目次
監修者

後平 泰信
医療法人徳洲会札幌もいわ徳洲会病院(名称変更) 病院長 現職。
【研究分野】睡眠全般、睡眠時無呼吸症候群、内科全般、循環器内科、スポーツ医学、遠隔医療、地域医療
明るくハキハキとした話し方で、専門的な内容もわかりやすく伝える。特に睡眠医療の分野で多数の講演・メディア出演歴があり、CPAP治療やいびき・睡眠負債など、広く深い見識から生活に密着したあらゆる話題にも柔軟に対応。寝具などスリープテック領域の開発や監修にも多数関わった実績あり。
「休日に10時間以上寝てしまう」「たっぷり寝たはずなのに、日中もぼんやりして眠い」——そう感じていませんか?
睡眠の悩みといえば「眠れない」が注目されがちですが、実は「寝すぎてしまう」という過眠も立派な睡眠障害のひとつです。この記事では、寝すぎの原因や考えられる病気、日常でできる対策をわかりやすく解説します。
「寝すぎ」とはどこからが睡眠障害?
一般的に、成人では7〜9時間の睡眠が推奨されており、9時間以上寝ている状態を「寝すぎ」と判断する目安のひとつとされています。
「過眠」とは日中に過度な眠気があることをいい、特別に過眠症状を示す病気を「過眠症」と呼びます。原因はさまざまで、過眠症そのものの病気だけでなく、他の病気の一症状として過眠が現れることもあります。
寝すぎ・過眠を引き起こす主な病気
① ナルコレプシー
ナルコレプシーは、脳内の覚醒維持に必要なオレキシン神経の減少・消失が原因で起こります。起きていなければならない状況でも異常な眠気に襲われて居眠りをしてしまうほか、笑ったり怒ったりした際に全身の力が突然抜ける「情動性脱力発作」を起こすこともあります。
② 特発性過眠症
夜に十分眠っているにもかかわらず、日中の居眠りが1時間以上に及び、目覚めたときにスッキリ感が得られないのが特徴です。睡眠時間が延長し、制限しない状況では1日の総睡眠時間が11時間以上になりがちで、めまい・立ちくらみ・頭痛といった自律神経症状を伴うこともあります。
③ うつ病・精神疾患による過眠
うつ病と診断された方の中には過眠症を伴う方もおり、また抗うつ剤や抗不安薬などの服用によって眠気が出現することもあります。
④ 睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が閉塞されて脳が何度も覚醒しようとするため、実際には熟睡できていない状態です。睡眠時間は十分に取れているように見えても疲れが取れず、日中に強い眠気が起こります。
寝すぎが体に与える影響
長時間眠ることで、片頭痛や筋肉痛が引き起こされることがあります。睡眠中は血管が拡張しており、起床時に体が血液を送ろうとすると血管周りの三叉神経が刺激されて片頭痛が生じます。また、長時間同じ姿勢で寝ていると首や肩・腰に負担がかかり、筋肉の血行不良も起こります。
さらに、長時間睡眠は代謝を遅くし、運動不足とあわさると肥満リスクを高めることがあるほか、高齢者における認知機能の低下リスクとの関連を示す研究結果も報告されています。
「寝すぎてしまう」ときの対策
起床・就寝時刻を固定する
早寝早起きではなく「早起きが早寝につながる」という考え方が重要で、日曜に遅くまで床で過ごすと月曜の朝がつらくなります。毎日同じ時刻に起床することが睡眠リズムの安定に効果的です。
昼寝は15時前・20分以内に
昼寝をするなら15時前の20〜30分が適切で、長い昼寝はかえってぼんやりの原因になります。夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響を及ぼします。
専門医への相談が必要なケース
睡眠時間は十分なのに疲れが取れず日中に眠気が続く状態が3か月以上続いている方は、一度専門医に相談することをおすすめします。
まとめ
「寝すぎてしまう」のは意志の問題ではなく、脳や神経の働き、あるいは精神的な不調が背景にある場合があります。日常生活に支障が出るような眠気や長時間睡眠が続いているなら、ひとりで抱え込まず、睡眠専門外来や心療内科への相談を検討してみてください。
参考文献
- 済生会「しっかり寝ても眠い……これって過眠症?」https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/hypersomnia/
- 神楽坂こころのクリニック「過眠を引き起こす原因とは」https://www.kagurazaka-mc.com/colum/oversleep-cause
- エニキュア「寝過ぎてしまう原因とは?過眠症について解説」https://anycure.jp/articles/l10ia1o0ki2c/
- 過眠症の杜「特発性過眠症とは」https://kaminsho.jp/about/idiopathic-hypersomnia.html
- 赤羽すずらんメンタルクリニック「『寝すぎ』はどこからが睡眠障害?対策方法を解説」https://stressmental.com/blog/sleeping-disorder
※本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療を行うものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医師にご相談ください。




