睡眠コラム by 松岡 雄治•2026年9月26日•読了目安時間: 5 分

眠くなる病気とは?日中の強い眠気で考えられる病気と受診の目安を解説

十分に寝ているつもりなのに、仕事中や会話中も眠くなり、病気ではないかと気になる方もいるのではないでしょうか。

日中の強い眠気には、睡眠不足のほか、ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群などが関わる場合があります。眠気が続いて生活に支障が出ているときは、我慢せず医療機関へ相談しましょう。

この記事では、日中に強い眠気が出る病気の特徴と、受診を考えたい目安を解説します。仕事中の居眠りに困っている方や、受診先に迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

眠くなる代表的な病気

日中に起きていられないほどの強い眠気には、睡眠が妨げられる病気や、目覚めを保つ脳の働きに関わる病気が隠れていることがあります。気分の不調や全身の病気に伴って、眠気やだるさが現れる場合もあります。

ここでは、代表的な病気と一緒に現れやすい症状を紹介します。当てはまるだけで診断が決まるわけではありませんが、医師に相談するときの参考にしてください。

1. ナルコレプシー・特発性過眠症

ナルコレプシーは、起きていたい場面でも耐え難い眠気に襲われる病気です。食事中や歩いている最中などに、突然眠り込むこともあります。短い居眠りの後はすっきりしやすい点が特徴です。

また、大笑いしたときなどに急に体の力が抜ける症状(情動脱力発作)を伴う場合があります。意識は通常保たれますが、首の力が抜けて頭が下がったり、話しづらくなったりします。数秒から数分で自然に回復する短い発作です。

特発性過眠症では、日中に強い眠気があり、昼寝をしてもすっきりしない、目覚めるのに時間がかかるといった傾向があります。

夜の睡眠時間が長い人もいます。どちらの病気も、睡眠不足や薬の影響、ほかの睡眠障害などでは症状を十分に説明できないことを確認し、検査結果と合わせて診断します。

2. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)・むずむず脚症候群

睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が繰り返し止まったり浅くなったりする病気です。本人が気づかないうちに睡眠が妨げられ、十分に寝たつもりでも日中に眠くなることがあります。大きないびきや呼吸停止を家族から指摘された場合も、相談の目安です。

むずむず脚症候群では、じっとしていると脚に不快感が出て、動かしたいという強い衝動が生じます。夕方から夜に強まりやすく、歩いたり脚を動かしたりしている間は軽くなるのが特徴です。

不快感で寝つけず、睡眠不足を通じて日中の眠気につながる場合があります。脚の症状が出る時間帯や、動くと軽くなるかも医師に伝えましょう。

むずむず脚症候群は、男性に比べて女性に多く、鉄欠乏性貧血などがある方に多いことも知られています。

「私は太っていないから睡眠時無呼吸症候群(SAS)ではないはず」と思うかもしれませんが、それは誤解です。日本人は欧米人に比べて骨格的に下顎が小さく、奥に引っ込んでいるため、痩せている人や女性でも気道が塞がりやすく、SASになりやすいという特徴があります。家族にいびきや無呼吸を指摘されたら、体型に関わらず要注意です

3. うつ病・双極性障害

うつ病では、気分の落ち込みや興味・喜びの低下に加え、不眠や過眠が現れることがあります。眠気が強いのか、意欲が出ず体を動かすのがつらいのかも、相談時に伝えたい点です。

双極性障害でも、気分が落ち込む時期に睡眠時間が長くなることがあります。一方、躁状態や軽躁状態では、睡眠が少なくても疲れを感じにくく、普段より活動的になったりします。

診察では、現在の眠気だけでなく、過去の気分や活動量の変化も確認します。極端に活動的だった時期があれば、その経過を伝えてください。眠気と気分の不調が重なって生活に影響している場合は、精神科などへ相談しましょう。

4. 甲状腺機能低下症・糖尿病・貧血

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンが不足して体の働きが低下する病気です。眠気や疲れやすさのほか、寒がり、便秘、体重増加などが現れることがあります。

糖尿病では、血糖値が高くなると喉の渇きや尿の回数の増加、疲れやすさが現れる場合があります。貧血でも、だるさや息切れ、めまいなどが生じます。ただし、疲労感と、実際に眠り込んでしまう眠気は同じものではありません。

「気づくと居眠りしている」のか、「起きていても体がだるく動けない」のかを、できる範囲で具体的に伝えましょう。眠気だけでこれらの病気を判断せず、ほかの症状と合わせて内科へ相談してください。

5. PMS・月経関連過眠症

生理前に眠気や体調不良を繰り返す場合は、月経前症候群(PMS)が関わることがあります。PMSは、生理前の3〜10日ほど続き、生理が始まると軽くなる、または消える心身の不調です。眠気のほか、気分の落ち込みやおなかの張りなどが現れます。

月経周期に関連して強い過眠を繰り返す「月経関連過眠症」の症例も報告されています。ただし、生理前後に眠くなることすべてを指す病名ではありません。

眠気の強い日や睡眠時間、生理が始まった日をカレンダーなどを活用して数ヶ月にわたって記録しておくと、周期との関係を伝えやすくなります。仕事や学業に支障が出る場合は婦人科へ相談し、強い過眠があるときは睡眠を専門とする医療機関での確認も検討します。

 

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生活習慣の眠気と病気の眠気の見分け方

生活習慣による眠気か病気による眠気かは、自分だけでは見分けられません。まず睡眠時間や生活リズムを振り返りますが、生活に支障がある場合は、習慣を整え終わるまで受診を待つ必要はありません。

