監修者
石川 恭子
コアラマットレス®︎のショールームで、お客様が「運命のマットレス」に巡り合えるようお手伝いしているカリスマコンシェルジュ。お客様の眠りの悩みに耳を傾ける中で、今すぐ活用できる睡眠の知識を届けたいと上級睡眠健康指導士の資格を取得。コアラ®︎のマットレスを通じて、毎日眠ることが待ち遠しくなるワクワク感を提供したい。
「しっかり寝たはずなのに、また昼間から眠くなってしまう」「仕事中に何度も居眠りしてしまい、周囲の目が気になる」「休日に長時間眠っても疲れが全然取れない」と悩んでいる方は、少なくありません。実は、厚生労働省の調査によれば、週に3回以上日中に眠気を感じると答えた人は全体の34.8%にのぼり、20代では43.6%という結果が出ているのです。※1
しかし、眠気が取れないいわゆる「過眠症」の原因は、必ずしも睡眠不足とは限りません。睡眠習慣の乱れや睡眠の質の低下、病気や薬の影響など、複数の原因が重なることで起こり得る状態です。周囲から理解されにくい場合を踏まえて、「まず自分で何ができるか」を把握しておくことが大切です。
本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の石川が、自力で取り組める睡眠習慣の改善策から、医療機関での検査・治療の流れ、やってはいけない注意点まで、過眠症の治し方をわかりやすく解説します。
過眠症とは?
過眠症とは、夜間に十分な睡眠時間を取っているにもかかわらず、日中に強い眠気や居眠りが繰り返し起こる状態を指します。朝は普通に起きられても、日中に眠気が止まらない、あるいは1日に10時間以上眠っても疲労感が続くといった症状が特徴です。
「寝すぎる体質だから仕方ない」と半ば諦めている方もいますが、過眠症は睡眠の量や質、あるいは脳の覚醒機能に関わる問題が背景にある場合が少なくありません。日中の眠気そのものは誰にでも起こるものですが、日常生活への影響が大きい眠気かどうかを見極めることが、適切な対処への第一歩です。
病的な眠気と一時的な眠気の違い
昼食後に少し眠くなったり、睡眠不足の翌日に集中力が落ちたりするのは、多くの人が経験する一時的な眠気です。こうした眠気は、コーヒーを飲んだり体を少し動かしたりすることで、ある程度対処できます。一方、病的な眠気とは、十分に眠っているはずなのに意志の力では目覚めていられないほどの眠気が続く状態のことです。※2
仕事中や授業中、会議、食事、自動車の運転中など、本来眠ってはいけない場面でも強い眠気に抵抗できずに居眠りしてしまう場合は、生活や仕事に支障をきたすだけでなく、事故のリスクにもつながるため注意が必要です。睡眠不足だけでは説明できない眠気が2週間以上続いているようであれば、過眠症の可能性を視野に入れて原因を確認しましょう。
過眠症の主な原因
日本神経治療学会の資料によれば、過眠症状の背景にはナルコレプシーや特発性過眠症などの中枢性過眠症のほか、睡眠時無呼吸症候群、うつ病などの精神疾患、薬物・物質の影響、睡眠不足症候群など、複数の分類があることが示されています。※3
過眠症の治し方を考えるときに大切なのは、眠気の原因を正しく見極めることです。原因によって対処法がまったく異なるため、原因が分からない、または違う原因を自己判断して対策だけを重ねても改善にはつながりません。
過眠症の代表的な原因を3つのグループに分けて整理します。
1. 睡眠不足や生活習慣
「十分寝ているつもり」でも、実際の睡眠時間は不足している場合があります。たとえば、平日は仕事で深夜まで起きていて、休日にまとめて眠る「寝だめ」を繰り返している場合、睡眠リズムが乱れて日中の眠気が蓄積しやすくなります。就寝・起床時刻の不規則さ、夜更かし、スマートフォンやパソコンの夜間使用、運動不足、ストレスの蓄積なども、睡眠の質や量を下げる要因として知られています。
こうした生活習慣が原因の場合は、日々のリズムを整えると改善できる可能性が高いです。
