睡眠コラム by 南 茂幸2026年1月26日読了目安時間: 3

【医師監修】子どものいびきの原因と対策を徹底解説|放置リスク・受診目安・家庭でできる改善策をまとめました

森田 麻里子
Child Health Laboratory 代表 / 医師

医師・小児スリープコンサルタント・睡眠専門家

2012年東京大学医学部医学科卒。
亀田総合病院にて初期研修後、2014年仙台厚生病院、2016年南相馬市立総合病院にて麻酔科医として勤務。2017年の第1子出産をきっかけに、2018年より乳幼児の睡眠問題についてのカウンセリングや講座、企業と連携したアプリ監修など行っている。2019年昭和大学病院附属東病院睡眠医療センター非常勤勤務を経て、現在は大人の睡眠カウンセリングや企業向け睡眠講座も手掛ける。

夜、子どもの寝顔を見ていると「グーグー」「ガーガー」と大きないびき。
「疲れているだけ?」「成長すれば治る?」と様子見してよいのか、それとも病院に行くべきなのか、迷っている保護者の方は少なくありません。

実は、子どものいびきは珍しいものではありませんが、放置すると成長や学習、顔つきにまで影響するケースがあることが、国内の研究でも指摘されています。

本記事では、

  • 子どものいびきの主な原因
  • 放置した場合に起こりうるリスク
  • 今日から家庭でできる具体的な対策
  • 受診を検討すべきサイン

を、保護者の視点でわかりやすく整理しました。「これ大丈夫?」という不安を解消するためのガイドとしてお役立てください。

 

子どものいびきは放置すると何が起こる?まず知っておきたいリスク

「子どもはいびきをかくもの」と考えられがちですが、慢性的ないびきの背景には睡眠時無呼吸症候群などの睡眠呼吸障害が隠れているかもしれません。小児の睡眠呼吸障害は単なる睡眠中の問題にとどまらず、行動・学習・情緒面にまで影響を及ぼす可能性があるとされています。

実際に、小学校5、6年生においていびきをかく人は、いびきをかかない人に比べて学習意欲の低下や落ち着きがない例が有意に多いと報告されています。※1

行動・学習面への影響

いびきや無呼吸によって睡眠が分断されると、深い睡眠が十分にとれません。その結果、脳の休息や記憶の整理がうまく進まず、

  • 授業中に集中できない
  • ぼんやりしている時間が増える
  • 学習効率が下がる

といった影響が出ることがあります。

実際、睡眠不足や睡眠障害がある子どもほど、疲労感や集中力の低下、感情コントロール、認知機能に影響が出やすいことが報告されています。※2

日中の眠気・情緒面の変化

睡眠不足や質の低い睡眠が続くと、

  • 日中に強い眠気が出る
  • イライラしやすくなる
  • 落ち着きがなくなる

といった情緒面・行動面の変化が見られます。
「性格の問題かな?」と思っていたら、実は睡眠が原因だったというケースも考えられます。

 

子どものいびきの主な原因|症状別にわかりやすく整理

全国21校の小学生1年生、5年生、6年生1,764人を対象とした調査において、「時々いびきをかく」「いつもいびきをかく」と答えた子どもは1年生で49.7%、5年生で43.8%、6年生で38.3%と報告されています。※1

 

つまり、子どものいびき自体は珍しくありません。ただし、その原因はさまざまで、見極めが重要です。

鼻づまり・鼻炎による気道の狭まり

もっとも多い原因が、鼻づまり(鼻閉)です。アレルギー性鼻炎や風邪の後などで鼻が通らないと、寝ている間に口呼吸になり、いびきが出やすくなります。

  • 寝ると口が開いている
  • 朝、口や喉が乾いている

こうしたサインがあれば、鼻づまりが関係している可能性があります。

扁桃肥大・アデノイド肥大

小児特有の原因として多いのが、扁桃肥大やアデノイド肥大です。喉の奥の組織が大きくなることで、空気の通り道が狭くなり、いびきや無呼吸が起こります。

  • 仰向けで特にいびきが大きい
  • 息が一瞬止まるように見える

このような場合は、耳鼻科できちんと診てもらうことを検討しましょう。

顎の成長不足・肥満・口呼吸

顎が小さい、歯並びが乱れている場合は舌が落ち込んで、いびきの原因になりやすいです。また、肥満があると気道が狭くなりやすく、これもいびきの原因となります。

口呼吸が習慣化することそのものによりいびきが出やすくなることもあります。

 

