監修者

五藤 良将
千葉県立東葛飾高校卒、防衛医科大学校医学部卒。その後に自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどの勤務を経て2019年9月に継承開業に至る。
- 免許・資格
医師免許、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医、日本医師会産業医、スポーツドクター、日本美容内科学会評議員
「夜になると、明日の仕事や人間関係、将来のことなどさまざまな不安が頭をよぎって眠れない」「明日に備えようと布団に入っても考えごとが止まらず、時計を見ては焦りが募り、「早く寝ようと思うほど目が冴えてしまう」、そんな経験はありませんか?
不安による不眠は、現代社会を生きる多くの人が抱える深刻な悩みです。不眠が続くと、日中のパフォーマンス低下や、生活習慣病、うつ病などのリスクとなります。1)
本記事では、今すぐ試せる対処法から根本的な改善策まで、段階的なアプローチで解説します。不安と不眠の悪循環から抜け出し、心身ともに健康的な生活を取り戻しましょう。
不安で眠れなくなる3つの原因とメカニズム
不安が不眠を引き起こす背景には、医学的メカニズムがあります。仕組みを理解することは漠然とした不安を和らげることができます。不安やストレスが睡眠を妨げる3つの主な原因と、そのメカニズムを解説します。
1.脳の覚醒状態による入眠困難
不安やストレスを感じると、身体は危機に備え始めます。自律神経のうち、体を活動的にする交感神経が優位になり、覚醒させる脳内物質であるノルアドレナリンが放出され、脳が興奮状態になります。 眠気が覚めて活動モードになってしまうのです。副交感神経が優位になってリラックスモードになるべき就寝時に脳が活動し続けようとするため、寝つきが悪い(入眠困難)という症状が現れるのです。
また、この状態では、たとえ眠ることができたとしても深い眠り(ノンレム睡眠)が十分ではなく、浅い眠り(レム睡眠)が多くなることで、夜中に何度も目が覚めたり、起床後に寝た気がしないといった状態になってしまいます。
2. 不安と不眠の悪循環パターン
一度不安のために眠れない夜を経験してしまうと、「今日も眠れないかもしれない」という新たな不安が生まれます。この不眠への恐怖が、交感神経をさらに優位にし、入眠がより困難になる悪循環に陥ります。 不眠を意識して不安が高まることで、ますます眠れなくなってしまうのですが、これが不眠を慢性化させる大きな要因の一つです。ある物事を「気にしないようにしよう」と思っても実際には難しいものですし、不安による不眠症にはそういう側面があるのです。
3.年代別の睡眠妨害要因
不眠の原因は、年代によっても異なります。厚生労働省の調査によると、以下のような傾向が見られました。2)
- 20代は、スマホやゲームなど、就寝前のデジタル機器の利用が大きな睡眠妨害要因です。
- 30〜40代男性は、仕事によるストレスが主な原因です。
- 30代女性は、育児によって睡眠時間がまとまってとれないことが不眠症のきっかけとなることが多いです。
そんなときこそ「眠らなきゃ」と焦らず、呼吸法や温かい飲み物など、できることから少しずつ試してみましょう。
睡眠は心と体の健康の土台です。環境を整え、リズムを取り戻すだけで眠りは大きく変わります。
それでも改善しない場合は、無理をせず専門医に相談してください。あなたの夜が、再び穏やかになりますように。
今すぐ試せる!不安で眠れない夜の5つの対処法

不安で眠れないとき、「早く寝なければ」と焦れば焦るほど安眠が遠のいてしまいます。ここでは、今夜からすぐに実践できる、不安を和らげて、身体をリラックスした状態へと導く5つの対処法を紹介します。
1.4-7-8呼吸法でリラックス状態を作る
4-7-8呼吸法は、ハーバード大学出身の医師ワイル博士が考案した呼吸方法です。心身を落ち着かせ、副交感神経を優位にする効果があります。3)
- 4秒かけて鼻から息を吸い込みます。
- 7秒間、息を止めます。
- 8秒かけて口からゆっくり息を吐き出します。 この深呼吸を数回繰り返すことで、緊張が和らぎ、心拍数が安定するのを感じられるでしょう。
なお、最初は息を止めることであったり、8秒も長く息を吐くことが難しい人も多いかもしれません。その場合には、息を止めることはせず、単純に吐く息を吸う息よりも長くすること、まずはそれだけを意識して取り組んでみましょう。
2.温かい飲み物で体温調整をする
