目次
監修者

五藤 良将
千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。
- 免許・資格
医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、スポーツドクター、日本美容内科学会評議員
この記事では、レム睡眠とノンレム睡眠の基本的な違いやそれぞれの役割、そして良質な睡眠を得るためのポイントを解説します。脳や身体の仕組みを知ることで、睡眠時間の確保や睡眠の質を高めるヒントが見つかるでしょう。初心者の方にもわかりやすいように、要点をかみ砕いてお伝えします。
日本人の平均睡眠時間や睡眠に関する悩みの傾向についても触れながら、睡眠のメカニズムを分かりやすくまとめています。日中のパフォーマンスや健康状態に直結する重要なテーマですので、ぜひ最後まで読んで日頃の生活習慣に活用してみてください。
日本人の睡眠実態と平均睡眠時間
まずは日本人の睡眠事情を概観し、どのくらいの平均睡眠時間を確保しているのかを確認しましょう。
日本人は国際的に見ても睡眠不足の傾向があると言われています。忙しい日常や長時間労働、通勤時間の長さなどが重なり、しっかり眠りたいと思いつつもなかなか理想的な睡眠時間を取れないのが現状です。特に都会部に住む人ほど、早朝から深夜まで活動することが多く、睡眠時間が削られやすい傾向があります。
世界平均と比較すると、日本人の平均睡眠時間はおよそ6~7時間未満にとどまることが多いと言われています。もちろん個人差はありますが、必要十分な睡眠時間と言われる7~8時間を確保できている人は限られています。慢性的な睡眠不足が続くと、日常の活力や思考力に影響を及ぼしかねません。
さらに、睡眠時間だけでなく質の面でも課題があると指摘されています。夜更かしが習慣化したり、就寝前のスマホ利用で脳が刺激を受けたりすることで、十分に眠っているつもりでも実は休めていないケースも少なくありません。こうした背景を理解することで、より適切な睡眠対策を考える一歩となるでしょう。
平日と休日でどのくらい睡眠時間が違う?
平日は仕事や学校のスケジュールに合わせて短めの睡眠しか取れない一方、休日にやっと寝だめをするという人も少なくありません。このように平日と休日の睡眠時間の差が大きいと、体内リズムが乱れやすくなり、結果的に日曜日の夜や月曜日の朝にスムーズに眠れない・起きられないといった問題を引き起こしがちです。たとえ休日に長めに眠っても、過度な寝だめは睡眠リズムそのものを崩す要因にもなるため、平日からできるだけ安定した時間に就寝・起床することが重要です。
睡眠への不満や悩みの傾向
「深く眠れない」「朝起きるのがつらい」「夜中に何度も目が覚める」といった悩みを抱える人は少なくありません。これらの不満や悩みは、寝具の選択や部屋の環境、更には精神的ストレスなど多面的な要素が絡んでいます。また仕事が忙しかったり、スマホを使いすぎたりする現代特有の状況も、睡眠の質を下げる大きな要因となっています。まずは自分の抱える問題を整理し、生活習慣や環境を見直すことが改善の第一歩と言えます。
レム睡眠とノンレム睡眠の基本
次にレム睡眠とノンレム睡眠がどのような特徴を持ち、どのように睡眠に役立っているのかを見ていきます。
睡眠は大きく分けると、夢を見やすいレム睡眠と身体や脳を深く休ませるノンレム睡眠の2種類に分類されます。これらは約90〜120分ごとに交互に繰り返され、眠りの周期を形作っています。どちらも身体にとって欠かせない機能を果たしており、健康な睡眠のためにはどちらもバランスよく取ることが重要です。
ノンレム睡眠はさらに段階に分けられ、大脳の活動が抑えられるほど深い眠りへと移行していきます。最も深い段階では成長ホルモンの分泌が高まり、体の修復や疲労回復がより効率的に行われます。レム睡眠では逆に脳が活発に動き、記憶の整理や定着が行われるとされています。
