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監修者

松岡 雄治
地方国立大学医学部卒業後、横浜市内で初期臨床研修を経て、関東の基幹病院で勤務中。
資格:医師国家試験合格、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級
スマホ首とは、スマートフォンを見るうつむき姿勢によって、首に負担がかかった状態の通称です。総務省の調査ではスマートフォンを保有する世帯が9割を超えており、長時間の使用にともないスマホ首に悩む人も増えています。
スマホ首は姿勢や使い方を見直すことで、首への負担を減らせる場合があります。「ストレートネックとの違いや、自分でできる対策は何か」が気になる人もいるでしょう。
この記事では、スマホ首の症状や原因、セルフチェック、首の負担を減らす方法を解説します。スマートフォンやパソコンを使うと首や肩がつらくなる方は、ぜひ最後までご覧ください。
スマホ首(ストレートネック)とは
スマホ首は、スマートフォンを見るときの前かがみの姿勢によって、首や肩に負担がかかっている状態を表す通称です。
総務省の調査によると、スマートフォンの個人利用率は、2011年の16.2%から2024年には74.4%まで上昇しました。スマートフォンが広く普及するなか、画面を見るためにうつむいた姿勢を長時間続けることによる、首への負担も注目されています。
こうした首の不調に関連して使われるのが「スマホ首」という言葉です。ただし、スマホ首は正式な病名ではなく、ストレートネックと完全に同じ意味でもありません。ここでは、両者の違いを整理します。
※出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」
スマホ首とストレートネックの違い
ストレートネックとは、本来ゆるやかに前へカーブしている首の骨(頸椎)が、まっすぐに近づいた状態のことです。一方、スマホ首は、スマートフォンを見るときの姿勢によって首や肩に負担がかかっている状態を表す通称です。
つまり、スマホ首は姿勢や不調に着目した言葉であり、ストレートネックは頸椎の形状に着目した言葉です。スマートフォンを長時間使用する際の姿勢がストレートネックにつながることはありますが、スマホ首だからといって、必ずしもストレートネックになっているとは限りません。
また、首の痛みやしびれは、姿勢以外の原因で起こることもあります。症状の原因を自己判断せず、強い症状や長引く症状がある場合は医療機関へ相談しましょう。
スマホ首で起こりやすい症状
スマホ首では、首だけでなく肩や頭、腕などに不調を感じることがあります。症状の現れ方や強さには個人差があり、頸椎の形だけで決まるものではありません。
ここでは、長時間のうつむき姿勢とともに現れやすい症状を2つに分けて見ていきます。
首こり・肩こり・頭痛
うつむいた姿勢が続くと、頭を支える首や肩の筋肉が緊張し、こりや痛みが起こりやすくなります。画面に顔を近づける、背中を丸めるといった姿勢も、首や肩への負担を増やす一因です。
筋肉の緊張によって、後頭部から頭の両側にかけて痛みが生じることもあります。とくに、頭全体を締め付けられるような痛みは、緊張型頭痛にみられる特徴のひとつです。
また、次のような場合は、首や肩の筋肉の緊張が関係している可能性があります。
- 長時間同じ姿勢を続けると痛みが強くなる
- 姿勢を変えたり休憩したりすると症状が軽くなる
- 首や肩のこりとともに頭痛が現れる
痛みが現れた状況や続いた時間を記録しておくと、受診する際に症状を伝えやすくなります。
ただし、突然の激しい頭痛や、発熱・強い吐き気などを伴う頭痛は、首や肩のこり以外の原因で起こっている可能性があります。普段と異なる強い症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
※出典:日本整形外科学会「肩こり」
手のしびれ・めまい・自律神経の乱れ
首の不調とともに、手のしびれや力の入りにくさ、めまい、動悸、だるさなどが現れることもあります。ただし、これらの症状がすべてスマホ首によるものとは限りません。
たとえば、首の神経を圧迫・刺激する「頸椎椎間板ヘルニア」や「頸椎症性神経根症」などの病気でも、肩から腕にかけての痛みや、手指のしびれが現れます。また、めまいや動悸、だるさにはさまざまな原因があるため、首の姿勢による「自律神経の乱れ」と自己判断するのは避けましょう。
次のような症状がある場合は、医療機関への相談を検討してください。
- しびれが続く、または強くなる
- 手に力が入りにくい、動かしにくい
- 歩きにくさを感じる
- めまいを繰り返す
