生理中の眠気がひどい原因と今すぐできる対処法|医学的メカニズムを解説
睡眠コラム by Koala Sleep Japan2025年12月29日読了目安時間: 8

【医師監修】生理中の眠気がひどい原因と今すぐできる対処法|医学的メカニズムを解説

五藤 良将
竹内内科小児科医院 院長

千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。

  • 免許・資格

医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、スポーツドクター、日本美容内科学会評議員

生理中になると、いつもの眠気とはまったく質の違う「意識が持っていかれるような眠さ」に襲われることがあります。実際に、生理中の強い眠気やだるさは、多くの女性が経験しているとても一般的な悩みです。

生理前から黄体期にかけて増えるプロゲステロンや、その代謝物のアロプレグナノロンが、深部体温のリズムや脳内の神経伝達物質に影響を与えることで、眠気や無気力感が強まりやすくなります。単なる「気の持ちよう」ではなく、ホルモンと脳の仕組みによって起きている現象として理解することが大切です。

本記事では、上級睡眠健康指導士でコアラマットレス社員の松本が、生理中に「とにかく眠い」「どれだけ寝てもだるさが抜けない」と感じる原因を、プロゲステロンやセロトニンなどの医学的メカニズムからやさしく解説します。

そのうえで、仕事中にもできる短時間の仮眠やストレッチ、眠気を和らげる食事と光の使い方といった即効性のある対処法に加えて、長期的に生理中の眠気を軽くする生活習慣の整え方や、婦人科などの受診を考えた方がよいサインもまとめて紹介します。

生理中に眠くなる3つの医学的メカニズム

生理中に眠くなる3つの医学的メカニズム

生理中の眠気は、ひとつの原因だけで起きるのではなく、いくつかの生理反応が重なって強まることが多いです。全体像をつかむためには、体温リズムの変化、脳の鎮静方向への傾き、睡眠の質のゆらぎという3つの観点から整理すると理解しやすくなります。※1

1. プロゲステロンの増加による深部体温リズムの乱れ

排卵後から次の月経が始まるまでの黄体期はプロゲステロン(黄体ホルモン)が増え、その作用で基礎体温が低温期より上がります。一般的には約0.3〜0.5℃ほど上昇することから、基礎体温でいう高温期と呼ばれます。※2

本来、深部体温は日中に高めで活動を支え、夜から明け方にかけて下がることで睡眠へ移行しやすくなります。ところが黄体期はプロゲステロンの影響で深部体温が上がり、「昼は高く、夜は下がる」というメリハリが弱まって終日高めの状態が続きます。夜になっても体温が下がりきらないため眠りが浅くなり、朝は睡眠時間が足りていても休息感が得にくいのは、プロゲステロンの増加の影響です。その結果として、日中に強い眠気が残りやすくなります。※1

「夜しっかり寝たはずなのに、昼になると意識が落ちそうになる」と感じる人は、体温リズムの変化が眠気の土台になっている可能性があります。

2.アロプレグナノロンによる鎮静作用の増強

プロゲステロンは体内で代謝される過程で、アロプレグナノロンという神経活性ステロイドに変化します。アロプレグナノロンは脳内のGABA(A)受容体に作用し、ベンゾジアゼピン系に近い形で鎮静方向に働くことが報告されています。※3

この影響が強い時期には、眠気が「単に眠い」というよりも、頭がぼんやりして集中が続きにくい感覚として出ることがあります。体温が高めで睡眠が浅くなりやすい状態において、脳がリラックス方向へ傾きやすい条件が重なると、日中の覚醒を保つのが難しくなるのです。※1

ただし、眠気の感じ方には個人差があり、鎮静の影響だけで説明できないケースもあります。

3. セロトニン減少による睡眠の質低下

月経前症候群(PMS)は、黄体期に出現し月経開始とともに軽くなる心身の症状のひとつです。眠気や不眠も症状として含まれる背景には、黄体期後半に女性ホルモンが大きく変動し、脳内のホルモンや神経伝達物質のバランスが乱れやすくなることが挙げられます。※4

また、セロトニン系の感受性と黄体ホルモンの関与も指摘されています。※5

セロトニンは気分だけでなく体内時計や睡眠にも関係しているため、働きが落ちると寝つきが悪いのに日中は強く眠い状態になったり、睡眠時間を確保しても休んだ感覚が得られにくくなったりします。こうした「睡眠の質の低下」が重なると、生理中の眠気はさらに長引きやすくなるのです。※4

以上3つの要素を踏まえると、生理中の眠気は体温リズムの変化で睡眠が浅くなり、脳が鎮静方向へ傾き、さらに睡眠の質が下がりやすい条件が重なって強まりやすいことが分かります。

