睡眠コラム by 松岡 雄治2026年6月24日読了目安時間: 5

不眠症で仕事がつらいときの対処法3選|休む目安・働き方の見直し・受診の判断

不眠が続いて仕事がつらいとき、無理に頑張って乗り切ろうとすると、かえって状態が長引いてしまうこともあるでしょう。一人で抱え込まず、受診や働き方の調整など、今できる対処を早めにとることが大切です。

この記事では、不眠症と仕事の関係を整理し、今日を乗り切る方法から、働き方の見直し、休職や受診の判断まで段階的に解説します。不眠症に悩まされ、何から手をつければいいかわからない方は、ぜひ最後までご覧ください。

不眠症で仕事がつらいと感じる人は少なくない

不眠症が仕事に影響していると感じるときは、まず心療内科や精神科などを受診し、治療を始めることが大切です。早めに対応して、悪化を防ぎましょう。

睡眠の問題を抱えたまま働き続けると、症状が長引くおそれがあります。そのため、医師の診断にもとづいて、自分の状態に合った勤務時間の調整や休職についても検討しましょう。

眠れないのは自己管理不足のせいではありません。一人で悩まず、専門家に相談しながら解決策を探ることが、回復への近道となります。

仕事のストレスや不安で眠れなくなる原因

不眠の原因はストレスや生活リズム、体調などさまざまですが、なかでも仕事のストレスは大きな要因のひとつです。厚生労働省の調査でも、仕事や職業生活で強い不安やストレスを感じている労働者は約7割にのぼります。

責任の重さ、あまりに多い業務量、人間関係の悩み、翌日のプレゼンへの不安など、仕事についてのさまざまな問題が脳を緊張させ続けます。交感神経が優位な状態が続くと、夜になっても「休息モード」へ切り替わらず、入眠を妨げたり、夜中に目が覚めやすくなったりします。

※出典:厚生労働省「令和6年『労働安全衛生調査(実態調査)』の概況」

不眠症と睡眠障害の違い

不眠症と睡眠障害は厳密には少し違います。ご自身の状態について調べる際や、受診の際にこの点を知っておくとわかりやすくなるかもしれません。

  • 不眠症: 寝つけない、夜中に起きる、早朝に目覚める、熟睡感がないといった状態
  • 睡眠障害:不眠症のほか、過眠症、睡眠時無呼吸症候群などを含む広い概念

眠れない状態で働き続けると起こりやすいこと

睡眠不足が慢性化すると、脳のパフォーマンスが低下します。集中力の減退、判断ミスの増加、疲労感の蓄積、イライラ、そして何よりメンタル不調のリスクが高まります。

「頑張れば何とかなる」という時期を過ぎて、体調がサインを出している場合は要注意です。変化を見逃さず、受診を検討しましょう。

不眠症で仕事がつらいときに検討すべきこと

ここでは、不眠症で仕事がつらいときに職場に相談したり、休職を考えたりするべきかについて解説します。

労働安全衛生総合研究所の報告によると、睡眠不足や不眠症状といった睡眠問題は、心身の疾患リスクを高めるだけでなく、長期間の病欠や「就業不能による退職」につながるリスクが高まると指摘されています。

睡眠の問題を抱えたまま無理に働き続けず、つらいと感じた段階で、今できる対応を検討することが大切です。

 

※出典:労働安全衛生総合研究所「労働者の睡眠問題と勤務間インターバル」

1. 今日休むかを判断する

まず確認したいのは、今日の自分が出勤できる状態かどうかです。次のサインが複数当てはまるときは、休むことも前向きな選択肢になります。 

  • 身体的サイン:動悸、激しい頭痛、胃の痛みがある
  • 安全上のサイン:強い眠気により、通勤中や業務中に事故のリスクを感じる
  • 心理的サイン:職場のことを考えると涙が出る、出勤への恐怖が強い

無理に出勤して状態を悪化させないことを優先しましょう。

2. 職場に伝えて働き方を調整する

職場に伝える際は、診断名の有無に関わらず「現状」と「業務への影響」を簡潔に伝えることを意識しましょう。

たとえば、次のような伝え方があります。

  • 睡眠トラブルがあり、日中の集中力に支障が出ているため、業務量を調整したい」
  • 医師の診察を予定しているため、一時的に残業を減らしたい

このように、具体的な状況と相談事項をセットにすると、職場も調整に応じやすくなります。

3. 続くなら受診・休職・転職を視野に入れる

生活改善や業務調整を試しても睡眠トラブルに改善が見られない場合は、無理をせず休職や転職も検討しましょう。とるべき選択肢としては、主に次の3つがあります。

  • 受診:心療内科や精神科、睡眠外来などで専門家の判断を仰ぐ
  • 休職:心身の回復を最優先に、一定期間業務から離れる
  • 転職:今の働き方が自身の心身を過度に削っている場合、環境そのものを変える

理想の睡眠時間と実際の睡眠時間の差(睡眠不足感)が大きくなるにつれて、「うつ傾向・不安」や「うつ病・不安障害の疑い」がある人の割合が増加するとの報告もあります。一人で抱え込まず、医師や信頼できる人に相談しながら進めることが大切です。

不眠症の人が仕事を続けるための働き方の工夫

不眠症で悩んでいる場合、治療と並行して働き方を見直すことも大切です。睡眠を削って仕事に合わせるのではなく、睡眠を守るために仕事を調整しましょう。ここでは、働き方の工夫を3つ紹介します。

