれており、体型だけでいびきを判断できない点に注意が必要になります。※3
骨格の影響は変えることが難しいものの、マウスピース治療や横向き寝の習慣づけによって、気道を確保しやすくなる場合があります。自分の骨格が原因かどうか判断するには医療機関での検査が効果的で、改善策を選ぶ上で重要な情報になります。
4. 加齢による筋力低下の影響
男性のいびきが40〜50代で急増する背景には、加齢によって喉まわりの筋肉が弱くなるという原因があります。筋肉が弱くなると眠っている間に気道が狭くなりやすくなり、息を吸うたびに激しく震えるため大きないびきが生じやすくなります。
また、睡眠時無呼吸症候群の発症率が男性の40〜50代で急激に増えることが知られており、加齢とともにリスクが高まる点は医学的にも明確です。
年齢を重ねるにつれてストレスや生活環境の変化も重なり、生活習慣が乱れやすくなることもいびきを助長します。筋力低下は避けられない部分がありますが、適度な運動や改善策を組み合わせることでいびきを軽減しやすくなります。
5. 生活習慣の影響(飲酒・喫煙)
男性に多い飲酒や喫煙の習慣は、いびきを悪化させる大きな原因になります。アルコールは筋肉を緩める作用があるため、寝る前に飲む習慣があると喉の筋肉が緩んで気道が狭くなる原因になります。さらに、喫煙によって気道の粘膜が炎症を起こしやすくなり、空気の通り道が狭くなることでいびきが増えやすくなります。
研究では、飲酒量が1杯増えるごとに男性の睡眠時無呼吸症候群のリスクが25%以上上昇するという報告もあり、生活習慣が大きな影響を与えることがわかります。飲酒や喫煙の習慣を見直すことで、いびきが改善するケースはとても多く見られます。※4
今すぐできる!男性のいびきセルフチェック方法

自分のいびきの程度や原因を知るためには、客観的なセルフチェックが役立ちます。病院に行くべきか判断するためにも、日常生活の中で確認できるポイントを知っておくことが大切になります。ここからは、医学的なチェック方法を分かりやすく紹介していきます。
首周りのサイズをチェック
男性はいびきのリスクを判断する際に首周りのサイズが大きな指標になります。特に首周りが43cm以上ある男性は睡眠時無呼吸症候群のリスクが高いとされており、内臓脂肪が蓄積しやすい人は注意が必要になります。首周りの測定は自宅でも簡単にできます。
測るときは喉仏の少し下あたりに柔らかいメジャーをあて、力を入れずに自然な状態でサイズを確認することが大切になります。普段は太って見えない人でも、首周りだけ太くなっているケースもあるため、体重だけでは判断できない部分になります。
パートナーに確認すべき3つのポイント
睡眠中の自分の状態は自分では分かりにくいため、一緒に寝ているパートナーの観察がとても役立ちます。確認してもらいたいポイントとしては、いびきの頻度、無呼吸の有無、音の大きさの3つがあります。
特に無呼吸は数秒間まったく息が止まっている状態で、深刻な睡眠時無呼吸症候群のサインである場合があります。毎晩のようにいびきが大きかったり、息をしていない時間があるように感じたりする場合は、早めに医療機関を受診することが安心につながります。観察内容を記録しておくと、診察の際に医師へ状況を伝えやすくなります。
危険度判定!受診が必要な症状
いびきが続いても健康に問題が起きないケースもありますが、深刻な症状が見られる場合は医療機関での相談が必要になります。特に日中の強い眠気、高血圧、起床時の頭痛、集中力の低下が目立つようになった場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高くなります。
眠っている間に呼吸が止まる状態を放置すると、心臓や血管に負担がかかり、生活習慣病や交通事故のリスクが高まることが知られています。こうした症状に心当たりがある場合は、早めに睡眠外来や耳鼻咽喉科の受診を検討することが大切になります。
男性のいびきを改善する効果的な5つの対策