2. 睡眠の質を下げる環境
睡眠時間を確保できていても、眠りの質が低ければ日中に疲れや眠気が残ることがあります。寝室の光が明るすぎる、騒音がある、室温や湿度が適切でないといった環境要因のほか、寝具の硬さや枕の高さが身体に合っていないことで、深い眠りが妨げられ、眠りの質を下げるケースもあります。また、就寝前の飲酒はいったん眠りやすくなるように感じられますが、睡眠後半に眠りが浅くなりやすく、睡眠の質を低下させる可能性があります。
睡眠時間は足りているはずなのに翌日に疲れが残るという場合は、睡眠環境を見直してみましょう。
3. 病気や薬の影響
生活習慣の見直しだけでは改善しない眠気の場合、病気や薬が原因となっている可能性があります。睡眠時無呼吸症候群はその代表的なもので、睡眠中にいびきや無呼吸によって眠りが繰り返し中断されるため、十分な時間眠っても疲れが取れず、日中に強い眠気が生じます。また、ナルコレプシーや特発性過眠症といった中枢性過眠症は、脳の覚醒を維持する機能の低下によって過剰な眠気が起こるもので、日本睡眠学会では薬物療法が必要なケースとして位置づけられています。※4
うつ病や双極性障害などの精神疾患、むずむず脚症候群、甲状腺機能低下症なども眠気と関連することがあるほか、一部の抗アレルギー薬・抗うつ薬・降圧薬などは眠気を副作用として持つものがあります。自己判断で病名を決めつけず、症状が続く場合は医療機関で相談することをおすすめします。
自力でできる過眠症の治し方
過眠症の原因が睡眠習慣の乱れや生活環境にある場合、自力で取り組める改善策がいくつかあります。厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、日中の眠気は睡眠環境や生活習慣・嗜好品によって生じる場合があるとされており、まずは日々の習慣から見直すことが推奨されています。※5
ただし、対策を続けても症状が改善しない場合や、生活に大きな支障が出ている場合は、医療機関に早めに相談する姿勢も必要です。
1. 睡眠時間と起床時刻を整える
日中の眠気を改善するうえで最も基本的かつ効果的なのが、毎日の起床時刻をできる限り一定に保つことです。休日だからと大幅に寝坊すると、睡眠リズムが崩れて翌週の平日に眠気がさらに強くなります。平日・休日を問わず同じ時刻に起きる習慣をつけることが、睡眠リズムを整えるうえで重要なポイントです。
起床後にカーテンを開けて朝の光を浴びることも効果的です。光は体内時計をリセットするシグナルとなり、夜の入眠のしやすさにつながります。昼寝をする場合は15〜20分程度の短い仮眠がおすすめです。長時間の昼寝は夜の睡眠の質を下げ、日中の眠気のサイクルを悪化させる可能性があるため注意しましょう。
また、適した睡眠時間は個人差があります。どの程度寝ると体調がいいのか、記録をつけて必要な睡眠量を把握する方法も、改善への近道です。
2. カフェインやアルコールを見直す
日中の眠気対策として、コーヒーや緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインを摂取する方は多いと思います。カフェインは一時的に覚醒を促す効果があるものの、摂取するタイミングや量によっては夜の睡眠に影響し、翌日の眠気をかえって悪化させることがあります。一般的に、カフェインの覚醒効果は摂取後5〜6時間ほど続くとされているため、夕方以降はカフェインを含む飲み物を控えると、夜の睡眠の質が安定しやすいでしょう。
アルコールについても注意が必要です。寝酒は入眠を早める感覚があるかもしれませんが、アルコールが代謝される過程で睡眠が浅くなりやすく、睡眠の後半に中途覚醒が増えることが分かっています。その結果、翌朝の目覚めが悪くなったり日中の眠気が強くなったりすることがあるため、就寝前の飲酒習慣を見直すことも、過眠症改善に向けた取り組みとして有効です。
3. 寝室と寝具の環境を整える
