寒いと眠くなるのはなぜ?原因3つと今日からできる対策5つ【冬の眠気・起きれない】
睡眠コラム by Koala Sleep Japan2026年2月26日読了目安時間: 6

【医師監修】寒いと眠くなるのはなぜ?原因3つと今日からできる対策5つ【冬の眠気・起きれない】

監修者

五藤 良将
竹内内科小児科医院 院長

千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。

  • 免許・資格

医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、スポーツドクター、日本美容内科学会評議員

冬になると、どれほど睡眠時間を確保しても、寒さのせいで抗えないほどの眠気に襲われることはありませんか。朝は布団の温もりが恋しくて一歩も出られず、日中も頭がぼんやりして仕事や家事が手につかないという悩みは、多くの方が抱えているものです。

実は私自身も、以前は冬になると極端に朝が弱くなり、日中の耐えがたい眠気に耐えていた時期がありました。気合が足りないのではないかと無理をしてコーヒーを何杯も飲みましたが、根本的な解決にはならず、むしろ夜の寝つきが悪くなるという悪循環に陥ってしまった経験があります。

本記事では、上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の石川が、寒くなると眠気が強まる正体を科学的な視点から解き明かしつつ、明日から健やかに過ごすための具体的な解決策を詳しく解説していきます。

寒いと眠くなるのは「体温・光・自律神経」の影響が重なりやすい

冬に感じる抗いがたい眠気は、主に「体温(深部体温の変化)」「光(日照不足と体内時計)」「自律神経(寒暖差ストレス)」という3つの要素が複雑に絡み合って引き起こされます。※1

私たちの体は季節に合わせて調整を行おうとしますが、現代の生活環境ではその切り替えがスムーズにいかず、結果として日中のパフォーマンス低下を招いてしまうのです。

ご自身の生活習慣がどの程度「冬の眠気」を助長しているかを確認してみましょう。

眠気が増えやすい人のチェックリスト

以下の項目で、普段の生活に当てはまるものがいくつあるか数えてみてください。

  • 起床してから1時間以内に太陽の光を浴びる機会がない。
  • 寝室が寒すぎて、朝起きたときに布団から顔を出すのも辛いと感じる。
  • 日中のほとんどを、太陽の光が届かないオフィスや屋内で過ごしている。
  • 冬場は湯船に浸からず、手早くシャワーだけで入浴を済ませることが多い。
  • 寝る直前までスマートフォンを眺めたり、明るい照明の下で過ごしたりしている。
  • この2週間以上、日中の強い眠気とともに気分の落ち込みを感じることがある。

もし3つ以上の項目に心当たりがある場合は、生活リズムや環境が冬の寒さに適応しきれていない可能性があります。特に気分の落ち込みが長く続く場合は注意が必要ですが、多くの方はこれから解説する仕組みを理解し、できそうな対策から1つでいいので実践してみましょう。

「冬は眠い」は異常?正常?見分けの軸

冬に眠気や倦怠感が増すこと自体は、生物としての自然な反応である側面もあります。しかし、仕事や家事に支障が出るほどの過眠や、何をやってもやる気が出ないといった状態が続く場合は、単なる寝不足ではなく、季節性の体調変化が背景にあるかもしれません。

仕組み1:体温(深部体温)の動きが眠気のスイッチになる

人間が眠気を感じるメカニズムには、脳や内臓の温度である「深部体温」が大きく関わっています。通常、私たちの体は夜に向けて内部の熱を外へ逃がし、深部体温を下げることで入眠の準備を整えます※1。

眠くなる体温の流れを理解する

スムーズに眠りにつくための理想的な流れは、一度上げた温度を反動で下げるという動きにあります。お風呂上がりに湯冷めをすると眠くなる現象は、まさにこの仕組みによるものです。しかし冬場は、寒さによって手足の血管が収縮し、熱をうまく放出できないことがあります。すると深部体温が下がりにくくなり、結果として寝つきが悪くなったり、睡眠の質が低下して翌朝に眠気が残ったりするのです。

冬の「寝室が寒すぎる/布団が重すぎる」で起こりがちなこと

寝室の環境も睡眠の質を左右する重要な要素です。部屋が寒すぎると、体は体温を維持しようとして緊張状態になり、深い眠りを妨げます。※2

一方で、寒さを凌ぐために重い布団を何枚も重ねてしまうと、今度は寝返りが阻害されてしまいます。寝返りは血行を促進し、温度を調節するために不可欠な動作ですから、体が自由に動かせる程度の適切な温度を保ち、寝返りを妨げない環境を作ることが大切です。

仕組み2:日照不足と体内時計が眠気を引き起こしやすい

冬の朝、なかなか目が覚めない最大の理由は「光不足」です。

朝の光が足りないと何が起きる?