生理中の眠気レベル別|今すぐできる5つの対処法

生理中の眠気レベル別|今すぐできる5つの対処法

生理中の眠気は強さに個人差があり、その時々で感じ方も変わります。ここでは「軽い眠気」「中くらいの眠気」「強い眠気」の3段階のレベルに合った、即効性のある対処法を紹介します。※6

1. 軽度の眠気には15分間の戦略的な仮眠を取り入れる

少しぼんやりする、集中力が落ちてきたと感じる程度の眠気には、短時間の仮眠が効果的です。特に午後1時から3時頃は生理的に眠気が出やすい時間帯のため、この時間に15分前後だけ目を閉じると覚醒度が回復しやすくなります。※7

横になって深く眠る必要はなく、椅子にもたれて軽く目を閉じる程度で十分です。20分を超えると深い睡眠に入りやすく、起きたときにだるさが残ることがあるため、アラームを設定して時間を区切ることが大切です。短く深い仮眠は、その後の作業効率や集中力が上がりやすいことが知られています。

2. 中度の眠気には血流を促すストレッチを挟む

会議中にうとうとしてしまう、頭がぼんやりして考えがまとまらないといった中程度の眠気には、血流を上げる動きが向いています。長時間座ったままだと筋肉がこわばり、脳への血流も滞りやすくなるためです。

肩をすくめてから後ろに大きく回す動きを数回行うと、肩甲骨周りが動いて上半身の血流が改善できます。首や肩をゆっくり伸ばすストレッチも、緊張をゆるめるのに効果的です。あわせて、鼻からゆっくり吸って口から長く吐く呼吸を繰り返すと、自律神経が切り替わりやすくなります。※7

こうした動きを一分から数分挟むだけでも、頭がすっきりして眠気が和らぐことがあります。

3. 重度の眠気にはカフェインの摂取タイミングを整える

意識が落ちそうになるほどの強い眠気がある場合、カフェインを上手に使う方法も選択肢に入れてみましょう。カフェインは摂取してから39分ほどで効果が現れ、4〜6時間程度持続するとされています。※7

午後の眠気対策として摂取するなら、昼食後から13時頃までに1杯飲みましょう。その後の時間帯が活動しやすくなります。注意したいのは、夕方以降の摂取です。就寝までカフェインの覚醒作用が持続すると寝つきを悪くし、翌日の眠気を増進させかねません。

一日の摂取量の目安はコーヒー3杯程度です。

4. 食事を整えて血糖値と栄養バランスを安定させる

食後に強い眠気が出る人は、血糖値の急激な変動が関係していることがあります。炭水化物だけの食事だと食後に血糖値が一気に上がり、その後下がるタイミングで眠気が強く出やすいです。

この場合は、たんぱく質や野菜を組み合わせると血糖の上がり方が穏やかになり、眠気も出にくくなります。白米を雑穀米に替える、白いパンより全粒粉のパンを選ぶといった工夫も役立つでしょう。※8

生理中は出血の影響で鉄分が不足しやすい点にも注意が必要です。貧血気味になると眠気やだるさが強まることがあります。赤身の肉や大豆製品、海藻類などを意識して取り入れ、体調の土台を支えるよう意識してください。

ただし、眠気に加えてふらつきや動悸がある場合は、食事を整えるだけでは改善しない可能性があるため、早めに医療機関で相談することも大切です。

5. 光を味方にして覚醒度を高める

人の体内時計は光の刺激によって調整されます。朝に明るい光を浴びると、眠りを促すメラトニンの分泌が抑えられ、日中の覚醒が高まりやすくなります。起床後にカーテンを開け、数分でも日光を浴びることを習慣づけましょう。※6

日中も、暗い場所に長く留まるより、窓際に移動したり外の光を短時間浴びたりするだけで、頭が切り替わりやすいです。一方で、夜遅い時間の強い光は眠りを妨げやすいため、生理前から生理中は特に、寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控えめにすると睡眠の質を保ちやすくなります。

このように、眠気の強さに応じて対処法を選び、短期的なリセットと生活リズムの調整を組み合わせてみてください。取り組む前よりも生理中の眠気をコントロールしやすいのを実感できるはずです。

五藤良将 医師
五藤良将 医師
生理中の強い眠気は「気合い不足」ではなく、ホルモン変動で体温リズム・脳の鎮静・睡眠の質が揺らぐことで起こりえます。まずは15分仮眠/1?3分ストレッチ/カフェインは昼まで/血糖が乱れにくい食事/朝の光を“できるものだけ”でOKです。
ただし、毎回「意識が飛びそう」、欠勤が続く、月経不順や過多月経がある、3か月続けても改善しない場合は、PMS/PMDD治療や鉄欠乏の評価も含めて早めに受診をしてください。