ノンカフェインの温かい飲み物は、リラックス効果だけでなく、入眠を助ける体温調整にも役立ちます。温かい飲み物を飲むことで一時的に体温が上がり、その後体温がゆっくりと下がる過程で自然な眠気が促されます。おすすめは、カモミールティーやハーブティー、ホットミルクなどです。コーヒーがお好きな方は、香りによるリラックス効果も得られるため、デカフェコーヒーをおすすめします。ただし、デカフェコーヒーも少量のカフェインは含まれるため、感受性の高い方はノンカフェインを選びましょう。
3.不安を紙に書き出す「筆記開示法」
今の気持ちを書き出すことで主に二つの効果があるといわれています。
ひとつは、今抱えている悩みと距離をとって、客観的に見られるようになることです。結果として落ち着いてものごとを考えることができるようになります。もう一つは、それまで思いつかなかった選択肢に気づけるようになることです。媒体はスマホやパソコンでも構いませんが、ブルーライトの観点からは紙に書くことをおすすめします。)
〈実践のコツ〉
- 眠る30分前までに、ノートに「今、何について不安を感じているか」を自由に書き出します。
- 解決策を考える必要はありません。ただ書き出すだけでOKです。
4.軽いストレッチで筋肉の緊張をほぐす
不安やストレスは、知らず知らずのうちに筋肉を緊張させます。ベッドの上でもできる簡単なストレッチは、特別なものを必要とせず、筋肉の緊張をほぐしつつ血行を促進することができ、心身のリラックスに効果的です。4)
- 首や肩をゆっくり回す。
- 両手を組んで上に伸ばし、身体を大きく伸ばす。
- 深く息を吐きながら、前屈して腰を伸ばす。
5.寝室から離れて眠気を待つ
寝つきが悪いとき、無理に布団の中にいるのは逆効果です。15分〜20分経っても眠れない場合は、一度寝室を離れましょう。 リビングなどでリラックスできる音楽を聴いたり、さほど難しくない内容の本を読んだりして眠気が戻るのを待ちます。このようなときには、「眠くなるまで起きていよう」くらいの心持ちの方がうまくいきます。「寝室は眠るための場所」と脳に再認識させることが、不眠の悪循環を断ち切る上でも重要です。5)
関連記事:【医師監修】眠くなる方法10選と眠くなりやすい体をつくる4つの習慣
根本的な睡眠改善のための生活習慣3つのポイント

不安による不眠症を根本的に改善するためには、日々の生活習慣を見直すことが大切です。
1. 規則正しい睡眠スケジュールの確立
体内時計を整えることが、質の良い睡眠への第一歩です。毎日同じ時間に起床し、同じ時間に就寝する規則正しい習慣を心がけましょう。週末の過度の寝だめは体内時計を乱し、かえって不眠の症状を悪化させるリスクがあります。
寝だめする場合の注意点は、「平日と休日の睡眠時間の差を2時間以内にとどめる」ということです。
平日に6時間程度の睡眠時間を確保している人が、休日に1時間の寝だめをすることで寿命が延びるという面白い報告もあります。一方で、2時間以上の寝だめや、平日の睡眠時間が短い場合には寝だめによる寿命延伸効果がないとされていることに気をつけましょう。1)
2. 睡眠環境の最適化
寝室の環境は、熟睡感に大きく影響します。次の三つの要素を意識しましょう。
- 室温と湿度
暑すぎず寒すぎない快適さがあるかどうかが良い指標になります。目安の室温は23〜25℃、湿度は40〜60%です。寝具内部の温度に関しては室温より高い33℃前後が推奨されています。6) 7)
たとえば室温が26℃の部屋では、タオルケットより毛布やダウンケットを寝具として使ったほうが33℃前後を維持できるという調査報告もあります。8)
睡眠の質にこだわるのであれば、夏でも冬でもエアコンで室温を一定にして温かい肌布団を使いましょう。
- 照明
寝る1〜2時間前には、暖色系の落ち着いた照明に切り替えましょう。個人差がありますが、部屋の白色の照明程度でも睡眠を促すメラトニンの分泌が抑制される場合があります。就寝のときには、全ての照明を消すかフットライトだけをつけるなど、なるべく暗い環境をつくることが大切です。9)
- 寝具
寝室の環境以外に睡眠環境にとって重要になるのが体に直接触れる寝具や寝衣です。寝具であるマットレスは、高い通気性と反発特性を兼ね備えたものであれば、深い睡眠を増やしたり寝返りがしやすいという報告もあります。10) 11)
自分に合った良質なマットレスを選ぶとよいでしょう。。
3. 日中の活動量とストレス管理
子どもの頃など、気持ちよく体を動かした日は気持ちよく眠れたという経験がある方は多いと思います。夜の睡眠の質は、日中の過ごし方の影響を受けています。