こうした症状があるときは、首のセルフケアだけで対処せず、医師に相談しましょう。
スマホ首のセルフチェック
スマホ首が気になる場合は、壁を使って普段の頭の位置を確認してみましょう。靴を脱いで壁を背にし、力を入れずに自然な姿勢で立ちます。次の3点を壁につけてください。
- かかと
- お尻
- 肩甲骨
この状態で、無理に姿勢を正さなくても後頭部が壁につくかを確認します。後頭部が壁から離れている場合や、壁につけようとすると首につらさを感じる場合は、頭が前へ出ている可能性があります。
普段の姿勢を横から撮影し、耳が肩より大きく前へ出ていないか確認する方法もあります。撮影するときだけ姿勢を正すのではなく、普段どおりに立つことがポイントです。
また、仰向けに寝たときの姿勢も確認してみましょう。枕を外した状態で、あごが上がる、首の後ろが強く張る、姿勢を保ちにくいといったことがないかを確認します。ただし、首の下にできるすき間は体格や骨格によって異なるため、すき間の広さだけで判断しないでください。
なお、これらのセルフチェックだけで、ストレートネックと診断することはできません。あくまで姿勢を見直すきっかけとして活用し、痛みやしびれが続く場合は整形外科を受診しましょう。
スマホ首のおもな原因
スマホ首の背景には、起きている時間の姿勢と、眠っている時間の寝姿勢が関係します。どちらかひとつではなく、首に負担がかかる時間が積み重なる点に注意が必要です。
うつむき姿勢・スマホやデスクワーク
長時間のうつむき姿勢は、首への負担を増やすおもな原因です。長野県医師会によると、頭の重さと首の傾きに応じた負担は次のとおりです。
| 首の傾き | 首にかかる負担 |
| 傾けない状態 | 約4〜6kg(頭の重さ) |
| 15度 | 約12kg |
| 30度 | 約18kg |
| 60度 | 約27kg |
実際の負担は体格や姿勢で異なりますが、頭が前へ出るほど首に大きな力が加わることがわかります。
パソコン作業でも、画面が低い、椅子が合わない、肘を支えられないと前傾姿勢になりがちです。長時間同じ姿勢を保つと、筋肉の緊張が続き、猫背も進みやすくなります。
※出典:長野県医師会「スマホ首について」
合わない枕・寝姿勢
高すぎる枕や低すぎる枕は、眠っている間も首に負担をかける場合があります。仰向けで枕が高すぎると、あごを胸へ引いた姿勢になり、首の後ろが伸ばされます。
一方、低すぎる枕では頭が後ろへ反り、首や肩に違和感が出ることがあります。横向きでは、肩幅に対して高さが合わないと、首が左右へ傾きやすくなるでしょう。
寝姿勢は数時間続くため、日中の姿勢だけでなく枕との相性も確認が必要です。朝に首がこわばる場合は、枕の高さや沈み込み方を見直す目安になります。
スマホ首をやわらげる・予防する方法
スマホ首による負担を減らすには、首だけを揉むのではなく、画面の位置や作業姿勢を整える必要があります。痛みを我慢して動かすと、かえって症状が強くなる場合もあります。
日中の使い方とストレッチ、就寝中の姿勢、温め方の4つから取り組み方を紹介します。
1. スマホの持ち方とこまめな休憩
スマートフォンは顔を下へ向けるのではなく、画面を目線に近い高さへ上げましょう。国内の調査では、スマホを首の高さ以下の位置で使う人が回答者の約8割にのぼると報告されたものがあります。具体的に首への負担を減らすには、次のような工夫が有効です。
- 片手で長く持ち続けず、反対の手やテーブルで肘を支える
- こまめに休憩を挟む
- 寝ながら見ない
パソコンの画面は、上端が目の高さを超えない位置に調整しましょう。厚生労働省は、ディスプレイと目の距離を40cm以上空けるよう案内しています。
同ガイドラインでは、連続作業を1時間以内にとどめることも示されています。作業の間には10〜15分の休止を取り、立ち上がって視線を遠くへ移してください。
休憩時は、背もたれに体を預けて肩の力を抜きましょう。スマートフォンを置く時間をつくると、自然にうつむき姿勢を避けられます。
※出典:情報処理学会研究報告「スマートフォン利用時の姿勢矯正に向けた首の角度推定手法の提案」
※出典:厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
2. 首・肩のストレッチ
ストレッチは、痛みのない範囲でゆっくり行います。椅子に深く座って背中を起こし、あごを軽く引いて数秒保ちましょう。首の後ろを長くする意識で、強く押し込まないようにします。
次に、肩を耳へ近づけるように上げ、力を抜いて下ろします。肩甲骨を背中の中央へ軽く寄せる動きも、前かがみになった上半身を戻すのに役立ちます。
