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監修者
松本 恭
「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。
「十分に寝たはずなのに、仕事中や授業中に目が閉じてしまう」「休日に長時間眠っても、なぜかすっきりしない」といった状態が何週間も続いていると、自分の眠気が単なる疲れなのか、それとも睡眠障害のサインなのか判断が難しいものです。
居眠りを注意されたり、集中力が続かなかったりして「もしかして過眠症かもしれない」と気になっている方もいるのではないでしょうか。「ただの怠けではないか」「病院に行くほどのことでもないかも」と思って受診をためらっているケースも少なくありません。
本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の松本が、過眠症セルフチェックに役立つ症状の確認ポイントを紹介するとともに、過眠症の種類と主な原因、病院を受診すべき目安、日常生活で見直せる睡眠習慣までをわかりやすくまとめています。セルフチェックは医師による診断ではありませんが、今の自分の状態を客観的に整理して、次に取るべき行動を判断するための手がかりにしてみてください。
過眠症の人によくある症状|セルフチェック
まず、過眠症が疑われる症状を3つのポイントに分けて紹介します。いずれかの状態が2週間以上続いていて、かつ日常生活に何らかの影響が出ている場合は、医療機関への相談を検討するサインと考えましょう。ただし、あくまでも自分の状態を整理するための目安であり、診断を目的としたものではない点にご注意ください。
1. 日中の強い眠気が週に何度もある
授業中や会議中、仕事の合間など、本来なら起きて活動している場面で耐えがたい眠気に襲われることが週に何度もある場合は、過眠症の可能性があります。誰でも眠気を感じることはありますが、過眠症に関連する眠気は「少し眠い」という感覚とは異なり、意識的に抵抗しにくいほど強く出ることが多いです。
注目したいのは、眠気の「頻度」「強さ」「場面」の3点です。毎日のように日中の眠気がある、特定の場面(食事後や読書中、運転中など)で急激に眠くなる、眠気のせいで仕事や勉強が中断してしまうといった状態が続いているなら、単なる疲れとは別の視点で考える必要があります。
睡眠外来でのスクリーニングに広く用いられているのが、日常の8つの場面ごとに眠気の度合いを点数化するエプワース眠気尺度(ESS)です。具体的な点数の評価には医療機関の判断が必要ですが、「これだけ眠くなる場面が多い」という気づきを持つための参考にはなります。自分が眠くなりやすい場面をあらためて振り返ってみると、眠くなるタイミングや傾向の把握に役立つでしょう。
2. 十分寝ても眠気が取れない
夜に7時間以上、あるいは休日に10時間以上眠っているにもかかわらず、起床後や日中に眠気が取れない状態が続いている場合も、過眠症の可能性が考えられます。睡眠時間の長さだけでなく、十分に眠った後で眠気が解消されるかどうかが重要な着目点です。
「長く寝ているのに眠い」という状態は、特発性過眠症の代表的な特徴のひとつとして知られています。また、昼寝として30分以上眠ってしまう、昼寝後もすっきりしないといった状態が繰り返される場合や、起床後にしばらく頭がぼんやりして動けない感覚(睡眠酩酊)が続く場合も、特発性過眠症の特徴が該当します。
ただし、「十分寝ても眠い」原因は過眠症だけではありません。睡眠の質が低下している場合(睡眠時無呼吸症候群など)、うつ病などの精神疾患、甲状腺機能低下症などの身体疾患、服用している薬の副作用なども、同様の症状を引き起こすことがあります。そのため、眠気の継続期間と日常生活への影響をあわせて確認することが大切です。
3. 仕事や勉強に支障が出ている
眠気によって仕事のミスが増えた、授業中に居眠りを注意された、集中力や記憶力が落ちて効率が下がっている、遅刻や欠席が増えているといった社会生活への影響が出ている場合は、過眠症をはじめとする睡眠障害の可能性を医療機関で確認する必要があります。
眠気そのものの強さに加えて、「どれだけ日常生活が困難になっているか」という視点は、医療機関での問診でも重要視される点です。厚生労働省のe-ヘルスネットによると、昼間の眠気や居眠りによって学業や仕事に支障をきたしている場合、睡眠障害専門の医療機関での検査や治療が重要とされています。※1
「少し眠いけれど、なんとかやり過ごせている」というレベルを超えて、「眠気のせいで社会生活に大きな支障が出ている」というレベルに達している場合、生活習慣の見直しだけで対処するのは困難です。専門家に早めに相談することをおすすめします。
過眠症とはどのような睡眠障害?