睡眠の質に直結する要因として、寝室の環境の見直しも非常に重要です。室温は夏場で26〜28℃前後、冬場で16〜19℃前後が眠りやすいとされており、湿度は50〜60%程度を保つと快適に眠れます。睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を妨げないために、就寝時の部屋は暗くしておきましょう。遮光カーテンの活用や、スマートフォンを寝室に持ち込まない工夫をするだけで、眠りの質が変わることがあります。
そして、寝具の選び方も眠りの深さに影響します。体圧が均一に分散されないマットレスや、首・肩の角度が合わない枕は、寝ている間に身体に負担をかけます。睡眠時間を確保できているのに疲れが取れない場合、マットレスや枕の見直しを検討してみてください。自分の体型や寝姿勢に合った寝具を選ぶことで、眠りの質が変わることがあります。
病院に相談すべきサイン
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、対策を実践しても日中の眠気が強く生活に影響している場合は、速やかに医師へ相談することが推奨されています。※5
生活習慣を見直しても眠気が続く場合や、日常生活に支障が出ている場合は、医療機関への相談を検討すべきです。「病院に行くほどではないかも」と判断を先送りにせず早めに受診することで原因が特定しやすくなり、適切な対応につながります。
受診を検討すべき具体的なサインとしてまず挙げられるのは、仕事や授業、運転中などに強い眠気によって集中できず、支障が出ているケースです。生活への影響が大きい状態を放置しないようにしてください。また、就寝・起床時刻を整え、睡眠時間を十分に確保しても眠気が2週間以上改善しない場合も、受診のタイミングと考えましょう。
同居する家族や友人から「いびきがひどい」「睡眠中に呼吸が止まっている」と指摘された場合は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるため、専門医へ早めに相談してください。眠気と同時に気分の落ち込み、やる気のなさ、食欲の変化などが続く場合は、精神疾患が関係している可能性もあるため迷わず受診しましょう。※1
「何科を受診すればよいか分からない」という場合は、まずかかりつけ医や内科に症状を伝えてください。症状に応じて適切な専門科を紹介してもらうと安心です。いびきや無呼吸が疑われる場合は耳鼻咽喉科や呼吸器内科、気分の落ち込みや精神的な症状が強い場合は精神科や心療内科、睡眠の専門的な検査が必要と判断された場合は睡眠専門外来や睡眠障害を扱う神経内科が紹介先として考えられます。
関連記事:【医師監修】過眠症の原因はストレス?働き盛り世代の睡眠問題を徹底解説
病院で行われる検査と治療
過眠症の疑いで病院に相談した場合、どのような流れで検査・治療が行われるのかを知っておくと、受診前の不安が和らぎます。診断では問診をもとに睡眠の状況を詳しく確認し、必要に応じて専門的な検査を行います。一般的な診察の流れを解説します。
1. 睡眠検査と問診
最初は問診から始まることが多いです。眠気の頻度や強さ、発症時期、睡眠時間、生活習慣、服薬内容、いびきの有無、気分の変化などについて確認を受けます。受診前に「睡眠日誌」として毎日の就寝・起床時刻、日中の眠気の程度を1〜2週間分記録しておくと、より的確な診断につながるでしょう。
問診の結果、詳しい検査が必要と判断された場合は、宿泊型の睡眠ポリグラフ検査(PSG)が行われることがあります。PSGは睡眠中の脳波・筋電図・眼球運動・血中酸素濃度・呼吸状態などを一晩かけて測定する検査で、データによって睡眠時無呼吸症候群の診断や睡眠の構造異常の評価が可能です。
また、日中の眠気の程度を客観的に測定する反復睡眠潜時検査(MSLT)は、ナルコレプシーや特発性過眠症の診断に用いられる検査です。2時間おきに短時間の入眠テストを繰り返し、眠りやすさを数値として測定します。