- 運動と日光浴
ストレスを軽減し、セロトニンというホルモンの分泌を促すのは適度な運動と日光浴です。セロトニンは夜の睡眠を促すメラトニンの分泌を促してくれます。
- ストレス管理
日中に感じた不安やストレスは、溜め込まず、その日のうちに解消できるのが理想的です。自分に合ったストレス解消方法を見つけましょう。お茶香りで落ち着いたり、ストレッチ後にすっきりした気持ちになったり、リラックスする習慣との相性はひとそれぞれです。趣味に没頭したり、信頼できる人に話を聞いてもらうことも有効な場合があります。
医療機関を受診すべき3つのサイン

睡眠に関する症状は、「睡眠環境、生活習慣、嗜好品」によるものと、「睡眠障害」によるものがあります。ここまで紹介したセルフケアを続けても不眠が改善されなかったり、症状が深刻な場合は、「睡眠障害」が潜んでいる可能性があります。一人で抱え込まず、専門医に気軽に相談しましょう。
1. 改善に乏しい不眠症状
寝つきが悪い、夜中に何度も覚醒する、予定より早く目が覚めてしまうなどの症状がセルフケアを十分に行っても続く場合は、睡眠障害が影響しているかもしれません。
また、週に3日以上症状があり、それが3ヶ月以上続く場合には、慢性不眠症という状態です。慢性不眠症は成人の約10%にみられます。5) 慢性不眠症に陥った場合には、適切な治療を受けないと回復しにくいため速やかに受診しましょう。
2. 日中の生活への支障
眠れないことで、日中の集中力低下、倦怠感、イライラなどが現れ、仕事や日常生活に明らかな支障が出ている場合も、睡眠障害が潜んでいる可能性があります。セルフケアはもちろん重要ですが、必要なときには同時に医療の力も適切に利用することが改善の近道です。
3. うつ症状や不安障害の兆候
不眠による不安を超えた過度な不安、気分の落ち込み、興味の喪失、イライラといった精神的な症状を伴っている場合は、うつ病や不安障害の可能性があります。心療内科や精神科への受診を検討しましょう。
まとめ
不安があって眠れない夜は、誰にでも起こり得ます。しかし、その不安を放置し、不眠の悪循環に陥ってしまう前に、適切な対処法で回復させることが大切です。
まず、4-7-8呼吸法や温かい飲み物など、今夜からできる対処法を試してみましょう。そして、不眠症を根本から改善するためには、生活習慣と睡眠環境の見直しが不可欠です。特に身体をあずけるマットレスはぜひ良いものを用意することが賢明です。
コアラマットレスは、その一つの答えになり得ます。質の高い睡眠と安らぎを提供し、心地よい熟睡感を与えてくれる良きパートナーとなるでしょう。マットレスは大きな買い物と思われるかもしれませんが、実はコアラマットレスには120日間のトライアル期間があり、身体に合わない場合には返品することもできます。よかったらぜひ試してみましょう。
最後に、不安による不眠は一人で解決できるものもあれば、そうでないものもあります。仕事もプライベートも全てが家の中で完結する時代になりましたが、だからこそ人と会うことは以前に増してより大切なことかもしれません。不眠が続く場合には、信頼できる人に悩みを相談したり、医療機関にも頼っていつもの何気ない睡眠を取り戻してくださいね。
【参考文献】
- 厚生労働省 | 健康づくりのための睡眠ガイド 2023
- 厚生労働省 | 令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要
- 全国健康保険協会協会けんぽ岡山支部 | 第3回 ストレスと睡眠
- 厚生労働省 |「派遣労働者の心の健康保持増進のためのポケットブック(2010年版)
- 厚生労働省 | 健康日本21アクション支援システム 健康づくりサポートネット 不眠症
- S’ UIMIN | TVで特集も!睡眠学者:柳沢正史も実践する睡眠によい家や寝室環境の作り方
- 国立精神・神経医療研究センター | 温度、湿度と睡眠
- nishikikawa | 寝具がカギ!?夏の夜を快適に過ごしたいあなたへ贈る【快眠5か条】
- 厚生労働省 | 良い目覚めは良い眠りから — 睡眠に関するリーフレット
- High rebound mattress toppers facilitate core body temperature drop and enhance deep sleep in the initial phase of nocturnal sleep
- airweave | 睡眠研究 寝具の違いで寝返りのしやすさは変わるのか?