次に整理したいのは、過眠症がどのような状態を指すのかということです。過眠症について正しく理解しておくと、自分の症状を医療機関でより正しく説明できるだけでなく、「これはただの疲れとは違うかもしれない」という判断もしやすくなります。
過眠症(過眠障害)は、夜間に十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に強い眠気が生じたり、居眠りを繰り返したりする状態を指します。※1
「単に長く寝るのが好き」「朝が弱い」という性格的な傾向とは異なり、本人が意図せず眠ってしまったり、日常生活に支障が出るほどの眠気が続いたりする点が特徴です。
睡眠障害の分類では、不眠症(眠れない)とは対称的な位置にある障害ですが、実際には「夜に眠れない状態と日中の強い眠気が同時にある」というケースも存在します。また、「寝すぎ=悪い習慣」と誤解されがちですが、医学的な過眠症は本人の意思だけでは改善できません。過眠症かどうかの診断は専門的な検査が必要であり、セルフチェックはあくまでも「疑い」があるかを知るためのものと捉えましょう。
過眠症と寝不足の違い
寝不足(睡眠不足)は、必要な睡眠時間が確保できていないために起こる眠気です。夜更かしが続いている、不規則な生活リズムになっている、仕事や育児で睡眠時間が削られているといった場合に生じやすく、十分な睡眠を取れば多くの場合改善します。
一方、過眠症では睡眠時間を十分に確保しても眠気が続きます。1日8〜10時間以上眠っているにもかかわらず日中の眠気が取れない、長い睡眠後でもすっきりしないという状態が数週間以上続く場合は、寝不足とは別の原因を考える必要があります。
見分けるポイントのひとつは、「十分に眠った後で眠気が解消されるかどうか」です。連休中に毎日8時間以上眠って眠気が解消されるなら寝不足の可能性が高く、同じように休養を取っても日中の強い眠気が続くなら過眠症やその他の睡眠障害の可能性を検討する必要があります。いびきや睡眠中の無呼吸、睡眠リズムの乱れなども眠気の原因になり得るため、生活状況を総合的に振り返ることが役に立ちます。
過眠症の主な種類と関連する病気
日中の強い眠気が続く原因は、ひとつではありません。「過眠症」という言葉はいくつかの異なる病態をまとめた総称であり、背景にある原因によって対処法も異なります。
日本神経治療学会の資料によると、過眠を引き起こす病態には中枢性過眠症群(ナルコレプシー・特発性過眠症・クライネ・レヴィン症候群など)のほか、身体疾患による過眠症、薬物または物質による過眠症、精神疾患による過眠症、睡眠不足症候群、長時間睡眠者などが含まれます。※2
代表的な過眠症の種類と、関連する病気の特徴を解説します。
1. 特発性過眠症
特発性過眠症は、明確な原因が特定されないにもかかわらず、日中に強い眠気が続く状態を指します。夜間に長時間眠っても疲れが取れない、昼寝をしても目覚めがすっきりしないといった自覚症状があります。※3
朝起きることが極端につらく感じられ、目覚めてからしばらくは頭がぼんやりして動けない「睡眠酩酊」と呼ばれる状態が出ることもあります。
「10時間以上眠っても日中にまだ眠い」「昼寝をしても1〜2時間は眠ってしまう」「目覚めた後もしばらく頭が動かない」といった状態が継続している場合、特発性過眠症の可能性を含めて睡眠外来などがある医療機関で検査を受けるのが望ましいです。自己診断では判断が難しい病態だけに、疑わしい症状がある場合は早めの受診が早めの症状緩和につながります。
2. ナルコレプシー
