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監修者
松本 恭
「健康の秘訣はぐっすり眠ること」がモットーで、これまでウォーターベッド、ウッドスプリングベッド、西式健康枕、ハンモックなどさまざまな寝具の寝心地を追求してきた睡眠マニア。偶然出会ったコアラマットレス®︎の快適さに感銘を受け、メンバーとして参加。上級睡眠健康指導士としての知識を通して、より多くの人に快眠を届けたいと願っている。
家族から歯ぎしりを指摘されたり、起床時に顎の疲れが気になったりすると、どうにかして治したいと考える方は少なくありません。ただ、眠っている間に起こる歯ぎしりは自分の意識で止められるものではなく、現時点では確実に抑えられる方法が定まっていないのが実情です。
本記事では、上級睡眠健康指導士の資格を持つコアラマットレス社員の松本が、歯ぎしりの種類と主な要因、自分でできる対処、歯科医院で行う治療と受診の目安、子どもの歯ぎしりの考え方までを順にご紹介します。
歯ぎしりを治すには?
眠っている間に起こるものを睡眠時ブラキシズム、起きている間に起こるものを覚醒時ブラキシズムと呼び、それぞれ性質も対処法も異なります。※1
| 種類 | 起こるタイミング | 基本的な考え方 |
| 睡眠時ブラキシズム | 眠っている間 | 中枢性の問題とされ、睡眠関連疾患に位置づけられている |
| 覚醒時ブラキシズム | 起きている間 | 日中クレンチングや上下歯列接触癖(TCH)を含み、条件に伴って身についた習癖と考えられている |
また、下顎を動かしてすり合わせるグラインディング、歯を打ち鳴らすタッピング、一定の位置で強くかみしめるクレンチングという分け方もあります。※1
家族に指摘されやすいのは音の出るグラインディングですが、音が出ないクレンチングも顎や歯に負担をかけます。
ここで押さえておきたいのは、睡眠時ブラキシズムに関連する因子は人によって異なり、現時点では確実に抑制できる治療法がないという点です。※2
一方、覚醒時ブラキシズムは習癖と考えられるため、理論的には歯科医師の指導によって是正できるとされています。※2
眠っている間の歯ぎしりは、完全に止めることを目標にするより、歯や詰め物、顎にかかる負担を抑えながら対応していく形が現実的です。
歯ぎしりに関係する主な要因
かつてはかみ合わせの異常が歯ぎしりを引き起こすという考え方が主流だった時期もありましたが、研究が進むにつれて咬合原因論は否定され、現在では睡眠時ブラキシズムは多因子性であるとされています。※2
自分に当てはまる要因を知っておくと見直す場所が絞りやすいです。歯ぎしりとの関係が指摘されている要因を3つご説明します。
1. ストレスや緊張
関与する因子としては、ストレスや性格、遺伝、特定の薬の服用、飲酒、喫煙、睡眠呼吸障害などさまざまだとされています。このうちストレスについては、携帯型の筋電計を長期間使った研究で、ストレスに対応した歯ぎしりのレベルの上昇が観察されているそうです。※2
ただし、全体としては両者に統計的に有意な関係が見いだされないという報告もあり、すべての歯ぎしりがストレスによって起こるわけではないことが示されました。※2
ストレスだけを原因と考えて「ストレスをなくせば治る」と考えると、かえってプレッシャーが高まり、解決から遠ざかることがあります。
2. 飲酒・喫煙・服薬などの影響
アルコールは、摂取量と睡眠中に記録された咬筋の活動持続時間との間に有意な相関が報告されている一方で、常飲者と非常飲者の間に有意差は認められていません、※2
一方で、喫煙については、疫学調査によって歯ぎしりとの関連が示されています。※2
薬に関しては、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の副作用として睡眠時ブラキシズムが発生することを示した臨床報告があります。※2
服薬後に歯ぎしりが始まった、または強くなったと感じても、自己判断で薬をやめないでください。処方した医師や歯科医師に相談したうえで対応を決めることが大切です。
3. 日中の食いしばりの習慣
眠っている間だけでなく、起きている間の習慣も顎に影響します。健康な人の場合、安静時は上下の歯の間に前歯部で2~3mmのすき間があり、歯が接触している時間は1日およそ20分程度とされています。※2