このように、体を休めるノンレム睡眠と脳を活性化させるレム睡眠が協調して働くことで、私たちはスムーズに日中の活動に備えられます。睡眠の質が低下するとレム睡眠やノンレム睡眠のリズムが崩れ、起床後のだるさや集中力の低下につながりやすくなるため、両方のメカニズムを理解して適切に改善する必要があります。
レム睡眠の特徴と役割
レム睡眠は体がリラックスしている一方、脳波が活性化し、目玉が素早く動く(Rapid Eye Movement)のが特徴です。夢を見ることが多いとされるこの間は、記憶の整理や感情の調整に関連していると研究されています。ストレスをうまく解消する役割もあるため、このレム睡眠が十分に確保されないと、翌日の気分や集中力にも影響が及びます。
ノンレム睡眠の特徴と役割
ノンレム睡眠は浅い眠りから深い眠りへと段階的に移行し、特に深いノンレム睡眠では大脳の活動が大幅に低下します。その結果、脳と体はしっかりと休息を取り、成長ホルモン分泌や疲労回復、免疫力の向上など体内の修復機能が活発化します。深い眠りを確保できるかどうかは、翌日の体調やエネルギーレベルに大きく影響する重要なポイントです。
睡眠周期(睡眠単位)の流れ
通常、レム睡眠とノンレム睡眠は1セットで約90~120分ほどかけて交互に繰り返されます。眠り始めはノンレム睡眠の時間が長く、朝方になるにつれてレム睡眠の割合が増えていくのが特徴です。こうしたサイクルは一晩で4~5回繰り返され、どちらの段階も適切に機能することで質の高い睡眠が得られます。
深いノンレム睡眠は身体の修復や免疫機能の維持に、レム睡眠は記憶の整理や感情の安定に不可欠であり、このバランスが崩れることが、日中の疲労感や集中力低下、さらには生活習慣病やメンタルヘルス不調の一因となることが、多くの研究で示されています。
日本人は世界的に見ても睡眠時間が短い傾向があり、「忙しいから仕方がない」と睡眠を後回しにしがちです。しかし、睡眠は削るものではなく、健康・仕事のパフォーマンス・人生の質を支える基盤です。
まずは完璧を目指す必要はありません。就寝・起床時刻をなるべく一定にする、寝る前のスマホ時間を少し減らす、寝室環境を見直す──その小さな積み重ねが、レム睡眠とノンレム睡眠の質を確実に高めてくれます。
「最近、眠っても疲れが取れない」「朝から頭が重い」と感じている方こそ、ぜひ今日から睡眠のリズムと質を意識してみてください。良い睡眠は、明日の元気だけでなく、数年後・数十年後の健康への最良の投資でもあります。
レム睡眠とノンレム睡眠が乱れる原因と影響
睡眠がスムーズに進まないとき、その原因と体や心へ及ぼす影響はどのようなものがあるのでしょうか。
日常のリズムや生活環境が乱れると、レム睡眠とノンレム睡眠のきれいなサイクルが維持しづらくなります。特に夜更かしや不規則な食生活、遅い時間のカフェイン摂取などは、眠り自体を浅くしてしまう原因になります。睡眠の乱れが慢性化すると、体と心に負担をかけるリスクが高まります。
さらに、ストレスの度合いが高いとレム睡眠とノンレム睡眠のバランスが崩れやすいと言われています。仕事や家庭内の問題などにより精神的プレッシャーを感じ続けると、浅い眠りが増えて夜間に頻繁に目が覚めたり、寝付けなくなる可能性があります。これは体だけでなく脳の休息も妨げるため、疲労感がたまりやすくなるのです。
こうした状態が積み重なると、朝に起きるのがつらくなったり、日中も集中力を欠いて体調を崩しやすくなったりする恐れがあります。短期間であればリフレッシュや一時的な休養で回復する場合もありますが、慢性的に続くとメンタルヘルスの問題や生活習慣病のリスクも高まるため、早めの改善策が大切です。
生活習慣やストレスによる睡眠障害
毎日の生活リズムが不安定だと、自然と就寝時間が遅くなったり、深夜までスマホやパソコンを見続けたりしやすくなります。ブルーライトによる刺激などの影響で脳が覚醒しやすく、結果としてレム睡眠やノンレム睡眠のバランスを乱すことがあります。ストレスが高まるとアドレナリンやコルチゾールの分泌が増え、さらにスムーズな入眠を妨げる要因になりやすいのです。