首を勢いよく回したり、手で強く引っ張ったりする必要はありません。動かすと痛みやしびれが増す場合は中止し、整形外科へ相談してください。
自宅でできるストレッチの手順は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
関連記事:ストレートネックの治し方|自宅でできる改善ストレッチと予防法を専門家が解説
3. 枕の高さ・寝姿勢を見直す
枕は、仰向けで首の自然なカーブを支え、あごが上がりすぎない高さを選びます。額とあごがほぼ水平になり、首や肩へ力を入れずに呼吸できる状態が目安です。
横向きでは、頭から背骨までが床と平行に近づく高さを確認します。肩幅やマットレスの沈み込み方で必要な高さは変わるため、数値だけで選ぶことはできません。
また、柔らかすぎて頭が沈み込む枕や、硬すぎて首に圧迫感が出る枕にも注意が必要です。仰向けと横向きの両方で寝返りを打ちやすいか確かめましょう。
寝姿勢だけでストレートネックが治るとは限りません。しかし、体格と寝姿勢に合う枕は、眠っている間の首への負担を減らす助けになります。
寝姿勢や枕の高さの選び方については、以下の記事もあわせてご覧ください。
【関連記事】
ストレートネックにおすすめの寝方は?仰向けがよい理由と避けたい寝姿勢を解説
枕の高さは何cmが正解?寝姿勢別の目安と測り方・調整方法
人間の頭はボウリングの球(約5kg)ほどの重さがあります。日中スマホを見ている間、首の後ろの筋肉はこの重い球をずっとワイヤーのように引っぱって耐え続けています。この筋肉を完全に休ませてリセットできる貴重な時間が寝ている時間です。寝ている間に首とベッドの間の隙間を埋め、筋肉を完全に脱力させられるようにしましょう。
注意点として、隙間には個人差があります。身体にあった枕とマットレスを選ぶことが、あなたの首を守るのです。
※出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠のためのテクニック」
4. 首を温めて血行を促す
慢性的な首こりには、蒸しタオルや入浴で首と肩を温める方法があります。温めると筋肉の緊張がゆるみ、一時的にこりがやわらぐことが期待できます。
蒸しタオルは熱すぎない温度にし、やけどを防ぐため肌の状態を確認してください。入浴後は、首を冷やさないようにして楽な姿勢で休みます。
一方、転倒や衝突の直後に腫れや強い痛みがある場合は温めない方がよいケースがあります。また、首を強く揉んだり、勢いをつけてひねったりする行為も神経や靭帯を痛める危険があるため避けましょう。
痛みが続く場合は、温めやマッサージだけで対応せず、整形外科で原因を確かめることが大切です。
スマホ首に関するよくある質問
スマホ首の改善にかかる期間やマッサージの可否は、症状の原因と程度によって異なります。ここでは、よくある2つの疑問に回答します。
Q1. スマホ首はどれくらいでやわらぐ?
スマホ首がやわらぐまでの期間には個人差があり、一律には示せません。筋肉の緊張が中心の場合は、姿勢や作業環境を整えると変化を感じることがあります。
ただし、頸椎の形は短期間のセルフケアで簡単に変わるものではありません。何日で治すという目標より、症状を増やす姿勢を減らし、首への負担を継続して調整することが現実的です。
生活を見直しても痛みが続く場合や、症状が強くなる場合は整形外科を受診してください。原因がわかると、状態に応じた治療や運動を医師と検討できます。
Q2. 首を強く揉んでもいい?
首を強く揉むのは避けてください。首には神経や血管が通っており、強い刺激で筋肉を傷めたり、痛みを悪化させたりするおそれがあります。
こりが気になるときは、力任せに押さず、首や肩を温めて楽な姿勢をとります。ストレッチも反動をつけず、痛みが出ない範囲に留めましょう。
腕や手のしびれ、筋力低下、歩きにくさがある場合は、マッサージを続けず整形外科へ相談します。突然の激しい頭痛やめまいがあれば、速やかに医療機関を受診してください。
まとめ:スマホ首は毎日の姿勢と寝環境から見直そう
スマホ首は、スマートフォンなどを見る前かがみの姿勢により、首への負担が続いた状態の通称です。
日常生活では、次の点を見直します。
- 画面を目線に近い高さへ上げる
- 同じ姿勢を続けず、小休止を入れる
- 痛みのない範囲で首や肩を動かす
- 枕の高さと寝姿勢を確認する
- 慢性的なこりは無理なく温める
セルフチェックだけでは、スマホ首と判断できません。首を強く揉まず、痛みやしびれが続く場合は整形外科を受診してください。
起きている時間と眠っている時間の姿勢を見直すと、首に負担がかかる時間を減らせます。スマートフォンが手放せない毎日だからこそ、使い方と寝る環境の両面から首をいたわることが大切です。











