松本 恭
「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。
布団を選ぶときにはサイズやデザイン、価格に目が向きがちですが、実は肌に直接触れる生地の種類こそが、寝心地を大きく左右する重要な要素です。同じ詰め物を使っていても、側生地の素材や織り方が異なるだけで、肌触りや通気性、保温性は驚くほど変わります。
私自身も、過去にデザインの好みだけで選んだ化学繊維主体の布団生地を使ったところ、寝汗による蒸れで夜中に何度も目が覚めてしまい、睡眠不足に悩まされた経験があります。その後、吸放湿性の高い天然素材の生地に変えてからは朝までぐっすり眠れるようになり、身をもって生地選びの大切さを実感しました。
本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の松本が、専門的な知見と日々の寝具開発のノウハウを交えながら、布団の生地が持つ役割や素材ごとのメリット、快適な睡眠環境を整えるための具体的な選び方を詳しく解説します。
布団生地の種類
就寝中にかいた汗を吸い取って外へ逃がす吸放湿性や、外気の影響を受けにくくする保温性、繰り返しの洗濯にも耐えられる耐久性など、求められる機能は多岐にわたります。
こうした機能は生地の素材や織り方によって大きく変わるため、まずはどのような種類があるのかを知っておきましょう。
天然繊維(綿・麻・シルク・羊毛・羽毛)
布団の生地は、大きく分けると天然繊維と化学繊維、そして両者を組み合わせた混紡繊維の3つに分類されます。
綿(コットン)
綿は布団の生地として最も広く使われている天然素材です。吸湿性と放湿性に優れており、汗をかいても蒸れにくく、年間を通して快適な寝心地を保ちやすい点が魅力です。
品質を見極める際は、糸の細さを示す番手に注目してみてください。60~100番手の綿100%は上質な生地とされる一方、20~40番手のものは価格が手頃な反面、風合いはやや劣る傾向にあります。ただし、シワになりやすく乾きにくいという弱点もあるため、お手入れの手間は考慮しておく必要があります。
麻(リネン)
麻は熱を逃がしやすく、涼しさを感じやすい素材です。汗をかいてもべたつきを感じにくいため、暑い季節の布団カバーやシーツに選ばれることが多くなっています。使い込むほどに柔らかさが増していく風合いも麻ならではの魅力です。
一方で、新品のうちはややハリのある硬めの肌触りになりやすく、綿に比べて価格が高めに設定されている点に注意が必要です。
シルク
シルクは、なめらかな肌触りと美しい光沢を持つ、寝具の中でも高級素材に位置づけられる生地です。吸放湿性に優れ、夏は涼しく冬は暖かく感じられやすいという優れた温度調整機能を持っています。
ただし、水や摩擦にはやや弱く、クリーニングの取り扱いが限定される場合が多いため、側生地よりも布団カバーとして採用するほうが実用的だという指摘もあります。
羊毛(ウール)
羊毛は高い保温性とすぐれた吸湿発散性を合わせ持つ動物性繊維です。繊維が複雑に縮れているクリンプと呼ばれる構造によってたくさんの空気を含ませることができるため、寒い冬でも温かさをしっかり保つことができます。また、汗などの湿気を吸い取って外に逃がす力に優れているため、布団の中が湿気で蒸れにくく、1年中サラッとした快適さを維持できる点も大きな特徴です。
しかし、羊毛は水洗いすると縮みやすい性質を持っているため、お手入れの際には洗濯表示を確認して適切な扱いをする必要があります。さらに、人によっては羊毛特有のにおいを感じることがあるため、風通しの良い日陰で定期的に干すなどのケアが効果的です。
羽毛(ダウン)
羽毛は水鳥の胸元から採れる素材であり、掛け布団の中わたとして圧倒的な軽さとすぐれた保温性を発揮します。羽毛特有のタンポポの綿毛のような形状が大量の空気を含み、独自の高い断熱効果を生み出すことで、真冬でも身体を優しく包み込んで温めます。また、吸放湿性にも長けているため、寝ている間の湿気をコントロールし、蒸れ感を軽減してくれます。
羽毛布団を選ぶ際には、使用されているダウンの比率や品質を確認することが大切です。質の高い羽毛布団は非常に長持ちするというメリットがありますが、湿気が溜まった状態で放置すると臭いが発生したりカビの原因になったりするため、定期的な陰干しによるケアが欠かせません。
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化学繊維(ポリエステル・ナイロン)