睡眠の長さに加え、眠気の出る場面や、一緒に現れる症状も確認しましょう。次のような変化は、診察で伝えたい情報です。

  • 睡眠を十分にとっても、会話中などに眠り込んでしまう
  • 昼寝から起きてもすっきりせず、目覚めにくい
  • 大きないびきや、睡眠中の呼吸停止を指摘される
  • 笑ったときなどに、突然体の力が抜ける
  • 強い眠気とともに、気分の落ち込みが続く

これらの症状は、病気の有無を調べる手がかりになります。ただし、当てはまる項目だけでは病名は決まりません。ナルコレプシーでは短い居眠りのあとにすっきりすることもあり、昼寝後の感覚だけで判断するのも難しいものです。

就寝・起床の時刻、夜中の目覚め、仮眠、眠気で困った場面を記録してみてください。飲酒や服薬の状況も合わせて残すと、睡眠や生活習慣との関係を医師に伝えやすくなります。

 

昼間の眠気で受診を検討すべき目安

強い眠気が続き、仕事や学業、家事に支障が出ている場合は医療機関へ相談しましょう。運転中に眠りそうになる場合は運転を控え、早めの受診が必要です。受診時の移動も、公共交通機関や家族の送迎などを利用してください。

相談先に迷う場合は、かかりつけ医や内科から相談できます。症状に応じた相談先の目安は、次のとおりです。睡眠外来は医療機関によって対応する病気が異なるため、予約時に確認しましょう。

  • 原因がわからない眠気や全身のだるさ:かかりつけ医・内科
  • 強い居眠りやいびき、睡眠中の呼吸停止:睡眠外来
  • 笑ったときなどの脱力を伴う眠気:過眠症に対応する睡眠外来
  • 気分の落ち込みを伴う眠気:精神科・心療内科

受診時は、眠気が始まった時期や困る場面、睡眠の記録を伝え、お薬手帳も持参しましょう。薬を飲み始めてから眠気が出た場合も、自己判断で中止せず、処方した医師や薬剤師に相談してください。

急に意識がぼんやりし、呼びかけへの反応が鈍い場合は、普段の眠気と考えず救急対応が必要なケースもあります。

SAS患者は、SASでない人に比べて2.4倍も事故発生確率が高いと言われています。

運転中に少しでもヒヤリとしたら絶対に無理をせず、すぐに睡眠外来を受診してくださいね。

病院で行われる主な検査

病院では、まず睡眠習慣や症状、服薬状況を確認し、疑われる原因に応じて検査を選びます。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、自宅で機器を装着し、睡眠中の呼吸などを調べる簡易検査を行うことがあります。

より詳しく睡眠を調べる際には、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行います。一晩を通して脳波や呼吸、血液中の酸素の状態などを記録し、眠りの深さや呼吸の異常を確認する検査です。

ナルコレプシーなどが疑われる場合は、PSGの翌日に睡眠潜時反復検査(MSLT)を行い、寝つくまでの時間やレム睡眠の現れ方を評価します。

甲状腺の病気や貧血などが考えられる場合は、血液検査を行うこともあります。検査前の睡眠や服薬は結果に影響するため、受診先の説明に沿って準備してください。

 

眠くなる病気に関するよくある質問

女性の体調変化や、子ども・高齢者の眠気について、よくある疑問に答えます。年齢や性別だけで原因を決めず、普段との違いや一緒に現れる症状を確認しましょう。

Q1. 女性に多い眠くなる病気は?

女性では、PMSなど月経周期に伴う不調が眠気に関わる場合があります。毎日眠いのか、生理前など特定の時期に強まるのかを記録し、周期との関係があれば婦人科へ相談しましょう。

甲状腺機能低下症の原因となる橋本病も、女性に多い病気です。寒がりや疲れやすさ、便秘などが気になる場合は内科へ相談してください。女性でも睡眠時無呼吸症候群や過眠症は起こるため、女性特有の不調だけで説明しようとしないことが大切です。

女性の『寝ても寝ても眠い、だるい』という症状には、月経による鉄分不足(貧血)や、甲状腺機能低下症(橋本病など)が潜んでいることがよくあります。特に甲状腺の病気は無気力になるためうつ病と誤解されがちです。また、鉄分不足は『むずむず脚症候群』の引き金にもなるため、体全体の不調として内科や婦人科で相談してみることをおすすめします。

Q2. 子どもや高齢者の強い眠気も病気?

子どもや高齢者でも、強い眠気に病気が関わることがあります。子どもでは睡眠不足や生活リズムに加え、睡眠時無呼吸症候群や、思春期に発症することの多いナルコレプシーなども考えられます。学校で居眠りが続く場合は、小児科へ相談しましょう。

高齢者では、睡眠時無呼吸症候群や薬の影響などが眠気に関わる場合があります。眠気が出る時間と薬を飲む時間、夜の睡眠を記録し、かかりつけ医に伝えてください。年齢のせいと決めつけず、以前との変化を確認することが大切です。

 

まとめ:気になる眠気は早めに専門家へ相談を

日中の強い眠気には、睡眠不足のほか、睡眠障害や心身の病気、薬の影響などが関わる場合があります。生活に支障が出ているときは、無理に耐えず医療機関へ相談しましょう。受診時は、次の情報を整理しておくと役立ちます。

  • 眠気が始まった時期と、居眠りしてしまう場面
  • 就寝・起床の時刻や、昼寝の長さ
  • いびき、脱力、気分の落ち込みなど、一緒に現れる症状
  • 服用中の薬と、飲み始めてからの体調の変化

病名を自分で決めてから受診する必要はありません。「仕事中に起きていられない」など、困っていることをそのまま伝えてください。相談先に迷ったら、かかりつけ医や内科へ相談しましょう。運転に影響する眠気がある場合は運転を控え、安全に移動できる手段を選んでください。