目次
監修者

眞鍋 憲正 医師
【経歴】
信州大学医学部卒業 / 信州大学大学院疾患予防医科学専攻スポーツ医科学講座 博士課程修了
UT Southwestern Medical Center, Internal Medicine, Visiting Senior Scholar / Institute for Exercise and Environmental Medicine, Visiting Senior Scholar
UT Austin, Faculty of Education and Kinesiology, Cardiovascular aging research lab, Visiting Scholar
天理大学 体育学部 准教授
【研究分野】
スポーツ医学、運動生理学、運動時の循環応答
夜中や明け方、運動した後などに「膝の裏がつる」経験はありませんか。急にピキッと痛みが走り、しばらく動けなくなると不安になりますよね。多くの場合、この症状は“こむら返り”と呼ばれる筋肉のけいれんが原因で、疲労や血流不足、水分・ミネラル不足など生活習慣と深く関係しています。
一方で、膝裏の痛みや腫れが長引く場合には、別の病気やけがが隠れているケースもあります。
この記事では、
・膝の裏がつる主な原因
・つった直後の具体的な対処法
・再発を防ぐための予防策
・病院を受診すべき目安
までをわかりやすく解説します。
「寝ている時に足がつる」「膝裏が痛いけれど対処法がわからない」という方は、ぜひ最後までお読みください。
膝の裏がつるとは?まず症状と起こり方を整理
「膝の裏がつる」という表現はよく使われますが、実際には膝関節そのものの痛みではなく、膝裏周辺の筋肉が突然けいれんを起こしている状態を指します。医学的には“有痛性筋けいれん”と呼ばれ、こむら返りの一種です。
特徴としては次のような点があります。
- 突然、強い痛みとともに筋肉がギュッと収縮する
- 数秒~数分で落ち着くことが多い
- 痛みが引いたあともこわばりや張りが残る
- 睡眠中や運動後に起こりやすい
特に夜間のこむら返りは中高年に多く、冷えや脱水、疲労などが重なると発生しやすくなります。
膝の裏のどこがつる?よくある部位と感じ方
「膝裏がつる」といっても、実際に関係している筋肉はいくつかあります。
- ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)の引きつれ
- 太もも裏(ハムストリングス)の突っ張り
- アキレス腱周辺の強い張り
痛みの出方も「ピキッとした鋭い痛み」「引っ張られるような感覚」など人によってさまざまです。つった後に歩きにくさや軽い痛みが残るのも特徴です。
どんなタイミングで起きる?睡眠中・運動後・座りっぱなし
膝裏がつる代表的なシーンには次のようなものがあります。
- 寝ている時や明け方
- 激しい運動をした後
- 長時間の座りっぱなし・立ちっぱなし
- 冷えた環境にいたとき
- 水分補給が足りなかった日
これらはすべて「血流の低下」や「筋肉の緊張」「脱水」につながる条件です。
膝の裏がつる原因5つ
膝裏のつりは、単一の原因ではなく複数の要因が重なって起こることがほとんどです。ここでは代表的な5つに分けて解説します。
1. 筋肉の疲労と使いすぎ
運動や歩きすぎ、階段の上り下りなどで膝裏やふくらはぎの筋肉に負担がかかると、筋肉疲労がたまりやすくなります。疲れた筋肉は収縮と弛緩のバランスが崩れ、足がつる原因になります。特に久しぶりに体を動かした日や、慣れない運動をした翌日は要注意です。
対策:休息を挟む、軽いストレッチでケアをする、過負荷にならないよう運動するなど
2. 血流不足(冷え・同じ姿勢)
長時間同じ姿勢でいると血行不良が起こり、膝裏の筋肉が硬くなります。冷えや締め付けの強い衣服も血流不足を招き、こむら返りを起こしやすくします。デスクワーク中心の方や、寝ている間に膝裏が圧迫されやすい方、ベッドが合ってない方は特に起こりやすいタイプです。
対策:姿勢を変える、軽く運動やストレッチをする、保温など
3. 水分不足
睡眠中は汗や呼吸で水分が失われるため、体は軽い脱水状態になりがちです。日中の水分補給が不十分だと、夜中や明け方に膝裏がつる原因になります。「寝ている時に足がつる」人の多くは、この水分不足が大きく関係しています。
対策:こまめに水分補給をする、寝る前に水分補給する
4. ミネラル不足
筋肉の正常な働きには、マグネシウム・カルシウム・カリウムなどのミネラルが欠かせません。食事が偏っていたり、大量に汗をかいた日、ダイエットなどで食事制限をしている時などは電解質バランスが崩れ、筋肉が過敏になってつりやすくなります。
対策:栄養バランスを整える、サプリメントを検討する
5. 体のサイン(病気・薬・けが)
頻繁に膝裏がつる場合は、単なる疲労だけでなく次のような可能性も考えられます。
- 変形性膝関節症
- ベーカー嚢腫などの膝裏のトラブル
- 神経や血管の問題
- 服用中の薬の影響
特に急に頻度が増えた場合は注意が必要です。医療機関を受診することを視野に入れましょう。