価格の手頃さや扱いやすさを重視する場合には、化学繊維も有力な選択肢です。
ポリエステル
ポリエステルはシワになりにくく、速乾性に優れているため、家庭で気軽に洗濯したい方に向いている素材です。一方で、吸湿性は綿に比べて劣るため、単独で使うよりも綿と組み合わせた混紡生地にすることで、蒸れを抑えながらお手入れのしやすさを両立しやすいでしょう。
ナイロン
ナイロンは摩擦や引っ張りに強く、繰り返しの使用にも耐えやすい丈夫な素材です。ただし、吸湿性や通気性の面ではやや課題が残るため、他の素材と組み合わせて使われるケースも少なくありません。
混紡生地
混紡生地とは、綿とポリエステルのように、天然繊維と化学繊維を組み合わせて、それぞれの長所を生かしつつそれぞれの短所を補い合った生地です。綿の持つ吸放湿性や肌触りのよさに、ポリエステルの速乾性や耐久性を掛け合わせることで、扱いやすさと快適さを両立しやすくなる点が大きな魅力です。
コストと快適性のバランスを重視する方には、特に検討する価値があるといえます。
布団生地の織り方|肌触りが決まる
特に羽毛布団の側生地では、織り方の違いが羽毛の抜けにくさや肌触りに直結するため、あわせて押さえておきたいポイントです。
平織り(ブロード)
平織りは、縦糸と横糸を一本ずつ交互に組み合わせるシンプルな織り方です。糸同士がしっかりと交差するため糸が動きにくく、羽毛が抜けにくいという特長があります。通気性が高く軽い仕上がりになる一方で、風合いはやや固くなりやすく、比較的手頃な価格帯の生地に多く採用されています。
ツイル織(綾織)
ツイル織は、表面に斜めの畝が浮き出るのが特徴で、綾織とも呼ばれています。糸の浮きが平織りよりも多いため、身体にしなやかにフィットする柔らかな風合いに仕上がります。耐久性は平織りにやや劣るものの、肌触りの良さを重視する方に選ばれやすい織り方です。
サテン織(朱子織)
サテン織は、糸が交差する点を最小限に抑えた織り方で、朱子織とも呼ばれています。糸の浮きが最も多いため、表面がなめらかでソフトな肌触りになり、上質なドレープ感を楽しめます。ただし高密度な織りが必要になる分、価格は高めに設定される傾向があり、糸がずれやすいという弱点も持ち合わせています。
布団の種類別に合う生地
例えば、掛け布団には体温を逃がさない軽さと保温性が求められる一方で、敷き布団には体重を支えて正しい寝姿勢を保つ安定感や湿気を外へ逃がす機能が欠かせません。また、肌に直接触れる布団カバーにおいては、肌触りの良さとお手入れのしやすさが満足度を大きく左右します。このように、寝具全体のバランスや使い方に合わせた素材選びを行うことが、快適な睡眠環境を整えるための重要な一歩となります。
ここからは、用途ごとの具体的な選び方について詳しく解説していきます。まずは、睡眠中の温もりや快適性に直結する掛け布団の素材から確認していきましょう。
1. 掛け布団に合う素材
掛け布団を選ぶ際に最も重要視すべきポイントは、保温性の高さ、身体に負担をかけない軽さ、隙間を作らないフィット感、そして蒸れにくさの4点です。真冬の寒い季節には、空気をたっぷり含んで抜群の保温性と軽さを発揮する羽毛が適しています。一方で、季節の変わり目には適度な保温性と吸湿発散性を兼ね備えた羊毛が重宝します。さらに、手頃な価格で丸洗いができ、ダニやホコリの心配が少ない合成繊維は、アレルギー対策や日常の手入れの手軽さを重視する方に人気があります。素材ごとの暖かさだけでなく、寝室の温度環境やご自身の汗のかきやすさに合わせて素材を選ぶことで、1年を通して心地よく眠ることができます。
上から身体を包み込む掛け布団の素材が定まったら、次は下から身体をしっかりと支える敷き布団の素材について見ていきましょう。
2. 敷き布団に合う素材
敷き布団には、就寝中の正しい寝姿勢を維持するための適度な反発力と、睡眠中にかく汗や湿気を溜め込まない通気性の良さが求められます。加えて、長期間使用してもつぶれにくいへたりにくさや、天日干しなどのお手入れのしやすさも欠かせない要素です。しっかりと体圧を分散できるウレタンや、クッション性と吸湿性を併せ持つ羊毛、清潔を保ちやすい合成繊維など、選択肢によって特徴が異なります。また、フローリングなどの床に直接敷いて使う場合は湿気が下に溜まりやすいため、通気性が高くて乾燥させやすい素材を選ぶ必要があります。ベッドフレームの上で使う場合にはマットレスとの相性も重要になるため、設置環境に合わせた素材選びが安心です。