ナルコレプシーは、日中に突然強い眠気が生じ、場合によっては短時間の睡眠発作が起こる病気です。感情的な興奮(笑う・驚くなど)をきっかけに体の力が抜ける「情動脱力発作(カタプレキシー)」、寝入りばなに起こる鮮明な幻覚(入眠時幻覚)、目が覚めているのに体が動かない「睡眠麻痺(金縛り)」なども、ナルコレプシーに関連する症状として知られています。
なお、厚生労働省のデータでは、ナルコレプシー患者が最初に受診する診療科として精神科が約47%、内科が約46%という割合が示されています。※4
ナルコレプシーの診断には専門的な検査が必要であり、セルフチェックだけで判断することはできません。上記のような症状が思い当たる場合は、睡眠外来や精神科・神経内科での受診を検討することをおすすめします。
関連記事:【医師監修】過眠症の原因はストレス?働き盛り世代の睡眠問題を徹底解説
病院へ相談すべき目安
「眠気が強いだけで病院に行っていいのか」と迷う方も多いですが、日中の眠気が生活に影響し始めている場合は、適切な対処をするためにも早めの相談が必要です。以下の状態が続いているなら、睡眠を扱う医療機関への受診を検討してください。
まず、2週間以上にわたって日中の強い眠気が続き、仕事・勉強・家事などの日常生活に支障が出ている場合は、医療機関の受診が適切です。業務中に居眠りしてしまう、授業の内容が頭に入らない、家事や育児に集中できないといったレベルに達している状態を指します。
次に、運転中や機械操作中に眠気を感じることが繰り返されている場合も、事故のリスクに直結するため、できるだけ早く医療機関に相談してください。
生活習慣を整えても改善しない場合も受診の目安になります。十分な睡眠時間の確保、就寝・起床時刻の固定、アルコールやカフェインの見直しといった基本的な対策を2〜4週間続けても日中の眠気が変わらない場合は、生活習慣以外の原因がある可能性を医療機関で確認することが勧められます。
受診する科は、睡眠外来・睡眠障害を扱うクリニックが最も適していますが、かかりつけ医がいる場合は紹介状を書いてもらうのも選択肢のひとつです。精神科・心療内科でも過眠症を扱っている場合がありますので、気分の落ち込みがひどいといった場合は検討しましょう。お住まいの地域によって対応できる医療機関が異なるため、「睡眠外来」「睡眠障害」などのキーワードで検索してみてください。
病院で行われる主な検査と診断の流れ
「病院に行くと、どんな検査をするのだろう」と気になっている方に向けて、睡眠外来や睡眠を扱う医療機関での一般的な診断の流れを紹介します。実際の内容は医療機関によって異なりますが、受診前にイメージを持っておくと安心です。
まず行われるのは問診です。日中の眠気の程度や頻度、持続期間、夜間の睡眠時間と睡眠の質、いびきや無呼吸の有無、服用中の薬、精神状態、生活習慣などについて医師から質問されます。あらかじめ1〜2週間分の睡眠日誌(何時に寝て何時に起きたか、日中の眠気の程度を記録したもの)をつけておくと、問診でより詳しい情報を提供でき、スムーズな相談につながります。
検査が必要と判断された場合は、夜間の睡眠状態を詳しく調べる終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)が行われることがあります。睡眠中の脳波・眼球運動・筋肉の動き・血中酸素濃度などを同時に記録する検査で、睡眠時無呼吸症候群などの合併の有無や、睡眠の質の評価に使われます。
さらに、日中の眠気の程度を客観的に評価するために反復睡眠潜時測定検査(MSLT)が実施されることがあります。PSGの翌日に行われることが多く、2時間おきに複数回の昼寝の機会を設け、眠りに入るまでの時間(睡眠潜時)を測定します。
日本睡眠学会のガイドラインでは、中枢性過眠症の診断においてPSGとMSLTの実施が望ましいそうです。※5
