睡眠コラム by Koala Sleep Japan2026年5月14日読了目安時間: 4

【医師監修】マットレスにカビが生えたら、それは寝室の異常サインかも? 梅雨入り前のチェック法

後平 泰信

医療法人徳洲会札幌もいわ徳洲会病院(名称変更) 病院長 現職。

【研究分野】睡眠全般、睡眠時無呼吸症候群、内科全般、循環器内科、スポーツ医学、遠隔医療、地域医療

明るくハキハキとした話し方で、専門的な内容もわかりやすく伝える。特に睡眠医療の分野で多数の講演・メディア出演歴があり、CPAP治療やいびき・睡眠負債など、広く深い見識から生活に密着したあらゆる話題にも柔軟に対応。寝具などスリープテック領域の開発や監修にも多数関わった実績あり。

突然ですが、ご自宅のマットレス、最後に裏側をチェックしたのはいつですか?

「半年前」「1年前」「買ってから見たことがない」──そう答える方が大半ではないでしょうか。実は、マットレスにカビが生えるかどうかは、運ではなく、寝室環境と日々のケアでほぼ決まります。そして発見が早ければ対処は簡単、遅れると寝具ごと買い替えが必要になります。

梅雨入りまで残り2〜3週間の今が、点検と予防の最後のチャンスです。この記事では、カビが生える条件・予防策・すでに見つけた場合の対処を、整理して解説します。

マットレスの裏側、なぜ「黒い点」が現れるのか

マットレスの裏や、ベッドフレームに接する面に黒い点を見つけたとき、それはほぼ確実にカビです。シミや汚れと迷う方もいますが、点が複数あり、わずかに広がるような形をしていれば、カビと判断していいでしょう。

カビが発生する条件は、医療や寝具の専門メディアで共通して説明されています。VENUSBED LIBRARYは、カビは湿度が70%以上ある環境で発生しやすくなり、湿度が80%を超えると増殖スピードが速まるといわれており、すのこベッドは通気性に優れているもののマットレスやカバーを定期的に手入れしていなかったり、ベッドの下まで掃除が行き届いていなかったりすればカビが繁殖しやすくなると指摘しています。

つまり、すのこベッドや通気性のいいベッドフレームを使っていても、ケアがゼロだとカビは生えてしまう可能性があるのです。

カビが生える3つの条件

カビが発生するには3つの条件が揃う必要があります。逆に言えば、このうち1つでも断てば、カビは生えにくくなります。

条件1:温度20℃以上

エムールの解説によると、カビは増える速度が速まるのが20℃以上とされています。日本の住環境では、5月から10月までほぼ全期間がこの条件を満たします。

条件2:湿度70%以上

これが最も対処可能な条件です。寝室の湿度を60%以下に保てれば、カビの発生リスクは大きく下がります。

条件3:栄養(汗、皮脂、ホコリ、髪の毛、垢)

人は睡眠中にコップ1杯の汗をかき、皮膚から皮脂や角質も落とします。マットレスは人体に最も長時間接する家具なので、これらの栄養源には事欠きません。

3条件のうち、温度は季節に依存し、栄養は完全には除去できません。しかし湿度は対処可能です。湿度70%を超えさせなければ、カビは生えにくいということです。

梅雨入り前にやっておくべき3つの予防

5月後半の今、晴れた日に半日だけ動けば、梅雨期のカビ発生リスクを大きく下げられます。

1. マットレスを壁に立てかけて陰干し

エムールは、マットレスや布団が敷かれたままの状態は湿気が溜まりカビが発生しやすくなるため、3日から1週間に1度はマットレスや布団を干して乾燥させる。重くて立てかけるのが難しい場合は朝起きたら布団を畳んだり、マットレスをすのこから外して立てかけたりすると良いと推奨しています。

直射日光は素材を傷める可能性があるため、室内の窓辺で立てかける「陰干し」が基本です。半日ほど風を通すだけで、内部の湿気がかなり抜けます。

2. ベッド下とマットレス下に除湿シートを設置

除湿シートは、敷くだけで簡単にカビ予防ができる便利アイテムです。VENUSBED LIBRARYは、除湿シートとはマットレスの下に敷くことで汗などを吸い取ってくれるもので、敷くだけで手軽に湿気対策ができカビの繁殖を抑える効果が期待できる。なお除湿シートを敷きっぱなしにしたり手入れしなかったりすると十分な効果が得られなくなるので、除湿シートも定期的に干すなどの適切なメンテナンスをすることが大切と説明しています。

吸湿センサー付き(湿気を吸うと色が変わるタイプ)の除湿シートを選ぶと、メンテナンスのタイミングが目視でわかるのでおすすめです。

3. 寝室の換気を毎日5分

寝室の換気をして風通しをよくすると、ベッド下やマットレスの湿気を取り除く、換気をするときは対面に位置する窓やドアを開けるなどして空気の通り道を作ることを意識する、ベッドにカビを繁殖させないためにも、可能な限り毎日換気することが大切とされています。