いびきは原因が分かれば改善できる可能性が高く、生活習慣の見直しや医療の力を活用することで多くの人が症状を和らげることができます。ここからは、医学的根拠に基づいた実践しやすい改善策を紹介します。
1. 減量と運動習慣の確立
内臓脂肪を減らすことはいびき改善の最も確実な方法の一つで、体重を5〜10%減らすだけでもいびきの程度が軽くなりやすくなります。食事の見直しだけでなく、ウォーキングや軽い筋トレなどの運動を取り入れることで、首周りの脂肪が減りやすくなります。
生活の中で少しずつ運動量を増やしていくことが大切で、階段を使う習慣をつけたり、夕方の散歩を取り入れたりするだけでも良い変化が期待できます。無理のない範囲で続けることが改善につながります。
2. 横向き寝の習慣化
眠っている間の姿勢を見直すだけでも、いびきが軽くなる場合があります。仰向けで眠ると舌が喉の奥へ落ち込みやすいため、横向きで寝る習慣をつけると気道が確保されやすくなります。
横向き寝を続けるためには抱き枕を使ったり、背中側にタオルを挟んだりすることで姿勢を自然に維持しやすくなります。また、横向き寝に適したマットレスを選ぶと体への負担が軽くなり、睡眠の質も上がりやすくなります。寝具との相性が改善につながる場面は多いため、詳しく知りたい場合は「横向き寝に適したマットレス」のページも参考になります。
3. アルコール・喫煙の制限
寝る前の飲酒は喉の筋肉を緩める作用があるため、いびきが悪化する原因になります。特に就寝3時間以内に飲酒をすると、眠っている間に喉がゆるみやすくなり、気道が狭くなります。飲む時間を早めにするだけでも改善が期待できます。
喫煙も気道の炎症を引き起こしやすいため、いびきが悪化しやすい原因になります。禁煙が難しい場合は、まず本数を減らすことから始めると続けやすくなります。生活習慣の改善は短期間で効果を感じることもあるため、少しずつ取り組む姿勢が大切になります。
4. マウスピース治療
日本人男性に多い下あごの後退や小顎の特徴には、歯科で作るマウスピース治療が有効になる場合があります。マウスピースを使うと下あごが前に固定され、眠っている間も気道がしっかり確保されやすくなります。
簡易的な市販のものではなく、歯科医院で自分の口に合わせて作るタイプが効果的です。特に軽症から中等症のいびきや睡眠時無呼吸症候群の場合に効果が出やすく、手軽な治療として選ばれています。
5. CPAP治療と医療機関受診
重症の睡眠時無呼吸症候群の場合には、CPAP(シーパップ)治療が必要になります。CPAPは空気を送り込むことで気道を広げ、眠っている間の無呼吸を防いでくれる治療法です。使用を継続すると、日中の眠気が改善したり、交通事故のリスクが健常者と同じレベルまで下がったりすることが確認されています。
強い日中の眠気や無呼吸の疑いがある場合は、早めに睡眠外来や耳鼻咽喉科で相談することが重要になります。検査を受けることで自分の状態を正しく知ることができ、適切な治療を選択しやすくなります。
まとめ:男性のいびきは改善できる

男性のいびきは体質だけでなく、骨格や加齢、生活習慣など複数の要因が重なって起こることが多いため、原因に合わせて対策を行うことが重要になります。いびきは放置しても良くなることが少なく、改善しようとする姿勢が健康な睡眠につながります。
生活習慣の見直しや姿勢改善で変化が見られることも多いため、まずはセルフチェックを行い、自分の状態を把握することから始めると良いです。危険なサインがある場合は医療機関で検査を受けることが安心につながります。
より快適な睡眠を目指す際には寝具選びも大切な要素です。自分に合った方法を選ぶことで、いびきは改善できる可能性が十分にあります。
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・参考
※1 「いびきに悩んだことがある」48.5% | フランスベッド調査
※2 国民健康・栄養調査 | 厚生労働省
※3 睡眠時無呼吸症候群 診療ガイドライン|日本呼吸器学会
※4 Effect of Bedtime Ethanol on Total Inspiratory Resistance and Respiratory Drive in Normal Nonsnoring Men | 米国睡眠医学会(AASM)