冬は日の出が遅いため、起床時に外が暗いことが珍しくありません。しかし、私たちの体内時計は目から入る光の刺激によって毎日リセットされているため、朝の光は非常に重要です。本来であれば、強い光を浴びることで「メラトニン」という睡眠ホルモンの分泌が止まり、活動モードへと切り替わりますが、朝の光刺激が足りないとこのスイッチが入りません。※3

その結果、体内時計が後ろにずれ込み、日中になっても脳が半分眠ったような状態が続いてしまうのです。曇りや雨の日であっても、屋外の光は室内の照明よりはるかに強力なため、意識的に光を取り込む工夫が求められます。

夜の強い光・スマホで「眠気のタイミング」がずれる理由

朝の光不足とは対照的に、夜の過剰な光は眠りを遠ざけます。特にスマートフォンから出るブルーライトや明るすぎる天井照明は、脳に「まだ昼間だ」と誤認させ、メラトニンの分泌を抑制してしまいます。冬はただでさえ体内時計が乱れやすいため、夜は照明を落としてリラックスできる環境を整え、自然な眠気が訪れるのを待つのが理想的です。

関連記事:低気圧で眠い原因とは?気圧変化による眠気を根本から改善する睡眠環境の整え方

今日からできる対策5つ:眠気を減らし、朝起きやすくする実践策

仕組みが分かったところで、今日からすぐに取り入れられる具体的な対策を見ていきましょう。

1. 起床後すぐ「光を取りに行く」ルーティン

目が覚めたら、まずは何よりも先にカーテンを開けてください。たとえ太陽が出ていなくても、窓際で5分ほど過ごすだけで脳に光の刺激が伝わります。もし外がまだ暗い時間であれば、部屋の照明を全灯にするだけでも効果があります。「光を浴びてスイッチを入れる」ことを優先しましょう。

2. 入浴の使い方:寝る前に「ぬるめで整える」

深い眠りを得るためには、就寝の90分から120分前に入浴を済ませるのがベストです。※1

40度程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、一時的に深部体温を上げた後、お風呂から上がって体温が自然に下がっていく過程で、心地よい眠気がやってきます。熱すぎるお湯は交感神経を刺激して目が冴えてしまうため、温度設定には注意してください。

3. 寝室の温度・湿度を整える

寝室の温度は18度から22度、湿度は50%前後を保つのが理想的とされています。※2

エアコンのタイマー機能を活用して、起床の1時間前から部屋を暖めておくと、布団から出る時の心理的ハードルがぐっと下がります。また、快適な睡眠を維持するためには、自分の体型に合ったマットレスの硬さ選びも欠かせません。寝返りがスムーズにできる寝具を選ぶことで、夜中の目覚めを防ぎ、朝の目覚めをより軽やかにします。

4. 日中の眠気を増やさないコツ

日中にどうしても強い眠気に襲われたときは、15分程度の短い昼寝を取り入れましょう。ただし、15時以降の仮眠や、こたつでの寝落ちは夜の睡眠の質を著しく下げてしまうため、避けてください。また、カフェインの摂取は15時までとし、夕方以降は温かい飲み物で体をリラックスさせる習慣をつけると、夜の入眠がスムーズになります。

5. 週末に崩れる人向け:起床時刻だけ固定する

平日の睡眠不足を補おうとして週末に「寝だめ」をすると、体内時計が完全に狂ってしまい、月曜日の朝がさらに辛くなります。生活リズムを保つ秘訣は、寝る時間に関わらず起きる時間を一定にすることです。休日に長く寝たい場合でも、平日との差を1時間以内に留めることで、週明けの倦怠感を最小限に抑えられます。

五藤良将 医師
五藤良将 医師
冬に「眠い・起きられない」のは怠けではなく、光不足(体内時計)・深部体温・自律神経が乱れやすい季節要因が重なるためです。まずは朝は起きたら光(窓際/外へ)、夜はぬるめ入浴で体温を整える、寝室の寒さ/乾燥を改善――この3つからで十分。光が体内時計に重要である点は公的情報でも示されています。
それでも2週間以上、強い眠気や気分の落ち込みで生活に支障があるなら、季節性の不調や睡眠障害も考え、内科・睡眠外来などに相談しましょう。