朝、起きたら掛け布団をめくり、窓を開けて5分。これだけでマットレスから抜け出した湿気が外に逃げます。

すのこ・除湿シート・除湿剤、それぞれの役割

似たような商品が並んでいて迷う方も多いので、整理しておきます。

すのこ(ベッドフレーム or 単体のすのこマット) 役割:マットレスと床(または畳)の間に空気層を作り、通気性を確保する おすすめの人:マットレスを直置きしている人、和室で布団派の人

除湿シート 役割:マットレスの直下、または上下に敷いて汗・湿気を吸収する おすすめの人:すでにすのこを使っているが、それでも湿気が気になる人

除湿剤(炭・シリカゲル系) 役割:ベッド下やクローゼットの空気中の湿気を吸う おすすめの人:マットレスそのものではなく、寝室全体の湿気対策をしたい人

ベストな組み合わせは、すのこ+除湿シート+ベッド下の除湿剤の三段構えです。これで湿度70%を超える日でも、マットレス内部の湿度が危険水域に達しにくくなります。

もうカビが生えていたら、どう対処するか

点検した結果、すでに黒い点を見つけてしまった場合の対処です。

白カビ(綿状で表面に浮いている)

VENUSBED LIBRARYでは、白カビは表面に付着していることが多いので、消毒用エタノールを使って簡単に除去することができる。白カビ除去を始める前にマスクやゴム手袋を着用して、窓を開けたり換気扇を付けたりする。準備が完了したら消毒用エタノールを染み込ませたティッシュやキッチンペーパーでカビが生えている箇所を拭くと方法が紹介されています。

ただし、これはあくまで表面の除去であり、根本的にはマットレスが置かれている環境を変えないと再発します。

黒カビ(点状で素材に染み込んでいる)

黒カビは素材の奥まで根を張るため、家庭での完全除去は難しいケースが多いです。一部の専門クリーニングで対応可能な場合もありますが、寝具に直接顔をつけて長時間呼吸することを考えると、健康への影響を優先して買い替えを検討するのが現実的な判断です。

カジタクは、マットレスを使っていても、お手入れを怠ればカビは生える。しかも木材に生えたカビは時間がたつほど奥深くまでに根を下ろし、取りにくくなる。カビの胞子を吸い込めば健康にも悪影響が出る。湿度や温度が高い時期はこまめに布団やマットレスをあげ、通気性をよくしてカビのチェックをすると注意を呼びかけています。

後平 泰信 医師
後平 泰信 医師
カビは健康にとって非常にリスクになります。例えばカビを吸い込むことで肺炎を引き起こすこともありますし、衛生面でも良くありません。常に快適な寝室環境の維持を心がけ、より良い睡眠を目指しましょう。

カビ再発を防ぐ寝室の作り方

カビを除去できても、寝室環境が同じなら必ず再発します。再発防止のために見直したいのは次の5点です。

  1. マットレスは壁から最低10cm離す(空気の通り道を作る)
  2. ベッド下に物を詰め込まない(空気が滞留してカビが発生)
  3. 1階・北向き寝室は除湿機の常備を検討
  4. 朝起きたら掛け布団は半分めくる(マットレスの湿気を逃がす)
  5. 月に1度はマットレスを壁に立てかけて半日陰干し

5番だけ実行できれば、それだけでもカビリスクは下がります。

マットレスの「買い替えサイン」とは

最後に、カビとは別の話ですが、5月後半は寝具買い替えを検討する人が増える時期でもあります。買い替えを考えるべきサインは次の通りです。

  • マットレスの中央が明らかに凹んでいる(へたり)
  • 寝起きに腰や背中に違和感が残る日が続く
  • マットレスから汗の匂いが取れない
  • 黒カビが内部まで進行している

これらに当てはまる場合、ケアではなく買い替えが選択肢に入ってきます。マットレスは安い買い物ではありませんが、人生の3分の1を過ごす場所と考えれば、長期的な投資の優先順位は高い領域です。

カビは「気がついたら生えていた」ではなく、「気がつかなかったから生えた」というのが実態です。今週末、晴れたタイミングで一度マットレスを立てかけて、裏側を見るところから始めてみてください。

参考文献

  1. 厚生労働省「気管支喘息に対する喘息死の予防や自己管理手法の普及に関する研究」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/150522.pdf
  2. 厚生労働省「科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124201.html
  3. EMOOR「すのこベッドに生えたカビの取り方|生える原因と予防方法も紹介」https://www.emoor.jp/em/column/20230614/
  4. VENUSBED LIBRARY「すのこベッドに発生したカビの取り方|繁殖する原因や湿気対策を紹介」https://www.bedroom.co.jp/contents/36035
  5. カジタク「すのこベッドにカビが…対処方法と今からできるカビ対策!」https://www.kajitaku.com/column/dry-cleaning/futon/9973
  6. ネルコンシェルジュ「すのこベッドにカビが!?カビの防止対策と生えたカビを除去する方法」https://www.i-office1.net/neruconote/20180418-sunokokabi-ka/
  7. いい眠り.press「梅雨も快適に眠るためにおすすめの方法〜寝室の湿気対策〜」https://ii-nemuri.press/special/tsuyu-shikke/

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