日常生活への影響を最小限にする3つの長期対策

日常生活への影響を最小限にする3つの長期対策

その場しのぎの対処だけではなく、生理中の眠気そのものを弱めたいと感じている人に向けて、ここでは月経周期全体を通じた長期的な対策を紹介します。体のリズムを理解し、睡眠と活動の質を底上げすると、生理中の眠気は少しずつコントロールできます。

1. 基礎体温を記録して眠気が出やすい時期を予測する

最初の対策としてぜひ取り組んでほしいのが、基礎体温と体調の記録です。朝目覚めたら、体を起こす前に基礎体温計で体温を測り、グラフとして記録します。

排卵直前に一度下がった基礎体温は、排卵後に上がって高温期に入ります。このタイミングを把握できれば、「そろそろ眠気やだるさが出てくる頃だ」と体調の予測がある程度できるようになります。※9

記録を1〜2か月続けるとパターンが見えてきますから、集中力を要する作業を行うのを避けたり、残業を減らして夜ゆっくり過ごしたりと体調優先の予定を組みやすくなるでしょう。ただし、生理周期が安定している人に限る話なので、生理不順の人や生理がしばらくきていない人は生理周期を安定させる治療を優先すべきです。

2. 睡眠環境を整えて睡眠の質を底上げする

ホルモンの影響で眠りが浅くなりやすい時期ほど、睡眠環境が重要です。日中の眠気が強くならないよう、環境面を見直して睡眠の質を上げることを考えましょう。

睡眠に関する研究では、寝室の室温はおおよそ16〜19度、布団の中の温度は32〜34度前後が快適な睡眠に適した目安とされています。室温はやや低めに設定し、寒さを感じる場合は寝具で調整してください。深部体温が下がりやすく眠りに入りやすくなります。

朝は徐々に室内が明るくなるよう、遮光性の高いカーテンで室内に入る朝日の量をコントロールすることも睡眠の安定に役立ちます。※10

寝具の見直しもぜひ行いましょう。寝ている間に体が痛くて目が覚める、何度も寝返りを打ってしまうといった状態が続くと、睡眠時間を確保していても休養感は大きく下がります。体圧を分散しやすいマットレスや、体格に合った高さの枕を選んで夜中の覚醒を減らすと、生理中でも体調を回復しやすい睡眠につながります。寝具は毎日長時間体を預けるものだからこそ、余裕があれば見直しを優先的に検討する価値があります。

3. 有酸素運動で自律神経を整える

有酸素運動は、生理前の不調やPMS症状を軽減する方法として注目されています。女性を対象とした研究では、週に3回、20〜30分程度のジョギングやウォーキングを続けると、気分の落ち込みや身体的な不調が改善したという報告がされていました。※11

運動負荷は、息が上がりすぎず会話ができる程度が適切です。生理中は無理をせず、外の空気を吸いながら少し体を動かすくらいでも問題ありません。継続的に体を動かすことで自律神経が整い、睡眠の質が上がると、日中の眠気も少しずつ和らいでいくでしょう。

関連記事:【上級睡眠健康指導士監修】睡眠と寝る前の運動の関係って?よく眠るためにはどれくらい運動するといい?

医療機関の受診が必要な5つのサイン

医療機関の受診が必要な5つのサイン

生理中の眠気の多くは、生活習慣の調整やセルフケアである程度やわらげることができます。ただし、症状の強さや頻度によっては、背景に別の疾患や治療が必要な状態が隠れていることもあります。ここでは、「このレベルなら一度相談したほうがよい」と考えられる代表的なサインを5つ紹介します。

1. 意識が遠のくほどの強い眠気が毎回起こる場合

生理のたびに、会議中や運転中に意識が飛びそうになる感覚があったり、座っているだけなのに急に寝落ちしてしまったりすることが繰り返される場合は、重症の月経前症候群であるPMDDや、日中の異常な眠気を引き起こす睡眠障害が関与しているかもしれません。※14

単なる疲れや寝不足として放置せず、早めに婦人科や睡眠専門外来で相談してください。原因が把握できれば、適切な治療を受けられ心身の負担が減らせます。

2. 仕事や学業に継続的な支障が出ている場合

毎月、生理のたびに欠勤や遅刻、早退が続いていたり、眠気やだるさによってパフォーマンスが大きく落ち、評価やキャリアに影響が出始めている場合も、早めに受診しましょう。気の持ちようだけでは改善しない状況ですから、我慢を重ねるほどむしろ辛くなり、精神的な負担が大きくなりかねません。※12