それでも眠い場合:冬季うつ・病気の可能性と受診目安

冬になると決まって、日常生活に支障をきたすほどの眠気や気分の落ち込みが現れる場合、「冬季うつ(季節性感情障害)」という状態が疑われることがあります。※4

冬季うつは、日照時間の短縮に体が過剰に反応してしまうことで起こりますが、一般的なうつ病とは異なり「過眠(寝すぎ)」や「過食(特に炭水化物や甘いものが欲しくなる)」といった特徴的なサインが現れやすいのが特徴です。

受診を考えるサイン

自分の状態が「ただの寝不足」なのか「専門家への相談が必要」なのかを判断するのは難しいですが、以下の項目が2週間以上続いていれば、一つの目安となります。

  • 仕事や家事に手が回らないほど、日中に強い眠気を感じる。
  • 以前は楽しめていた趣味や外出に対して、全く興味が持てなくなった。
  • 10時間以上眠っても疲れが取れず、体が鉛のように重く感じる。
  • 運転中や会議中など、重要な場面で意図せず居眠りをしてしまい、事故や大きなミスにつながりそうになる。

これらの症状は本人の意思や気合で解決できるものではありません。自分を責める前に、まずは専門的な視点からのアドバイスを受けましょう。

まずは何科?相談先について

「眠気だけで病院に行くのは大げさかもしれない」とためらう必要はありません。身近な内科やかかりつけ医に相談してみるのがスムーズですが、より専門的な診断を希望する場合は、睡眠外来や精神科、心療内科が適しています。受診の際は、何時に寝て何時に起きたか、どの時間帯に最も眠気を感じるかといった簡単なメモを持参するとよいでしょう。

関連記事:雨の日はなぜ眠い?低気圧がもたらす体調変化と対処法

よくある質問

冬の睡眠に関しては、環境の変化に伴う特有の悩みがつきものです。多くの方が抱きやすい疑問について、その理由と対策を整理しました。

暖房の部屋にいるとウトウトするのはなぜ?

暖かい部屋で眠くなるのは、体がリラックスして副交感神経が優位になるためですが、それ以外に「空気の乾燥」や「二酸化炭素濃度の低下」も影響しています。閉め切った部屋で暖房を使い続けると、脳に届く酸素が不足し、頭がぼんやりして眠気が誘発されやすくなります。1時間に1回は窓を開けて換気を行い、新鮮な空気を取り込むことで、脳をリフレッシュさせましょう。

「寒いのに眠れない」人は何を優先すべき?

布団に入っても体が冷えて眠れない方は、まずは「足元の保温」と「寝室の温度設定」を最優先にしてください。靴下を履いて寝ると足先からの放熱を妨げて逆効果になることがあるため、湯たんぽで布団を温めておくか、レッグウォーマーで足首を温めるのが効果的です。また、パジャマは綿やシルクなど吸湿性の良いものを選び、厚着をやめてスムーズな寝返りと体温調節をサポートしましょう。

冬の“寝だめ”はアリ?月曜がつらいときの対処

週末に溜まった疲れをリセットしたい気持ちは分かりますが、長時間の寝だめは「社会的時差ぼけ」を引き起こし、月曜日の朝をさらに辛くさせます。どうしても眠いときは、起床時刻は平日と同じにして、午後に15分から30分程度の昼寝を取り入れてください。起床時刻を固定することで、体内時計の大きなズレを防止できます。

まとめ:原因を見極めて、光と体温と寝室環境から整えよう

冬に眠くなるのは、あなたの体が季節の変化に一生懸命適応しようとしている証拠であり、決して怠慢ではありません。

  • 朝の光で体内時計をリセットし、脳に活動スイッチを入れる。
  • 入浴で深部体温をコントロールし、夜の入眠をスムーズにする。
  • 寝室の室温を適切に保ち、寝返りしやすい寝具環境を整える。

この3つのポイントを意識するだけで、冬の「だる重い」感覚はぐっと軽くなります。まずは明日の朝、カーテンを開けて外の光を感じるところから、無理のない範囲で始めてみませんか。

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・参考
※1 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省
※2 寝室の熱環境と睡眠に関する研究 | 日本人間工学会
※3 体内時計と睡眠 | 厚生労働省 e-ヘルスネット
※3 日本人の季節による気分および行動の変化 | 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)

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