ところが、このすき間が消えて上下の歯を長時間触れさせ続ける習慣が身につくと、閉口筋の収縮が続いて筋疲労が生じ、顎関節にも負荷が加わります。※2
これが上下歯列接触癖(TCH)と呼ばれる状態で、強い力でかみしめる日中クレンチングとは別に注目されています。顎関節症の患者を対象にした調査では、52.4%にTCHの自覚があったという報告もありました。※2
弱い力であっても、長時間続けば悪影響を及ぼす可能性があるのです。
歯ぎしりで歯や顎に起こる影響
睡眠時ブラキシズムがその人の持つ生理的な耐性を越えて行われると、顎関節や筋肉、歯、歯周組織などに悪影響を与え、その影響は顎顔面領域のほぼすべての器官に及ぶ可能性があるとされ、顎関節症の原因因子の1つとしても捉えられています。※2
力の大きさも見過ごせません。睡眠時ブラキシズムの強度については、起きているときに最大限かみしめたとき以上の筋活動が記録されており、覚醒時より大きな負荷がかかる可能性が示唆されています。歯の異常なすり減りや、強くかみしめたときの咬筋の張り出しは、診断の指標にもなっているのです。※2
自覚しやすいのは、起床時の症状です。ブラキシズムに伴う筋の痛みは起床後に生じる一過性のものとされ、起きたときに痛みが強く、時間の経過とともに和らいでいくパターンを示します。※2
閉口筋の活動によって顎関節に負荷がかかり、関節の痛みや関節円板のずれにつながる可能性も指摘されています。※2
自分でできる歯ぎしり・食いしばり対策
自分でできる対策法を3つご紹介します。
1. 日中に歯を食いしばっていないか意識する
覚醒時ブラキシズムに対しては、まずは気づくことが出発点です。自分が有害な行動を無意識あるいは意識的に行っていると認識するために、行動変容療法が用いられます。※2
仕事や家事に集中しているとき、緊張しているときなどに、上下の歯が触れていないか意識を向けてみてください。無意識の接触は気づきにくいため、パソコンの画面の端や机など目に入る場所に自分への注意書きを貼っておく方法があります。歯が触れていることに気づいたら、息を吐きながら顎と肩の力を緩めて上下の歯を離します。気づくたびに力を抜くことを繰り返していきましょう。
2. 飲酒・喫煙・カフェインの習慣を見直す
ストレスや飲酒、喫煙、服薬、睡眠障害の関与が疑われる場合には、ストレスマネジメントや飲酒と喫煙に対する指導、服薬の変更や中止などで抑制できる可能性があるとされています。※2
カフェインについても、健康づくりのための睡眠ガイド2023では、むずむず脚症候群や睡眠時歯ぎしりなどの睡眠障害を発生・悪化させるリスクを有しているとの報告があると説明されています。※3
さらに、同ガイドでは1日のカフェイン摂取量を400mg(ドリップコーヒーでコーヒーカップ4杯分)以内にとどめ、夕方以降は控えること、晩酌での深酒や寝酒やたばこに含まれるニコチンにも覚醒作用があると示しています。※3
歯ぎしりが確実に減ると断定はできませんが、アルコールやたばこ、カフェインの摂取量とタイミングは振り返ってみる価値があるでしょう。
3. 眠りを妨げる寝室環境を見直す
寝ている間に光が当たると、低い照度でも中途覚醒の時間を増やし、睡眠の効率を下げます。寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながります。夜中にお手洗いへ立つ場合は、間接照明や足元灯を活用し、目に入る光の量を抑えるといいようです。※3
音と温度も確かめておきたい点です。寝室内で測定した騒音は睡眠効率の低下や中途覚醒時間の延長に有意に関連したと報告されており、夏はエアコンで涼しく保つこと、冬はWHOの住環境ガイドラインが室温18℃以上を推奨していることも示されています。※3
寝床の中が十分に暖かく保たれていれば、睡眠への影響は少ないようです。※3
寝返りの打ちやすさや体の沈み込み方が気になる方は、コアラマットレスのように自宅でじっくり試せる製品で相性を確かめてみるのもよいでしょう。
歯科医院で行う歯ぎしりの治療・対応
歯科医院では、歯ぎしり音やかみしめの自覚に加えて、歯の異常なすり減り、起床時の咀嚼筋の不快感や疲労、痛み、顎の引っかかり、強くかみしめたときの咬筋の肥大などを診断の指標として確認します。※2
睡眠時ブラキシズムに対して広く行われているのが、マウスピース(ナイトガード)を使うスプリント療法です。スタビリゼーション型スプリントを用いた方法は短期的に歯ぎしりを抑制すると報告されています。ただし、すべての人に有効というわけではなく、長期間使い続けると歯ぎしりのレベルは元に戻ることが示されていました。※2