敷き布団によってしっかりとした土台を整えた後は、睡眠中に直接肌と触れ合う布団カバーの生地選びに着目してみましょう。
3. 布団カバーに合う生地
布団カバーは身体に直接触れる面積が最も広いため、心地よい肌触りや優れた吸湿性はもちろんのこと、頻繁にお手入れができる洗いやすさと乾きやすさが重視されます。肌に優しく自然な吸湿性を持つ綿は、どんな季節でも使いやすい万能な生地です。シャリ感があり熱を逃がしやすい麻は、汗をかきやすい暑い季節に重宝します。一方で、ポリエステルや綿との混紡生地は、洗濯してもシワになりにくく乾きが早いため、家事の手間を減らしたい場合に適しています。ご自身の肌質や季節感、洗濯する頻度に合わせて生地を選択することで、日々の満足度が格段に高まります。
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布団を購入した後に「思った通りの使い心地にならなかった」あるいは「自宅で洗えずに困った」といった失敗を防ぐためには、事前に確認すべき重要なポイントが存在します。素材自体のイメージだけで判断するのではなく、商品のラベルやタグに記載された具体的な情報を読み解くことが、後悔しない寝具選びの第一歩となります。
ここからは、購入前に必ず目を通しておきたい表示タグの見方と、ご自身の体質やお悩みに応じた最適な生地の選び方について解説していきます。
季節や体質に合わせた布団生地の選び方
睡眠中の温湿度コントロールは睡眠の質に直結するため、自分の悩みに適した生地を選択することが重要になります。
ここからは、多くの方が抱える体質やお手入れの悩みに合わせた3つのパターン別選び方を紹介していきます。まずは、睡眠中の汗や熱に悩みやすい方の選び方から解説します。
1. 暑がりや汗をかきやすい人
暑がりな方や就寝中に汗をたくさんかく方には、吸湿性・放湿性・通気性の3拍子が揃った素材が適しています。
布団の中に熱や湿気がこもると寝苦しさの原因になるため、素早く汗を吸い取って外に逃がしてくれる綿や麻、羊毛といった天然由来の素材や、通気性に優れた構造の側生地を選ぶのが効果的です。もしポリエステルなどの蒸れやすい素材を使用する場合は、肌に触れる布団カバーに麻や綿などの吸湿性に優れた生地を組み合わせることで、内部の湿度を適度に保つことができます。
体熱を上手く逃がす対策が必要な暑がりな方とは対照的に、身体の熱を逃がさず保温することを優先すべきなのが冷えに悩む方です。
2. 寒がりや冷えやすい人
寒がりな方や手足が冷えやすい方には、高い保温性と身体に隙間なくフィットする密着感、そして負担にならない軽さを備えた素材が最適です。
代表的な素材である羽毛は、圧倒的な軽さと温かさを持ち、身体と布団の間に隙間を作りにくいため冷気の侵入をしっかり防ぎます。また、羊毛や厚手の綿も適度な重みと温もりを提供してくれます。ただし、単に暖かさだけを追求して重すぎるものや通気性の無いものを選ぶと、就寝中に不快な汗をかいて身体を冷やす原因になるため、蒸れにくさとのバランスも考慮して選ぶことが大切です。
保温性や通気性といった寝心地の好みが定まったら、最後に見落とせないのが日頃のメンテナンス性です。
3. 手入れを楽にしたい人
仕事や家事で忙しく、寝具のお手入れにかかる時間をできるだけ減らしたい方には、軽量で乾きやすく、洗濯に強いポリエステル素材や洗える仕様の布団が向いています。
化学繊維を使用した生地やカバーは、シワになりにくく洗濯後も短時間で乾くため、頻繁に洗濯して清潔を保ちたい方に非常に便利です。ただし、洗える布団として販売されている商品であっても、必ず事前に洗濯表示を確認し、ご自宅の洗濯機で洗える容量や指定の乾燥方法を満たしているかチェックしてから購入することが失敗を防ぐ秘訣となります。
まとめ
布団の生地は、綿や麻、シルクといった天然繊維と、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維、そして両者を組み合わせた混紡繊維に大きく分けられます。さらに、平織りやツイル織、サテン織といった織り方の違いによっても、肌触りや耐久性、価格帯は変わってきます。それぞれの特徴を理解したうえで、自分の肌質や好みの寝心地、お手入れのしやすさに合わせて生地を選ぶことが、快適な睡眠環境づくりにつながります。布団選びに迷ったときは、詰め物の種類だけでなく、側生地や布団カバーの生地にもぜひ注目してみてください。