1. 残業や夜勤を減らす

睡眠の質を取り戻すうえで、勤務時間の見直しは効果が期待しやすい工夫です。長時間労働や不規則な勤務は自律神経の切り替えを妨げ、不眠を悪化させる要因になることがあります。

長時間労働が続くと睡眠時間そのものが削られやすく、睡眠不足を感じやすくなります。睡眠を削る働き方はいずれ限界を迎えるため、残業の削減や夜勤の調整を、できる範囲で職場に相談してみましょう。

※出典:厚生労働省「令和5年版 過労死等防止対策白書〔概要版〕」

2. 在宅勤務や時短勤務を検討する

通勤の負担を減らすことも、睡眠や休息の時間を生み出す有効な手段です。通勤によるストレスが睡眠に影響している場合は、テレワークの活用を検討するとよいでしょう。

  • 睡眠が安定しない時期は、時短勤務で生活リズムを立て直す方法もあります。こうした制度が職場にない場合でも、一定期間だけ業務の負荷を調整できないか、上司や人事に相談してみましょう。

3. 体調に合わせて仕事を組む

不眠時は脳のエネルギーが枯渇しやすいため、タスクの配分を工夫すれば、パフォーマンスの低下を防ぎやすくなります。

特に、集中力が比較的高い午前中には、ミスが許されない重要な作業を済ませておくのがおすすめです。

一方、疲労が強くなりがちな午後には、単純作業や確認作業を行うことで無理なく続けられます。また、作業の合間に短い休憩をとり、脳の緊張を和らげることで、夕方以降の疲れも軽減しやすくなります。

睡眠不足でも仕事を休めないときの応急処置

どうしても仕事を休めない日は、完璧に回復させようとせず「最低限の立て直し」に集中しましょう。次の3つを意識すると、つらい一日を少しでも乗り切りやすくなります。

1. 水分補給と朝の光で体を起こす

起床後にコップ1杯の水を飲み、カーテンを開けて朝の光を浴びましょう。朝の光を浴びると、体内リズムが整いやすくなるとされています。眠気が残る朝でも、まずはこのふたつから始めると、体が目覚めるきっかけをつくれます。

※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

2. カフェインは摂りすぎに注意する

眠気対策のコーヒーは、午後の早い時間までにとどめるのがおすすめです。カフェインは数時間にわたって作用が続くため、夕方以降にとると、夜の睡眠を妨げることがあります。

エナジードリンクにもカフェインが含まれます。飲み過ぎると睡眠の質を下げ、翌朝のつらさが増すこともあるため、気をつけましょう。

3. ミスが許されない作業は相談する

集中力や判断力が落ちていることを自覚し、重要な作業は周囲の力を借りましょう。ダブルチェックを依頼する、確認の時間をずらすなど、ひと工夫でミスのリスクを減らせます。

無理にいつも通りこなそうとせず、「今日は調子が出ない」と早めに共有しておくと、周囲も協力しやすくなります。

不眠症を悪化させないために今日から整えたい生活習慣

生活習慣の小さな見直しを積み重ねることで、睡眠の質の向上が期待できます。ここでは、今日から始めやすい3つの習慣を紹介します。

1.就寝前は仕事の不安を切り離す

就寝前の1時間は、スマートフォンやPCをできるだけ控えましょう。強い光や仕事の情報に触れると、脳が再び緊張状態に戻りやすくなります。

気がかりなことがある夜は、明日のタスクを紙に書き出してみるのがおすすめです。頭の中にあることを書き出すと、「いったん忘れてよい」と感じられ、気持ちを切り替えやすくなることがあります。

2.寝室環境を整える

光、音、温度、寝具を見直すと、眠りに入りやすい環境をつくれます。寝室はなるべく暗くするほうがよいため、街灯の光が入る場合は遮光カーテンなどを活用しましょう。

また、寝室の温度や湿度も寝心地に影響します。蒸し暑さや底冷えを感じない、快適と思える状態を目安に調整するとよいでしょう。さらに、寝返りがしやすいかどうかや、首に負担がかからない寝具かどうかも、快適さに関わります。

※出典:厚生労働省 e-健康づくりネット(健康日本21アクション支援システム)「快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」

3.睡眠サイクルを固定する

休日も起床時刻を大きくずらさないことで、平日のリズムが安定しやすくなります。寝だめは一見よさそうに思えますが、かえって生活リズムを乱す原因になります。

休日に長く眠りたいときも、平日との時間差は1時間以内に収めるのがおすすめです。起きる時刻をそろえることが、平日の寝つきや目覚めを整える土台になります。

不眠症で仕事がつらいときは無理をしない

不眠症で仕事がつらいときに無理を続けると、体調が悪化するリスクがあります。自分を責めず、また焦らずに、当日の対処から、職場相談、働き方の見直し、受診や休職の検討と、順番に判断しましょう。

また、眠れない原因を自分だけで抱え込まないことも大切です。本記事を参考に睡眠を見直すとともに、睡眠と仕事の両方を守るためにも、受診を含めて検討しましょう。不眠に悩む方は多く、今では睡眠外来も設けられているほどです。健やかな日々を守るために、どうか無理をなさらないでください。

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