サイクルの乱れが体と心に及ぼす影響
睡眠のサイクルが狂うと、身体の回復が十分に行われず免疫力が低下したり、精神面でもイライラや倦怠感が続くことがあります。レム睡眠の不足は感情コントロールを難しくし、ノンレム睡眠の不足は身体の修復が追いつかなくなる傾向があります。こうした状態が続くと、生活全般の質を下げ、結果的に悪循環に陥ってしまうことが少なくありません。
良質な睡眠を得るためのポイント

質の高い睡眠を確保するために、具体的にどのような方法が効果的なのでしょうか。
まずは規則正しい生活リズムを心がけることが大切です。一定の就寝・起床時間を設定し、休日でも極端に長く寝すぎないようにすることで、体内時計を整える効果が期待できます。眠る前の過ごし方や寝室の環境など、身近な要素を少しずつ見直すだけでも睡眠の質は変わってきます。
また、日中に適度な運動を取り入れるのも有効です。散歩や軽いストレッチ、筋トレなどは血行を良くし、夜になったときに自然な眠気を促してくれます。食事面でも、寝る直前のカフェインやアルコールの摂取を控え、栄養バランスの良い食事を意識することが肝心です。
近年は寝具や部屋の温度・照明を工夫する人も増えています。自分が快適だと感じる枕やマットレスを選び、寝室の温度や湿度を適切に保つだけでも眠りが深くなるケースがあります。生活スタイルに合わせたポイントを押さえ、無理のない範囲で実践していくことが、良質なレム睡眠とノンレム睡眠の鍵となるでしょう。
十分な睡眠時間とリズムの確保
人によって必要な睡眠時間には個人差がありますが、一般的には7~8時間程度が推奨されます。平日や休日で2時間以上の差を作らないようにすることで、体内時計の乱れを防ぎやすくなります。就寝直前にはリラックスできる音楽を聴いたり、ストレッチをしたりしてスムーズに眠りに入れるよう工夫することが大切です。
寝る前の行動・環境づくり
寝る前に強い照明を避け、部屋を少し暗めに設定すると睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が促されやすくなります。スマホやパソコンのブルーライトは脳を刺激するため、可能であれば就寝1時間前には利用を控えるのが望ましいでしょう。快適な寝具や適切な室温も深いノンレム睡眠を得るうえで重要な要素です。
睡眠改善薬・機能性表示食品の活用
どうしても寝つきが悪い、あるいは夜中に何度も目が覚めるなど、深刻な睡眠トラブルが続く場合には市販薬やサプリメントなどの力を借りる選択肢もあります。中にはメラトニンやハーブ成分を配合したサプリがあり、自然に近い形で眠りをサポートする例も見受けられます。ただし、使用する際は医師や薬剤師に相談し、副作用や有効成分をしっかり理解したうえで取り入れることが大切です。
まとめ・総括
レム睡眠とノンレム睡眠を理解し、整えた睡眠サイクルを維持することは健康や日常生活の質を高めるためにとても大切です。
レム睡眠では脳の記憶整理や感情の安定が、ノンレム睡眠では身体の修復や深い休息が行われます。それぞれの睡眠が適切なバランスで繰り返されることで、日々のパフォーマンスや健康維持にも大きく貢献してくれます。
日本人の平均睡眠時間は6~7時間ほどと言われますが、十分な休養を確保できていない人も少なくありません。平日と休日で大きく睡眠時間がずれると体内リズムが乱れやすくなるため、できるだけ一定の睡眠リズムを保ち、夜間に深く眠れる環境を整えることが重要です。
まずは自分の睡眠の現状を客観的に把握し、生活習慣やストレス要因を見直すことから始めてみましょう。質の良いレム睡眠とノンレム睡眠がとれているかどうか意識するだけでも、改善策を見つけやすくなります。しっかり眠ることが、明日の元気と健康につながる大切な基盤です。