2. 薬物療法や原因疾患の治療
治療の内容は、診断された原因によって異なります。日本睡眠学会の解説によれば、ナルコレプシーや特発性過眠症などの中枢性過眠症は、脳の覚醒中枢の機能低下によって過剰な眠気が生じるため、覚醒維持薬や中枢神経刺激薬などの薬物療法が検討されます。※4
睡眠時無呼吸症候群が原因の場合は、CPAP(持続陽圧呼吸療法)と呼ばれる装置を使った治療が主流です。就寝中にマスクを着用し、鼻や口に一定の圧力で空気を送ることで気道を開通させ、無呼吸を防ぎます。
うつ病や双極性障害などの精神疾患が関係している場合は、精神科や心療内科での治療が中心となります。薬の副作用が眠気の原因と判断された場合は、処方医や薬剤師と相談して薬の種類や量を調整することがあります。いずれの場合も、自己判断で薬を変えたり中止したりせず、医師の指示に従って治療を進めることが基本です。
過眠症を悪化させない注意点
眠気を何とかしたいという気持ちから、かえって症状を悪化させる行動をとってしまうことがあります。過眠症を適切に治療するためには、「やってはいけないこと」を知っておくことも大切です。特に、眠気が強い状態での日常行動には、自身だけでなく周囲への影響も伴うリスクがあることを理解しておく必要があります。
1. 自己判断で薬やカフェインに頼らない
眠気を一時的に抑えるためにカフェインを大量に摂取することは、その場をしのげても夜の睡眠の質を下げ、翌日の眠気をさらに強めるという悪循環につながりやすくなります。特に午後3時以降のカフェイン摂取は、就寝時刻に覚醒状態が残りやすいため注意が必要です。市販の眠気覚まし薬についても、根本的な原因を解決するものではないため、継続的な使用は慎重に判断しましょう。
服用中の薬が眠気に関係していると感じても、自己判断で薬を中止したり量を変えたりすることは危険です。抗うつ薬や抗てんかん薬など、急に中止することで離脱症状や病状の悪化を招く薬があるため、薬と眠気の関係が気になる場合は必ず処方医または薬剤師に相談してください。
2. 運転や危険作業を避ける
過眠症による強い眠気がある状態での自動車の運転は、居眠り運転につながるリスクがあり、自分だけでなく他者の生命にも関わります。病的な眠気は意志の力でコントロールできないことがあるため(※2、「少し眠いくらいなら大丈夫」と自己判断してはいけません。眠気が強いと感じる日は公共交通機関を利用するか、運転を避けてください。
同様に、機械操作や高所作業など、集中力やとっさの場合の判断力が求められる作業も、強い眠気がある状態では避けましょう。「症状が続いていて仕事への支障が大きい」「運転が不安」という場合は、医療機関に早めに相談し、診断書の発行など職場に配慮を求めやすい対応を検討してください。
過眠症の治し方は原因の見極めから始めよう
過眠症の治し方は、原因によってさまざまです。大切なのは、「眠気は自分の意志が弱いせいではないかもしれない」と気づき、原因を正しく見極めることです。
今日からできることとして、自分の睡眠時間や起床時刻の記録をおすすめします。あわせて、就寝前のカフェインやアルコール、寝室の明るさや温度なども振り返ってみてください。それでも眠気が2週間以上続き、仕事や学業、日常生活に支障が出ているようであれば、かかりつけ医や睡眠専門外来への相談を検討しましょう。
また、睡眠環境を整えることは、過眠症の予防と改善の両面で重要なアプローチの一つです。自分に合ったマットレスや枕選びを、眠りの質を変えるきっかけにしてみてください。
・参考
※1 e-ヘルスネット「睡眠障害」| 厚生労働省
※2 e-ヘルスネット「過眠症」 | 厚生労働省
※3 標準的神経治療:不眠・過眠症 | 日本神経治療学会
※4 睡眠障害の基礎知識 第4回 | 日本睡眠学会
※5 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省