つった直後の対処法5つ
実際に膝の裏がつってしまったときは、次の順番で対処しましょう。事前に把握しておくことで焦らず安心して対応できます。
1. まずは落ち着く
痛みに驚いて急に立ち上がったり、強く揉む、体重をかけるなど無理に力を入れると悪化することがあります。まずは安全な姿勢を保ち、呼吸を整えましょう。
2. 膝を伸ばして足首を手前に倒す
最も効果的なのはストレッチです。
- 膝をゆっくり伸ばす
- 足首を自分のほうへ倒す(背屈)
- 20~30秒キープ
- 呼吸を止めない
腓腹筋やヒラメ筋が伸びて、けいれんが和らぎます。壁に足を当てたり、タオルで足首を倒すのを補助するのもおすすめです。
3. 痛みが落ち着いたら軽くほぐす
強く揉むのは逆効果ですので避けてください。ふくらはぎやアキレス腱周辺をやさしくマッサージして血流を促しましょう。
4. 温めるか冷やすかを判断
- 冷えが原因の場合 → 温める
- 運動直後で腫れや熱感がある場合 → 軽く冷やす
状況に合わせて使い分けましょう。
5. その日のうちに再発防止
つった日は再発しやすいため、寝る前に次のことを意識しましょう。
- 軽いストレッチ
- 水分補給
- 足元の保温
再発予防の習慣5つ
こむら返りは日常生活の中で予防していくことが可能です。毎日カンタンにできる方法を紹介します。
1. 就寝前の軽いストレッチ
就寝前にふくらはぎや太もも裏をストレッチするとこむら返りの回数や痛みが減ることがわかっています。※1
ストレッチは一般的に30~60秒ほどを目安に実施してみてください。
2. 日中の水分補給を前倒し
夜だけでなく、日中こまめに水分をとることが重要です。水分を補給することを忘れてしまう方は、3食の時、朝ー昼と昼ー夕の食事の間の5回を最低限の目安にしましょう。カフェインを摂取する方は、1日4杯まで、15時までに飲むことを意識するだけでも違います。アルコールを飲むと脱水になる可能性があるため、より意識して水分を摂取しましょう。
3. 食事でミネラルを意識
野菜・果物・海藻・乳製品などをバランスよく摂りましょう。食事制限をした場合、外食が多く偏食になっている時、汗をかく運動をした日などミネラルが不足しがちです。
マグネシウム:干しエビ、焼き海苔、アーモンド、きな粉、くるみ、ほうれん草、バナナなど
カルシウム:ごま、ひじき、プロセスチーズ、ししゃも、小松菜、牛乳、ブロッコリーなど
4. 冷え対策
就寝時は足首やふくらはぎを冷やさない工夫を。薄着に気をつけ、暖房で室温を18-25℃になるようにするなど注意しましょう。
5. 同じ姿勢をとらない
デスクワーク中は1時間に一度、軽く体を動かしましょう。同じ姿勢でいると血流が滞る、筋肉が硬直するなどが起きます。椅子から立って伸びをする、その場で足踏みをするなど簡単な運動を取り入れましょう。
寝ている時に膝の裏がつる人向けの見直しポイント
夜間のこむら返りは「冷え・脱水・姿勢の固定」が主な原因です。
室温と冷えのチェック
足元だけ冷えていないかを確認し、暖房で室温を18-25℃に保つ、レッグウォーマーを履くなどで保温しましょう。
寝る前の水分と入浴
入浴後は体が冷えやすいため、軽い保温と少量の水分補給が有効です。また、水分は寝る前だけでなく、日中から摂取することを意識しましょう。
寝返りと姿勢の固定
膝を曲げすぎた姿勢は膝裏を圧迫します。また、寝返りしやすい環境づくりも大切です。
関連記事:マットレスの腰痛対策について徹底解説!腰痛につながる4つの原因とは?
病気や薬が関係するケースもある
頻繁につる場合は、薬剤の影響や電解質異常が関係することがあります。特に医薬品などに含まれる成分が低カリウム血症を起こし、こむら返りを誘発するケースも報告されています。※2
急に増えた・毎晩起きる・生活が変わってない場合
- いつから増えたか
- 左右どちらか
- 運動量はどのくらいか
- 冷えはあるか
- 水分摂取量はどのくらいか
- 食事内容
- 服薬状況
などを整理して医療機関へ相談しましょう。
服薬の自己判断はNG
薬の中止や増量を自己判断で行うのは危険です。必ず医師や薬剤師に相談してください。
受診の目安と危険サイン
次のような症状がある場合は、ただの「こむら返り」と考えるのではなく、早めの受診をおすすめします。
片脚の腫れ・赤み・強い痛み
深部静脈血栓症などの血管のトラブルなど、重大な原因が隠れている可能性があります。
膝裏のコブやしこり
ベーカー嚢腫など、関節由来の問題かもしれません。また、膝関節の曲げ伸ばしで痛む場合は、変形性膝関節症など別の原因があるかもしれません。
何度も繰り返し生活に支障がある
生活習慣を改善し、予防しても改善しない場合は専門的な診察が必要です。
まとめ:膝の裏がつるときは、原因の切り分けと再発予防が鍵
膝裏がつる多くのケースは、
- 疲労
- 血流不足
- 水分・ミネラル不足
といった生活要因から起こります。
正しい対処法と日々の予防習慣を身につければ、多くは自分で改善できますが、腫れやしこり、強い痛みが続く場合は無理をせず医療機関へ相談しましょう。
参考