PMSやPMDDに対しては、低用量ピルやSSRIなど、エビデンスに基づいた治療選択肢があり、症状が軽減するケースも多く報告されています。一度専門家に相談することをおすすめします。

3. 睡眠時間は足りているのに常に疲れている場合

毎日7〜8時間の睡眠をとっているにもかかわらず、起きた瞬間から強い疲労感があり、休日も回復した実感がない状態が続く場合は、睡眠の質そのものに問題がありそうです。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群など、睡眠不足とは別の睡眠障害が日中の眠気を引き起こしている可能性があります。「生理中だから」と決めつけず、一度睡眠専門医に相談してみましょう。※13

思わぬ原因がもし見つかれば、治療により改善が見込めます。

4. 生理周期の乱れを伴う強い眠気がある場合

月経周期が24日未満、または39日以上の状態が続いている場合や、3か月以上生理が来ない無月経、不正出血を伴う場合に強い眠気が重なっているときは、ホルモンバランスの大きな乱れが背景にある可能性が高いです。※14

日本産科婦人科学会や婦人科の診療指針でも、こうした月経不順が続く場合は、早めの婦人科受診が勧められています。眠気だけでなく、生理そのものの状態を含めて診てもらうことで、根本的な改善が期待できます。

5. セルフケアを3か月以上続けても改善しない場合

生活リズムの見直しや、食事・運動・睡眠環境の改善、ストレスケアなどを3か月以上続けているにもかかわらず眠気が変わらない場合は、耐え続ける必要はありません。

PMSやPMDDの治療では、低用量ピルやホルモン治療、SSRIなどの抗うつ薬といった医学的アプローチがあり、「眠気」や「だるさ」を含む症状の軽減が期待できます。つらさを我慢すること自体が目的になってしまう前に、専門家に相談することが大切です。※12

まとめ:生理中の眠気は「気合い不足」ではなく、ちゃんと対処できる症状です

まとめ:生理中の眠気は「気合い不足」ではなく、ちゃんと対処できる症状です

生理中の強い眠気は、気合いや根性の問題ではなく、女性ホルモンの変動によって体温リズムや脳の働き、睡眠の質が変化することで起こります。まずはその仕組みを理解し、短時間の仮眠や軽いストレッチ、カフェインのタイミング調整、食事や光の使い方といった小さな工夫を試してみましょう。

あわせて、生理と体調の関係性を把握することも大切です。基礎体温の記録を見ながら体調と照らし合わせ、自分なりの体調の波のパターンを把握しましょう。加えて睡眠環境の見直しや無理のない運動を通して、少しずつ眠気の改善を目指すことが大切です。それでもつらさが続く場合は、我慢せず医療機関に相談してください。

生理中の眠気と向き合ううえで、毎晩の睡眠の質を高めることは重要なアクションです。体圧を分散し、寝返りを妨げにくい寝具は、ホルモンの影響で眠りが浅くなりやすい時期でも回復しやすい環境づくりを助けてくれます。

コアラマットレスで、体をやさしく支えながら自然な寝姿勢を保ちやすい寝具を取り入れてみませんか。眠気に振り回されにくい毎日への一歩になるでしょう。

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・参考

※1 女性の睡眠障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
※2 基礎体温とは?正しい測り方とグラフの読み解き方を徹底解説 | レディースクリニックなみなみ
※3 Allopregnanolone affects sleep in a benzodiazepine-like fashion | PubMed
※4 月経前症候群(PMS) | 日本産科婦人科学会(JSOG)
※5 (2)月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome) | 日本産婦人科医会(JAOG)
※6 生理前・生理中に眠いのはなぜ?眠気の理由と対処法をご紹介 | コルゲンコーワ(興和)
※7 生理で眠いときは寝た方がいい?眠気の原因と対処法をわかりやすく解説 | torch clinic
※8 三大不足(栄養・睡眠・運動)とそのリスク、対策 | 専門家コラム(母性健康ナビ)
※9 基礎体温で知る体の変化!体温の測り方~見方を解説 | ソフィ
※10 冬の寝室の温度・湿度の目安…寒い季節の適温と理想の睡眠環境 | All About
※11 PMS改善のために今日から自分でできること・行動編 | yoi(集英社)
※12 PMSについて(病院を受診する目安) | エナ女性クリニック日本橋
※13 昼間の眠気 – 睡眠不足だけではなく睡眠・覚醒障害にも注意が必要 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
※14 生理不順|生理がこない原因と理由 | エマ婦人科クリニック名古屋栄

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