それでもマウスピースが勧められるのは、歯や詰め物・被せ物を歯ぎしりから保護でき、睡眠中に生じる顎関節への負荷を軽くできる可能性があるためです。※2
装着によって歯ぎしりそのものが治るのではなく、歯と顎を守るための手段だと理解しておくとよいでしょう。
このほか、筋弛緩剤などの薬に歯ぎしりを抑える効果が示されているものの、薬物依存や副作用の問題から長期的には使用できないとされています。睡眠中に刺激を与えるフィードバック療法も、装置が煩雑であるなどの理由で実用化には至っていません。※2
現時点では、生活面の要因への対応とマウスピースによる保護を組み合わせる形が中心といえます。
歯ぎしりで歯科を受診する目安
判断の軸としては、歯ぎしりそのものより、歯ぎしりによって身体や生活に支障が生じているかどうかで考えましょう。臨床における異常とは、その状態を放置することで障害が生じるものとされ、健康な人に見られるブラキシズムは異常ではないと考えられています。※2
たとえば、歯のすり減りや欠けが目立ってきた、冷たいものがしみる、詰め物や被せ物が繰り返し外れる、起床時の顎の疲れや痛みが続く、口を開けにくい、家族から歯ぎしりの音を頻繁に指摘されるといった場合は早めに相談しておくと、歯を削る量を抑えられるかもしれません。
相談先は、かかりつけの一般歯科で差し支えありません。顎の痛みや開けにくさが強い場合は歯科口腔外科という選択肢もあります。費用については、歯ぎしりに対するマウスピースは保険診療の対象になる場合があります。
診断の内容や装置の種類によって扱いが変わりますので、費用と通院の回数は予約や初診の段階で確認しておくと安心です。
子どもの歯ぎしりは治療が必要?
子どもの歯ぎしりは、大人と同じように考えなくてよいとされています。
歯ぎしり音の自己申告を基にした調査によると、睡眠時ブラキシズムの発生率は小児で10~20%、成人では約5~8%、高齢者で2~3%と、加齢とともに減少することが報告されており、かみ合わせの関係がまだ完成していないために小児の歯ぎしり頻度が高いのが事実です。
日本小児歯科学会も、子どもの歯ぎしりのほとんどは一時的なもので、気持ちが満たされないストレスとして起きている場合や、かみ合わせの調整として見られる場合があり、年齢とともになくなっていくことが多いと説明しています。※4
音がするというだけで、直ちに治療が必要になるわけではありません。
一方で、歯並びに問題がある、歯が過度にすり減っている、顎を痛がるといった様子が見られる場合は、小児歯科専門医に相談しましょう。永久歯への影響が心配なときも、自己判断で様子を見続けるより、かかりつけの歯科で一度確認してもらうと安心です。
まとめ:歯ぎしりは負担を減らして歯や顎を守ろう
歯ぎしりには眠っている間に起こる睡眠時ブラキシズムと、起きている間に起こる覚醒時ブラキシズムがあり、前者は意識して止めることが難しく、確実に抑制できる単一の治療法は現時点でありません。完全に止めることを目標にするのではなく、歯や詰め物、顎にかかる負担を減らして守っていくという考え方が現実的です。
自分で取り組める対策として、日中に上下の歯が触れていないか意識を向けて力を抜くこと、飲酒や喫煙、カフェインの量とタイミングを振り返ること、暗く静かで暑すぎず寒すぎない寝室環境を整えることが挙げられます。薬の影響が気になる場合でも、自己判断で中止せず処方した医師や歯科医師に相談してください。
歯のすり減りや知覚過敏、詰め物の破損、起床時の顎の疲れや痛みが続くようであれば、一般歯科や歯科口腔外科への相談をおすすめします。できるところから見直して、朝の顎が少しでも楽になる状態を目指しましょう。
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https://jp.koala.com/pages/120-night-trial?utm_source=blog
・参考
※1 歯ぎしり(ブラキシズム)の分類 | 公益社団法人日本歯科医師会
※2 睡眠時ブラキシズム | 公益社団法人日本歯科医師会
※3 健康づくりのための睡眠ガイド2023 | 厚生労働省
※4 こどもたちの口と歯の質問箱 3歳ごろから就学前まで | 公益社団法人日本小児歯科学会