今日からできる!自宅でのいびき対策5つ


子どものいびき対策は、睡眠環境や睡眠習慣の見直しに加えて、鼻詰まりや口呼吸のケアがポイントです。
ここではすぐにできるいびき改善のポイントを5つ紹介します。

 

① 鼻づまりをケアする

  • 蒸しタオルで鼻を温める
  • 入浴をする
  • 鼻腔拡張テープを活用する
  • 脇にペットボトルなどを挟む
  • 必要に応じて医師処方の点鼻薬や抗アレルギー薬を使う

鼻の通りをよくするだけで、いびきが軽減することがあります。

 

② 寝る姿勢を工夫する(横向き・枕の高さ調整)

仰向けでいびきが強い場合は、横向き寝がおすすめです。横向き枕や、背中にタオルを入れるなど、無理のない体勢を意識しましょう。

小さい子どもに枕は必要ありませんが、小学校中学年前後からは枕を使っても良いでしょう。枕を使う場合は、高すぎないように注意しましょう。

 

関連記事:【医師監修】寝る向きで健康が変わる?右向き・左向き・仰向けの正しい寝姿勢を徹底解説

③ 鼻呼吸を促すトレーニング

「あいうべ体操」など、舌や口周りの筋肉を鍛えるMFT(口腔筋機能療法)は、口呼吸の改善に役立つとされています。

 

④ 部屋の乾燥を防ぐ

乾燥すると喉の粘膜が炎症を起こしやすく、いびきが悪化する可能性があります。加湿器や濡れタオルで、適度な湿度(40〜60%)を保ちましょう。

関連記事:【医師監修】寝る時の加湿器は必要?睡眠の質を高める湿度管理と正しい使い方

 

⑤ 生活リズム・睡眠時間を整える

睡眠不足はいびきを悪化させます。小学生であれば9〜12時間を目安に、就寝・起床時間を一定にすることが大切です。

 

受診を検討すべきサイン|放置しないほうがよい状態とは

次のようなサインがあれば、早めの受診を検討しましょう。


寝ている時に呼吸が一時的に止まる・肩で息をする

  • 数秒〜10秒以上、呼吸が止まる
  • 寝ている間に肩が上下する

これは無呼吸の典型的なサインです。

 

日中の強い眠気・集中力低下がある

  • 授業中に居眠りする
  • 落ち着きがなくなる

この場合、睡眠の質が影響している可能性があります。

 

顎の成長・顔つきに変化が見られる

  • 口が常に開いている
  • 顔が縦に長くなってきた

といった変化が見られたら、耳鼻科や小児歯科での相談を強くおすすめします。

 

本記事のまとめ

  • 子どものいびきは珍しくないが、放置は危険
  • 顎の成長や歯並びもいびきに関連し、行動や学習に影響する可能性がある
  • 鼻づまり・扁桃肥大・口呼吸など原因はさまざま
  • 自宅でできる対策と、受診目安を知ることが大切

「様子見でいいのか迷う」ときこそ、専門家に相談することが、結果的にお子さんの健やかな成長につながります。

横向きで寝るために必要なマットレスの考え方についてはこちらの記事をご参照下さい。

体圧分散マットレスとは?特徴や効果、デメリットを徹底解説

 

参考

※1:小児睡眠時無呼吸症候群に対する学校保健の取り組み

※2:The impact of inadequate sleep on children’s daytime cognitive function

 

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