セルフチェックでは確認できないこうした客観的なデータが、正しい診断や治療方針の決定に役立ちますので、専門的な検査を受けることには大きな意義があるのです。
日中の眠気を軽くするために見直したい生活習慣
医療機関での診断や治療と並行して、日常生活の中でできる対策も確認しておきましょう。過眠症が疑われる場合でも、生活習慣の乱れが眠気を悪化させていることは少なくありません。次の2つのポイントを意識して、睡眠環境を整えていきましょう。
なお、強い眠気が2週間以上続いて生活に支障が出ている場合は、生活習慣の改善だけで様子を見るのではなく、医療機関への相談を優先してください。
1. 睡眠時間と起床時刻を安定させる
毎日ほぼ同じ時刻に起床することは、体内時計を整えるうえで最も効果的な習慣のひとつです。平日と休日の起床時刻が2時間以上ずれると「社会的時差ぼけ(ソーシャル・ジェットラグ)」と呼ばれる状態が起こり、日中の眠気が強くなることが知られています。
睡眠時間についても、ただ長く眠ればよいわけではありません。必要な睡眠時間には個人差があり、一般的には7〜9時間程度が成人の目安とされていますが、それより長く眠っても眠気が取れない状態が続いているなら、睡眠時間の問題だけでなく睡眠の質や病気の可能性を考える必要があります。まず「毎日同じ時刻に起きる習慣」を2週間続けてみて、日中の眠気に変化があるかどうかを確認してみましょう。※3
2. 寝室環境と寝具を見直す
夜間の睡眠の質が低いと、長時間眠っても疲労感や眠気が残ることがあります。寝室の温度・湿度・光・音は、眠りの深さに影響する環境要因です。快適な睡眠環境の目安とされている「室温18〜22℃前後、湿度50〜60%程度」になるようエアコンなどで調整してください。そして、寝室に自然光が入りやすい場合は、遮光カーテンの活用が効果的です。
睡眠の質に関係する重要な要素として忘れてはいけないのが寝具です。自分の体型や寝姿勢に合っていないマットレスや枕を使い続けていると、寝返りが打ちにくくなったり、体の特定の部位に負担が集中したりして、睡眠が浅くなりやすいです。長期間同じ寝具を使っている場合は、体圧分散や通気性の観点も含めて一度見直してみましょう。
まとめ|セルフチェックで不安な場合は眠気の状態を記録して相談しよう
この記事では、過眠症セルフチェックに役立つ3つの症状確認ポイント(日中の強い眠気・寝ても眠気が取れない・仕事や勉強への支障)を中心に、過眠症の基礎知識、主な種類(特発性過眠症・ナルコレプシー)、受診目安、病院での検査の流れ、生活習慣の見直し方までを解説しました。
セルフチェックはあくまでも自分の状態を整理するための手段であり、過眠症かどうかを確定する診断ではありません。「日中の強い眠気が2週間以上続いている」「仕事や勉強に支障が出ている」「運転中に眠気を感じる」といった状態が当てはまる場合は、睡眠外来をはじめとする睡眠障害を扱う医療機関への相談を検討してください。
受診の準備として、眠気の程度や睡眠時間を毎日メモする睡眠日誌をつけておくと、問診での情報提供がスムーズになります。合わせて、寝室環境や睡眠習慣の見直しも並行して進めることで、医療機関での相談内容を整理しやすくなります。眠気の悩みは、ひとりで抱え込まずに専門家に相談することが解決への近道です。
・参考
※1 e-ヘルスネット「過眠症」 | 厚生労働省
※2 睡眠障害の診療ガイドライン(不眠・過眠を含む) | 日本神経治療学会
※3 特発性過眠症のセルフチェック | 坂野診療所
※4 令和4年度 過眠症(ナルコレプシー等)の実態把握及び患者登録に関する研究 | 厚生労働省
※5 睡眠障害スクリーニングキット | 日本睡眠学会











